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【ちょっとふしぎな日常のカタチ】イラストレーター Masakiさんの代表作『着ぐるみ家族』の魅力に迫る!【後編】展示振り返り&Masakiさんの原点インタビュースペシャル!

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“依頼される側”の社会人デザイナーが魅せる「四季を6倍楽しむ方法」_グループ展 「NEW NEW NEW WORLD!」レポ

日頃、依頼される側であるデザイナー6人によるグループ展「NEW NEW NEW WORLD!」にお邪魔してきました。 出展作家のお1人 グラフィックデザイナーの安村晋さんにお話を伺いました。   憧れを現実にするための第一歩 ーー今回のグループ展は、どんな経緯でスタートしたのですか? 何か特別な「この瞬間」があったわけではありません。就職してから展示やイベントに足を運ぶ中で、ずっと感じていたことがありました。自主制作をしている人たちが、すごくキラキラして見えたんです。楽しんで作ったものを自信を持って展示している姿を見て、「自分もやりたいな」と思うようになりました。とはいえ、インスタを始めても続かず、なかなかモチベーションが上がらない。デザインの友達とも「できないよね」と話していました。それである時、「じゃあグループ展をやろう」と思ったんです。というより、まず“締め切りを作ろう”と考えました。展示という場と日程を決め、そこに向かって制作すれば、自主制作ができるんじゃないかと。   ーー声をかけたきっかけは? 実はこのメンバーとは以前から「何人かでやろうよ」と話し、テーマまで決めたこともありました。でも、「いつ」「どこで」を決めきれず、そのまま流れてしまっていたんです。そこで今回は、先に日程と場所を決めてから改めて声をかけました。発起人として動くのは珍しく、少し勇気のいる挑戦でした。これまでも、デザイナーに限らず「何かやってみたい」と思っている友人たちとグループ展を重ねてきました。その中で、会場の借り方やスケジュールの組み方なども学び、今回も「なんとかできるかもしれない」と思えたんです。見る側としてギャラリーに行くことはあっても、いざ自分たちでやろうとすると、何から始めればいいのか誰も教えてくれない。初めての一人暮らしのように、やってみて初めて分かることが多いですよね。これまでは「箱」が用意された展示に参加することが多く、運営やディレクションは別の人が担っていました。だからこそ、会場を借りて一から組み立てる経験はとても大きいと感じています。 「ニューニューニューワールド」誕生。中堅クリエイターが“原点”に戻ってつくる世界 ――この展示のテーマを今回どのように決められました? 開催場所が決まり、「もし自主制作をやるなら何を作る?」という話を進めていくうちに見えてきた共通点は、「自分の世界観を形にしたい」という思い。半数はすでにイメージを持ち、残りはこれから探る段階でした。アイデアを少しずつ“こねる”中で、「世界を作る」という方向性にまとまっていきます。ただ「ワールド」では広すぎる。どうしようかと悩んだとき、あるメンバーがふと、「“ニューニューニューワールド”でいいんじゃない?」その瞬間、「これだ」と空気が動きました。 “ニューワールド”は想像しやすい。でも“ニュー”を3つ重ねると、途端にイメージできなくなる。だからこそ、どこまでも広げられる余白がある。それが面白いと思ったんです。 個人的には、3つの“NEW”に意味も重ねています。つくることが純粋に楽しかった頃の発見。もっと上手くなりたいと思った頃の発見。そして社会に出て、「こうやって作るんだ」と知った発見。 そのすべてを経た今、もう一度原点の感覚に立ち戻って世界をつくったらどうなるのか。そんな思いを持ち寄りながら、丁寧に話し合いを重ねていきました。盛り上がっても、そのまま公式コンセプトになるとは限らない——そんな“大人あるある”も含めて。 ――メンバー間の打ち合わせは基本オンラインですか? メンバーには遠方在住の人もいれば、子どもが生まれたばかりの人もいる。それぞれ生活が違うので、時間を合わせるのは簡単ではありませんでした。基本はZOOMで、月1回のミーティング。昨年9月にスタートし、「半年あれば形にできる」と走り出しました。でも大人にとっての半年は、本当にあっという間。最初の5か月でじっくり考え、最後の1か月で一気に仕上げる、という流れでした。その“熟成期間”があったからこそ、最後に力を出せたのだと思います。特に印象的だったのは、締め切り直前の“間に合わせ力”。限られた時間の中でやり方を決め、仕上げきる判断力。中には、案をすべて捨てて作り直し、2日で完成させた人もいました。決断力と実行力。経験があるからこそ発揮できる力が、今回の展示を支えていたと感じています。 ――参加した皆さんは、いわゆる中堅の立ち位置の方ですか? 立ち位置としては“中堅”。普段は調整役を任されることも多く、「できませんでした」が通用しない立場です。そうした責任感は自然と身についています。でも今回は、あえて調整役に徹しすぎず、自由に作れる場でもありました。中堅だからこそ、そのバランスを楽しめた気がします。