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加納典明「ものを作るということが一番の快感。ピカソを超え、ゴッホを超えたい」|〈永光〉~時を刻んだクリエイターたち~ vol.1(前編)

■シリーズ〈永光〉~時を刻んだクリエイターたち~ 時代を超えて残る足跡を世に残したクリエイターたち。彼らは世界の「いま」と「未来」に何を想い、後世の人間に何を伝えたいのでしょうか。アートやカルチャーを牽引した巨匠たちの言葉を刻む、インタビュー・シリーズ。今回お話を伺ったのは、写真家・加納典明さんです(前編)。 聞き手/編集 PicoN! 編集部 佐藤舜 被写体を “非日常化” させ、その人がもつ「気配」を引き出す Q. 加納さんは他媒体のインタビューで、人物撮影のときには、その人のもつ「言葉にできない気配」や「実存感」を撮るとおっしゃっていました。その「気配」「実存感」とはどういうものなのでしょうか? 加納)芸能人の人物写真となると、その人の個性はすでに世間に知られている。(山口)百恵で言えば、ただきれいなだけの広告写真なんか撮ったってしょうがないじゃない。そんなのはもういくらでも世に出ているわけだから。そういう「美しさ」もひとつのキーなんだけど、俺が撮る以上は、それよりも百恵だけが持っている気配とか、雰囲気とか――「百恵の自意識をも超えた百恵」をどう掘り出すか、どう切り取っていくかということに尽きるよな。 百恵独特の何かがあるはずなんだよ。百恵の人気の理由にもなっている、人間としてもっている「気」をどう写し込むかということだね。 [caption id="attachment_29298" align="alignnone" width="700"] 加納典明さん[/caption] Q. 山口百恵さんの撮影に関して印象的だったことはありますか? 加納)俺はあいつを結構好きだったんだよな。沖縄で百恵の撮影をやったことがある。お篠(篠山紀信)と一緒にだったかな。1日はお篠、1日は俺、と1日ずつ時間をもらって。水着になったり、いろんな撮影をやったわけだよ。 その上がりが『月刊プレイボーイ』だったかな? で使われたんだけど、後日お篠が「今回は加納にやられたよ」と言っていたらしい。俺の写真のほうが良かったという意味だろうな。それは単純にお篠側の意見であって、世間がどう受け取るかはまた別問題なんだけど。 大衆とか世間というのは、たとえば「水着から乳首がぷっと出ていた」とかいったくだらない部分にばかり注目する。こっちとしてはどうだっていいんだけど。大衆が何を望むかというのは俺はもう100も知っているし、経験もしている。それを踏まえながら「自分が求められているもの」と「自分が撮りたいもの」をどうクロスしていくかということだよな。 Q. 被写体の「気配」「実存感」を写すために、どのようなコミュニケーションを心掛けていますか? 加納)普通に話すよ。「元気か?」と聞いて「はい元気です」と返ってきて。いろいろ話して。プライベートにはあまり突っ込まないけど、スレスレのところまで話すよね。一般論としての「スレスレ」もあれば、彼女個人の「スレスレ」もあるし。そういうスレスレのところを話すと「自分」が出てくるわけだよ。「オフィシャルじゃない自分」というかね。 人は普段、オフィシャルな自分しか出さないものだよ。それにはこっちは興味がないわけだ。だからオフィシャルではない人間・百恵というものを探っていくわけだよ。話し方やその内容によって相手は千変万化するから、それを拾っていく。 人を撮る場合は、そういう対人関係(コミュニケーション)というのは非常に重要な要素になるよね。言葉とか気配とか、こちらの態度とか。昔話をすることも含めて。 Q. コミュニケーションの内容と被写体の佇まいがリンクする、という側面もあるのでしょうか。たとえばお祖母ちゃんの話をすると柔らかい表情になり、恋人の話をすると色気が出てくる、というように。 加納)そうそう。だから俺の男としての魅力というのも大事なわけだよ。悪いけど、荒木(経惟)やお篠(篠山紀信)よりも俺はかっこいいよな?(笑) そういうところに女性は「おっさんかよ」と思いながらも、何かこのおっさんは色気があるなとか、そういう色気にちょっとやられるな、と感じるかもしれない。俺を売るというか、俺という “槍” を刺すというか。 シャッターを切りながら、言葉の端々、態度の端々--そういう “狭間” を彼女にぶつけていくわけだ。4時間撮影をしたなら、その4時間の中で彼女が半年分くらいの経験をした感覚になるくらい、彼女をアップさせる。“非日常化” させる。日常の自分から自分を離させる、ということが大事じゃないかな。 Q. 写真家が被写体を写すと同時に、被写体もまた写真家を写す。そのプロセスで被写体の “非日常” の側面が露出していく。 加納)だから、撮る写真家によってまったく違うものになる。それぞれの写真家が持っている人間力。上下ということじゃないよ。質の違いがあるということ。荒木と俺、お篠と俺とでは、性格も人間性も質も違うじゃない。人としてのフィーリング、醸し出す空気、世界観というものがある。「気配」――というのが一番いい言葉だけどね。そういう「気配」を、どう被写体とコミュニケートしていくか。 俺の持っている人間力――男子としても、年齢としても、今までのキャリアとしても――そういうものを醸し出している俺自身というものを、相手がどう受け取っていくか。受け取るごとに彼女がどう変身していくか。彼女すら意識していなかったどんな彼女が出てくるか。こちらが投げかけたものに対する反応のひとつひとつ、目の動きひとつ、目の光り方ひとつ、唇の動き方ひとつを追いかけていくわけだ。 昨日までの彼女ではない、全く違う彼女を撮りたいと俺は思うわけだ。そこに力を尽くすかな。 [caption id="attachment_29302" align="alignnone" width="700"] 日本写真芸術専門学校ギャラリーにて[/caption] 篠山紀信、荒木経惟をライバルと意識したことはない。信じるのは俺の全感性だけ Q. 先ほどから名前が出ている篠山紀信さん、荒木経惟さんと言えば、加納さんと並んでグラビア写真界の「三巨頭」と評されることも多いです。この2人の “ライバル” についてはどうお考えですか? 加納)荒木やお篠クラスの相手になると、ジェラス(嫉妬)は感じないんだよ。上がってくる写真が半端じゃないし、本人たちの人間力とか写真力というものはやっぱりあるから、それは認めざるを得ない。そういうものに対するジェラスはない。 それよりも、どういう結果(作品)を出しているのかということには興味があるよな。同じものを撮るにしても、荒木のタッチとお篠のタッチとでは違うわけだから、その違いは結果として、具体的に非常にわかりやすく出るわけだ。だから “ライバル” というふうにはあまり思わないんだよ。「頑張れよ」というか、「もっと見せてくれ」「もっとやれよ」「もっと鋭利にやれるはずだ」という、応援する感じだね。 Q.  “ライバル” ではなく “戦友” に近いですか? 加納)別に戦友というわけでもないけど、荒木やお篠がいて良かったとは思うよ。お篠はもういなくなってしまったけど(※篠山紀信さんは2024年に死去)。 Q. 篠山さんや荒木さんとの “差別化” を意識したことはありますか? 加納)いや。彼らを意識した上で撮ったり、仕事をしたりはしなかった。俺の全感性だけ。これは誰にもないよ。自信を持って言えるよ。俺の想像力というのはこの年になっても全然衰えているとは思わない。今でも広く視野を持とうと思っているし、いろいろなものに感じようと思っているし。それをどう具体にするか。ものによっては全然写真ではないものを画(え)にしてもいいわけだし。 