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最新記事一覧あの興奮をデザインでプレイバック。日本代表ユニフォームに隠された「美学」を解剖!
ユニフォームは「時代を映す鏡」⁉ みなさんこんにちは!突然ですが、2022年のカタールW杯での日本代表のカッコいい大躍進、覚えていますか?強豪国を相手に次々とジャイアントキリングを起こす姿に、日本中が熱狂しましたよね。 でも、私たちが胸を熱くしたのはピッチ上のドラマだけではありません。選手たちが身に纏っていた「ユニフォーム」のデザインも、世界中からクリエイティブな視線を集めていたんです。 実は、日本代表のユニフォームは単なるスポーツウェアではありません。その時代の最先端のトレンドやデザイン思想、テクノロジーがぎゅっと凝縮された「時代を映す鏡」なんです!今回は、2002年の日韓W杯から2026年の最新モデルまでをプレイバック。当時のファッションや社会の空気感と掛け合わせながら、デザインの視点でそのおもしろさを紹介していきます! 2002年:日韓W杯モデル「富士山」 2000年代初頭のファッション界は、それまでの派手なハイテクブームが落ち着き、「ミニマリズム」や「機能美」へと流行がシフトしていた時期でした。日本中が初の自国開催に沸いた2002年、ピッチに登場したのは驚くほどストイックでシンプルな一着です。コンセプトは「富士山」ですが、直接描くのではなく、ボディのテクスチャとしてうっすらグラデーションで表現する隠し味のようなデザイン。首元から袖へ流れる「赤い一本線」が、日本の「引き算の美学」を象徴しています。バブル崩壊後の長い低迷期から抜け出そうとする社会に向けて、「みんなで結束しよう!」という強いメッセージが視覚化されていました。当時は裏原宿カルチャーが全盛期で、この洗練された青は、おしゃれな若者たちのストリートファッションにもしなやかに溶け込んでいきました。 この投稿をInstagramで見る かとえい(@katoei5803)がシェアした投稿 2006年:ドイツW杯モデル「刃文」 2000年代半ばになると、世界のカルチャーシーンで日本の伝統文化やアニメを「Cool Japan」として再評価する動きが本格化していました。そのトレンドをピッチの上でいち早く体現したのが、この2006年モデルです。 テーマは日本刀の「刃文(はもん)」。ユニフォームの両サイドに流れるような美しい曲線のグラフィックを配置し、ウェアの構造そのものに日本の伝統美と強さを落とし込みました。当時はタイトなシルエットの服やテーラードMIXが流行しており、ユニフォームも身体にフィットするスマートな設計へと進化。インターネットが普及し「一目でわかるアイコン性」が求められ始めた時代でもあったため、テレビ画面越しでも圧倒的な存在感を放つ、グラフィックアートのような一着になりました。 この投稿をInstagramで見る ヒラノユウスケ(@ontaikun)がシェアした投稿 2010年:南アフリカW杯モデル「革命に導く羽」 スマートフォンが急激に普及し始め、社会全体がアナログからデジタルへと移り変わる大転換期にあった2010年。ユニフォームデザインも、テクノロジーの進化によって大きな革命を迎えます。 主役は、胸元に大きくプリントされた「八咫烏(やたがらす)の羽」のグラフィックです。それまでは生地の切り替えや刺繍で表現していたデザインを、新技術の「高精細インクジェットプリント」で表現。素材の軽量化と複雑なアート表現を同時にクリアしました。これは当時、デジタルプリントを多用して世界を席巻していたハイブランドの流行ともばっちり同期しています。さらにペットボトルをリサイクルした再生ポリエステルが本格採用されたのもこの時期。「サステナビリティ」という社会の関心をいち早くデザインに組み込んだモデルです。 この投稿をInstagramで見る 在庫商事(株)|ユニフォーム整理部(@otonayuni_seiri)がシェアした投稿 2014年:ブラジルW杯モデル「円陣」 4G回線が広がり、X(旧Twitter)などのSNSで「リアルタイムにみんなで繋がり、感動をシェアする」ことが当たり前になった2014年。デザインは単なる衣服の枠を飛び越えて、「人と人を繋ぐメディア」へと役割を広げます。 コンセプトは、その名も「円陣」。選手とサポーターが円陣を組んだときに、背面に施された蛍光ネオンカラーのラインが繋がり、みんなで1つの大きな「輪」が完成するという驚きの仕掛けが作られました。日常のファッショントレンドでは、シンプルな服を着こなす「ノームコア」やスポーツMIXの「アスレジャー」が大流行。この鮮やかな蛍光イエローは、街着としても強いアクセントになりました。個の時代から「コミュニティの繋がり」へとシフトする社会をビジュアル化した一着です。 この投稿をInstagramで見る 在庫商事(株)|ユニフォーム整理部(@otonayuni_seiri)がシェアした投稿 2018年:ロシアW杯モデル「勝色」 デジタル社会がどんどん加速し情報が溢れる中で、ファッション界では逆に「本物志向」や「ヘリテージ(伝統)への回帰」が大きなトレンドになっていました。2018年モデルは、まさにその時代精神を捉えています。 ベースになったのは、日本の伝統色である藍染めの「勝色(かちいろ)」。武将が鎧の下に着たという伝統の「刺し子柄」を、現代的なドットグラフィック(ピクセルアート)へとデジタルに再解釈して配置しました。90年代レトロやヴィンテージのディテールを現代風にアップデートする、当時のストリートトレンドとも見事にシンクロしています。歴史的な要素を上手にサンプリングしながら、過度な装飾を排し、色とパターンだけで日本のアイデンティティを静かに主張したクールな一着です。 この投稿をInstagramで見る かとえい(@katoei5803)がシェアした投稿 2022年カタールW杯モデル「ORIGAMI」 メタバースやNFTといった「バーチャルとリアルの融合」が語られ、TikTokが若者カルチャーの中心となった2022年。カタールW杯で世界中のデザインファンを驚かせたのが、この「ORIGAMI」モデルです。 日本の折り紙をモチーフに、直線と鋭角が織りなす幾何学的なグラフィックが全面に展開されました。ジェンダーレスや「Y2K(2000年代リバイバル)」の鮮やかなグラフィックトレンドにマッチし、デジタルネイティブ世代の視覚感覚を刺激しました。ピッチの光の当たり方でグラフィックの陰影が万華鏡のように変化する様は、現実世界でありながらデジタルエフェクトを見ているかのよう!リアルとバーチャルの境界が曖昧な、現代社会の空気感が見事にウェアへと落とし込まれています。 この投稿をInstagramで見る サッカーキング(@soccerkingjp)がシェアした投稿 2024年:特別モデル「Y-3コラボ」 ユニフォームが競技場を完全に飛び出して、パリ・ファッションウィーク(パリコレ)のランウェイへと直結した、日本のスポーツデザイン史における大事件。それが世界的デザイナー・山本耀司氏が手がけるブランド「Y-3」とのコラボレーションモデルです。シグネチャーである「黒」のボディに、暗闇から激しく燃え上がる「青い炎」を手描き風のタッチで配置。Z世代を中心にユニフォームを日常着として着こなす「Blokecore(ブロークコア)」トレンドが世界的に大爆発する中で、このモデルは大きな反響を呼びました。。ハイブランドが持つアヴァンギャルド(前衛的)な空気感は、「オタクなファングッズ」という概念をひっくり返し、個人のスタイルを表現する純粋なファッションピースへと昇華させました。 この投稿をInstagramで見る 日本サッカー協会(JFA)/日本代表/なでしこジャパン(@japanfootballassociation)がシェアした投稿 2026年:最新モデル「HORIZON」 コロナ禍を経て社会が新しい日常へと移行し、過度な刺激よりも「本質的な心地よさ」や「洗練」を求め始めた2026年現在の最新モデル。前作の激しい炎の熱狂から一転し、デザインは極めてモダンな「ニュー・ミニマリズム」へと回帰しています。 テーマは「HORIZON(水平線)」。一見すると爽やかでシンプルなジャパンブルーですが、胸元から裾へのグラデーションと繊細なテクスチャによって「水平線の情景」を表現しています。過度なロゴを排して仕立ての良さで魅せる、現代の「クワイエット・ラグジュアリー(静かなラグジュアリー)」の思想がここにも波及しています。不確実で境界線の見えない未来へ向けて、グラデーションという「曖昧な境界」を用いた、ニュアンスでストーリーを伝えるデザインです。 この投稿をInstagramで見る atmos Japan Official(@atmos_japan)がシェアした投稿 まとめ 日韓W杯から最新モデルまで、日本代表ユニフォームのデザインを振り返ってきました。アパレルショップに並ぶ洋服だけでなく、一見ファッションとは距離があるように思える「スポーツ選手のユニフォーム」に注目をしてみるとそこには、その時代の流行や社会情勢、テクノロジーの進化がありありと読み取れることに気づいたのではないでしょうか? 優れたクリエイティブは、美術館や限られたギャラリーの中だけに存在するものではありません。ピッチを駆ける選手のウェア、街で見かける看板、毎日使うスマートフォンのUIなど、私たちが日常生活で触れる何気ない物の中にも、時代を切り取る無数のヒントが隠されています。クリエイターを目指すみなさんも、ぜひ日常の「当たり前」をデザインの視点で観察してみてください。きっと新しいアイデアの種が見つかるはずです! 参考サイト • ディダス ジャパン公式オンラインショップ(https://www.adidas.jp/jfa_history) • サッカー日本代表 2026 ユニフォーム 特設ページ(adidas公式)(https://www.adidas.jp/jfa) • JFA(公益財団法人 日本サッカー協会)公式オンラインストア(JFA STORE)(https://official-store.jfa.jp/)
就職先で「一緒に働きたい」と思われる5つの要素
