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【イベント】印刷を楽しく体験!「印刷のいろはフェスタ」レポ

東京都大田区・鵜の木にある印刷会社「株式会社金羊社」の社屋まるごと使った展示&体験イベント「印刷のいろはフェスタ」に行ってきました。 今年のテーマは「かさねて!はっけん!印刷のセカイ」! そのテーマに沿って、従来、館内をめぐって集めるスタンプラリーが、CMYKのフィルムラリーへ!フィルムが重なっていく毎に、どんどんイラストが完成します。 イベント内容紹介 4F いろはフェスタ体験コーナー 「DICカラーガイドワークショップ」 DICカラーとは、DIC株式会社が製造しているインキのことを指し、日本の印刷業界において主要な特色インキとして知られています。このカラーガイドをクラフトパンチで型抜き、できたパーツを組み合わせてカードをデコレーションするもの。小さなお子さんでもクラフトパンチが押せるよう補助具も置いてあり、1歳児でもカンタンにパーツを作る事ができました。   「CDジャケット制作体験」 4種類のジャケットと、3種類のCDをはめるパーツを組み合わせて制作するワークショップ。単に選び取るのではなく、「発注書」を作成し、スタッフに渡すと、指定したセットになって渡されるというワンクッションがありました。CDジャケットを折り、パーツを張り詰け、好きなメッセージを記入し、封入れして完成!先ほどご紹介したフィルムラリーがピッタリ入るサイズの切り込みがついており、完成したフィルムを入れて飾りたいと思います。   「“いろ”で遊ぼう!いろいろゲーム」 フィルムを重ねて見本通りの色を作る「いろかさね」に挑戦!5つの色見本があり、CMYKの100%・50%のフィルムがあり、2枚重ねて、見本通りの色を作ります。色玉を並べてグラデーションを作る「いろならべ」は、裏に番号がふってあり、自分で答え合わせまでしていました。難易度の異なるいろならべがたくさん用意されており、じっくり集中してひとつひとつに挑んでいました。   4F イベントスペース 「紙アプリ:絵が動き出すデジタル体験」 描いたイラストが、専用の機材で読み込むだけで目の前にあるスクリーンの空を自由に飛び回ります。空にイラストが飛び込んでくるとこどもたちは大喜びでした。   4F ワークショップ 「タイルを使ったワークショップ」 小さくてかわいい色とりどりのモザイクタイルを選んで貼って小物入れやペン立てを制作するワークショップ。株式会社金羊社では、紙への印刷のみならず、タイルへの印刷も行っています。プリント建材サービス「CRIOS(クリオス)」なども提供しています。今年は、ハートや花、葉っぱの形のタイルが登場しました。小さなお子さんが自由な発想で思い思いのオリジナル作品を制作していました。   3F フォントを使ったワークショップ 校正体験 3段階のレベルで文字校正が体験できるワークショップ。私は毎年楽しみで仕方ないのですが、これはレベル1でも、お子さんだけでは見つけられません。仕事上、校正する事が多いのですが、それでも、レベル1でも最後の1つが見つけられず、これをこのまま印刷に出したらマズイと思い真剣に探してしまいました。壁面には、「みんなだいすき!校正記号」というタイトルでガチの校正記号の解説が貼り付けられており、かなり難易度高めの学びが得られます。NDS・NPIの皆さんで挑戦したい人がいればお貸しします。ゲキムズです。大人気で、レベル1は完売しておりました。   バリアブルフォントであそぼう! 15秒でフェーダーを使って、見本のフォントにより近づけていくゲーム。限られた時間の中で、イタリック、線の太さ細さなどを調整します。小学4年生は、85点。私は、93点でした。何度もやって100点を出したかったです。 推し活お名前シールステッカーをつくろう! 好きな名前で、押し活で使えるステッカーを作ってもらえます。使われているフォントは、「モリサワフォント」と言って、株式会社モリサワが開発しているフォントのことです。2025年現在約2000種類以上の書体が開発されていて、デザイン業界において知らない人はいないと言っても過言ではないフォントメーカーです。5分程で、市販のフォトキーフォルダーにピッタリなサイズで作成されたステッカーをいただく事ができます。   