自分と戦いながらものを作ることが一番の快感 Q. 「加納さんならではの感性」とはどのようなものだと自己分析されていますか? 加納)考えてもわからないね。たとえばふっと歩いていて、なんかこの空気いいな、と感じることがあるわけだよ。気配とか。それで、具体にするならどうしたらいいかなと思ったり。写真がいいのか絵画がいいのか。だから俺の日常というのは、普通の人の日常とちょっと違うだろうな。俺のほうがいいとか、そういうことじゃなくてさ。 Q. 周りの風景や人などから、何か感覚をキャッチするアンテナの鋭敏さ、ということでしょうか。 加納)そうそう。それは俺なりに発達していると思うよ。敏感だと思うし。その感性力というのが、写真家にとっては一番大事なんじゃないかな。感性こそ命だよ。 Q. 写真家の卵たちや若手写真家たちががこれから感性を磨いていきたいと思ったとき、どうすればいいでしょうか。 加納)それはね、自分との戦いだよ。一番の競争相手は誰かと言ったら、自分自身なんだよ。たとえば新しく出てきた人がいい仕事をしていても、別にライバルとは思わない。俺は俺だというところが強くて、彼らを真似したような作品はひとつもない。やっぱり自分に対する自信と、自分との競争力。 「怠けるな」ということが一番大事だね。怠けず自分と競争せよ、と。一番喧嘩すべき相手はお前自身だろうと。これはみんな一度考えたらいいと思うよ。競争相手は有名人でも、友達でも、歴史上のプロでもなくて、お前自身なんだよということの自覚がどれだけあるかということだよ。 Q. まず自分の感性を信じて、それを表現しきるために妥協せず戦っていけ――ということでしょうか。 加納)そうそう。自分との戦いよりも快感があるものはないし、楽しいことはない。「よくやったな自分」ということもあれば「ここ止まりかよ」と思うこともある。そこがまた面白い。ものを作るということが一番の快感。それは生きていてなかなか覚えない感覚だよ。自分が想像しなかったものができてくるということが。 ピカソを超え、ゴッホを超えたい。目標は「写真×絵画」でニューヨークNo.1 Q. これから挑戦していきたいことはありますか? 加納)今はかなりキャンバスに絵も描いているんだよ。 俺の親父は芸大出身で、左翼思想がすごく強くて、 “1ダース” 以上は警視庁に引っ張られて行ったことがあるって言ってたよ。親父はゴッホやルーベンスのような画家になりたかったんだ、根本は。それは結局果たせず、5人の子供を育てるために精力を使って一生を終えた。画家になりたかったという親父の未練が、俺にどうしても引っかかっているんだ。消えないんだよね。だから、よし、俺も画家になってやろうと。 Q. 写真表現を超えて、絵画の世界へ。 加納)今はどんな手段で芸術をやってもいい時代なわけだし。親父の時代は、絵をやると言ったらキャンバスに油絵具を引くしかなかったけれど、今は全然違うじゃない。AIもある、デジタルもある。 俺の場合は過去の写真のストックもかなりある。それをまずPhotoshopとかAIとかでいじるわけ。元画(もとえ)がわかんなくなるくらい。そこでオリジナルが出るわけだ。新しいアートゾーンがそこにあるわけだよ。それを今度はキャンバスにプリントして、アクリル絵具で描いていくわけだ。 始めて10年以上になるけど、まだビジネスにはなっていないし、ビジネスにする動きもしていない。だけどやっていて面白いから。これがどこまでいけるか、というところだね。 Q. 「写真の絵画化」面白いアプローチですね! どのような目標や意識をもちながら制作されていますか? 加納)とにかく自分が生きている間に自分が感じるもの、感性が要望するものを、ちゃんと具体にしていこうと思うわけで。「あれやっておけばよかったな」って思いながら死にたくないわけだよ。自分に遠慮する必要は何もないわけだし、世間にはもっと遠慮することがないわけだから。 こういう「写真の絵画化」といういうのは荒木やお篠もやってたことなのかもしれない。当然、意識としてはあっただろう。友達にも同世代や先輩に画家はたくさんいたから、画家志望ということが全くなかったとは言えないだろうし。 俺は一応100歳くらいまでやるだろうから――やれないかもしれないけれど、やるつもりだから――俺はこれからの俺自身を見たいわけだよ。世界に認められるまで俺は死ねない。ピカソを超え、ゴッホを超えたい。 Q. 「ピカソを超える」! 壮大な目標ですね。 加納)端的に言うと、ニューヨークで一番獲りたいよ。1970年に俺は『Fuck』※を出して、日本で有名になりすぎちゃったんだ。注文がどんどん来るわけ。「あれ撮ってくれ」「これ撮ってくれ」って。それで仕事になる、お金にもなるし、ついついずっと日本を離れられなくて今日に至ると。 ※『Fuck / 燃えるパーティー』(加納典明,1970年,実業之日本社)……若き日の草間彌生がセッティングしたパフォーマンスを撮影した写真集。男女が入り乱れる姿を赤外線フィルムを多用して写し出す。 これは俺の人生の失敗だね。当時の俺はニューヨークに帰ろうと思っていたわけ。ところが、帰るに帰れなくなった。でもいまからでも、やり直すのは遅くないわけだよ。 俺はまだもうひとつ見つけられていない。画家としての「もうひとつの俺」を見つけるために、日々、頭の中はぐるぐるぐるぐる回っている。ひとつの結果を出したいと思っているから。ぐるぐる回っていて、もうひとつピントが合わない。確信が来ない。それを求めて日々、ずっとイメージし続けているよ。 Q. その絵具を使ったアートの場合、写真を撮るときとはどう頭の使い方が違いますか? 加納)一切違わない。 Q. へぇ! 写真表現の延長線なんですね。頭の中のイメージはどういうふうに固めていくのでしょう? カメラを持ちながらなのか、絵筆を動かしながらなのか。 加納)瞬間に出てくる感じだよ。シャッターを切るにしても、手を動かすにしても、そういう中で答えが出てくるはずだと思う。そういうものの積み重ねが、結局どういうかたちになっていくか。やりながら、つくりながら考えていく。 Q. YouTubeなどでの活動も、新しい刺激やイマジネーションを求める取り組みの一環なのでしょうか? 加納)そうだね。いまって、コミュニケーションの方法がものすごく多様じゃない?だからひとつ決定版を出したいよな。写真とか絵に限らなくとも――ひとつの考え方とかイデオロギーのような。何か発想していきたいね。 Q. 動画なのか、本なのか、アートなのか――媒体はともかく、加納さんの「思想」の結晶のようなものをつくりたい? 加納)そういうところだな。俺の毎日を生きる術からつくっていくよ。俺の考え方、その思考の流れ方がどうなのか――そういうものを流入させるかもしれないし、逆流させるかもしれないし。発想力でいろんなことをやれたらいいなと思う。いい年こいて空論を言っている奴も多いけど、俺は本気なんだよ。(後編に続く) ■加納典明 プロフィール フォトグラファー/美術家 愛知県名古屋市出身。1942年2月生まれ。小説、DJ、レコード制作、映画・TV・CM出演、バイクチーム監督、ムツゴロウ王国移住など、写真家の枠にとらわれない数々のパフォーマンスを示す。近年は、自らの写真を使った絵画作品を発表するなど、活動の場を拡げている。 (AWARDS) 日宣美賞、APA賞、朝日広告賞、毎日広告賞、カレンダー展、ポーランドポスター展 等   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

写真

制作のヒントがここに!-クリエイティブを学ぶ学生にオススメ展示情報3選- vol.5