若手中心の現場では、「本当は自分がやりたい」と思う瞬間もある。だからこそ今回のような機会は、自分の中にたまっていたものを発散できる場になったのかもしれません。メンバーの多くは、部下を抱える管理職というより、いまも自分の手を動かしている人たち。日々プロダクトなど実務に向き合っているからこそ、「いつもと同じ」は作りたくない。普段とは少し違うものを作りたい——その思いが、今回の制作の原動力になっていたのだと思います。 時間を「デザイン」する。二十四節気から生まれた仕組みのグラフィック ――今回の作品はどんな作品ですか? 身にまとう 今回は、一つのグラフィックを作るのではなく、“仕組み”をデザインしたいという思いから始まりました。大人になると時間が早く感じる。その理由の一つは、日々の「区切り」が減ることではないかと考えました。子どもの頃は行事ごとに季節が刻まれていたのに、今は気づけば数か月が過ぎている。ならば、意識的に区切りを増やせばいい。そこで着目したのが「二十四節気」です。1年を24に分け、季節の移ろいを細やかに示す暦。その一つひとつをグラフィック化し、時期ごとにスマートフォンへ届く仕組みにしました。 「立春」「雨水」「啓蟄」——言葉をきっかけに季節を探したくなる。大切なのは知識ではなく、体で感じること。体感があってこそ、時間の流れは変わると思うのです。 コロナ禍で、季節を感じないまま時間が過ぎた経験も、この発想につながっています。だからこそ、二十四節気の力を借りて、日々をもう少し長く、豊かに感じられるようにしたい。時間を「身にまとう」ように、季節を日常に取り戻す。それが、この作品の出発点です。 自主制作ですが、いずれは広げていきたいプロジェクト。だからこそ、強い“作家性”は出しすぎないほうがいいとも考えました。待ち受けとして使ってもらうものなので、「二十四節気」という仕組みに寄り添う表現を意識。図形的に構成し、できるだけ自分らしさを抑えたつもりでした。でも完成してみると、やはりどこか生き物のようなニュアンスや、少し茶目っ気がにじんでしまうんですよね(笑)。クライアントワークでは提案しない表現も、今回は「これも自分だ」と思って出せた。誰かの判断ではなく、自分が「好きだ」と思えるものを選べる自由がありました。普段は依頼主の世界観を読み取り、そこに寄り添って組み立てていく。でも今回は足がかりがない。だからまず、「自分は何が好きなんだろう?」と掘り起こすところから始めました。海外のデザイン集なども見ながら感覚を探りつつ、ただ真似るのではなく、自分の中で消化して近づけていく。そのプロセスがとてもよかった。最終的にOKを出すのは自分。だからこそ、とことんこだわることができました。 最初のキービジュアルは、わりと早い段階でできました。制作は11〜12月頃から。ただ、「これじゃない」と感じて手が止まり、そこから本格的にリサーチを始めました。自分の作品を自分で磨く作業は、大きな学びでした。「良くする」とは何かを、自分に問い続ける時間。今回は相談相手もいない。本当に、自分との対話でした。仕事の場合だと上司やクライアントが判断してくれる、という方も多いと思いますが、今回は頼れるのは自分だけ。だからこそ徹底的に調べました。本当にこれでいいのか、何度も考え直しました。日本の文様やその歴史を調べ、江戸時代の着物の構成も参考にしました。柄の途切れや流れの工夫、市松模様の使い方など、思い込みを覆す発見が多くありました。時間をかけて調べることで、表現は確実に変わる。予算も締め切りもない個人制作だからこそ、その深さまで掘り下げられたのだと思います。 ――うちは子どもがいるので、外には出ていました。とはいえ、「花見ができない」春は強く印象に残っています。近所の桜並木は例年なら人であふれるのに、あの年はほとんど誰もいなかった。その光景は、少なからず作品にも影響しています。学生たちの話を聞くと、社会人1年目でコロナ禍を経験した世代も多い。「いろいろ挑戦したい」時期に立ち止まらざるを得なかった。でもその時間があったからこそ、自分の“本当に好きなもの”を再発見できた、という声もよく聞きます。 制限があったからこそ、気づけたこともあったのかもしれません。考える時間が増え、失って初めて分かるものにも気づいた。当たり前だった日常やリズムが崩れ、働き方や時間の使い方を見直した人も多かったはずです。立ち止まる時間があったからこそ見えたものがある。あの時期は、そんな時間でもあったと感じています。 自分で決めるから乗り越えられる──仕事と展示準備のあいだで ーークライアントワークと自主制作の一番の違いは何ですか? 自主制作には締め切りがありません。それがいちばん大きな違いかもしれません。義務も目的もなく、やらなくても誰も困らない。それでも、やると確実に何かを得ている感覚がある。クライアントワークは締め切りがあり、対価もある。でもこちらは、お金を払ってでも続けたい時間です。単なる「経験」ではなく、お金では手に入らない何かを得ている気がしています。仕事は仕事で、好きなんです。提案し、自分の好きな方向性を差し込むこともできる。ただ、そこには常に“先方”がいる。一方で自主制作は、何をやってもいい状態から始まる。自由だからこそ、自分の「好き」がどこにあるのかがはっきり見えてくる。理由も義務もないのに、やってしまう。