クリエイターを目指す方の中には、仕事は「一人で黙々と行う」ことだと認識していることがありますが、多くの場合は誰かと協力して進めることが多いものです。 だとしたら、「この人に協力したい」「もっといいものが創れそう!」と思える人と働きたいですよね。 そこで今回は、毎年50社〜100社ほど企業訪問し、採用担当者さまと情報交換する私が、現場で働く人の声を共有します。 「具体的にどんな人か?」考えると、大きく5つのポイントがあります。 1. 改善を重ねて、もっと良くなろうとする人 例えば、あなたがゲームの腕を磨きたいとき、ただプレイするだけでなく、新しい技を練習したり、上手な人の動画を見ることがあると思います。 仕事も同じで、自分の得意なことをもっと伸ばそうとしたり、新しいことを「面白そう!」って学ぼうとしたりする人は、一緒にいて刺激をもらえます。 そんな人と一緒だと、自分も「もっと良いものを創ろう!」と思えるのです。 2. 言葉にできる人、相手の気持ちも考える人 友達とグループワークをするとき、意見がバラバラで全然まとまらないことありませんか? 逆に、みんなの意見をよく聞いて、自分の考えも分かりやすく伝えられる人がいると、スムーズに進みますよね。 これは、仕事でも同じ。 「今どうなってる?」とか「困ってることはない?」と、言葉にしてくれる人、そして相手の意見を「なるほどね!」と聞いてくれる人は、安心感を感じます。 3. いつも前向きで、みんなと協力できる人 「やばい、ここがうまくいかない…」となった時に、「もうダメだ~」って落ち込むのではなく、「じゃあ、どうしたらいいかな?」と、一緒に考えてくれる人は心強いですよね。 そして、自分だけではなく、チームみんなで目標を達成しようと一緒に協力してくれる人は、周りも明るくしてくれます。 ✅️この記事を読んでいる人におすすめしたい記事👉️【クリエイターの就活】就職せず個人で生きていくために知っておきたい3つのこと 4. 自分のやることに責任を持つ人 課題を提出するとき、締め切りギリギリで適当に出すのと、提出期限を守って丁寧に仕上げるのとでは、周りの印象も全然違いますよね。 仕事も同じで、「この仕事は自分がやるんだ!」って気持ちで、最後までやりきる人、そして質の良いものを作ろうと丁寧に取り組む人は、信頼できます。 そういう人には安心して仕事を任せられますね。 5. 正直で、ごまかさない人 友達との関係でも、嘘をついたり隠し事をしたりする人より、正直で誠実な人の方がずっと信頼できますよね。 仕事でも、もし何か問題が起きたとしても、ごまかさずに「実はこうなっちゃって…」と報告してくれる人、約束したことをちゃんと守る人とは、長く良い関係を築いていけます。 まとめ これらの特徴を持っている人たちと仕事ができると、毎日がもっと楽しくなるし、自分自身も大きく成長できるはずです。 これから社会に出る上で、どんな人と一緒に働きたいか、ぜひ参考にしてみてくださいね! PicoN!編集部 かみさく ↓PicoN!アプリインストールはこちら
【メディア掲載・受賞実績】2026年10月15日更新
外部メディア様への掲載、受賞等の実績を一覧でご紹介します(随時更新予定)。PicoN! にご関心をお寄せいただいた皆様、ありがとうございました。 東京のTV局 TOKYO MX「ええじゃないか!!」2022年7月10日㈰放送回 https://picon.fun/information/20220712-mxtv/ 「コンテンツマーケティング・グランプリ2023」優秀賞獲得 https://picon.fun/information/20240329cmgp/ 横浜のボイトレスクール FUKUMARU MUSIC SCHOOL でのご紹介 横浜のボイストレーニングスクール|FUKURAMU MUSIC SCHOOL 横浜のボイトレスクール「fukuramu」はミュージックスクール、ボイストレーニングスクール。大人からキッズまで、ボーカルはもちろん演劇、ミュージカル、声優、K-POPなど多種多様なコースと独自カリキュラムでみなさんの成長をサポートします。
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おすすめ記事一覧ドットの世界へ! 草間彌生の『クサマズ・ポップ』を振り返る
ドット、ドット、ドット……。赤、黄色、緑、青。大きな花に、カラフルな絵、家具、携帯電話。 草間彌生の作品と聞いて、赤や黄色の水玉模様を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。 私自身も、草間彌生といえば水玉模様というイメージを持っていました。しかし、実際に展示を見ていくと、目に留まるのは水玉模様だけではありません。作品のさまざまなところに草間彌生ならではの表現が広がり、見慣れたものも違った姿に見えてきます。 今回は、2026年4月16日から8月30日まで、東京都新宿区の草間彌生美術館で開催されていた展覧会『クサマズ・ポップ』を振り返ります。会場で見つけたものや、個人的に「これ面白い!」と思った作品を中心に紹介していきます。 Into the World of Dots! A Look Back at Yayoi Kusama's "Kusama's Pop" Dots, dots, dots... Red, yellow, green, blue. Large flowers, colorful paintings, furniture, cell phones, and mirrors. Many people probably think of "polka dots" first when they hear the name Yayoi Kusama, right? I, too, when I see Yayoi Kusama's work, think, "Of course, it's polka dots!" However, as I actually viewed the exhibition, it gradually became more than just "polka dots." "Wait, even here?" Yayoi Kusama's world extended to places that made me think just that. This time, we'll look back at the exhibition "Kusama's Pop," which was held at the Yayoi Kusama Museum in Shinjuku-ku, Tokyo, from April 16 to August 30, 2026. We'll introduce things I found at the venue and works that I personally thought were interesting! 草間彌生とは? ポップカルチャーにもつながる表現 | Who is Kusama Yayoi? 草間彌生は、1929年に長野県松本市に生まれた前衛芸術家です。水玉や網目の反復、鮮やかな色彩を用いた絵画や彫刻、空間全体を使ったインスタレーションなど、独自の表現を追求してきました。 草間彌生の作品を思い浮かべたとき、まず水玉模様をイメージする人も多いのではないでしょうか。その特徴的なモチーフは、絵画の中だけにとどまりません。家具や携帯電話、日常的なものを取り入れた作品にも広がっています。こうした、ひと目で作家を連想させるビジュアルや、アートと日常の境界を越えていく表現も、草間彌生の作品に注目したい理由のひとつです。 ポップカルチャーという視点から見ると、草間彌生の作品には、デザインやイラストにも通じる面白さがあります。印象に残る色や形、繰り返されるモチーフ、そして日常のものを新鮮に見せる工夫。これらは、私たちが普段目にする広告やファッション、プロダクトのビジュアルを考えるうえでも興味深いポイントです。 今回は『クサマズ・ポップ』を振り返りながら、作品の中に見つけたデザインやポップカルチャーとの接点を紹介します。なお、草間彌生さんが2026年8月14日に逝去したことが、同月27日に公表されました。長年にわたって独自の表現を追求してきた草間さんの作品を、改めて振り返ってみたいと思います。 Who is Yayoi Kusama? Her Expression Connects to Pop Culture Yayoi Kusama is an avant-garde artist born in Matsumoto City, Nagano Prefecture in 1929. She has pursued a unique form of expression through paintings and sculptures using polka dots, repetitive patterns, and vibrant colors, as well as installations that utilize entire spaces. When thinking of Yayoi Kusama's work, many people probably first picture polka dots. This distinctive motif isn't limited to paintings; it extends to works incorporating furniture, mobile phones, and everyday objects. These visuals, which instantly evoke the artist, and expressions that transcend the boundaries between art and everyday life, are some of the reasons why Yayoi Kusama's work deserves attention. From a pop culture perspective, Yayoi Kusama's work has an appeal that resonates with design and illustration. Memorable colors and shapes, recurring motifs, and ingenuity in making everyday objects appear fresh—these are interesting points to consider when thinking about the visuals of advertisements, fashion, and products we see every day. This time, we'll look back at "Kusama's Pop" and introduce the connections to design and pop culture we found within her work. Incidentally, Yayoi Kusama's passing was announced in August 2026. We'd like to take this opportunity to revisit the works of Kusama, who pursued her unique form of expression over many years. 