夏になると、鮮やかな色彩に惹かれる人も多いのではないでしょうか。そんな季節におすすめな北欧デザインの展示をピックアップ!7月は夏休みが始まる時期。今回は、旅行のついでに訪れられる愛知・京都・福島で開催される展示を3つご紹介します。 【愛知・名古屋】スウェーデン・テキスタイル 暮らしと自然に息づく北欧デザイン [caption id="attachment_29277" align="aligncenter" width="530"] 引用元:名古屋市美術館[/caption] <期間>2026/7/11(土)~9/6(日) <休館日>月曜日・7/21(火)*7/20(月・祝)は開館 <時間>午前9時30分~午後5時(金曜日は午後8時まで)※いずれも入場は閉館30分前まで <会場>名古屋市美術館 <入場料※通常チケット価格>一般 1,900円  / 大学・高校生 1,000円 / 中学生以下 無料 ●名古屋市交通局発行の「ドニチエコきっぷ」「一日乗車券」「24時間券」を当日利用して来館された方は100円割引。 ●会期中、本展の観覧券で常設展もご覧いただけます。 <HP>名古屋市美術館 近年、根強い人気を誇る北欧デザインは、日本でもすっかり定着し、なじみ深いものとなっています。フィンランドのイッタラやアラビアなどの食器、マリメッコやフィンレイソンといったテキスタイルブランドが広く人気を誇るほか、建築や家具、照明ではデンマークのデザインが知られるようになりました。そんななか、本展では、これまで日本で紹介される機会が少なかったスウェーデンのテキスタイルデザインを取り上げます。 冬が長い北欧諸国では、室内を彩る美しいテキスタイルは、暮らしを心地よく整えるために必要不可欠なものでした。スウェーデンのテキスタイルには、自然に着想を得た親しみやすいデザインが豊富で、ポップでカラフルな色使いも大きな魅力です。本展では、テキスタイルと関連資料など約250点によって、デザインの歴史と変遷、さらにデザイナーが作品に込めた物語を紐解きます。 (引用元:名古屋市美術館HP) ※イッタラ……フィンランド・イッタラ村創業のガラスブランド。機能美を追求したモダンデザインで知られる。 ※フィンランド・ヘルシンキ創業の陶磁器ブランド。ムーミン柄食器などで日本でも高い知名度を持つ。 ※テキスタイル……織物や布地のこと。 ※マリメッコ……フィンランドのテキスタイル・ファッションブランド。「ウニッコ(ケシの花)」柄で世界的に知られ、大胆な色使いと大柄プリントが特徴。 ※フィンレイソン……フィンランド・タンペレ発祥、北欧最古級のテキスタイルメーカー。ベッドリネンやタオルなど生活密着型のテキスタイルを中心に展開。近年は大胆な柄のコラボレーションでも話題を集める。 【京都・三条高倉】マリメッコ展 模様のちから Marimekko: Art of Printmaking -Beauty, Dream, Love [caption id="attachment_29278" align="aligncenter" width="530"] 引用元:京都文化博物館[/caption] <期間>2026/7/4(土)~2026/9/6(日) <休館日>月曜日・7月21日(火)※7月20日(月・祝)は開館 <時間>10:00-18:00(金曜日は19:30まで)※入場は閉室30分前まで <会場>京都文化博物館 4・3階展示室 〒604-8183 京都府京都市中京区三条高倉 <観覧料>入場料金:一般2,000円 / 大高生1,600円 / 中小生700円 ※上記料金で2階総合展示と3階フィルムシアターもご覧いただけます。(ただし、催事により別途料金が必要な場合があります。) ※前売券は2026年5月1日(金)〜7月3日(金)までの販売。(会期中は当日券のみ。) <公式HP>京都文化博物館 フィンランド生まれの「マリメッコ」は、ファッションやインテリアの枠を超え、新しいライフスタイルやコンセプトを提案するデザインハウスです。1951年の創業以来、デザイナーのアイデアや思想を重視した製品づくりを行ない、毎日の暮らしに彩り、喜び、前向きな心をもたらすことをミッションとするヴィジョンを世界に向けて発信し展開し続けてきました。これまで生まれた3,500種類以上の独自のプリントデザインは、人々のファッションや暮らしを彩り、また時には過去のデザインが再構築されることでタイムレスな魅力を放ちます。日本でも世代を超えて長く愛され続けてきました。 本展は、マリメッコの創業者であるアルミ・ラティアの言葉を手がかりに、様々な年代のドレスやアートワーク、ファブリックを通じて、マリメッコの創造の美学、また継承されるプリントメイキングの技に多角的な視点から光を当てることで、マリメッコの世界へ来場者を誘い、「模様のちから」を伝えます。 会場では、アートユニット・plaplaxによって、デザインが産声を上げるヘルシンキにあるマリメッコ自社の「プリント・ファクトリー」を映像とプロジェクションにより展示。手仕事のぬくもりと映像表現が融合する空間で、創造のプロセスを表現します。さらに、デザイナー・皆川 明によるインスタレーションも見どころのひとつです。マリメッコとの対話を通じ、国境を超えて共鳴し合うデザインをご覧いただけます。 (引用元:京都文化博物館HP) 【福島・いわき】20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展 [caption id="attachment_29279" align="aligncenter" width="530"] 提供元:いわき市立美術館[/caption] <期間>2026/6/27(土)~2026/8/23(日) <休館日>月曜日・7月21日(火)※7月20日(月・祝)、8月10日(月)は開館 <時間>9時30分~17時(最終入場16時30分)※7・8月の金曜日は20時まで開館(最終入場19時30分) <会場>いわき市美術館 <入場料>一般1,200円 / 大学生600円 / 小・中生400円※いわき市在住の65歳以上の方、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は無料 ※いわき市内の小・中・高・専修(高等課程)・高専生は、土曜日と日曜日のみ無料 ※免許証、手帳、学生証など身分を証明するものをお持ちください ※本展チケットで常設展も観覧可能 <公式HP>いわき市立美術館 スティグ・リンドベリ(1916-1982)は、スウェーデンの陶芸家・デザイナーです。1937年にスウェーデンのグスタフスベリ磁器工房に入社すると、鮮やかな葉っぱの模様がさわやかな[ベルサ]シリーズなど、世界中に知られる名作プロダクトを数多く手がけました。機能性とは何か、調和や美とは何かを追求し、独創的なアイデアをもとに新たな表現方法へと挑戦し続けた彼のデザインは、現在もなお高く評価され、没後40年以上を経た今も多くの人々に親しまれています。本展では、日本でも人気のある食器や皿などのテーブルウェアに加えて、ファイアンス(錫釉陶器)や一点もののアートピース、テキスタイル、絵本の挿絵、スケッチ、日本とのかかわりを示す作品など、初期から晩年までの作品を展示します。北欧デザインのパイオニアとして活躍したスティグ・リンドベリの魅力を網羅的に紹介します。(引用元:いわき市美術館HP)   今回は、北欧デザインをテーマに3つの展示を取り上げてみました。福島・愛知・京都など、この夏はぜひ、旅行先のついでに各地の美術館に足を運んでみてください! PicoN!編集部 武田 ↓PicoN!アプリインストールはこちら

アート

香りが導き、質感が語る。五感で体験する藤ちょこイラスト展『祝彩巡礼』展示レポート