2F いろはマルシェ かわいい雑貨や消しゴム判子など、印刷・紙にまつわるオリジナルグッズがたくさん販売されていました。NDS卒業生がスタッフとして頑張っているところに遭遇!現在、3名のNDS卒業生が活躍しています。卒業生が頑張っている姿を見れるのはとても嬉しいです!小学4年生のわが子は、古民家カフェ「蓮月」とまっちゃねこ。のコラボステッカーを買っていました。       1F デジタルオープンファクトリー 「オリジナルステッカー制作体験」 普段なかなか見る事のできない1Fの印刷ラボが公開され、「印刷・加工」の現場を間近で見る事ができます。デザインの学生は、デザインデータが印刷され、製品になる現場を一度は見ておくと良いと思います!整理券が配布され、運よく最終日の最終回の枠を確保できた為、ステッカー制作体験をしてきました。googleフォームで、入れたい言葉や名前を入力し、『いろはフェスタ2025』のオリジナルキャラクター『P太郎』のイラストも好きなものを選択して制作は終了。パソコン横にあるプリンターで印刷している間、スタッフの方が、とても丁寧にどのような工程なのかを説明してくださいます。プリンター後方には、実際にプリントされたアイテムが展示されており、ポストカードやポスターなどを見学させてもらえました。プリントされたシールをカット加工するための機械もかなりの近さで見させていただきました。 株式会社金羊社『印刷のいろはフェスタ2025』公式Xより引用 両日合わせて約1,600名が来場した大人気イベント! デザイン学生の皆さんも、次回の「いろはフェスタ」に足を運んでみてはいかがでしょうか。 【開催概要】 「印刷のいろはフェスタ2025」 日時:6月27日(金)14:00~19:00、28日(土)9:30~16:30 場所:株式会社 金羊社1階~4階  入場無料             PicoN!編集部 市村 ↓PicoN!アプリインストールはこちら

デザイン

卒業生に会いに行こう![株式会社シー・エム・エス]

クリエイティブ業界で活躍するNDS&NPIの卒業生にインタビューしてきました! 記念すべき第1回目は、 日本写真芸術専門学校(以下、NPI)を卒業され、現在、株式会社シー・エム・エスにてプロジェクトオーナーとして写真ビジネスに携わっている土性愛美さんにお話しを伺いました。 株式会社シー・エム・エス 「—with PHOTO— 写真があればもっと楽しい!」を胸に、様々な場所で、写真の魅力を世の中に伝えています。 事業内容 国際文化交流プラットフォーム「T3」企画運営 写真を活用した地方創生事業 写真教室「PHaT PHOTO SCHOOL」運営 八重洲・日本橋・京橋エリアのフリーマガジン「Have a nice PHOTO!」創刊 写真雑誌「PHaT PHOTO」ウェブメディアの運営 現在はどのようなお仕事をされていますか? 現在は、写真教室や、ワークショップの企画・運営、新しいコンテンツの制作がメインです。地方創生事業として、千葉県の白井市の皆さんに向けて『白井写真部』という写真部の運営、国際文化交流プラットフォーム「T3」内の“STUDENT PROJECT”という学生の皆さんに向けたコンテンツの制作や、イベントの運営を担当しています。弊社は、全員が“プロジェクトオーナー”という職種で、1人の責任者として、企画から運営、実施まで1つのプロジェクトをワンストップで手掛けています。 写真の道を目指そうと思ったきっかけは何ですか? NPIに入学する前に通っていた大学の先輩が、写真展を自分で企画しているのを見て、私も写真展をやりたいと思ったのが写真をはじめるきっかけでした。はじめは、カメラを持って友人を撮るというところからスタートしました。私には推しがいて、推しの韓国アイドルのCDジャケット等のグッズを見た時に、こんなステキなものを作れる人になりたい。と思ってクリエイティブへ進む気持ちが高まっていきました。 NPIでは、どんなことを学んでいましたか? 作品を作りたい、作家になりたいと思っていたので、ドキュメンタリーフォトゼミを専攻していました。   学生時代はどんな作品を作られていたんですか? 心と体の繋がりとか、女性のことを作品として表現したいと思っていたので、女性の写真家の作品を意識的に見るようにしたり、表現したい分野を研究していらっしゃる先生に自分の作品を見てもらって、意見をいただく機会を積極的に作っていました。