その時間自体が、自分にとって大きな意味を持っているのだと思います。   この投稿をInstagramで見る   安村シン / SHINWORKS(@shinworks_net)がシェアした投稿 ーーいまの表現につながっている原体験は? 振り返ると、子どもの頃はとにかくゲームが好きでした。制作をしていると、色使いや配置、イラストの描き方などに、どこかゲームっぽい表現が自然と出てくることがあります。意識はしていないけれど、原体験がにじみ出ているんだと思います。特に好きだったのは、任天堂のゲーム。兄と一緒にスーパーマリオブラザーズで遊び、RPGでは『MOTHER2』に夢中になりました。『MOTHER2』の言葉は、糸井重里さんが手がけています。あの独特のリズムを子どもの頃から浴びてきたことが、いまの自分の言葉感覚につながっている気がします。自由に作っているつもりでも、源泉はきっと同じ。好きだったものは、時間をかけて自分の“キャラクター”になり、いまの創作に静かに影響しているのだと思います。 ーーAIって、どういうタイミングで使っていますか? クリエイターの中には、AIを“敵”と捉える人もいます。でも、もう無くなることはない。だからこそ、排除ではなく「どう関わるか」を考えるべきだと思っています。僕にとってAIは、代わりに作る存在ではなく、思考を広げるパートナーです。アイデア出しや言語化の壁打ち、リサーチの入口、ラフ案の量産など、「思考を加速させる装置」として使っています。一度AIに一気に出してもらい、そこから自分が整える。足りない部分を見つけて、磨いていく。この工程がとても重要です。文章でもロゴでも同じです。短納期の案件で大量に案を出し、その中から“種”を見つけて発展させる。かなりの時短にもなりますし、自分では思いつかない視点に出会えることもある。ただ、最後に決めるのは人間です。「これはいい」と見出し、整え、価値にする。その役割は変わらない。AIが敵になるかどうかは、主導権を握れるかどうか。僕にとっては、可能性を拡張する“右腕”のような存在です。 ーー普段の仕事をしながら展示準備を進めるのは、大変でしたか? 締め切りが重なると、正直きついです。夜遅くに仕事が終わって、「ここから展示準備か…」という日もありました。やっている最中は後悔するのに、終わると「やってよかった」と思える。この感覚は何度も経験しているので、つらさは一時的だとわかっている。しかも自分で「やる」と決めたことだから、踏ん張れるんです。独立して強く感じるのは、「自分で決める」ほど人生は濃くなるということ。指示通りに動くだけの状態が、僕は怖い。仕事も自主制作も、最終的にどう動くかを決めているのは自分です。スケジュールも状況に合わせて組み替える。飛び込み案件はヒヤッとしますけどね。展示準備では、完璧を目指しすぎないことも学びました。120点でなくてもいい。世に出すことのほうが大事。そして展示は、完成がゴールではありません。目の前で誰かが見て、感想をくれる。その瞬間に立ち会える。普段の仕事ではなかなか得られない実感です。誰かが足を運んでくれる。その事実だけで、「やってよかった」と思えるんです。 表層美から構造へ。AI時代に挑む、次のデザイン ーーデザインを勉強したい!と思ったきっかけを教えてください。 中学一年生のころに、親が持っていたパソコンを使って、姉と兄と一緒に「ホームページ」を作りました。そのWebサイトの管理人として、それから更新作業などを担当することになったのですが、そこで季節ごとに背景を変えたりして、デザインの原体験をしました。 ーー専門学校日本デザイナー学院を選んだ理由は? 僕は大学を卒業した後、デザイナーとして就職を目指すためにデザインの専門学校を探し始めました。まず、年数としては2年制で、短い期間で就職まで行きたいという思いがありました。これは焦りもありました。同期の周りがどんどん就職していく中で、自分はまだ就職ができない。ひとりだけ就職できない、みたいな状態だったので、3年・4年と就職が後ろになるのは避けたいと。そういった中で専門学校を探していたのですが、1つは「渋谷」という土地に惹かれたことでした。 惹かれたといっても、自分自身はどちらかというと苦手意識のある街で、若者の街といったイメージでした。僕自身、そういった若者文化にどっぷり浸かるみたいなことがあまりなく、それを端から見ているようなことが多かったのですが、デザインを学ぶことを考えたときには、情報の先端に触れていたほうが良いと思いました。その点でいくと、渋谷という街をちょっと恐れているとか怖がるというのはあまり良くない。むしろそれを迎えに行くくらいのほうがプラスに働くのではないかなと思いました。そして見学に行ったのですが、その時に卒業生の先輩方の実績のレベルの高さといいますか、輝かしい功績みたいなものを拝見して、そこに夢というか希望というか、そういったものを感じました。これが2つ目です。 3つ目は、その時に対応してくださった職員の説明に、とても熱があったことでした。話してくださる内容ももちろんそうでしたし、紙に向かってテキストを書いてくれたのですが、説明をするときに対面で書いているのに、こちら側が読めるようにひっくり返して文字を書いて説明してくれていたのがとても印象的で。