会場の美術館はどこにありますか? | Where is the museum located? 所在地:東京都新宿区弁天町107番地 会場である「草間彌生美術館」の最寄り駅は都営大江戸線牛込柳町駅で、東口から徒歩約6分です。早稲田駅(徒歩約7分)または神楽坂駅(徒歩約9分)からもアクセス可能です。 本展は会期を終了しています。現在開催中の展覧会のチケット情報は、草間彌生美術館の公式サイトをご確認ください。 [caption id="attachment_30514" align="aligncenter" width="550"] 美術館を外から見た景色 | View of the museum from outside[/caption] Location: 107 Bentencho, Shinjuku-ku Tokyo 162-0851. The closest station is the Ushigome-Yanagicho Station on the Toei Oedo Line which will take about a 6 minute walk from the East Exit. You can also reach the museum from Waseda Station (about 7 minutes walk) or Kagurazaka Station (about 9 minute walk). This exhibition have already finish but you can buy the tickets for the new exhibitions. 自動販売機まで草間彌生に!? | Even the vending machines?! 展示を見ていて、最初に「これは面白い!」と思ったもののひとつがこちら。 街中で見かける自動販売機が、赤と白の水玉模様に覆われています。こちらは、草間彌生の作品《Prototype for Dots on Vending Machines》(2001)。 飲み物を買うための身近な存在である自動販売機も、草間彌生のトレードマークともいえる水玉模様が加わることで、見慣れた風景から少し離れた、不思議な存在に見えてきます。 日常の中にあるものが、表現ひとつで違った姿を見せる。そんな変化を楽しめる作品でした。 [caption id="attachment_30451" align="aligncenter" width="750"] 水玉の自動販売機 | Red and White Dots on Vending Machines[/caption] One of the first things that caught my eye while viewing the exhibition was this: Take this vending machine for example. AAt first glance, it looks like an ordinary vending machine. But if you look closely, you'll see red and white polka dots. This is "Prototype for Dots on Vending Machines" (2001). A vending machine, something we usually see around town, has been transformed into a work by Yayoi Kusama. We don't usually pay much attention to vending machines, do we? We tend to think of them more as "places to buy drinks".Yayoi Kusama's work is instantly recognizable when it's covered in polka dots like this. 水玉、階段にもいる!| There's dots on the stairs too! さらに進んでいくと、今度は階段にも水玉が。 展示室の中だけではなく、建物の中にも水玉が広がっています。《Dots Obsession》は美術館の中に広がる形で展示されていて、作品そのものだけではなく、空間まで一緒に見ているような感覚がありました。 [caption id="attachment_30453" align="aligncenter" width="550"] ドット・オブセッション | Dots Obsession[/caption] I personally found it fascinating how "ordinary things look completely different when they enter Yayoi Kusama's world." Polka dots, even on the stairs! Further on, there were polka dots on the stairs too. I thought, "They're here too?!" Polka dots were spread not only within the exhibition rooms, but throughout the building. 《Dots Obsession》 was displayed in a way that it spread throughout the museum, giving me the feeling that I was seeing not only the artwork itself, but the space as well. It was almost as if the museum itself was being gradually taken over by Yayoi Kusama... カラフルな絵の前で、目が忙しい! | So many colours, so much to look at! そして、展示を進んでいくと、カラフルな絵が一気に目に入ってきます。赤、青、黄色、緑。太い線。繰り返される形。たくさんの色と形が並んでいるので、どこから見ればいいのか少し迷ってしまうくらいです。一つの作品を見ていたはずなのに、隣の作品の色が気になって、またその隣を見て……。気づいたら、目がずっと動いていました。 草間彌生の作品は、シンプルな形や線が使われていても、色や配置、繰り返しによって全体の印象が大きく変わります。個人的には、こういうところを見ると「グラフィックデザインの作品を見る感覚に少し似ているかも」と思いました。色の組み合わせや形の反復、画面全体の構成。作品を楽しみながら、デザインの視点からもいろいろと考えたくなる展示でした。 I looked at the artwork and moved on to the next room. Even the staircase along the way had something that looked like part of the artwork. At this point, it becomes difficult to distinguish between the "exhibition" and the "building". It's almost as if the museum itself is being gradually taken over by Yayoi Kusama... My eyes are busy in front of the colourful paintings! As I continued through the exhibition, a flood of colourful paintings immediately caught my eye. Red, blue, yellow, green. Thick lines. Repeating shapes. There were so many colours and shapes lined up that I was a little overwhelmed and didn't know where to start. I was supposed to be looking at one piece, but then the colours of the next piece caught my attention, and I looked at the one next to that... Before I knew it, my eyes were constantly moving. Even though Yayoi Kusama's works use simple shapes and lines, the overall impression changes dramatically depending on the colours, arrangement, and repetition. Personally, I thought that this was somewhat similar to the feeling of looking at graphic design artwork. The combination of colours, the repetition of shapes, the overall composition of the screen. It was an exhibition that made me want to think about various things from a design perspective while enjoying the artwork. チューブ? | Tubes? 次に目に入ってきたのがこちらです。 大きなチューブのようなオブジェが、鏡のある空間いっぱいに広がっています。 