繊細な色彩設計と、背景まで緻密に描き込まれた世界観が魅力の藤ちょこ先生。その作品群が一堂に会した展示「祝彩巡礼」が、東京・渋谷の西武渋谷モヴィーダ館にて開催され、先日その幕を閉じた。 個展「#祝彩巡礼」の開催が決定しました✨ 3rd画集収録作品を中心に描き下ろしやサイン会もあります!よろしくお願いします! 会期:2026/6/5~6/28 会場:西武渋谷店モヴィーダ館6F ▶ https://t.co/ZDxTNgxMOh pic.twitter.com/0LPcl7onUY — 藤ちょこ@個展6/5~ (@fuzichoco) April 10, 2026   本展示は、2025年に刊行された画集『祝彩巡礼』の発売を記念して企画されたものであり、単なるイラスト展示にとどまらず、「作品を体験する」というコンセプトのもと構成されている。 本稿では、現地での体験をもとに、展示空間の設計や作品の見せ方、そして特殊加工によって藤ちょこ作品がどのように“体験として拡張されていたか”について記録する。     《アーティスト情報》 ■藤ちょこ fuzichoco イラストレーター 透明感あふれる色彩と、圧倒的な情報量を誇る緻密な世界観で国内外から高い支持を集める。書籍やゲーム、トレーディングカード、VTuber関連など幅広い分野で活躍し、その幻想的で物語性豊かな作品は、多くのクリエイターにも影響を与え続けている。 胡蝶の夢 pic.twitter.com/ytpn4m57JZ — 藤ちょこ@個展6/5~ (@fuzichoco) February 23, 2025 喧騒を抜けて、世界の入り口へ 訪れたのは展示最終日だった。 前日に台風が通過したにもかかわらず、渋谷の街は変わらず人の流れに満ちていた。濡れた路面に光が反射し、都市の喧騒だけがいつも通りの速度で流れている。 会場となる西武渋谷モヴィーダ館は、無印良品が入るビルとして知られるが、その上階に広がる展示空間は、日常の延長線上にありながらも、どこか異なる静けさを持っていた。 時間まで待つようスタッフからアナウンスがあり、待機列は少しずつ進んでいく。入り口のモチーフや、最初に目に飛び込んでくる大迫力の一枚絵、展示タイトルが印字された壁面の横に添えられた直筆サインが視界に入り、まだ会場に入っていないはずなのに、すでに世界の入口に立っているような高揚感が生まれていた。   鮮やかな色彩と緻密な描き込み|藤ちょこ作品が愛される理由 多数のキャラクターデザインを手掛けたイラストレーターとしても有名な藤ちょこ先生ですが、作品の魅力は、緻密に設定された世界観に他ならない。建築物、植物、光、水、空気といった要素が等しく描き込まれ、それらが一枚の画面の中で有機的に結びつくことで、「ひとつの世界」として成立している。 [caption id="attachment_29242" align="aligncenter" width="750"] 藤ちょこ特殊印刷アート「祝彩巡礼」[/caption] そのため鑑賞者の視線は一点に留まらず、画面全体を巡りながら作品の中を歩くような感覚を得ることになる。 これは単なるイラスト鑑賞ではなく、“世界を読む体験”に近い。 香りから始まる没入体験|五感で切り替わる展示空間 会場に足を踏み入れた瞬間、まず感じたのは香りだった。 [caption id="attachment_29243" align="aligncenter" width="750"] 入り口を潜るとふわりと優美な香りが包み込んでくれる[/caption] 上品でありながら過剰ではない香りが空間全体に広がり、外の世界と展示空間の境界が明確に切り替わる。 イラスト展示において嗅覚までを設計に取り込む試みは多くない。本展は空間そのものを作品として成立させていた。 展示だからこそ体験できる、特殊加工が生み出す作品の魅力 SNSや画集を通して、藤ちょこ先生の作品に触れたことがある人も多いだろう。画面越しでも、その鮮やかな色彩や緻密な描き込み、幻想的な世界観は十分に伝わってくる。しかし、本展で作品を前にした瞬間、その考えは大きく覆された。本展では、複数の印刷会社による多彩な特殊加工が作品に施されており、光を受けて表情を変えるもの、見る角度によって印象が変化するもの、質感によって空気感や奥行きを際立たせるものなど、印刷そのものが表現の一部として機能していた。 [caption id="attachment_29261" align="aligncenter" width="562"] 藤ちょこオーロラポスター「さいはての空、彼方の教室」[/caption] スマートフォンやパソコンの画面では、イラストはそれぞれのデバイス環境や閲覧状況に左右されながら鑑賞される。一方、展示では、作品は物質として確かな存在感を持ち、同じイラストでありながら受け取る印象は大きく異なる。光の反射や素材の質感によって、画面越しでは感じ取れなかった空気や奥行きが作品に宿る。その変化は写真では決して再現しきれず、実際にその場に足を運び、一定の距離を保ちながら見つめることで初めて成立する体験だった。 そしてこのひと作品において特に印象的だったのは、アナログ着彩によって生まれる透明感と、その筆致そのものである。デジタルで構築されたイメージに対して、重ねられた色の層やにじみ、わずかな揺らぎが加わることで、画面では見えなかった質感が立ち上がってくる。 [caption id="attachment_29260" align="aligncenter" width="563"] 藤ちょこ自然紋「福の神」[/caption] 何より惹かれたのは、その筆さばきである。線の流れ、塗りの方向、絵の具の重なりといった“描く行為そのもの”が、そのまま作品の一部として残されている。それらは画面越しでは決して気づくことのできない情報であり、会場に足を運び、その作品と同じ距離で向き合うからこそ初めて見えてくるものだ。デジタル表現に施された加工とはまた異なる次元で、このアナログ着彩そのものが、このひと作品の“完成形”を成立させていた。そして何より重要なのは、この体験そのものが「現地に足を運んだからこそ成立している」という点である。画面越しでも作品は十分に鑑賞できる。しかし、光の揺らぎや素材の質感、筆致の細部といった情報は、実物と対峙したときにしか立ち上がらない。この作品が示していたのは、イラストは見る場所によって完成形が変わるという事実だった。だからこそ、展示という場に足を運ぶ意味がある。そこには、画面では得られない“もう一段階上の作品体験”が確かに存在していた。 特殊加工で作品は更に輝く イラストを描き上げたら、それで完成だと思っていないだろうか。もちろん、一枚のイラストとして完成させることは作品づくりの大きなゴールだ。しかし、その作品を「どう届けるか」まで考えたとき、表現の可能性はさらに大きく広がる。本展では、複数の印刷会社による多彩な特殊加工が作品に施されていた。箔を貼った作品は一層豪華な印象を受けた、時間の経過で変化する作品、見る角度によって印象が変わるもの、その表現は実にさまざまだ。 印象的だったのは、作品と額が複数のアクリルで制作された作品「水没都市」。 あらかじめ模様のついたカスミアクリルという素材に、青系グラデーションを印刷する事で水面をイメージしたアクリルフレームにしたとの事。(藤ちょこイラスト展「祝彩巡礼」パンフレットより引用) イラストを描く人にとって、作品は完成した瞬間がゴールではない。紙や素材を選び、印刷方法を選び、加工を選ぶ。その一つひとつの選択が、作品を「見るもの」から「体験するもの」へと拡張していく。もし、いつか自分の作品を展示する日が来たなら──。作品をどう飾るかだけでなく、「どう輝かせるか」という視点も、ぜひ持ってほしい。 鏡になる作品|鑑賞者が作品へ取り込まれる体験 筆者が本展で一番衝撃を受けたのは、入口すぐに展示されていた作品「胡蝶の夢」である。 