作品を発表する場が必要だと思っていたので、具体的に展開できそうな会場を先生方に相談していました。 印象に残っている授業や先生はいますか? 教務課、キャリアセンターの先生、そして、講師の先生たち、本当に全ての先生たちに支えてもらっていたので、この2年間思い入れが強すぎて選べないのですが、授業ですごく勉強になったなと思うのは、2年生の時の、きりとりめでる先生の授業ですかね。それこそ私が株式会社シー・エム・エスを受験するタイミングで弊社のイベントのキュレーターをやられていた先生で、キュレーター目線での写真のお仕事、考え方を学べる機会というのは大変有難かったです。 専攻のカリキュラムには組まれていなかったのですが、2017年から弊社の「T3 Photo Festival Tokyo」の企画・運営に携わられている菅沼比呂志先生の授業を受けたくて、直談判して授業を受けていました。それをきっかけにプロジェクトに参加する機会をいただけたり、とても貴重な経験をさせていただきました。NPIの、先生達との距離が近く、相談しやすい環境があったからこそ、多くの先生方に自分の夢や目標について相談ができたのはすごく大きかったなと思います。 私はドキュメンタリーフォトゼミを専攻していたので、担当されていた鈴木邦弘先生にいつも作品のアドバイスをもらっていました。私が結構ネガティブ人間なので、自信がなくなっている時も励ましてもらえるというか、鈴木先生のパワーで引っ張ってもらっていたので、卒業制作まで完成できたのは鈴木先生のおかげだと思っています。 T3 STUDENT GALLERY2022での展示風景   学生時代に力を入れていた活動はありますか? 親友がアーティストとして活動し始めて、ジャケット写真や、Spotifyの画像などを撮らせてもらってたので、写真を始めたきっかけにもあったように、アーティストを撮影する仕事も気になっていましたね。写真以外を学んでいる友人となにかワクワクすることをしたい!と強く思っていたので、意欲的に企画していました。ギャラリーに足を運び、ギャラリーにいらっしゃる先輩方から、卒業後はどういう道に進んだのか、実際のお仕事の話も聞かせていただいたりと、人とのつながりからたくさん情報収集していました。学校のスタジオを借りて、ジャケットの写真撮影、友人からの依頼で記念撮影をさせてもらったりとかとにかくいろいろやりました! 在学中にこれはやってよかった、逆にやっておけばよかった事はありますか? 失敗をした事が良かったなと思います。私は大学を中退した事が大きいターニングポイントでした。失敗するのは怖いと思うんですけど、それがあって、NPIと出会えたのもあるし、NPIに入学したからこそ、今の仕事に繋がってるっていうのもあって。失敗っていうのは、言葉としてはネガティブなんですけど、自分の成長に繋がることだと思うので。先生に相談するのが不安、自分の作品なんてと思っちゃう子が多いのですが、私もそうだったけど、失敗して自分ができなかったことを、自分で受け入れる作業がすごく大事だなって思ったので、それが学生時代にできて良かったというか、失敗から経験したことかなと思います。 仕事のやりがいはどんなところにありますか? 地方創生プロジェクトでは、直接、対象となる市民の皆様から企画の感想をいただける機会が多くて。土性さんと写真のイベントができて良かった、ワークショップに参加した事で成長できました。写真の授業を開催してくれてありがとうございますって言ってくださるんです。参加していただいた方の声がモチベーションにつながっています。自分がやったことが誰かのためになってるっていうことにやりがいを感じます。 学校で学んだことが実際に仕事の現場で役立ったと感じた瞬間はありますか? 写真撮影もやるし、写真家である代表のテラウチのアシスタントに入るので、スタジオ機材の設営もします。また、T3関連は写真の知識が必要になってきますし、全部の授業が役立っています。デザインを学んでいたので、デザインが作れたりするっていうところも役に立っていると感じています。写真だけじゃなく色々な事に興味があったので、自主的にチャレンジしていた事が今につながっています。 仕事で大変だったと感じたことはありますか? 入社当初は、数字、売上原価、粗利って何?というところからスタートでした。