近くで見るとかなり大きいのですが、鏡に映ることで、さらに奥へ奥へと続いているように見えてきます。 『これ、どこまで続いているんだろう?』実際の空間と鏡に映った空間の境目が分からなくなり、ちょっと不思議な感覚になりました。 写真で見るとかなりインパクトがありますが、実際にその前に立つと、作品の大きさや鏡による見え方の変化も含めて楽しめる展示でした。 [caption id="attachment_30516" align="aligncenter" width="550"] インフレータブルルーム | Inflatable room[/caption] Next, this caught my eye. A large, tube-like object stretches across the entire mirrored space. Up close, it's quite large, but reflected in the mirror, it appears to extend even further into the distance. The objects were already huge when I stood in front of them, but their reflections seemed to carry them farther and farther into the distance. At one point, I caught myself thinking, “Wait… where does the actual room end?”. The installation looks incredibly striking in photos, but standing in front of it was a different experience. Including the scale and the changing reflections made the whole space feel strangely immersive to me. "How far does this go?" The boundary between the actual space and the space reflected in the mirror becomes blurred, creating a somewhat strange feeling. While it's quite impactful in photographs, standing in front of it in person allows you to enjoy the exhibition, including the size of the artwork and how it changes in appearance due to the mirror. 鏡の中にも、また水玉!| The dots keeps going 今回、個人的に印象に残ったのがこちら。カラフルなモチーフが配置された小さな鏡の部屋です。鏡に映ることで、実際の空間よりもずっと広く見えます。正面を見ても、横を見ても、鏡の中に同じ空間が続いているように見えて、「これ、どこまで続いているんだろう?」と思ってしまいます。 実際には小さな部屋なのに、鏡の中ではどこまでも広がっているように感じる。 ただ作品を見るだけではなく、自分自身もその空間の中に入り込んでいるような感覚がありました。写真だけでは、この「実際にその場に立った感じ」はなかなか伝わらないかもしれません。こういう作品は、やっぱり実際に体験してみたくなりますね。 [caption id="attachment_30509" align="aligncenter" width="550"] カラフルな鏡の部屋 | Colourful mirror room[/caption] This is what personally left the biggest impression on me this time. It's a small room filled with mirrors and colourful motifs. The reflection in the mirrors makes the space appear much larger than it actually is. Whether you look straight ahead or to the side, the same space seems to continue within the mirrors, making you wonder, "How far does this go?". Even though it's actually a small room, it feels like it stretches on endlessly within the mirrors. It wasn't just about looking at the artwork; I felt like I was actually immersed in that space. Photographs alone might not fully convey this "feeling of actually being there." Works like this really make you want to experience them in person. 草間彌生の世界に住んだら? | What if Kusama Designed your living room? 展示の中には、絵画や彫刻だけではなく、家具もありました。この作品は《黄樹リビングルーム》(2002)。 本作は、「生活風景に溶け込む草間作品」を基本コンセプトとし、草間彌生と大阪を拠点とするデザイン集団「graf」とのコラボレーションによって2002年に制作された家具シリーズ、およびそれを用いたインスタレーション作品です。空間を構成するソファ、照明、テーブルなどの家具、ならびに周囲の壁面は、草間彌生が1990年代から描き続けている代表的な絵画モチーフである「黄樹(Yellow Tree)」と、彼女の代名詞である「水玉(ポルカドット)」のオリジナルファブリックによって全面的に覆い尽くされています。(引用元:graf公式ステートメントより) 普通の部屋に置いたら、かなり存在感がありそうですよね。というより、絶対に見逃せない。家具は本来、座ったり、物を置いたりするために使うものです。でも、ここでは家具そのものが展示作品になっています。「もし草間彌生さんが部屋をデザインしたら、こんな感じになるのかな?」 なんて想像しながら見るのも楽しかったです。アート作品として鑑賞するだけでなく、インテリアデザインの視点から見ても面白い作品でした。 [caption id="attachment_30511" align="aligncenter" width="750"] YELLOW TREE Living Room(2002)[/caption] The exhibition included not only paintings and sculptures, but also furniture. This is "YELLOW TREE Living Room" (2002). It's a living room typical of Yayoi Kusama, with yellow furniture featuring distinctive patterns. If this were placed in an ordinary room, it would certainly have a strong presence. In fact, it's something you absolutely can't miss. Furniture is originally meant to be "sat on" and "used." But here, the furniture itself is the exhibited artwork. "What if Yayoi Kusama designed a room? Would it look something like this?". It was fun to imagine that while viewing it. It was an interesting piece not only to appreciate as an art piece, but also from an interior design perspective. 携帯電話まで? | Until the phone? そして、私たちの生活には欠かせない携帯電話の作品も展示されていました。こちらは、KDDIの『iida』から展開された『Art Editions YAYOI KUSAMA』のプロジェクトで制作された3点の作品です。KDDIが2009年4月に発表した新ブランド「iida」における特別プロジェクトであり、単なる「デザイン家電」の枠を超え、「携帯電話を現代アート作品そのものに変貌させる」という挑戦的な試みでした。 KDDIの「iida」Art Editionsとは 現代アーティストと共に携帯電話を現代アートへ変貌させるプロジェクトであり、永続的な価値とアート・人生の素晴らしさを共有する場を創出することを目指しました。(引用元:KDDI公式ニュースリリース(2009年4月7日)別紙) 無限に広がるドットの世界《ドッツ・オブセッション、水玉で幸福いっぱい》(2009)(写真:左) 携帯電話と箱型の置き台がセットとなった作品。 赤地に白のドットで埋め尽くされた不可思議な箱、その側面から伸びるスコープから箱の中を覗き込むと、無限に広がるドットの渦。箱の中には、ドットと突起に埋め尽くされた携帯電話が入っています。 草間彌生氏が単身渡米し、ジェンダーや反戦など社会へのメッセージを色濃く反映した作品を多く手がけていた時代の作品「Infinity Mirror Room-'Phalli's Field」(1965年) の世界を見事に再現。 エディションNOと草間氏による直筆サイン入り。 携帯電話をハンドバッグに仕立てた草間氏による新しい提案《宇宙へ行くときのハンドバッグ》(2009)(写真:中央) カラーと形からくる可愛らしさとドットの力強さが融合した今までにない佇まいの作品。シルクスクリーン作品「Handbag」(1985年) を鮮やかに再現。 