額装の中にはキャラクターが描かれているが、角度や時間の経過によってその姿は消え、鏡へと変化する仕掛けになっていた。 [caption id="attachment_29245" align="aligncenter" width="563"] 藤ちょこチェンジングプリント「胡蝶の夢」[/caption] [caption id="attachment_29246" align="aligncenter" width="563"] 時間が経過すると、キャラクターが消え、ミラーに変化する。[/caption] そこに映るのは作品の続きではなく、自分自身の姿である。 この瞬間、鑑賞者は「見る側」から「作品の中にいる側」へと立場を変えることになる。 イラストと鑑賞者の境界が曖昧になる、非常に象徴的な体験だった。 触覚によるイラストの拡張 さらに本展では、刺繍によって表現された作品にも触れることができた。 イラスト展示において作品に触れることができる機会は極めて少ない。 しかし本展では、触覚を通じて作品を理解するという新しい鑑賞方法が提示されていた。 糸の立体感や質感は、視覚だけでは伝わらない情報を補完し、作品世界の解像度をさらに高めていた。 画集『祝彩巡礼』|展示体験の“種明かし” 展示を見終えたあと、グッズ販売エリアで藤ちょこイラスト展「祝彩巡礼」パンフレットを手に取った。 このパンフレットは単なる展示作品が羅列された画集ではなく、特殊加工や制作工程に関する解説を含んだ構成となっている。 展示で感じた「なぜこの表現なのか」という疑問が、ページをめくるごとに言語化されていく。 展示体験の延長線上に“理解”が用意されている構造であり、作品への理解が一段階深まる内容だった。 イラストは“体験”へと拡張できる イラストは本来、視覚によって鑑賞されるものだ。 しかし『祝彩巡礼』は、その前提そのものを静かに拡張していた。 香りによって世界へ導かれ、特殊加工によって視覚体験が変化し、刺繍によって触覚へと広がり、鏡の仕掛けによって鑑賞者自身が作品へと取り込まれる。 そのすべてが連続したひとつの体験として設計されていた。 そして何より印象的だったのは、この展示が「イラストはどこまで拡張できるのか」という問いを提示していたことである。 イラストは、描いた瞬間が完成ではない。 紙、印刷、加工、空間。 それらの選択によって、作品はさらに豊かな体験へと育っていく。 『祝彩巡礼』は、美しいイラストを鑑賞する展示であると同時に、「作品はここまで体験へ拡張できる」という可能性を示してくれる展示だった。 だからこそ私は、この展示をイラストが好きな人だけでなく、これから作品を生み出すすべてのクリエイターに届けたい。   あなたの作品も、きっと“体験”へ拡張できる。       『藤ちょこイラスト展 -祝彩巡礼-』は既に終了しています。 《展覧会情報》 『藤ちょこイラスト展 -祝彩巡礼-』 ⽇程:2026年6月5日(金) 〜 6月28日(日) 時間:11:00 〜 20:00(最終入場19:30) 会場:西武渋谷店モヴィーダ館 6F 料⾦:入場券:1,000円(税込) 取材・撮影/PicoN!編集部 市村 [clink url="https://picon.fun/design/20260612/"] [clink url="https://picon.fun/design/20211004/"] [clink url="https://picon.fun/illustration/20240115/"]   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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香りが導き、質感が語る。五感で体験する藤ちょこイラスト展『祝彩巡礼』展示レポート

繊細な色彩設計と、背景まで緻密に描き込まれた世界観が魅力の藤ちょこ先生。その作品群が一堂に会した展示「祝彩巡礼」が、東京・渋谷の西武渋谷モヴィーダ館にて開催され、先日その幕を閉じた。 個展「#祝彩巡礼」の開催が決定しました✨ 3rd画集収録作品を中心に描き下ろしやサイン会もあります!よろしくお願いします! 会期:2026/6/5~6/28 会場:西武渋谷店モヴィーダ館6F ▶ https://t.co/ZDxTNgxMOh pic.twitter.com/0LPcl7onUY — 藤ちょこ@個展6/5~ (@fuzichoco) April 10, 2026   本展示は、2025年に刊行された画集『祝彩巡礼』の発売を記念して企画されたものであり、単なるイラスト展示にとどまらず、「作品を体験する」というコンセプトのもと構成されている。 本稿では、現地での体験をもとに、展示空間の設計や作品の見せ方、そして特殊加工によって藤ちょこ作品がどのように“体験として拡張されていたか”について記録する。     《アーティスト情報》 ■藤ちょこ fuzichoco イラストレーター 透明感あふれる色彩と、圧倒的な情報量を誇る緻密な世界観で国内外から高い支持を集める。書籍やゲーム、トレーディングカード、VTuber関連など幅広い分野で活躍し、その幻想的で物語性豊かな作品は、多くのクリエイターにも影響を与え続けている。 胡蝶の夢 pic.twitter.com/ytpn4m57JZ — 藤ちょこ@個展6/5~ (@fuzichoco) February 23, 2025 喧騒を抜けて、世界の入り口へ 訪れたのは展示最終日だった。 前日に台風が通過したにもかかわらず、渋谷の街は変わらず人の流れに満ちていた。濡れた路面に光が反射し、都市の喧騒だけがいつも通りの速度で流れている。 会場となる西武渋谷モヴィーダ館は、無印良品が入るビルとして知られるが、その上階に広がる展示空間は、日常の延長線上にありながらも、どこか異なる静けさを持っていた。 時間まで待つようスタッフからアナウンスがあり、待機列は少しずつ進んでいく。入り口のモチーフや、最初に目に飛び込んでくる大迫力の一枚絵、展示タイトルが印字された壁面の横に添えられた直筆サインが視界に入り、まだ会場に入っていないはずなのに、すでに世界の入口に立っているような高揚感が生まれていた。   鮮やかな色彩と緻密な描き込み|藤ちょこ作品が愛される理由 多数のキャラクターデザインを手掛けたイラストレーターとしても有名な藤ちょこ先生ですが、作品の魅力は、緻密に設定された世界観に他ならない。建築物、植物、光、水、空気といった要素が等しく描き込まれ、それらが一枚の画面の中で有機的に結びつくことで、「ひとつの世界」として成立している。 [caption id="attachment_29242" align="aligncenter" width="750"] 藤ちょこ特殊印刷アート「祝彩巡礼」[/caption] そのため鑑賞者の視線は一点に留まらず、画面全体を巡りながら作品の中を歩くような感覚を得ることになる。 これは単なるイラスト鑑賞ではなく、“世界を読む体験”に近い。 香りから始まる没入体験|五感で切り替わる展示空間 会場に足を踏み入れた瞬間、まず感じたのは香りだった。 [caption id="attachment_29243" align="aligncenter" width="750"] 入り口を潜るとふわりと優美な香りが包み込んでくれる[/caption] 上品でありながら過剰ではない香りが空間全体に広がり、外の世界と展示空間の境界が明確に切り替わる。 イラスト展示において嗅覚までを設計に取り込む試みは多くない。本展は空間そのものを作品として成立させていた。 展示だからこそ体験できる、特殊加工が生み出す作品の魅力 SNSや画集を通して、藤ちょこ先生の作品に触れたことがある人も多いだろう。