こんなに熱量のある職員の方が支えている学校というのはとても面白そうだなと感じました。 最後に決め手となったのが、私が入学した学科の存在でした。渋谷にある企業とのコラボレーションにより、実践の中で企画からデザインまでを学ぶ、というコンセプトが刺さりました。 「デザインというものは課題解決だ」というようなことを、図書館で読んだデザイン本などで聞きかじっていた当時の私は、企業の実際の悩みに対してデザインを作れる機会が多いということが、とても魅力的に感じました。「はやく就職がしたい」という一番の悩みを考えたとき、就職で必要な「ポートフォリオ」作りにも直結する。ここで学んで、デザイナーとして社会に出るぞ!と決めました。 ーー印象に残っている授業や課題は? いくつかありますが、佐藤先生という方のある日の授業で「パッケージデザイナーさんの展示に行こう」という回がありました。そこで大手有名ブランドや商品に携わってきた方々の作品を観て、ご本人が在廊していたので会話もさせていただいたことが印象的な授業です。当時、広告デザイナーの世界のイメージが「忙しくて、スルドイ」という印象だったのですが、こんなに雰囲気の柔らかい方々が、高度なデザインを生み出しているのか、と。その後には、フリーペーパーの取材でインタビューまでさせて頂くなど、パッケージデザインの世界にどんどん惹かれていくきっかけともなりました。(のちに本当にパッケージデザイン会社に就職できたのだから、人生は何が起きるかわかりませんね!) ーー学生時代にやっておいて良かったことは? 二つあります。自主制作と、部活に入ったこと。自主制作は、私はなかなか一人だとデザインが作れないのですが、「依頼を受けて人の名刺を作る」などの機会があれば、率先して手を挙げるようにしていました。そこに金銭が発生しようとしまいと、「就職」というひとつのゴールに向かって間違いなく一歩進めるはずだ、と考えていました。なので、昔の友人からの依頼や、写真校の方の名刺など、様々な機会に挑戦しました。やはり初心者なので、自分も相手も心地よいと感じるデザインを作るのは簡単ではなかったのですが、もがきながらなんとかやっていました。最終的には、それらがポートフォリオに載ることはなかったのですが、実践経験の中で磨かれていくタイプのスキルがあると思っているので、短い期間でレベルアップできたなと思います。 もう一つは部活動。当時、二年生の就職が決まったあとにラウンジでだらだらしていたら、どういう経緯か忘れたのですが、(当時)軽音部の人が声を掛けてくれて、高校生の頃にバンドをしていた、と話したところ「ライブ出る?」と誘ってもらえて、卒業ライブの一バンドに混ぜていただきました。急に現れた、いきなり卒業する部員にも関わらず、みんなすごく受け入れてくれて、一気に学科と学年を越えた友人が増えて、とても嬉しかったのを覚えています。大学を出てから就職するまでは、趣味のゲームもなるべく我慢して2年間頑張る!と思っていたので、解放感、うれしさもひとしお。いまでもその時の軽音部の人たちがバンドを続けていたりするので、いまでも観に行ったり、演奏に混ぜてもらっています。 ーー日デを卒業されてすぐはどんなデザインをされてましたか? 卒業してすぐは、実はデザイナーという職業ではなく、オペレーターという職業でパッケージデザイン会社に入社しました。これは、デザイナーやディレクターが指示する内容を、手書きラフをもとにデータ化を担当するという仕事でした。フォーマットが決まっているシリーズの横展開、新しい商品の名前を入れたり、柄を作ったり。作ったデータが実際に店舗に並ぶのを楽しみに、1年半ほど過ごしたのちに、デザイン部門に異動となりました。 ーー就職活動で苦労したことは? 行きたい会社がわからない……という期間が一番悩みました。大手には応募してみるものの、まったく採用とはならず。悶々としているうちに、NDSの就職相談に通い、見つけていただいたところに就職が決まりました。 ーーフリーランスとして独立されて、今はどのようなデザインをされてますか? ブランド作りのブランディング・デザイン、強みと打ち出し方を整理するリブランディングのデザインを主な軸として、企業やサービスの「なにをどう伝えるか?」の整理整頓と世界観作りをしています。アウトプット先は依頼により幅広くて、CI、VIなどのロゴデザイン関係や、様々な場面で共通で使われる「キービジュアル」の作成、Webやパンフレット、書籍の装丁、時には制服、オフィスやトラックの外装、神社のお守りや御朱印など、本当に様々。様々な専門性を持つクリエイターさん方と協業したりして、困りごとがあれば解決方法を一緒に考えるスタイルで仕事をしています。 |安村さんの手掛けられた神社のお守りや御朱印を特集したPicoN!記事 [clink url="https://picon.fun/design/20220629/"] ーーこれから挑戦したいことは? ひとつは、現在も「デザイン」の枠を超えて、言葉を作る「コピーライティング」も仕事として行うようになっているのですが、今後さらに、表層美をつくる意味での「デザイン」から、仕組みや構造をつくる「デザイン」にシフトしていきたいと思っています。