ハッピーなカラーと鮮やかなドットを身にまとった、愛くるしい犬のオブジェ作品《私の犬のリンリン 》(2009)(写真:右) 3点のうち、私が特に注目したのは、《私の犬のリンリン 》(2009)という、携帯電話と犬の形をしたケースを組み合わせた作品です。 しかも、携帯電話というかなり身近なものなのに、ちゃんと「草間彌生の作品」に見える。色や形、模様の組み合わせを見ただけで、「これ、草間彌生だ!」と分かるのって、よく考えるとすごいですよね。 [caption id="attachment_30512" align="aligncenter" width="1280"] ドッツ・オブセッション、水玉で幸福いっぱい(2009)(写真:左)、宇宙へ行くときのハンドバッグ(2009)(写真:中央)、私の犬のリンリン (2009)(写真:右)[/caption] And then there was this: It's a piece called "My Doggie Ring-Ring" (2009), a combination of a cell phone and a dog-shaped case. After seeing large paintings and sculptures, finding a small piece like this is a fun little discovery. What's more, even though it's something as familiar as a cell phone, it clearly looks like a "Yayoi Kusama work." It's amazing when you think about it, that you can tell it's a Yayoi Kusama piece just by looking at the combination of colors, shapes, and patterns. It was an interesting piece not only as an art piece, but also from a product design perspective. 大きな花が登場! | Giant Flower! そして、こちらは大きな花の彫刻。《明日咲く花》(2016)です。 鮮やかな色彩に彩られた花びらと葉に、繰り返し水玉と網目模様が描かれた大型の彫刻《明日咲く花》は、のどかな田園の中に超現実的な風景をつくりだす。花や植物は、種苗業を営む旧家に生まれた草間にとって、幼い頃から常に身近で、主要なモチーフであり続けている。草間がスケッチブックに描いたアイディアを大きく具現化した本作は、作家の幼い頃からの幻覚のヴィジョンを、陽気に横溢する生命力とともに映し出します。(引用元:100年後芸術祭ホームページ) 黄色い花びらに模様が入り、中央部分もカラフル。下から伸びる部分まで含めて、なんだか現実には存在しない植物のようです。 ここまで絵画や家具、小さなプロダクトなどを見てきたあとに大きな立体作品を見ると、また違った印象があります。平面の中で使われていた色や形が、今度は立体になって目の前に現れる。 同じアーティストの作品でも、素材や大きさが変わるだけで見え方がかなり変わるんだな、と感じました。日常の中にも広がる、草間彌生の世界。 [caption id="attachment_30513" align="aligncenter" width="550"] 明日咲く花 (2016)| Flower that blooms tomorrow()[/caption] And here's a large flower sculpture: "Flowers That Bloom Tomorrow" (2016). The yellow petals are patterned, and the center is also colorful. Including the parts extending from the bottom, it somehow looks like a plant that doesn't exist in reality. After seeing paintings, furniture, and small products, seeing a large three-dimensional work gives a completely different impression. The colors and shapes used in two-dimensional works now appear before your eyes in three dimensions. I realized that even with the same artist's work, the way it looks changes considerably just by changing the material and size. Yayoi Kusama's world unfolds even in everyday life. 草間彌生といえば水玉。そんなイメージから見始めた『クサマズ・ポップ』でしたが、実際に作品をたどっていくと、絵画だけではなく、家具や携帯電話、空間そのものにまで、草間彌生らしい表現が広がっていました。 普段何気なく目にしているものも、色や形、模様の組み合わせによって、まったく違う存在に見えてくる。そんな発見ができるのも、草間彌生の作品に触れる面白さなのかもしれません。 水玉というおなじみのモチーフを入り口に、日常の風景まで違って見えてくる。今回の展覧会を通して、草間彌生の表現の幅広さと、身近なものを新鮮に見せる力を改めて感じました。 草間彌生が追求してきた独自の表現は、これからも作品を通して、多くの人に受け継がれていくことでしょう。 When you think of Yayoi Kusama, you think of polka dots. That was the image I had when I started looking at "Kusama's Pop," but as I explored her work, I discovered that her unique expression extended beyond paintings to furniture, mobile phones, and even the very space itself. Even everyday objects can appear completely different depending on the combination of colors, shapes, and patterns. Perhaps this kind of discovery is part of the appeal of experiencing Yayoi Kusama's work. Yayoi Kusama's unique expression, which she has pursued, will continue to be seen by many people through her works. Why not take a peek into the vast world hidden beneath the familiar motif of polka dots? 展覧会情報クサマズ・ポップ会場:草間彌生美術館会期:2026年4月16日〜8月30日※本展は会期を終了しています。 Exhibition info: Kusama's Pop Venue: Yayoi Kusama Museum Dates: April 16, 2026 - August 30, 2026 *This exhibition has ended. 取材/PicoN!編集部 ダリシュ ↓PicoN!アプリインストールはこちら
【展示レポ】世界中の写真家たちとともにこの最も小さな接続詞「と」から世界の可能性を問い直す24日間「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2026」いよいよ10/3開幕
八重洲・日本橋・京橋エリアの都市空間を舞台に開催される国際写真祭「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2026」が、2026年10月3日より24日間にわたって開催されます。メディア向け内覧会にお邪魔し、その見どころをいち早くご紹介します。 取材協力:株式会社シー・エム・エス 『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO』レポート〜東京を、写真の都に。〜 2020年より、東京駅・東側エリアにて地域と連携を図りながら実施されてきたT3は、フェスティバル、フェア、人材育成プログラムの3つの柱で構築されています。 「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」は、世界的なアーティストを東京に迎え、作品の発表と制作の場を提供する写真フェスティバルです。 エリア内にある「TOFROM YAESU TOWER」や「東京ミッドタウン八重洲」などの商業施設の一角や、「東京建物日本橋ビル」などの企業所有のビルのエントランス、屋外の壁面など、ありとあらゆる場所が展示会場になっています。 今年はさらに拡大し、全17会場にてT3の展示を楽しむことができます。地域連携展示会場も、14会場あるので、何日かかけて巡るのがおすすめ。 本フェスティバル・ファウンダーの速水惟広さんの解説を聞きながら、会場を巡っていきます。 T3 ファウンダー 速水惟広 1982年大阪府生まれ。T3ファウンダー。2017年に上野公園にて東京都で初となる屋外型国際写真祭、T3を開催。20年より東京駅東側エリアに舞台を移す。日本大学芸術学部写真学科非常勤講師。 今年のテーマは「と(&)」。撮る者と、写る者の眼差しが交差し、写真となった世界の断片は並べられ繋がり、作品と、見る者が、静かに触れる。 「と」は、日本語でいちばん小さな接続詞です。 けれど、世界のかたちを決めているのはこの小さな一文字かもしれません。 「自分と他者」「男と女」「自然と都市」——私たちはいつの間にか、「と」をどちらかを選ぶための区切りとして使っています。ですが、表裏一体や陰陽という言葉があるようにアジアには二項対立ではない「ものの見方」があるはずです。 