先輩や、会社全体でサポートしてもらって、徐々にできるようになりました。弊社はいろんなコンテンツがあったり、イベントも重なる時期があるので、動く事が多いと体力的に大変だなと思う事はあります。それ以上に、時間をかけて企画したイベントで、実際に、現場でいろんな人と交流できて、そこで得られる達成感は格別です。 写真の道を目指している学生たちにひとことメッセージをお願いします。 悩んでいる時間があったら、とにかく相談した方がいいなと思います!NPIの魅力は、先生が親身になって話を聞いてくれるし、応援してくれる。逆にこんなことがあるよって提案をしてくれる環境を作ってくれている場所だと思います。失敗してもいいし、自分ができないことを認めるのは難しいと思うんですけど、でもそれを相談してみるっていうところがNPIの学生さん含めて、皆さんに言いたいことかなって思います。正直、仕事も全部が成功しているわけじゃないし、私も失敗する時もあったんですけれど、失敗する事で見えてくる事も多くて、それが自分の成長に繋がっていると信じています。 私はNPIのホームページで新任の講師の先生をチェックして、その方のご職業や研究テーマ、携わられているプロジェクトなどを調べて、自分の受けている授業の先生以外の先生でも、積極的に話しかけにいっていました。その行動が写真業界で仕事をする上でとても役立っています。写真の仕事って、フォトグラファーや写真家など撮影をする職業だけではないと視野を広げる事にもつながりました。弊社は写真ビジネスを企画する仕事なので、受験してみよう!という気持ちになったのも、授業外の講師の先生たちと交流できたことが大きかったと思います。 PicoN!編集部 市村 ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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マンガ連載~第43話~ 「これでいいん?」編

作品がいちおう完成したけれど、あんまり仕上がりに自信がない……という経験はありませんか? 今回は、自分の作品を客観的に見つめ直すある「テク」を紹介! 簡単にできる方法なので、ぜひ試してみてくださいね!  作・藤田岳生(NDSマンガ講師) ↓PicoN!アプリインストールはこちら 作・藤田岳生 マンガ・イラスト関係の専門学校を卒業後、マンガ作家のアシスタント業に就く。さまざまな作家さんの現場を渡り歩き、経験を積む。その後、イタリアのマンガ学校「LUCCA MANGA SCHOOL」の目に留まり、24歳での短期単身渡伊をはじめとして、幾度か現地の方を対象としたレッスンを行う。Web系など絵を描き始める方に向けての指導をはじめ多方面で活躍中。 Instagram ≫藤田先生の過去記事一覧   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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「商品づくりは人間づくり」デザイナー・カトウヨシオ先生に学ぶキャラクターとデザインの関係

日々多くの商品が発売され、コンビニエンスストアの棚に所狭しと並ぶ風景が当たり前になった現代。そんな中でも、気になって手に取るものが必ずありますよね。 今回、本校の特別講座に登壇されたのは、多くの人たちに愛される商品を生み出してきた、デザイナーのカトウヨシオ先生です。 カトウ先生は、サントリー飲料の『BOSS』『なっちゃん』『伊右衛門』をはじめ、数々のヒット商品のパッケージデザインを手がけてきました。 この記事では、2025年5月11日(日)に開催された特別講座をレポートし、キャラクターとデザインの関係やアイデアの生み出し方についてお伝えします。 講座で行われたミニワークショップの様子もお届けしますので、創造性を刺激する楽しさを味わってみてくださいね。 ※本記事で語られる商品コンセプト等は、カトウ先生がパッケージデザインを手掛けられた当時のものです。現在の商品コンセプトとは異なる可能性があることを、あらかじめご承知おきください。 「商品づくりは人間づくり」 まずスライドに映し出されたのは、外側に何も印刷されていない飲料の缶です。 パッケージがないと中に何が入っているのか分からず、安心して手に取ることができません。 