今回の展示で挑戦した制作物もそのうちの一つだったりするのですが、AIの発展も目覚ましい昨今、いままでと同じ場所に留まり続けるよりも、新しくて面白そうで、そしてよりよい未来を感じる方向性に向かって進んでいきたいなと。もう一つは、今はひとりデザイン会社なのですが、社員を雇えるように体制を整えて、外部の方ともチームを組み、大きな輪のなかへ自分を持って行きたいなと思っています。 ーー今、何をしておくといいと思いますか? まだデザイナーじゃない、ということでしたら、やはり自主制作。大手有名企業の場合は分かりませんが、中小の企業が面接で見たいのは、スキルのほか「人柄」と「熱意」だと思います。「おおー自主制作でこんなものを。どうして?」と聞きたくなりますし、その会話を通じて自分の会社にいる人達とも雰囲気が合いそうだな、と見ているようでした。あとは、好きなことに打ち込むこと。オススメです。「何かを頑張る」というスキルは、じつは何にでも応用できます。そして打ち込んでると、当たり前ですが、楽しい。お得です! ーーデザインを学ぼうと考えている入学検討者に向けて、メッセージをください。 デザイナーになって10年ほど経ちますが、いまでも「デザインが作れるってうらやましい!」とめちゃめちゃ言われます。AIでポン出しでデザインができる!みたいな手法も含めて、どんなツールを使ってもいいと思うのですが、「あったらいいな」を「形にできる」のは素晴らしいことです。僕は、大学を出ても就職ができず、デザイナーとしても就職できず、と残念続きの20代でしたが、チャンスにしがみついていたら何とかなりました。これはたくさんの人に助けられた末のラッキーですが、めちゃエリートじゃなくても、何とか楽しいデザインはできています。   安村さんありがとうございました! ■Profile 安村 晋(やすむら しん)/ クリエイティブディレクター・デザイナー (SHINWORKS Inc.) 1988年生まれ、東京都出身。青山のデザイン会社に勤務後、2018年に独立。2022年に法人化し「SHINWORKS Inc.」を設立。ブランディング・デザインを主軸に業界を問わず、VIの策定・実装からWEB制作、パッケージや装丁まで生活者の接点となり企業やサービスの顔となるデザインを得意とする。 取材協力:SHINWORKS Inc. PicoN!編集部 市村 ↓PicoN!アプリインストールはこちら

デザイン

マンガ連載~第51話~ 「左手デバイス」編

イラスト制作を効率化したい人必見! ペンを持っていないほうの手(右利きなら左手)を有効活用すれば、作画のスピードや集中力が上がるかも。「左手デバイス」を購入するとそれなりのお金がかかりますが、きっとあなたももっている「アレ」で代用できる可能性も?  作・藤田岳生(NDSマンガ講師)   作・藤田岳生 マンガ・イラスト関係の専門学校を卒業後、マンガ作家のアシスタント業に就く。さまざまな作家さんの現場を渡り歩き、経験を積む。その後、イタリアのマンガ学校「LUCCA MANGA SCHOOL」の目に留まり、24歳での短期単身渡伊をはじめとして、幾度か現地の方を対象としたレッスンを行う。Web系など絵を描き始める方に向けての指導をはじめ多方面で活躍中。 Instagram ≫藤田先生の過去記事一覧   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

マンガ

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【展示レポ】“イメージの釣り人”ロベール・ドアノー 写真展『Robert Doisneau』東京・虎ノ門「art cruise gallery」で開催!

“イメージの釣り人”とも評される類まれな洞察力で日常の小さなドラマをとらえ、“ドアノー劇場”とでもいうべき独自の世界を生み出し写真史上に大きな足跡を残したフランスの国民的写真家ロベール・ドアノーの写真展が、東京・虎ノ門にある株式会社ベイクルーズが運営するアートギャラリー「art cruise gallery by Baycrew’s」にて、2026年1月30日(金)より開催されました。 フランスの国民的写真家 ロベール・ドアノー 写真を学んでいる者であれば、一度はロベール・ドアノーの作品を見た事があるのではないでしょうか。 有名な作品は、「パリ市庁舎前のキス」。東京都写真美術館の入口に続く通路の壁面に大きく張り出されているモノクロの3作品の内、1作品が本作です。(他、2点は、ロバート・キャパ「オマハ・ビーチ、コルヴィユ・シュル・メール付近、ノルマンディー海岸、1944年6月6日、Dディに上陸するアメリカ軍 」1944、植田正治「妻のいる砂丘風景(Ⅲ)」1950頃)   ロベール・ドアノー(Robert Doisneau)は、パリとそこで暮らす人々の日常をとらえた著名なフランスの写真家です。 パリの美術学校エコール・エスティエンヌで石版印刷を学び、広告会社で勤務したのち、写真家アンドレ・ヴィニョーの助手となります。その後、自動車メーカー・ルノー社でカメラマンとして勤務し、工場・労働員・完成品・試乗・コマーシャル写真を撮影。1939年よりフリーとして活動を開始。1949年から51年まで『ヴォーグ』誌の契約カメラマンとして、ファッション写真や社交界を撮影。