写真は、もともと「と」の芸術です。撮る者と、写る者の眼差しが交差し、写真となった世界の断片は並べられ繋がり、作品と、見る者が、静かに触れる。 T3 2026は、世界中の写真家たちとともにこの最も小さな接続詞「と」から世界の可能性を問い直す24日間です。(公式ホームページより抜粋) 無料ガイド「artlas」をお供に巡ろう 今年からは、会場での鑑賞をサポートする音声ガイド「ARTLAS」も導入されています。スマートフォンから作品の解説を音声で聞くことができ、展示を自分のペースで楽しめます。 T3のMAPを手に入れよう。 トフロム八重洲1Fと東京ミッドタウン八重洲1Fにはインフォメーションセンターを設置。T3全体MAPの配布や、デジタルスタンプラリーの景品の受け取りができます。 複数の会場を巡る際は、まずインフォメーションセンターに立ち寄って、全体MAPを手に入れておくのがおすすめです。 「と(&)」でつながる、写真と街 労働の記憶を王冠へと反転させる 内覧会で最初に訪れたのは、TOFROM YAESU TOWER。1F檜物町スクエアには、ザネレ・ムホリが自身を撮影したシリーズ『Somnyama Ngonyama, Hail the Dark Lioness(漆黒のライオネスよ、讃えよ)』が展示されていました。 この作品では、日常的に使われているさまざまな「もの」が登場します。 例えば、洗濯ばさみや石、トイレットペーパーなど、一見すると写真作品のための特別なものには見えないものを使って、それらを王冠のように身につけてセルフポートレートを制作しています。 ここで考えてほしいのが、「写真を撮る」という行為そのものです。 英語では「take a photograph」と言います。 「take」という言葉には、「取る」という意味があります。 つまり、写真を撮るという行為には、ある意味で「何かを取る」という側面があります。 これまでの写真の歴史の中では、写真を「撮る側」と、写真に「撮られる側」という関係がつくられてきました。 撮影する人と、撮影される人。 「見る側」と「見られる側」。 そうした関係性が、写真の中には存在しています。 特にアフリカを写した写真の歴史を考えると、白人男性の写真家がアフリカの人々や民族を撮影し、その写真が「ナショナルジオグラフィック」などの出版物を通して世界に紹介されてきたという歴史があります。 そこでは、「誰が撮るのか」「誰がどう写されるのか」「その人たちがどのように表象されるのか」という決定権を、欧米の白人男性が持っていました。 ムホリは、そうした「他者を撮る」という行為に対して、自分自身をどう表現するのか、という方法を考えます。 そこで行っているのが、セルフポートレートです。 誰かから何かを「取る」のではなく、自分自身で自分の姿を表現する。 そこには、自分自身の表象を自分で決めるという強い意思があります。 師と弟子、それぞれの眼差しで捉えた子ども 続いて訪れたのは、東京建物八重洲ビル。こちらには、世界的に知られる写真家・植田正治と、その教えを受けた写真家・牟禮朱美による二人展が開催しています。 オフィスや屋外での展示があるからこそ、アートの好きな人だけが訪れるのではなく、日常の延長線上でアートに触れることができるのが、T3の特徴。 美術館をなんとなく「敷居が高い」「専門知識がないと楽しめないのでは」と行くのをためらっている人もいるのではないでしょうか。東京エリアを散歩しつつ、国際色豊かな写真・アート作品と触れ合う事のできるきっかけとして訪れてみてほしいです。 ここでは、内覧会に参加した学生さんが「撮る」と「撮られる」の関係について感じたことを紹介します。 「撮る」と「撮られる」の間にあるもの 印象に残ったのが、「撮る側」と「撮られる側」の関係についてのお話でした。 植田正治の作品については、「子ども心」をテーマにした演出作品を中心に解説を聞きました。演出するということは、撮影者が一方的に被写体を動かすことではなく、撮る人と撮られる人とのコラボレーションでもあるというお話でした。 また、植田正治は土門拳とも関わりがあり、土門拳が追求したリアリズムとの関係から、演出して撮影することについても考えさせられるというお話がありました。リアリティが強く求められていた時代には、「演出して撮ること」に対する葛藤もあったそうです。 一方で、今は誰かを撮ることそのものが難しくなっています。 だからこそ、演出を「撮影者が被写体をコントロールすること」ではなく、「撮る人と撮られる人が一緒につくること」と捉えることができるのだと思いました。その話を聞いて、「撮る」と「撮られる」を、対極にあるものとしてではなく、その二つが掛け合わさることで、ひとりでは生まれなかった写真が生まれることもあります。 「と」を隔てるものとしてではなく、掛け算のようなものとして捉える。 そこには、写真の新しい可能性があるようにも感じました。 一枚の写真の奥に広がる時空を、ともに想像する Gallery & Bakery Tokyo 8分には、鈴木のぞみと上原沙也加の2人展が開催されています。お2人の東川賞受賞作と、その後制作された近作が展示されています。 「写真の町東川賞(ひがしかわしょう)」は、北海道上川郡東川町が1985年から毎年開催している、日本の自治体が主催するものとして初の国際的な写真賞 写真を見るとき、私たちはつい、「きれい」「かっこいい」「すごい」と感じるものに目を向けます。 でも、写真の中に写っているものが、必ずしも一目で「美しい」と感じられるものとは限りません。 そのときに必要になるのが、想像することです。 写真に写っているものだけではなく、その場所で何が起きていたのか。そこにどんな歴史があったのか。写真には直接写っていないものまで想像することで、見えてくるものがあります。 都市の表面に刻まれた痕跡を通じて、時間の重なりを見つめる 東京スクエアガーデンで開催されているのは、世界に向けて活躍できる現代作家やキュレーターを発掘・支援することを目的にスタートした 「T3 NEW TALENT」の企画展「Trace Layers」。 キュレーター池田佳穂さんが、都市に堆積した痕跡を異なる視点から捉える2人の作家を紹介します。 展では、児玉浩宜さんと何兆南(South HO)さん、2人の作家が都市に残された「痕跡」を、それぞれ異なる時間の捉え方から見つめています。 児玉さんの「BLOCK CITY」が捉えるのは、社会的な出来事が起きている“その瞬間”の都市です。人が集まったり、何かが起こったりすることで、普段とは違う風景が一時的に生まれる。都市は決して固定されたものではなく、人の行為によって刻々と姿を変えていきます。 一方、何さんの「Work Naming Has Yet to Succeed」が目を向けるのは、出来事が過ぎ去った“あと”。抗議活動や社会運動の名残、補修された跡、消された跡。そうしたものは時間が経つにつれて、少しずつ日常の風景に紛れ込んでいきます。 どちらも、いわば「都市に残ったもの」を見ている作品です。 ただ、その「残ったもの」が生まれる瞬間を見るのか、時間が経ったあとに残された痕跡を見るのか。その違いによって、同じ都市でもまったく違った姿が見えてきます。 普段歩いている街にも、もしかしたら、自分が気づいていないだけで、誰かの行為や出来事の記憶が積み重なっている。 そう考えると、いつもの街並みも少し違って見えてきます。 都市は、ただ建物や道路が並んでいる「場所」ではなく、無数の出来事や記憶が重なり、そのたびに書き換えられていくもの。 「Trace Layers」というタイトルの通り、目の前にある風景を一枚の写真として見るのではなく、その奥に積み重なった時間まで想像してみる。 そんな見方を教えてくれる展示でした。 (東京スクエアガーデンのアートギャラリー内に展示されている作品は、平日10:00〜19:00にご覧いただけます) 絶え間なく繋がり合うひとつの連続した世界の一部 東京ミッドタウン八重洲で展示されているのは、アメリカ出身のルーカス・フォグリアの『コンスタント・ブルーム』 作品に登場するのは、アフリカから中東、地中海を越えてヨーロッパへと渡るペインテッド・レディ(ヒメアカタテハ)です。フォグリアはその旅路を辿り、蝶と、道中で出会う人々や風景を撮影しました。 蝶を追っているはずなのに、見えてくるのは蝶だけではありません。そこには人間の暮らしがあり、国境があり、自然と社会がある。 「蝶と人間」「自然と社会」「生態系と政治的境界線」。一見すると別々に見えるものが、この作品の中ではひとつの長い旅の中につながっています。 「AとB」と並べてみることで、初めて見えてくるものがある。 『Constant Bloom』を見ながら、そんな「と」の可能性について考えていました。 内覧会はこちらで終了とのことでしたが、まだまだ見られていない会場がたくさんあるので、また改めてゆっくりと作品と向き合いたいと思います! 作品を読み解くヒントが目白押し 本日のオープニングイベントを皮切りに、毎週末、関連イベントがたくさん開催される予定です。 NPIの卒業生や、講師が登壇されるトークイベントもたくさんあり、撮影に来てくれたSHATOの学生さんと盛り上がりました。 TPR(TOKYO PHOTOGRAPHIC RESEARCH)座談会:都市と写真 卒業生:築山礁太 ポートフォリオレビューカフェ 卒業生:村越としや 未来の「写真」を育てるインキュベーションの場 昨年10月に開催された、写真を学べる17の美大・専門学校生による選抜ポートフォリオ展「T3 STUDENT PROJECT 2025」でグランプリを受賞した閻 玥琳(エン・ゲツリン)による作品展は、富士フォトギャラリーで開催中。 ■ご本人のインタビュー記事はこちら [clink url="https://picon.fun/photo/20261002/"] 『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO』は10月26日(月)まで 《展覧会情報》 『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2026』 会期:2026 年 10月3日(土)~26日(月) 開催エリア:東京・八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアの屋内、屋外会場 入場:無料 HP:https://t3photo.tokyo/ 取材/PicoN!編集部 市村 撮影/日本写真芸術専門学校学生サークルSHATO 三留・山田 ↓PicoN!アプリインストールはこちら
