クリエイター向けパソコンの”スペック”はどれくらい必要?
このPicoN!で取り扱っている情報は、イラストやデザイン、写真などの「クリエイティブ情報」です。
クリエイティブに関心のあるみなさまは、普段どんなパソコンをお使いでしょうか?
現代のクリエイティブにおいて欠かせないPC(パソコン)ですが、中には「クリエイター向けPC」というものもあります。
世の中にはそういった様々な価格やスペックのPCがあり、その構造を理解して自分がやりたいことに合ったPCを選ぶことが大切です。
以前PCのスペックについて基本的な知識をお伝えしました。
今回はより具体的にPCの”スペック”について解説していきます!
目次
クリエイター向けPCの選び方
様々あるPCの種類の中から、自分にあったPCの選び方のポイント抑えておきましょう。
使用用途で選ぶ
PCはその用途によって必要となるスペックが変わってきます。
基本的な選び方としては行いたい作業がスムーズにこなせるスペックを持つPCを選ぶことが重要です。
せっかく良いものを作ろうとしているのに、PCが重くてストレスになると、とてもにもどかしい思いをすることになります・・・
良いスペックのPCであればあるほどそれに比例して価格も高くなりますが、逆に安く済ませてスペック不足のPCを選んでしまうと悲惨な未来が待っているかもしれません・・・
そうならないためにも、適切なスペックのPCを選べるように知識を身に付けましょう。
ソフトで選ぶ
「イラストを描きたい」「動画編集がしたい」といった感じで、既にPCでやりたいことが決まっている方は、使いたいソフトウェア(アプリ)が問題なく動作できるPCなのかどうかが一つの判断基準となります。
逆にやりたいことに対してスペックを満たしていないPCでは使いたいソフトがまともに動作しないということもあり得ます。
ソフトを発売している各社がソフトの動作に必要な(もしくは推奨する)スペックというものを公開しているので、そちらが参考になります。
自分が使いたいソフトが問題なく動作するスペックであれば、そのPCで目的の制作活動ができるというわけです。
スペック表の判断基準
しかしながら実際にソフトの必要スペック表を見ても、自分が欲しいPCがその内容より優れているのか劣っているのか、知識が無いと判断が難しいと思います。
一般的に考慮されるスペックのパーツ(項目)ごとにその判断基準を解説します。
OS
主にMicrosoftの「Windows」とAppleの「Mac OS」の二つがあります。
どちらも数字が大きいほど新しく、クリエイター向けのソフトも基本的には新しいOSに合わせてアップデートを行うので最新のものが望ましいと言えます。
ソフトの相性などで一部例外もありますが、常に最新のOSはアップデートでセキュリティの強化もされるのでそこも重要です。
推奨されるOS以降に出たバージョンであれば問題ないでしょう。
2023年9月の現在では「Windows11」、「macOS Ventura 13」がそれぞれ最新ですね。
CPU
現在主流となっているものは3つです。
IntelのCore iシリーズ、AMDのRyzenシリーズ、そしてMacの自社製チップシリーズです。
Core iシリーズ、Ryzenシリーズはそれぞれ数字が大きい方がより高性能です。
最近のMacPCに搭載されているApple自社製チップ(M1やM2など)は、動作確認がされているものを選んでおけば間違いないでしょう。
GPU(Graphics Processing Unit)
PCのグラフィック処理性能に大きく関わります。
様々な種類があるので選び方が難しいですが、基本的には新しく発売されたモデルであるほど高性能です。
必要スペックに記載があるGPUがいつ頃に発売されたモデルなのかを調べることで、一つの目安として判断できます。
最新のものはとても高価ですが、その前の世代のものを選んだり、用途に合わせたGPUを選ぶことで出費を抑えることもできます。
またCPUとのバランス(相性)があるパーツでもあるので、専門的な知識が無い方は各PCメーカーが発売しているパーツ構成にお任せするのが無難です。
メモリ
推奨メモリ以上の容量を確保しましょう。
必要や最小と記されるメモリ容量はソフトの動作に必要な最低限の容量を表しますが、快適な動作で安心して作業できるのは推奨メモリ以上の容量があると良いことを覚えておきましょう。
用途別のスペック目安
それでは実際に用途別で必要となってくるスペックを見てみましょう。
それぞれのクリエイティブ用途で代表的なソフトを例に、必要なスペックをまとめてみました。
この他にも各分野様々な優れたソフトがありますので、あくまで参考と捉えてください。
※参考にした各ソフトの推奨スペックは2023年9月現在のものです。
イラストの描画
代表ソフト:Clip Studio Paint
Windows
SSE2に対応したIntel、AMD製CPU
OpenGL 2.1に対応したGPU
2GB以上のメモリ必須 8GB以上推奨
上記を搭載したコンピュータ
Mac
Apple Mシリーズチップ、Intel製CPU を搭載した Mac
OpenGL 2.1に対応したGPU
2GB以上のメモリ必須 8GB以上推奨