パリを中心に庶⺠の日常をとらえた写真で高い評価を得、現在でも世界中で愛され続けています。 アートとファッションが交差する場。「art cruise gallery by Baycrew’s」 会場は、東京・虎ノ門駅から直通、虎ノ門ヒルズ ステーションタワー3階の〈art cruise gallery by Baycrew’s(アートクルーズギャラリー バイ ベイクルーズ)〉です。 JOURNAL STANDARD、IÉNA、 Deuxième Classeなどのセレクトショップを展開してきた株式会社ベイクルーズが、新業態として“ライフスタイルの中でいずれも必要不可欠である、アートとファッションが交差する場”として、2024年2月にオープンしました。オープンから、葛飾北斎、マーティン・パー、本城直季など、ジャンルレスな企画展を開催されています。本展が第11回目の企画となります。 ステーションタワー内の3階へ続くエスカレーターを上がると、ギャラリーの看板が迎えてくれます。矢印の方向に進むと、ギャラリーの入り口に辿り着きます。 アトリエ・ロベール・ドアノー全面協力、精選された約40点を展示。 本展はドアノーの遺族が創設したアトリエ・ロベール・ドアノーの全面協力のもと、その代名詞とも言えるパリを舞台にした作品はもとより、写真家の原点でもあるパリ郊外、時代を彩った芸術家たちの肖像、子どもたちなど、アトリエが所蔵するモダンプリントから精選された約40点が展示されています。 会場は、L字型の壁面で区切られており、ドアノーが撮影した作品が展示されていました。ドアノーの作品は「特別な何か」ではなく、フランスの日常の中にある風景、群衆の中にある小さな出来事を切り取ったもの。しかし、完全なるスナップではなく、いわゆる〝作り〟で必要に応じて演出も使っていたのは有名ですね。「パリ市庁舎前のキス」もその一つです。 本展のクリエイティブディレクターを務めたnano/nano graphics代表のおおうちおさむ氏に本展のこだわりを伺いました。 nano/nano graphics 代表取締役 おおうちおさむ Osamu Ouchi 1971年生まれ。多摩美術大学美術学部グラフィックデザイン学科卒、東京在住。(故)田中一光に師事し、無印良品、資生堂、ISSEY MIYAKE、サルヴァトーレ・フェラガモ生誕100周年プロジェクトなどのポスター・グラフィック・空間デザインなどを手がけており、時代の象徴的になる制作を数多く生み出している。2003年に有限会社ナノナノグラフィックスを設立。グラフィックからスペースデザインまで幅広い活動を行う。長野県松本市にて自身で立ち上げた「マツモト建築芸術祭」の総合プロデューサーを務め、この先も毎年冬に開催予定。 <引用元:art cruise gallery by baycrew’s Director Page> ドアノーの生い立ちが壁面の配色のヒント ー壁面がゴールドとホワイトのバイカラーになっていますが、何故この配色にされたのですか? どこかで見れない良さを出したかったんです。作品を展示する背景の壁面の色って、作品の印象を大きく左右しますよね。あえてそれを積極的にやっています。今までも、ドアノーの作品を金色の壁面で展示した方はいないんじゃないかなと思います。 ドアノーってフランスの貧民街の出身なんですよ。パリは当時、厳格な身分制度が存在していました。街の中心には、華やかなお金持ちの生活があって、城壁を隔てて、その外は貧しい人たちが暮らしていると言う時代。ドアノーはどちらかというと、その城壁の外の出身。そこで石版を学び、一生懸命働きながらカメラを手に入れて、写真家になっていく。どんなに有名になっても、ドアノーの写真には、どこか貧しさが漂っている。彼の写真って、例えばピカソを撮影しても、少し貧しい感じがする。その貧しさに対して、ちょっとラグジュアリーの象徴として、コントラストで金を使っています。金色の前に、貧しさと逞しさが滲み出る写真が乗るっていうこの関係性がすごい良くて。 当時のフランスの光と影を表現した空間構成 ー空間デザインでこだわられた点を教えてください。 中央の通路だけを金の壁面にしたんです。これがですね、お金持ちが暮らす煌びやかな街という表現で、パリの市街の写真を配置しています。輝く華やかな通りを抜けると、白い壁面で、それが城壁の外という事で、郊外で撮影された作品を展示しています。 一区画はアーティストを撮影した作品のみを展示したスペースになっています。 これまで本展を含めて、11の展示を企画してきましたが、壁面は今回も使用しているL字型のものを5個のみで毎回展開しています。組み方、並べ方を変えて構成しています。それで教示張りを変えて色も丸ごと変えて少ない要素でどんだけ変化がつけられるかっていうチャレンジをしています。 古典にコンテンポリー的な向き合い方を ー今回の展示をロベール・ドアノーを選定した理由を教えてください。 本展は、このギャラリーの第11回の企画なんです。なぜドアノーにしたかというと、これまでの流れが関係しています。ドアノーの前の第10回が作家・村松英俊さんによるモノや道具など既製品の一部分を大理石などの石に置き換えた作品、第9回が、美術家・宇佐美雅浩さんの各地の人々や、その人物にまつわる文化や背景を仏教絵画の「曼荼羅」のように一枚の写真に収める「Manda-la」シリーズ。