カトウ先生は「パッケージデザインの仕事では、中味が何なのかを外側に表現し、説明だけではなく、その本質を表現することが重要です」と話します。 たとえば、先生がアートディレクターとしてデザインを手がけたサントリー飲料の『なっちゃん』(初代パッケージはデザイナー:柴戸由季子、クリエイティブディレクター:藤田芳康、アートディレクター:加藤芳夫)。 [caption id="attachment_24770" align="aligncenter" width="750"] 画像出典:サントリー公式HP カトウ先生は初代から引き続き歴代パッケージのデザインも担当。[/caption] 多くの人がこの商品に魅力を感じるのは、パッと見てオレンジジュースだと分かるだけでなく、親しみを感じるからではないでしょうか。 「ジュースをパッケージで表現するよりも、『なっちゃん』という人格をつくることを目指しました」とカトウ先生。 人間の外見に内面が映し出されるように、内なる要素に注目して商品の姿をつくること、つまり「商品づくりは人間づくり」だと話します。 [caption id="attachment_24771" align="aligncenter" width="750"] カトウ先生の講座スライドより[/caption] ここでは、先生が制作されたサントリー飲料のパッケージデザインを通して、商品の人格をつくるとはどういうことなのかをご紹介します。 夏休みのおいしい記憶から生まれた『なっちゃん』 1998年に発売された『なっちゃん』。当時小学生だった筆者は、かわいらしいパッケージと優しい甘味に夢中になり、母親に頼んで何度も買ってもらいました。 販売開始から25年以上が経った今も、多くの子どもたちに愛されている商品です。 『なっちゃん』の発売当時のコンセプトは、「夏休みに田舎に帰省して出会う、いとこのような存在」。 ジュースをどんな時に飲みたいかをチームで話し合い、コンセプトのアイデアが出てきたそうです。 「おばあちゃんの家でお手伝いをした後に、ご褒美として冷たいジュースを飲む。そんな思い出がありますよね。そこからイメージが生まれ、『なっちゃん』という人格が少しずつ形づくられていきました」 当時、サントリーの自動販売機では『サントリー烏龍茶』や『BOSS』など、大人向けの商品が充実していましたが、子ども向けの飲料もラインナップに加えたいということで『なっちゃん』が誕生。 カトウ先生は「家族で出かけた時に、お母さんが烏龍茶、お父さんが缶コーヒー、子どもがジュースを買う。そういった商品をつくりたいと考えていました」と、当時の思いを教えてくださいました。 豊かな自然の恵みを表現した『サントリー天然水』 次にスライドで紹介されたのは、『サントリー天然水』。 [caption id="attachment_24774" align="aligncenter" width="750"] 画像出典:写真AC/つくね_1st-[/caption] 1991年から販売している商品で、パッケージには、豊かな水源と安心安全のイメージが表現されています。南アルプスの山並みから流れる、透き通るような雪解け水が印象的です。 質の良いきれいな水というイメージを消費者に持ってもらうために「山々に降った雨が木の根元に注ぎ、やがて地中に染み込み、それを汲み上げたのが『サントリー天然水』だと分かるデザインにしました」とカトウ先生は説明します。 さらに、パッケージで自然の豊かさを表現するだけでなく、環境への負荷を減らせるよう、ラベルにも工夫が施されています。 ボトルや、ラベルの厚みを薄くし、ラベル面積も小さくすることで、商品のコンセプトに沿った設計を考えました。自然の中で暮らす動物や植物がパッケージに描かれていることからも、環境に優しい商品だと伝わります。 消費者の安全性と環境負荷の減少を考えて開発された『サントリー天然水』は、発売当初から大人気となりました。 現在では南アルプス、北アルプス、奥大山、阿蘇と、採水地も増えているそうです。 あそびゴコロとデザインの関係 [caption id="attachment_24746" align="alignnone" width="750"] カトウヨシオ先生がチームで制作したコンセプトモデル。パッケージデザインの国際的なコンペティション&アワード「Pentawards(ペントアワード)」受賞作品。