上記を搭載したコンピュータ
引用元:https://www.clipstudio.net/ja/
SSE2はよほど古いPCでない限り、最近のものであればまず対応しているので深く考える必要はないでしょう。
OpenGL 2.1も、最近のものであれば問題ないと思われますが、検討しているGPUのモデル名で検索すれば対応しているかはすぐ確認することができます。
イラストの描き方にもよりますが、画像のサイズや重ねていくレイヤー数に応じてより高性能なスペックが必要になります。
高画質なイラストを描いたり、レイヤーをたくさん使いたい人はCPUやメモリは推奨より高性能にしておくとよいです。
デザイン制作
代表ソフト:Adobe Illustrator
CPU:SSE 4.2 以降
メモリ:8 GB 以上の RAM(16 GB 以上を推奨)
GPU:1 GB 以上の VRAM(4 GB を推奨)がある
OpenGL バージョン 4.0 以上をサポートしている
引用元:https://helpx.adobe.com/jp/illustrator/system-requirements.html
簡単にまとめるとこんな具合で必要スペックが記載されていました。
VRAMというのはビデオ表示用のメモリのことです。このVRAM以上のGPUを選びましょう。
写真編集
代表ソフト:Adobe Photoshop
CPU:64ビットをサポートしている IntelまたはAMDマルチコアプロセッサー(SSE 4.2 以降の2GHz 以上のプロセッサー)
メモリ:8 GB 以上の RAM(16 GB 以上を推奨)
GPU:Windows→DirectX 12をサポートしている GPU / Mac→Metal をサポートしている GPU
1.5 GBのGPUメモリ(4K以上のディスプレイでは4GB以上のGPUメモリ)
引用元:https://helpx.adobe.com/jp/photoshop/system-requirements.html
”2GHz以上のプロセッサー”というのは、CPUの処理速度を表します。
CPUの名前の後ろにGHz表記が書いてありますが、これも数値が高ければ高いほど処理速度が早く高性能ということになります。
他にもDirectXやMetalとややこしい単語が出てきていますが、GPUに関してよくわからない場合はソフトに対応しているモデルを直接調べた方が早い場合があります。
専用のF&Qなどを参照しましょう。
動画制作
代表ソフト:Adobe Premiere Pro
Windows
CPU:
最小/Intel® 第6世代以降のCPUまたはAMD Ryzen™ 1000シリーズ以降のCPU
推奨/Quick Sync搭載のIntel® 第7世代以降のCPUまたは AMD Ryzen™ 3000シリーズ/Threadripper 2000シリーズ以降のCPU
メモリ:
最小/8 GB の RAM
推奨/HDメディアの場合は16GBのRAM4K以上の場合は32GB以上
GPU:
最小/2 GB の GPU メモリ
推奨/HDおよび一部の4Kメディアの場合は4GBのGPUメモリ、4K以上の場合は6GB 以上
Mac
CPU:
最小/Intel® 第 6 世代以降の CPU
推奨/Intel® 第 7 世代以降の CPU または Apple シリコン M1 以降
メモリ:
最小/8 GB の RAM
推奨/
Apple シリコン:16 GB の統合メモリ
Intel:HDメディアの場合は16GBのRAM 4K以上の場合は32GB以上
GPU:
最小/Apple シリコン:8 GB の統合メモリIntel:2 GB の GPU メモリ
推奨/Apple シリコン:16 GB の統合メモリ
Intel:HD ワークフローおよび一部の 4K ワークフローの場合は 4 GB の GPU メモリ
4K 以上の解像度のワークフローの場合は 6 GB 以上
引用元:https://helpx.adobe.com/jp/premiere-pro/system-requirements.html
これまでのソフトに比べて、必要なスペックが格段に高くなっていますね。
イラストや写真を編集する作業に比べて、やはり動画を編集したりするのにはより高性能なスペックが必要となります。
この基本的なスペックに加えて、長い尺の動画や、より高画質な動画を編集したりと思ったらさらに必要なスペックが高くなっていきます。
まとめ
用途に合わせた様々な必要スペックを見てきましたが、使いたいソフトによって必要なスペックがパーツのモデル名であったり処理能力であったりと、表記が様々でした。
この辺りが「PCのスペックがいまいちよくわからない」となる所以かと思いますが、PCパーツごとの機能を一つ一つ理解していくことで自分が求めているPCがわかるようになってきます。
クリエイターとして、自分が使う大事なツールであるPCの性能を把握しておくことは大切です。
ストレスフリーな創作活動が行えるように、PCスペックについて正しく理解しておいて欲しいと思います。
PicoN!編集部:黒田
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