夢の中の「もう一人の自分」を、写真にする。T3 STUDENT PROJECT 2025 グランプリ受賞・閻 玥琳さん「絆/BOND」インタビュー
T3 STUDENT PROJECT 2025でグランプリを受賞した、日本写真芸術専門学校の閻 玥琳さん。 受賞作品「絆/BOND」の出発点にあったのは、何度も繰り返し見ていたという「夢」でした。 夢の中に現れるのは、現実の自分とは少し違う、自由に生きる女の子。その姿は、閻さん自身が「本当はこうなりたかった」と思っていた、もう一人の自分でもありました。 家族からの期待に応えたい気持ちと、自分自身の道を選びたい気持ち。その間で揺れる感情を、夢の世界と現実の世界を行き来しながら写真に置き換えていった「絆/BOND」。 今回は、作品に込めた思いだけでなく、夢のイメージをどのように写真へ変換したのか、撮影時の光や色、機材へのこだわり、そして写真を学ぶ中で見つけた「自分の写真」について、閻さんに聞きました。 01|「絆/BOND」は、どこから生まれたのか [caption id="attachment_30332" align="alignnone" width="750"] 受賞作品:「絆/BOND」©Yuelin Yan[/caption] 受賞作品「絆/BOND」(クリックすると、全作品を閲覧できます) ーまず、今回グランプリを受賞した「絆/BOND」は、どのような作品なのでしょうか? この作品で表現したかったことを教えてください。 「絆/BOND」は、私が何度も繰り返し見ていた夢をもとに制作した作品です。夢の中には、現実の自分よりも自由に生きている女の子が登場します。その女の子は、私が本当はこうなりたかったと思っていた「もう1人の自分」でした。作品では、夢と現実の間を行き来しながら、自分自身の内面や過去の経験と向き合うことを表現しています。また、アジア社会における伝統的な家族観についても考えました。家族との「絆」は、自分にとって大切なつながりである一方、ときには自分を縛るものにもなります。その矛盾した感情と向き合うことが、自分自身を癒やしていくことにもつながるのではないかと考えました。 ーこの作品は「繰り返し見る夢」が出発点になっていると伺いました。どのような夢だったのでしょうか? その夢を写真にしようと思ったきっかけも教えてください。 夢の中には、1⼈の⼥の子が繰り返し現れます。その⼥の子は現実の私よりも⾃由で、私が本当はなりたかった「もう1⼈の⾃分」のように感じました。私にとって夢は、時に現実から⼀時的に逃れ、⾃分の⼼を守り、癒やすことのできる場所でもあります。何度も同じような夢を⾒るうちに、それが⾃分の願いや葛藤と深くつながっていると気づき、作品として表現したいと思いました。 ー夢を見たときと、それを実際に写真として制作するときでは、感覚に違いがありましたか? 夢は、目が覚めると消えてしまいます。でも、夢の中で感じた感情は、目が覚めたあとも強く残っていました。写真なら、夢そのものを完全に再現することはできなくても、そのときに感じた曖昧な感情やイメージを、目に見える形にできる。そう考えて、夢の感覚を写真へ置き換えていきました。 ーステートメントで拝見しましたが、「自分の道を選びたい」という思いが、この作品の大きなテーマになっています。制作を始めた当時、ご自身の中でどのような思いがあったのでしょうか? 家族の期待に応えたいという気持ちがある一方で、自分自身の人生は、自分で選びたいという思いもありました。その二つの気持ちが、自分の中でぶつかっていた時期だったと思います。だからこそ、「絆」という言葉にも、単純に温かい意味だけではないものを感じていました。家族とのつながりは大切だけれど、そのつながりが自分を縛ることもある。その両方を含めて、「絆/BOND」というタイトルにしました。 02|写真だから表現できたこと ーこのテーマを「写真」で表現しようと思った理由は何ですか? 文章や映像など、ほかの表現ではなく写真だからこそ伝えられるものは何だと思いますか? 私は写真を、言葉ではうまく表現できない感情を伝えるための手段だと考えています。自分が社会や世界に対して感じていることを記録しながら、それを写真として表現することで、見た人にも何かを感じてもらえたらと思っています。今回の作品でも、夢の中で感じた感情を、写真という目に見える形にすることができました。 [caption id="attachment_30335" align="alignnone" width="750"] 受賞作品:「絆/BOND」©Yuelin Yan[/caption] ー作品には幻想的なイメージや印象的な色彩、身体を使った表現が登場します。撮影するとき、どのような「画」を頭の中に思い描いていますか? 夢の中で感じた不安や、「自由になりたい」という気持ちを、身体の動きや色、光で表現しています。夢を見たあとには、そのイメージを忘れないうちに絵に描くこともあります。その絵を参考にしながら、写真の構図や人物の動き、色などを考えていきます。 ー撮影の前にかなり具体的なイメージを作り込むタイプですか? それとも、撮影現場で生まれた偶然を大切にするタイプですか? 基本的には、撮影する前に「この作品では何をつくるのか」というイメージを決めています。まずロケーションを探し、構図や人物の位置、動きや表情、衣装、色、フラッシュを置く場所など、かなり細かく準備します。ただ、すべてを予定どおりにするわけではありません。撮影中に偶然生まれた表情や光が、結果的に作品に合うこともあるので、そうしたものも大切にしています。 ー撮影するとき、自分自身や被写体に対してどのようなことを意識していますか? 特に「身体」を使って感情を表現するときに大切にしていることがあれば教えてください。 写真を見る人に、まず夢の中の女の子に注目してもらいたいと思っています。そして、その女の子の身体の動きや色彩を通して、そこにある感情を感じ取ってもらえたらと思っています。特に人物を撮影するときには、感情を無理に演じてもらうのではなく、自然に表現してもらうことを意識しています。 ─色彩について、特にこだわっていることはありますか? この作品で、このような色を選んだ理由を教えてください。 夢の中にある「現実とは少し違う、不自然な感じ」を表現するために、強い色を使っています。色だけでなく、フラッシュの光も含めて、現実とは少し違う緊張感をつくることを意識しました。もともと、こうした少し暗いトーンや現実とは違う雰囲気の写真に惹かれるところもあり、自分の作品の中でも大切にしている要素です。 [caption id="attachment_30333" align="alignnone" width="750"] 受賞作品:「絆/BOND」©Yuelin Yan[/caption] ─機材やレンズ、撮影方法、プリントなど、技術的な部分でこだわったポイントがあれば教えてください。 使用したカメラはFUJIFILM GFX100Sで、レンズは35-70mmを使いました。ライティングにはポータブルストロボを使用しています。ただ、私は機材そのものに強くこだわっているわけではありません。一番大切にしているのは、最終的に写真としてどのような効果を出せるかということです。撮影時には、完成した写真の色や明るさまである程度イメージしながら、光をつくっています。色についても、後からPhotoshopでつくることだけに頼るのではなく、撮影時のフラッシュやカラーフィルターなどを使って、できるだけその場でイメージに近づけるようにしています。もちろん、撮影後には色や明るさを調整します。それでも、夢の中で感じた感情を失わないことだけは、妥協しないようにしています。 03|「自分の写真」を見つけるまで ─そもそも、閻さんが写真を始めたきっかけは何だったのでしょうか? 社会や世界に対して自分が感じていることを記録したいと思ったことが、写真を始めたきっかけです。言葉にするのが難しい感情も、写真なら表現できるのではないかと思いました。そして、自分が感じたことを写真にすることで、見た人とも何かを共有できたらと思っています。 ─写真を学び始めてから、「自分はこういう写真を撮りたい」と思えるようになった転機はありましたか? 最初は、モデルや雑誌などを撮影する商業写真に興味がありました。そこから、写真を作品として表現することにも興味を持つようになり、日本でフォトアートを学びたいと思うようになりました。大きな転機の一つになったのが、寺山修司の『田園に死す』を見たことです。 自分自身の経験や記憶も、作品として表現できるのだと気づきました。それまで自分の中にあった出来事を、単なる個人的な経験として終わらせるのではなく、作品にできる。その考え方が、自分の写真を考えるうえで大きかったと思います。 ─学校で写真を学ぶ中で、自分の写真に対する考え方が変わった瞬間はありましたか? 以前は、周りからどう評価されるかを気にしすぎていたと思います。でも、写真を学ぶ中で、自分自身の経験に正直になることが大切だと考えるようになりました。自分がなぜこの写真を撮るのか。その理由を考えることが、作品をつくるうえで大切だと気づきました。 ─先生や友人から言われた言葉で、今でも印象に残っているものはありますか? 特に印象に残っているのは、先生から「どうしてこの写真を撮ったの?」と聞かれることです。ただ「きれいだから」「好きだから」で終わらせるのではなく、なぜ自分はこの写真を撮りたいと思ったのか、自分が何に興味を持っているのかを考える。そうやって作品について考える方法を教えてもらいました。 ─影響を受けた写真家やアーティストはいますか? また、写真以外でも、映画・音楽・文学・日常の出来事など、作品づくりのインスピレーションになっているものがあれば教えてください。 普段からニュースやショート動画など、社会のさまざまな出来事を見ることもあります。本を読むことも好きで、図書館や本屋で気になる本を探しながら、自分が知らなかったことを知ったり、そこから作品について考えたりしています。写真だけを見るのではなく、日常の中でさまざまなものに触れることが、自分の作品のアイデアにつながっています。 04|グランプリ受賞と作品への反響 ─グランプリを受賞したと知った瞬間、最初にどのようなことを思いましたか? 最初は、信じられませんでした。自分の作品が選ばれたことに驚きましたし、同時に、とても嬉しかったです。自分が大切にしてつくった作品を認めてもらえたことが、とても嬉しかったです。 [caption id="attachment_30315" align="alignnone" width="750"] 「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2025」 T3 STUDENT PROJECT グランプリ受賞の様子[/caption] ─17校・104名の中から選ばれてのグランプリでした。