[/caption] カトウ先生がパッケージデザインの仕事で大切にしているのは「あそびゴコロ」。 「遊び心を持ってそれを味方にして仕事をすると、とても楽しくなってきます」 ここでは、仕事を面白くするという視点から、遊び心とデザインの関係を見てみましょう。 あそびゴコロはひとつの価値 [caption id="attachment_24776" align="aligncenter" width="750"] 「Pentawards」カトウヨシオ先生の受賞作品「JAPAN STYLE GREEN TEA」(画像出典:PENTAWARDS|the:winners)[/caption] 上の写真は、カトウ先生が「コンセプトモデル」として制作したお茶のペットボトルです。 コンセプトモデルとは、概念をデザインに落とし込んだものを指します。必ずしも商品化を目指すわけではなく、考え方やその表現に重きを置いているのが特徴です。 カトウ先生が手がけたこのペットボトルの作品は、優れたパッケージデザインを表彰する世界的なコンペティション&アワード「Pentawards(ペントアワード)」で受賞しました。 作品のアイデアを思いついたのは、仕事で、飲料ボトルの製造工場を訪れた時だったそうです。試作機の周りを見ると、不思議な形状をしたペットボトルがたくさん転がっていたと言います。 工場で働いている方に尋ねたところ、製造の過程で意図しない形で出てくることが時々あるのだとか。 そこで先生は「これは失敗ではなくて、見方を変えれば面白いアイデアになるかもしれない」と考えました。 そして、ペットボトルの形を活かしながら、織部焼のようなシュリンクでお茶を表現したデザインが生まれました。 [caption id="attachment_24763" align="aligncenter" width="560"] 織部焼(黒織部)/ロサンゼルス郡美術館蔵[/caption] デザインを制作する過程で「このペットボトルを誰もが面白いと感じるにはどうすれば良いか」と思案し、遊び心を入れて、ボトルを逆さまにしてパッケージをつけたら、他にはない作品が出来上がったと言います。 「いびつな形のペットボトルを見て、『これは失敗だ』と思うか、それとも『こんなものができるなんて面白い』と感じるか。違う角度で見つめると、新しい価値の発見がありますよ」   次にスライドに映されたのは「あそびゴコロ」のイメージ。 「遊び心」には多くの意味がありますが、あまり良くない印象を持つ方もいるのではないでしょうか。いい加減で真面目ではなかったり、軽い気持ちでしっかり考えていなかったり……。 しかし、その逆もあると先生は説明します。 「いい加減が『良い加減』に変わる可能性もありますし、軽い気持ちは洒落っ気があって良いかもしれません。遊び半分でやったことが、ユーモアとして捉えられれば、価値が生まれます。仕事をしないと生きていけませんが、仕事を面白くするために遊び化するよう心がけると、辛いことも少し楽になるのではないかと思います」 遊び心はひとつの価値であり、前向きにデザインと向き合う秘訣でもあるのです。 手を動かして脳を働かせる体験 [caption id="attachment_24780" align="aligncenter" width="750"] ミニワークショップの様子[/caption] ここでは、創造性を働かせる体験をするために、ミニワークショップが行われました。 はじめに、カトウ先生は、著書『デザインのココロ』(六曜社、2013年)から、こんなテキストを紹介してくださいました。 脳と手はつながっている。 手を動かすと 脳も働きだす。 「手考足思」は河井寛次郎の言葉。 足も脳とつながっている。 脳を働かせば アイデアが出る。 (後略) 引用元:カトウヨシオ『デザインのココロ』(六曜社、2013年、p.118)   [caption id="attachment_24781" align="aligncenter" width="750"] 著書『デザインのココロ』を紹介するカトウヨシオ先生[/caption] 手を動かすと頭が動き出すことを実感するために、参加者も白い紙に黒いペンで落書きをします。「目的を持って描くのではなく、意味もなくひたすら手を動かしてみましょう」と先生がアドバイス。 