画面越しでも、その鮮やかな色彩や緻密な描き込み、幻想的な世界観は十分に伝わってくる。しかし、本展で作品を前にした瞬間、その考えは大きく覆された。本展では、複数の印刷会社による多彩な特殊加工が作品に施されており、光を受けて表情を変えるもの、見る角度によって印象が変化するもの、質感によって空気感や奥行きを際立たせるものなど、印刷そのものが表現の一部として機能していた。 [caption id="attachment_29261" align="aligncenter" width="562"] 藤ちょこオーロラポスター「さいはての空、彼方の教室」[/caption] スマートフォンやパソコンの画面では、イラストはそれぞれのデバイス環境や閲覧状況に左右されながら鑑賞される。一方、展示では、作品は物質として確かな存在感を持ち、同じイラストでありながら受け取る印象は大きく異なる。光の反射や素材の質感によって、画面越しでは感じ取れなかった空気や奥行きが作品に宿る。その変化は写真では決して再現しきれず、実際にその場に足を運び、一定の距離を保ちながら見つめることで初めて成立する体験だった。 そしてこのひと作品において特に印象的だったのは、アナログ着彩によって生まれる透明感と、その筆致そのものである。デジタルで構築されたイメージに対して、重ねられた色の層やにじみ、わずかな揺らぎが加わることで、画面では見えなかった質感が立ち上がってくる。 [caption id="attachment_29260" align="aligncenter" width="563"] 藤ちょこ自然紋「福の神」[/caption] 何より惹かれたのは、その筆さばきである。線の流れ、塗りの方向、絵の具の重なりといった“描く行為そのもの”が、そのまま作品の一部として残されている。それらは画面越しでは決して気づくことのできない情報であり、会場に足を運び、その作品と同じ距離で向き合うからこそ初めて見えてくるものだ。デジタル表現に施された加工とはまた異なる次元で、このアナログ着彩そのものが、このひと作品の“完成形”を成立させていた。そして何より重要なのは、この体験そのものが「現地に足を運んだからこそ成立している」という点である。画面越しでも作品は十分に鑑賞できる。しかし、光の揺らぎや素材の質感、筆致の細部といった情報は、実物と対峙したときにしか立ち上がらない。この作品が示していたのは、イラストは見る場所によって完成形が変わるという事実だった。だからこそ、展示という場に足を運ぶ意味がある。そこには、画面では得られない“もう一段階上の作品体験”が確かに存在していた。 特殊加工で作品は更に輝く イラストを描き上げたら、それで完成だと思っていないだろうか。もちろん、一枚のイラストとして完成させることは作品づくりの大きなゴールだ。しかし、その作品を「どう届けるか」まで考えたとき、表現の可能性はさらに大きく広がる。本展では、複数の印刷会社による多彩な特殊加工が作品に施されていた。箔を貼った作品は一層豪華な印象を受けた、時間の経過で変化する作品、見る角度によって印象が変わるもの、その表現は実にさまざまだ。 印象的だったのは、作品と額が複数のアクリルで制作された作品「水没都市」。 あらかじめ模様のついたカスミアクリルという素材に、青系グラデーションを印刷する事で水面をイメージしたアクリルフレームにしたとの事。(藤ちょこイラスト展「祝彩巡礼」パンフレットより引用) イラストを描く人にとって、作品は完成した瞬間がゴールではない。紙や素材を選び、印刷方法を選び、加工を選ぶ。その一つひとつの選択が、作品を「見るもの」から「体験するもの」へと拡張していく。もし、いつか自分の作品を展示する日が来たなら──。作品をどう飾るかだけでなく、「どう輝かせるか」という視点も、ぜひ持ってほしい。 鏡になる作品|鑑賞者が作品へ取り込まれる体験 筆者が本展で一番衝撃を受けたのは、入口すぐに展示されていた作品「胡蝶の夢」である。 額装の中にはキャラクターが描かれているが、角度や時間の経過によってその姿は消え、鏡へと変化する仕掛けになっていた。 [caption id="attachment_29245" align="aligncenter" width="563"] 藤ちょこチェンジングプリント「胡蝶の夢」[/caption] [caption id="attachment_29246" align="aligncenter" width="563"] 時間が経過すると、キャラクターが消え、ミラーに変化する。[/caption] そこに映るのは作品の続きではなく、自分自身の姿である。 この瞬間、鑑賞者は「見る側」から「作品の中にいる側」へと立場を変えることになる。 イラストと鑑賞者の境界が曖昧になる、非常に象徴的な体験だった。 触覚によるイラストの拡張 さらに本展では、刺繍によって表現された作品にも触れることができた。 イラスト展示において作品に触れることができる機会は極めて少ない。 しかし本展では、触覚を通じて作品を理解するという新しい鑑賞方法が提示されていた。 糸の立体感や質感は、視覚だけでは伝わらない情報を補完し、作品世界の解像度をさらに高めていた。 画集『祝彩巡礼』|展示体験の“種明かし” 展示を見終えたあと、グッズ販売エリアで藤ちょこイラスト展「祝彩巡礼」パンフレットを手に取った。 このパンフレットは単なる展示作品が羅列された画集ではなく、特殊加工や制作工程に関する解説を含んだ構成となっている。 展示で感じた「なぜこの表現なのか」という疑問が、ページをめくるごとに言語化されていく。 展示体験の延長線上に“理解”が用意されている構造であり、作品への理解が一段階深まる内容だった。 イラストは“体験”へと拡張できる イラストは本来、視覚によって鑑賞されるものだ。 しかし『祝彩巡礼』は、その前提そのものを静かに拡張していた。 香りによって世界へ導かれ、特殊加工によって視覚体験が変化し、刺繍によって触覚へと広がり、鏡の仕掛けによって鑑賞者自身が作品へと取り込まれる。 そのすべてが連続したひとつの体験として設計されていた。 そして何より印象的だったのは、この展示が「イラストはどこまで拡張できるのか」という問いを提示していたことである。 イラストは、描いた瞬間が完成ではない。 紙、印刷、加工、空間。 それらの選択によって、作品はさらに豊かな体験へと育っていく。 『祝彩巡礼』は、美しいイラストを鑑賞する展示であると同時に、「作品はここまで体験へ拡張できる」という可能性を示してくれる展示だった。 だからこそ私は、この展示をイラストが好きな人だけでなく、これから作品を生み出すすべてのクリエイターに届けたい。   あなたの作品も、きっと“体験”へ拡張できる。       『藤ちょこイラスト展 -祝彩巡礼-』は既に終了しています。 《展覧会情報》 『藤ちょこイラスト展 -祝彩巡礼-』 ⽇程:2026年6月5日(金) 〜 6月28日(日) 時間:11:00 〜 20:00(最終入場19:30) 会場:西武渋谷店モヴィーダ館 6F 料⾦:入場券:1,000円(税込) 取材・撮影/PicoN!編集部 市村 [clink url="https://picon.fun/design/20260612/"] [clink url="https://picon.fun/design/20211004/"] [clink url="https://picon.fun/illustration/20240115/"]   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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お気に入りの一匹を探そう。『アニマル&モンスター かわいい・怖い・ちょっと変』展ではじめる浮世絵入門