第8回が、アーティスト・シシヤマザキの身体性と哲学を通して生み出された、多様なメディウムによる作品群をまとめたもの。第7回が、2度目の葛飾北斎。第6回がアートユニットの米谷健 + ジュリアの代表作、ウランガラスを用いたシャンデリアのインスタレーション『クリスタルパレス: 万原子力発電国産業製作品大博覧会』の展示をしました。オモシロイのが、一点一点に原発保有国の名前がつけられており、作品のサイズは、その国の原発からつくり出される電力の総出力規模に比例しています。無害のウランガラスを使って、イデオロギーを伝えるためじゃなくて、ファクトとして作品にする人たち。その流れの中で、ウランガラスが来て、北斎が来て、写真が来て、大理石が来て、次に何を繋げようと思った時に、最適だと思ったのが、ドアノーだったんです。 古いものを石に戻す。その逆の発想を次に持ってきたいと思っていて、古いプリントを今の見え方に引き上げるというコンセプトにしました。 今の日本って“守る事”って“仕舞う事”になってしまっていますよね大事に大事に。本当に時代を超えて作品を残す為には、その時代時代に合わせたコンテンポラリーに引き上げとかなきゃいけないと思っています。だから、古いものを、今の現代アーティストと肩を並べるような向き合い方を、今の人にしてもらえるような場を作っていくっていうのはすごく面白くて。 ドアノーって写真で言えば、古典だと思っていて、古典にコンテンポリー的な向き合い方をしてもらいたいと思っています。ドアノー関連の仕事は過去にもたくさん機会をいただいているし、財団とのご縁もあり、今回、展示にご協力いただいている株式会社コンタクトの佐藤正子さんとも昔からのお付き合いがあったのも大きくて、そこで今回はドアノーにしようと決定しました。 株式会社コンタクトの佐藤正子氏に、プリントについて伺いました。 ープリントがとても綺麗ですが、今回のプリントは展示のために焼いたものですか?展示用に焼いたものでは、ありません。ただ、ドアノーは仕事で写真を撮っていたため、多くは印刷の見本用で、六つ切りくらいのプリントが多かったんですね。その後、アーティストとして展示する機会が増えたことで大きいプリントが増えていきました。ドアノーのプリンターがまだ存命なので、必要な場合はその方にお願いできています。 特に、昔の銀塩モノクロプリントは長い年月が経っても見栄えが劣化しにくく、古さを感じさせないことも影響しているかもしれませんね。 今回はこれまで写真集や展示にあまり出たことがない作品も展示していますので、今までにドアノーの展示を見られていらしゃる方にも楽しんでいただけると思います。   パリは時間の浪費がチケットの代わりになる劇場だ。 ー ロベール・ドアノー 今にも物語が始まりそうなドアノーの作品たちをぜひ観に行かれてはいかがでしょうか。 『ロベール・ドアノー「Robert Doisneau」』は4月12日(日)まで   《展覧会情報》 『ロベール・ドアノー「Robert Doisneau」』 会期:2026.1.30(金)-2026.4.12(日) 時間: 11:00-20:00(19:30Last entry) 会場:art cruise gallery by baycrew’s(アートクルーズギャラリー バイベイクルーズ) 料金:無料 公式ホームページ 取材協力:株式会社ベイクルーズ 取材/PicoN!編集部 市村 撮影/内山慎也   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

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映像表現の可能性をひらく。映像とアートの国際フェスティヴァル「恵比寿映像祭2026」【展示レポ】

映像文化とアートの現在を横断的に紹介する国際フェスティヴァル「恵比寿映像祭2026」が、2026年2月6日(金)からスタート!メディア向け内覧会にお邪魔し、その見どころをいち早くご紹介します。 『恵比寿映像祭2026 「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」』展レポート 恵比寿映像祭は、2009年の第1回開催以来、年に一度恵比寿の地で、展示、上映、ライヴ・パフォーマンス、トーク・セッションなどを複合的に行ってきた映像とアートの国際フェスティヴァルです。映像分野における創造活動の活性化と、映像表現やメディアの発展をいかに育み、継承していくかという課題について広く共有する場となることを目指してきました。 恵比寿の街全体が映像祭一色になる16日間 メインの会場は、東京都写真美術館。 JR恵比寿駅東口から動く通路・恵比寿スカイウォークを進んでいくと、恵比寿ガーデンプレイスに到着します。風を受けて靡く恵比寿映像祭の中吊り広告が、徐々に映像祭の世界へと誘います。 今年のテーマは「あなたの音に|日花聲音| Polyphonic Voices Bathed in Sunlight 」 いま社会は多様性の尊重を重視しています。しかし、人、文化や言語などの間にはたとえ共通点があったとしても、誤解、誤読は生じます。そして、戦争は止まず、格差は埋まらず、さまざまな摩擦の終わりが見えません。