他の学生の作品と並んだときに、「自分の作品のここが評価されたのかもしれない」と思うところはありますか? 自分では、作品の中にある感情を評価してもらえたのではないかと思っています。見た目の美しさだけではなく、写真の中にある自分の経験や、そこから生まれた感情が伝わったのだと思います。 ─受賞前と受賞後で、自分の写真に対する向き合い方は変わりましたか? 受賞したことで、自分が大切にしてきたことは間違っていなかったのだと感じることができました。一方で、受賞したからといって、写真をつくるときの考え方を大きく変えるつもりはありません。これからも、自分がなぜこの写真を撮るのかを考えながら制作していきたいです。 ─今回、自分の作品をたくさんの人に見てもらったことで、意外だった反応や印象に残った感想はありましたか? 作品を発表したときに、さまざまな人がそれぞれ違う受け取り方をしてくれたことが印象に残っています。自分にとっては家族や自分自身の経験をもとにした作品でも、見る人によって感じることは違う。それが写真作品の面白さだと思いました。また、プレゼンテーションの際に、写真家のRut Blees Luxemburgさんが優しく笑いかけてくれたことも印象に残っています。 ─「絆/BOND」を制作したことで、作品を作る前と今とで、「家族」や「自分の生き方」に対する考え方は変わりましたか? 日本に来てから、家族からの期待には、自分を縛るものだけではなく、愛情や心配も含まれているのだと気づくようになりました。もちろん、今でも複雑な気持ちはあります。でも、作品をつくる前よりも、家族との関係を少し違う角度から考えられるようになったと思います。「絆」というものは、ただ自分を縛るものではなく、支えてくれるものでもある。その両面を考えるようになりました。 [caption id="attachment_30336" align="alignnone" width="750"] 受賞作品:「絆/BOND」©Yuelin Yan[/caption] 05|「いい写真」とは何か ─閻さんにとって、「いい写真」とはどのような写真ですか? 「いい写真」に決まった定義はないと思っています。私にとっては、単純にきれいな写真ではなく、見た人の心に何かを残す写真です。写真を見たあとに、何かを感じたり、考えたりするきっかけになる。そんな写真を撮りたいと思っています。 ─写真を撮ることで、自分自身について新しく気づいたことはありますか? 写真を撮ることで、自分が普段は気づいていなかった感情に気づくことがあります。特に「絆/BOND」を制作して、自分が家族や自分自身についてどのようなことを感じていたのかを、改めて考えることができました。写真は、世界を写すだけではなく、自分自身を見つめ直すための方法でもあると思っています。 ─写真は、現実を記録するものでもあり、現実には存在しない世界をつくることもできます。閻さんにとって写真は、「現実を写すもの」と「自分の内面を写すもの」のどちらに近いですか? どちらもあると思います。現実に存在するものを撮影していても、そこに自分が何を感じたのか、何を伝えたいのかが必ず入ります。一方で、今回のように夢の中の世界をつくることもできます。だから私にとって写真は、現実を写すものでもあり、自分の内面を写すものでもあります。 06|なぜ日本写真芸術専門学校を選んだのか ここまで「絆/BOND」の制作背景や、閻さん自身の写真に対する考え方について聞いてきました。 ここからは、少し視点を変えて。なぜ日本で写真を学ぼうと思ったのか。そして、なぜ日本写真芸術専門学校を選んだのか。作品そのものだけでは見えてこない、「学ぶ場所を選んだ理由」について聞きました。 ─数ある写真学校の中から、日本写真芸術専門学校を選んだ理由は何だったのでしょうか? 日本で写真を学ぼうと思ったきっかけや、学校選びで決め手になったことがあれば教えてください。 日本写真芸術専門学校では、撮影の技術だけではなく、写真を作品として表現することも学べると思ったからです。また、先生との距離が近いことも魅力でした。技術と表現の両方を学びながら、自分の作品について先生と話し、考えられる環境だと思いました。 ─入学前、日本写真芸術専門学校にどのようなことを期待していましたか? 撮影技術だけではなく、作品の考え方や展示について、より深く学びたいと思っていました。自分が撮った写真をどう作品としてまとめるのか。そして、その作品を人にどう見せるのか。そうしたところまで学びたいと思っていました。 ─実際に入学してみて、率直にどのような感想を持ちましたか? 印象に残っている授業や出来事があれば教えてください。 実際に入学してみて、先生と近い距離で作品について話せることが印象に残っています。特に濱田先生や宇田川先生には、自分の作品について考えるうえで助けてもらいました。自分では気づいていなかったことを指摘してもらったり、作品について考えるきっかけをもらったりしています。 ─日本写真芸術専門学校で学んだことで、写真を見る目や、作品をつくるときの考え方はどのように変わりましたか? 以前よりも、写真の見た目だけではなく、その写真の後ろにある物語や考え方を見るようになりました。写真がきれいかどうかだけではなく、作者がなぜその写真を撮ったのか。どのような考えで作品をつくったのか。そういうところまで考えながら、写真を見るようになりました。そして、自分が作品をつくるときにも、見た目だけではなく、その作品を支える考え方や論理を意識するようになりました。 ─閻さんにとって、日本写真芸術専門学校はどのような場所ですか? 自分の写真について考え、成長することができる場所です。技術を学ぶだけではなく、自分が何を表現したいのかを考えることができる。そして、先生や周りの人と話しながら、自分の考えを深められる場所だと思っています。 07|これから、どんな写真を撮っていくのか 「絆/BOND」で描いたのは、家族とのつながり、自分自身の葛藤、そして「自分の道を選びたい」という思いでした。 では、その作品をつくり終え、グランプリを受賞した今。 閻さんがこれから選びたい「自分の道」とは、どのようなものなのでしょうか。 ─「絆/BOND」をひとつの区切りとして、これからどのような作品を撮ってみたいですか? これからは、人と人との関係、特に「視線の関係」をテーマにした作品をつくってみたいです。人が誰かを見るとき、そして誰かから見られるとき。その間にどのような関係が生まれるのかを、写真で表現してみたいと思っています。 ─今後、写真を通してどのようなことを伝えられる人になりたいですか? 自分の考えていることや感じていることを、写真を通して伝えられる人になりたいです。ただきれいな写真を撮るのではなく、見た人の中に何かを残せる作品をつくりたいと思っています。 ─今回の作品では「自分の道を選びたい」という思いが描かれていました。グランプリを受賞した今、閻さん自身がこれから「自分で選びたい道」はどのような道でしょうか? 私は、有名な写真家になりたいということを一番の目標にしているわけではありません。これからも、自分が楽しいと思える気持ちを大切にしながら作品をつくっていきたいです。自分の考えていることや、自分らしい表現を写真として残していけたら、それで十分だと思っています。 ─最後に、これから日本写真芸術専門学校で写真を学ぼうとしている人や、「自分らしい表現が見つからない」と悩んでいる人に、伝えたいことはありますか? 焦らなくてもいいと思います。 ゆっくりでいいので、自分が興味を持ったことを考えたり、本を読んだり、いろいろなものを見たりしてみてください。そうやって少しずつ考えていくことで、自分が進みたい方向が見えてくると思います。 自分らしい表現は、最初から見つかるものではないと思います。だから、焦らずに、自分のペースで探していってほしいです。 「なぜ、この写真を撮ったのか」を考え続ける [caption id="attachment_30334" align="alignnone" width="750"] 受賞作品:「絆/BOND」©Yuelin Yan[/caption] 「絆/BOND」は、夢から始まった作品です。夢の中に現れた「もう一人の自分」。家族への期待と、自分自身の人生を選びたいという思い。「絆」という言葉が持つ、つながりと束縛という二つの側面。それらを、色や光、身体の動きへと置き換えながら、一枚一枚の写真にしていきました。 けれど、今回のインタビューで見えてきたのは、作品の裏側にある制作技術だけではありません。 閻さんが写真を学ぶ中で繰り返し考えてきたのは、「自分はなぜ、この写真を撮るのか」という問いでした。 どんな機材を使うか。 どんな色にするか。 どんな光を当てるか。 そうした技術的な選択の先には、必ず「何を伝えたいのか」という考えがあります。 だからこそ、閻さんにとって写真は、ただ現実を記録するためのものではない。 自分の内側にある、まだ言葉になっていない感情を見つけ、それを誰かに手渡すためのものなのかもしれません。 グランプリという結果をひとつの区切りにしながらも、閻さんの写真はこれからも続いていきます。 次に向き合うのは、「視線」。 人が人を見るとき、そこにはどんな関係が生まれるのか。 次の作品では、どんな「もう一人の自分」が写し出されるのでしょうか。 閻さん、ありがとうございました。 『T3 STUDENT PROJECT 2025 Grand Prix 受賞作家展 絆/BOND』は10/26まで 《展覧会情報》 『T3 STUDENT PROJECT 2025 Grand Prix 受賞作家展 絆/BOND』 会期:2026.10.2 FRI - 10.8 THU 10時30分〜19時/土日祝:11時〜17時(最終日14時まで) 会場:富士フォトギャラリー銀座 アクセス:JR品川駅港南口より徒歩約8分、京浜急行品川駅より徒歩約10分 会期:2026.10.3 SAT - 10.26 MON 10:00~20:00 会場:大丸東京店(1F JR 側デジタルサイネージ) アクセス:JR東京駅八重洲北口改札出てすぐ 入 場 料:無料 HP:T3 STUDENT PROJECT 2025 Grand Prix 受賞作家展 絆 BOND 取材/PicoN!編集部 阪田 撮影/PicoN!編集部 市村 ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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