浮世絵にはさまざまな動物や妖怪が登場する。ペットとして親しまれたネコやイヌ、不気味な姿で人々を恐れさせた鬼や土蜘蛛。さらには、擬人化された動物たちや、思わず笑みがこぼれるユーモラスなキャラクターまで、その表現は実に多彩だ。 太田記念美術館で開催中の「アニマル&モンスター」展では、「かわいい」「怖い」「ちょっと変」をキーワードに、浮世絵に描かれた個性豊かな動物や怪物たちを紹介。人気作品から新収蔵品として初公開される作品まで、約140点が展示されている。 今回は内覧会に参加し、浮世絵初心者でも楽しめる本展の魅力を、PicoN!学生編集部とともにレポートする。 原宿の太田記念美術館では明日6/23(火)より「アニマル&モンスター かわいい・怖い・ちょっと変」を開催いたします。前後期合わせて140点(前後期で全点展示替え)を展示。人気の作品から初出品の作品までお楽しみいただけます。詳しくは→https://t.co/A6pe89Spos pic.twitter.com/GxUZLHyzRg — 太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (@ukiyoeota) June 22, 2026     原宿の喧騒の先に佇む、浮世絵の時間 JR原宿駅の表参道口を出ると、多くの人々が行き交う原宿らしい賑わいが広がる。流行のショップには若者たちが集い、修学旅行で来たと思われる高校生や、国内外から訪れた観光客の姿も目立つ。次々と新しいトレンドが生まれるこの街は、今なおさまざまなカルチャーを発信し続ける場所のひとつだ。 そんな活気に満ちた駅前から数分歩き、表参道沿いの喧騒を離れて路地へ入ると、街の空気は少しずつ穏やかさを帯びていく。その先に静かに佇むのが太田記念美術館である。 1980年に開館した太田記念美術館は、東邦生命保険相互会社社長を務めた五代太田清藏が蒐集した浮世絵コレクションを基礎として設立された、国内でも数少ない浮世絵専門の美術館だ。現在は約15,000点のコレクションを有し、葛飾北斎や歌川広重、歌川国芳をはじめ、浮世絵の歴史を彩る数々の名品を所蔵している。 館内では収蔵作品を中心に多彩な企画展が開催されており、風景画や美人画、役者絵といった王道のテーマはもちろん、現代的な視点を取り入れたユニークな切り口の展示も人気を集めている。専門性の高い内容を扱いながらも、浮世絵に馴染みのない来館者でも楽しめる展示づくりが同館の大きな魅力だ。 現代カルチャーの発信地である原宿の一角で、江戸の人々が親しんだ大衆文化に触れる。時代こそ異なるものの、「流行」や「表現」を楽しむ人々の姿は今も昔も変わらない。そんな思いを胸に、今回の展示会場へと足を踏み入れた。   かわいい、怖い、ちょっと変。浮世絵のアニマル&モンスター大集合 浮世絵と聞いて、どんな作品を思い浮かべるだろうか。 葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》や歌川広重の名所絵など、有名な作品の名前は知っていても、「なんだか難しそう」「美術の知識がないと楽しめない」と感じている人も少なくないかもしれない。 そんな人にこそおすすめしたいのが、太田記念美術館で開催されている『アニマル&モンスター かわいい・怖い・ちょっと変』展だ。 本展の主役は、猫や狐、蛙といった動物たち、そして妖怪や鬼、龍などの怪物たち。浮世絵の中に描かれた個性豊かなキャラクターたちにスポットを当てた展覧会である。 会場を歩いていると、思わず笑ってしまうような表情の猫や、どこか人間らしい仕草を見せる動物たち、迫力満点の妖怪たちが次々と現れる。作品ごとに異なる物語やユーモアが込められており、浮世絵の知識がなくても自然と引き込まれていく。   可愛さあふれる動物や妖怪たち PicoN!学生編集部:今回の展覧会テーマは、「動物と妖怪」。学芸員の方は、可愛い・怖いだけでなく、ユーモラスに描かれている作品を多く集めたと語っていました。 個人的に好きだったのは、歌川芳虎の『神功皇后三韓征伐之御時韓兵計飢虎追放官軍猛禽投撃亦生捕帝覧備(じんぐうこうごうさんかんせいばつのおんときかんひょうはかってうえたる とらをはなつ かんぐんもうきんをなげうちまたはいけどりてていらんにそなふ)』という作品です。 [caption id="attachment_29198" align="aligncenter" width="750"] 歌川芳虎「神功皇后三韓征伐之御時韓兵計飢虎追放官軍猛禽投撃亦生捕帝覧備」[/caption] 多くの虎たちと兵が戦っているという殺伐とした場面を描いた武者絵のはずですが、大きな虎たちのもふもふしたお腹や肉球など、まるで猫を連想させるような可愛らしいポーズとのギャップが新鮮でした。ぜひ実際に足を運んで、虎たちの愛らしい「にこげ(柔らかい毛)」の質感を感じてみてほしいです。   擬人化された「人まねアニマル」 PicoN!学生編集部:浮世絵では、ネコやウサギ、タコといった動物たち、さらにはホオズキやカボチャのような植物までもが、まるで人間のような姿かたちに大変身しています。 [caption id="attachment_29153" align="aligncenter" width="750"] 歌川国芳「ほふづきづくし 八そふとび」[/caption]   なかでもネコは蕎麦屋やウナギ屋、 銭湯など、さまざまなお店でくつろいでいる姿がたくさん描かれています。 この章では、様々な動物が擬人化されて描かれている浮世絵を見ることができます。 歌川芳藤の「しん板猫のあきんどづくし」では、猫たちが人間さながらの姿になって、町でさまざまな商品を売り歩いています。 [caption id="attachment_29201" align="aligncenter" width="750"] 歌川芳藤『しん板猫のあきんどづくし』[/caption] 特に、シャボン玉売りに走り寄っていく子供の猫たちの姿は、可愛らしくて印象的でした。 小さな画面の中にたくさんの猫たちが描かれているので、よーく目を凝らしてみると新しい発見があったりします。ぜひ、お気に入りの一匹を見つけてみてください。 思わず「これなに?」と言いたくなる「ちょっと変」なキャラクター 浮世絵に描かれるのは誰もが知る動物や妖怪ばかりではありません。石から虎の手足と尻尾が生えた空想上の生き物である「虎子石」や、人間の顔をした人面魚、十二支が一つに合体した動物、 さらには、病気や薬、お金が人間の姿になったものなど、ヘンテコで不可解なキャラクターたちがさまざまに登場する。 [caption id="attachment_29157" align="aligncenter" width="519"] 落合芳幾「見立似たかきん魚」(前期)[/caption] 浮世絵師たちの豊かなイマジネーションが満載。 約5分の1が新収蔵品 太田記念美術館ではこれまで「浮世絵お化け屋敷」や「江戸にゃんこ 浮世絵ネコづくし」、「浮世絵動物園」など、動物や妖怪をテーマに展覧会を開催してきた。今回の展覧会では、これまで人気の高かった作品はもちろん、まだ紹介していない初お披露目の作品も多数展示されている。 [caption id="attachment_29158" align="aligncenter" width="504"] 歌川国芳「木曽街道六十九次之内 京都 鵺 大尾」※新収蔵品[/caption]   PicoN!学生編集部:「浮世絵」と聞くと少し難しそうなイメージがあり、あまり興味が湧かない学生も多いかと思います。しかし、カラフルで賑やかな錦絵には、現代の私たちにも通じるユーモアがたくさん散りばめられていました。