白い部分が残らないよう真っ黒に塗っている参加者もいれば、線の強弱を楽しみながら描いている姿もありました。 出来上がった落描きを眺めると、意図して形を描いたわけではないのに、模様が見えてきます。先生は、そうした模様がデザインのヒントになったり、そこからキャラクターのアイデアが生まれたりすると話します。 「人間は、手を動かすと楽しくなってくるようです。気分が乗らない時でも、何か触って手を動かしていると、良いアイデアを思いつくことがありますよ」 と教えてくださいました。 良い創造とは記憶に残る存在 落書きで創造力を刺激したところで、有名なキャラクターを描くミニワークショップも行いました。形や表情を思い出しながら、記憶を頼りに描くのがポイントです。 このワークショップを通して分かったのは、人気のあるキャラクターは私たちの記憶に強く残っているということです。 ここからは、記憶と商品づくりがどのようにつながっているのか学んでいきましょう。 記憶に残る商品=友達のような存在 [caption id="attachment_24782" align="aligncenter" width="750"] カトウ先生のスライドより[/caption] カトウ先生は、「記録に残るキャラクターや商品は、友達のような存在だと言えます。また、記憶は私たちのアイデンティティーでもあります」と説明。 たとえば、飲み物を飲んで「おいしかった」という体験を何度もくり返すことで、ブランドのイメージが私たちの記憶に刻まれます。 「ブランドは、メーカーや広告主が所有しているのではなく、お客様の頭の中、お客様の体験の中で生きていくのです」。 カトウ先生は「良い創造は記憶に残る存在であり、記憶に残る商品としてパッケージデザインをつくるのが大切です」と話し、冒頭で紹介した「商品づくりは人間づくり」というテーマに立ち返りました。 商品と人間をつなぐのがキャラクターであり、「お友達になりたい存在」をお客様の前に提示するのが大切だと、カトウ先生は話します。 「商品をつくる仕事は、人をつくる仕事に近いと感じます。商品はキャラクターと近い存在です」 売り込もうと前のめりになるのではなく、「お客様のお友達をつくる」という意識でパッケージをデザインするのが重要だと語りました。 コンセプトを中心に据えた商品づくり ここでは、サントリー飲料『BOSS』の制作プロセスに注目し、30年以上にわたってお客様に愛され続ける存在をどのようにつくっていったのか、見てみましょう。 サントリーの商品開発チームの特徴は、コンセプトを中心に据えて、それぞれのセクションを一体として考えている点です。デザイン、中味の開発、マーケティングなどを個別に進めるのではなく、コンセプトを軸に各分野の専門家が集まり議論したと言います。 『BOSS』は「働く男を応援する、永くつきあえる相棒のような存在」として、パッケージデザインやネーミング、中味を表現しました。 [caption id="attachment_24803" align="aligncenter" width="855"] 画像出典:サントリー ※現在は販売終了[/caption] 『BOSS』のターゲットは外で働く人々です。喫茶店に入る暇がなく、外で缶コーヒーを飲むお客様が想定されました。コンセプトに沿って開発を進めたことで、ターゲットとなる人々が相棒のように感じる商品が完成したのです。 さらに、カトウ先生は、マイナスの状態を知らないと、プラスになる商品は生み出せないと説明します。 「飲料は乾きをゼロに戻す存在であり、喉が乾いて困っている人を助けようという思いからつくられます。マイナスの気持ちは、商品化のアイデアに役立つのです」 いち消費者として普段の生活に目を向けると、ターゲットの心を掴む商品を生み出せると話しました。 生活者の視点から生まれるアイデア 「商品の提案は負の状態の解決」だと説明したカトウ先生。人々の暮らしを見つめ、不満や不安を解決するために、仕事の仕組みを考える姿勢が大切だと言います。 講義の最後に、参加者から「日常でどのようにアイデアを生み出しているのでしょうか?」と質問がありました。 「頭の片隅に宿題がずっと残っているイメージで、四六時中考えていました。電車の中で吊り広告を見ながら、ネーミングを考えたこともありますね」と先生。   もうひとつ大切なのは、生活者の視点を忘れないこと。 [caption id="attachment_24792" align="aligncenter" width="750"] 画像出典:Unsplash/Joshua Rawson-Harris[/caption] 店舗の売り場を訪れる際、仕事のモードで商品を見ると、お客様が本当に欲しいものを判断できなくなってしまうと言います。 「自分が開発したものが置いてあるとか、この商品はよく目立つなとか考えてしまうと、まったくアイデアが出てきません。お客さんになった気分で、『あっ、これいいな』という感覚で見ていると、ひらめくことがあります」。 さらに、学生が課題に取り組む時に、視点を広げる意識を持つのが大事だとアドバイス。 たとえば、グラフィックデザインの課題の参考として、ブランディングデザインの本ばかり読むと、似たような表現になってしまう場合もあります。 一見すると関連のない、建築や自然、ファッションのグラフィックなどを眺めているうちに、ふとアイデアが浮かぶそうです。 「アイデアは、違うものと違うものの掛け合わせでできているので、似たもので掛け合わせると同じようなものしかできないのです。なるべく異なるジャンルを見た方が、新しいものを生み出せますよ」 カトウ先生のお話から、日常生活を見つめる大切さとお客様に寄り添う姿勢を学んだ参加者。キャラクターとデザインの関係を通して、パッケージデザインの本質をじっくりと理解できました。 今回の学びが、参加者それぞれの創造性を刺激し、クリエイティブなものづくりへとつながっていくでしょう。 《講師プロフィール》 カトウヨシオ(加藤芳夫) クリエイティブディレクター・アーティスト 大阪芸術大学客員教授/愛知県立芸術大学非常勤講師/広島市立大学非常勤講師/日本パッケージデザイン協会会員(元理事長)/パッケージデザインの学校校長/日本グラフィックデザイン協会会員/元サントリーデザイン部長/デザインのココロ研究室代表 1989年頃よりアートディレクターとして様々なブランドを開発。サントリー『鉄骨飲料』『BOSS』『天然水』『C.C.Lemon』『デカビタC』『ダカラ』『なっちゃん』『伊右衛門』『ペプシネックス』『ザ・プレミアム・モルツ』『金麦』、サントリーCI「水と生きる」など 2012年ペントアワード名誉賞殿堂入り 2020年パッケージデザイン功績賞 2020年サントリーを卒業・フリーランス アート&デザインの制作と教育活動を続け、2023年、東京・南青山のギャラリー5610で個展「ココロデッサン」を開催。 《参考文献》 カトウヨシオ『デザインのココロ』六曜社、2013年 文/浜田夏実 アートと文化のライター。武蔵野美術大学 造形学部 芸術文化学科卒業。行政の文化事業を担う組織でバックオフィス業務を担当した後、フリーランスとして独立。「東京芸術祭」の事務局スタッフや文化事業の広報、アーティストのサポートを行う。2024年にライターの活動をスタートし、アーティストへのインタビューや展覧会の取材などを行っている。 note X ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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マンガ連載~第42話~ 「雷サージ」編

パソコンのクラッシュで、せっかく長時間かけた作業が台無しに……。 クリエイターが一度は経験したことがある「あるある」が今回のお話。 「雷サージ」という現象、皆さんはご存じですか?  作・藤田岳生(NDSマンガ講師)   ↓PicoN!アプリインストールはこちら 作・藤田岳生 マンガ・イラスト関係の専門学校を卒業後、マンガ作家のアシスタント業に就く。さまざまな作家さんの現場を渡り歩き、経験を積む。その後、イタリアのマンガ学校「LUCCA MANGA SCHOOL」の目に留まり、24歳での短期単身渡伊をはじめとして、幾度か現地の方を対象としたレッスンを行う。Web系など絵を描き始める方に向けての指導をはじめ多方面で活躍中。 Instagram ≫藤田先生の過去記事一覧   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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