今のアニメやゲーム作品でお馴染みの「擬人化」の手法や、イラスト・グラフィックデザインの参考になる秀逸な構図など、クリエイティブを学ぶ学生にとって刺激になる要素が盛りだくさんです。展示会場はコンパクトな造りで、気軽に鑑賞できるのも魅力です。しかし、一枚一枚の浮世絵に目を向けると、愛らしい動物やどこか憎めない妖怪など、個性豊かなキャラクターたちが画面のあちこちに描き込まれています。細部までじっくり眺めながらお気に入りの一匹、一体を探していると、気がつけば時間を忘れて見入ってしまいました。前期と後期で全点展示替えが予定されている本展覧会。後期にはどのような作品が並ぶのか、今からとても楽しみです。   『アニマル&モンスター かわいい・怖い・ちょっと変』は8月23日(日)まで 《展覧会情報》 『アニマル&モンスター かわいい・怖い・ちょっと変』 ⽇程:2026年6月23日(火)~8月23日(日)前期 6月23日(火)~7月20日(月・祝)後期 7月25日(土)~8月23日(日)※前後期で全点展示替え 時間:午前10時30分 ~ 午後5時30分(入館5時まで) 会場:太田記念美術館(〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-10-10) 料⾦:一般 1200円 大高生 800円 中学生(15歳)以下無料 取材協力:太田記念美術館 取材/PicoN!学生編集部 中澤 撮影/PicoN!編集部 市村   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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お金をかけずに感性を磨く -東京でアートを無料で楽しむ3つの方法-

「アートに興味はあるけれど、最近の美術館や博物館の展示は入場料が高すぎる!」と、感じている人もいることでしょう。しかし、東京には無料で質の高いアートやデザインに触れられる場所・機会が数多くあります。今回は、学生でも気軽に楽しめる「無料でアート」の楽しみ方を3つご紹介します。 1. 企業ギャラリーを巡る 企業が運営するギャラリーは、無料でありながら質の高い展示を開催している穴場スポットです。 SHISEIDO GALLERY 資生堂ギャラリーは1919年にオープンした、現存する日本で最古の画廊といわれています。途中、震災や戦争、建物の改築による中断を除き、「新しい美の発見と創造」に取り組み、日本の芸術文化の振興に寄与してきました。これまでに開催した展覧会は3,100回以上、資生堂ギャラリーを作品発表の場として、後に日本美術史に大きな足跡を残した作家も数多くいます。 1990年代からは、現代美術に主軸を定め、前衛性と純粋性を兼ね備えた同時代の表現を積極的に紹介しています。 2001年には、「東京銀座資生堂ビル」の地下1階にリニューアルオープンしました。 5mを超える天井高をもつ銀座地区で最大級の空間は、様ざまな表現を可能にする場として、海外の作家からも注目を集めています。(引用元:SHISEIDO GALLERY|資生堂ギャラリー) Ginza Graphic Gallery(ggg) ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ginza graphic gallery)は、グラフィックデザインの専門ギャラリーとして3つのgの頭文字から「スリー・ジー(ggg)」の愛称で親しまれています。1986年、グラフィックデザインと密接なかかわりを持つ大日本印刷株式会社は、文化活動の一環として、創業の地であり、画廊のメッカでもある銀座に、gggを設立し、展覧会やレクチャーの開催、gggBooks等の出版活動を継続し、多くの方々にグラフィックデザインの素晴らしさと出会う機会をご提供しています。(引用元:公式HPギンザ・グラフィック・ギャラリー) グラフィックデザインを学ぶ学生なら一度は訪れたいスポットです。ポスターや広告、タイポグラフィ、ブックデザインなど、国内外の優れたグラフィックデザインを紹介しています。レイアウトや文字の使い方、コンセプトの伝え方など、多くの発見があります。企業ギャラリーは展示替えの頻度も高いため、何度訪れても新しい刺激を得られるのが魅力です。筆者も学生の頃、授業終わりによく足を運んでいました。資生堂ギャラリーとギンザ・グラフィック・ギャラリーは徒歩3分と場所が近く、展示の開催期間が重なっている場合はハシゴすることもオススメです。 2. 街を歩いてパブリックアートを探す アートは展示室の中だけにあるものではありません。渋谷駅には、岡本太郎の『明日の神話』巨大壁画、東京駅周辺の丸の内仲通りには、国内外の作家による彫刻作品が点在しています。普段は通り過ぎてしまう場所も、作品を探しながら歩くと違った景色に見えてきます。パブリックアートの魅力は、誰でも自由に鑑賞できることです。通学や通勤の帰り道でも楽しめるため、「なぜここにこの作家の作品が置かれているのだろう」「周囲の環境とどんな関係があるのだろう」と考えながら鑑賞すると、作品の見え方も変わってきます。筆者は、友人と作品の題名当てゲームをしながらパブリックアートを楽しんでいます。一度も当たったことはありません。 3. 美術館の無料開放日を活用する 多くの美術館では入館料がかかりますが、実は無料で入館できる日が設けられています。例えば、国際博物館の日(5月18日)には国立近代美術館、国立西洋美術館、国立科学博物館などの常設展(コレクション展)が無料公開されます。また、東京都現代美術館、東京都美術館などは都民の日(10月1日)に無料で鑑賞できる展示が開催されることがあります。企画展は入館料が年々値上がり傾向ですが、常設展や所蔵作品展はまだまだリーズナブルな料金設定であることが多く、無料開放日を活用すれば名作を気軽に鑑賞できます。美術館の公式サイトやSNSで最新情報をチェックしておくと、お得にアートを楽しむチャンスを見逃さずに済みます。無料の日をきっかけに「一度行ってみたい!」と思っていた美術館に訪れてみませんか。 番外編  キャンパスメンバーズ制度を活用する 意外と知られていませんが、多くの大学や専門学校は「国立美術館キャンパスメンバーズ」に加盟しています。加盟校の学生は、学生証を提示することで国立美術館のコレクション展を無料で観覧できたり、企画展の料金が割引になったりします。例えば、 東京国立近代美術館 国立西洋美術館 国立新美術館 などで特典を利用できる場合があります。もし、自分の学校が加盟校であれば「美術館をお得に活用できる環境」が用意されていることになります。まずは学校の教務課・学生課、公式サイトの加盟校一覧などで確認してみましょう。(公式HP:国立美術館キャンパスメンバーズ) アートを楽しむために、必ずしもお金をかける必要はありません。お金をかけても絶対に良い作品と出会えるとも限りません。「企業ギャラリーを訪れる」「街中のアートを探してみる」「無料開放日に訪れる」「キャンパスメンバーズ制度を活用する」まずは、足を運ぶ機会を増やして良い作品との出会いのチャンスを増やすことで、きっと有料級の経験を得られますよ。 PicoN!編集部 武田 ↓関連記事はこちら [clink url="https://picon.fun/art/20260614/"] [clink url="https://picon.fun/art/20221025/"] ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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