私たちはアンバランスで複雑な社会状況に直面しています。 恵比寿映像祭2026の総合テーマは、メインキュレーター・邱于瑄(チィウ・ユーシュェン)氏による台湾語が起点です。 台湾語は口承で広がった言語で、19世紀に生まれた発音記号や、20世紀の漢字表記の展開を経て、多くの文献が編まれました(その中には1931年に出版された、台湾語–日本語の辞書『台日大辞典』なども含まれます)。日本語とも共通点が多く、いくつかの表記法が混在している言語です。 「日花聲音」と書いて、(ジッホエ・シアーイン)と読みます。さまざまな声や音が響く空間に、木々の間から洩れた光が差し込む様子を現されています。多様な文化、言語などが互いに影響し合うという意味が込められています。 一口に「映像祭」と言っても、受付でいただいた冊子によると、出展作品は、映像、写真、サウンド、立体アート、アプリなどのデバイスを活用した新しい表現方法、パフォーマンス、演劇など、その表現方法は多岐に渡ります。 各階をキュレーターの方に解説していきながら巡りました。東京都写真美術館の全フロアに展示があり、今回は、B1Fからスタートし、1F、2Fの順で進んで行きました。構成としても、この順で巡ってもらうのがオススメだと感じました。 「 重なり合う形と声:空間で触れる展示プログラム」 (会場:東京都写真美術館 B1F・1F・2F) 写真、映像、サウンド、パフォーマンスなど多様なメディアを横断し、人類学的な視点から「声」「環境」「記憶」「誤読」をテーマに展開する展示プログラム。長い歴史の中で交差してきた人や文化の往来を手がかりに、混ざり合う環境に潜む“聞こえにくい声”の広がりを可視化します。 B1Fでは“移動”を起点にしたサウンドスケープが広がります。 [caption id="attachment_28099" align="alignnone" width="750"] 撮影:新井孝明[/caption] B1Fの入り口を入ると、台湾原住民族のルーツを持つ張恩滿氏(チャン・エンマン)による船形のインスタレーション作品《蝸牛樂園三部曲—啟航或終章》が迎えてくれます。カタツムリをモチーフに異なる土地を渡り定着してきた生き物の記憶と、変化し続ける環境のなかで未来へと受け継がれる姿を表現しています。 視覚障害のある人々への聞き取りを通して先入観や誤解というズレを手がかりに、「見ること」を問い直す鶴巻育子氏によるプロジェクト《ALT》の3部作の内、2部作が展示されています。 作家さん自ら展示作品をご紹介いただきました。 《ALT》は、オルタナイトの略で、「他の可能性」や、「代替の」と言った意味のあるタイトルなのですが、3部作になっていて、内、セクション1と2を展示しています。 セクション1のモニターに投影されているのは、31人の視覚障害の方のポートレートです。私自身、取材を始める前までは誤解をしていたのですが、視覚障害のある方は、自由に外を歩いたり、好きなことができないのではないかと、思い込んでしまっていたのです。しかし実際は決してそんなことはなく、違う方法を工夫したり、人の力を借りながら、本当に自由に生活されていることを知りました。この31名の方々には、ご自身で好きな場所を選んでいただき、その場所でを撮影し、お話を伺っています。撮影場所はさまざまですが、この作品を通して問いかけているのは、「自分のすぐ近くにも、知らないうちに視覚障害のある方や、別の障害を持つ方、自分とは違う条件の人がいるのではないか」ということです。セクション1のタイトルは、「隣りにいる人」。その存在に目を向けてもらうためのタイトルです。 壁面に展示してあるセクション2は、「※写真はイメージです」よくパッケージなどに記載してある文言で見慣れた文字かと思います。 視覚障害の方に、見え方を伺いました。 視覚障害というと、=全盲のイメージですが、決してそうではなく、見えづらさも人様々で、それを聞いて、作品にしました。写真の横に記載している文章が、視覚障害の方から伺った見え方をそのまま記載しています。すごく複雑な見え方をしているので、言葉では正確にできないんですね。その時点で、私が聞いてもやっぱり本当にその方が見えている状態ってわからないんですよね。恐らく一生分からないと思うんです。なのでこれは、正解ではないというのが前提で作った作品になります。 ここでは、相手を分かったつもりになったり、理解し合うとか、そうゆう事を考えがちですが、やっぱり人と人って理解し合えそうで、なかなかできない。理解し合うの前に、自分と違う人がいるってことを知るって言うこと。そこが大事という思いをこの作品に込めています。   フロアの移動は、ついついエレベーターを利用しがちだが、オススメは階段移動。 次の展示室を目指して階段を上がっていくと、今回の映像祭で特別に取り付けたであろうスピーカーから、サウンド作品の音が流れ、移動の階段すらも、楽しめる仕掛けになっています。   2F展示室では、言語や社会のルールを再考しながら「ズレ」や「誤解」から生まれる表現の可能性を探ります。展示室内外に響く形なき音が、視覚と聴覚のポリフォニーを立ち上げ、異なる文化や言語、身体のあいだに生まれる共鳴を体感させます。 侯怡亭氏(ホウ・イーティン)《所有的小姐 Sóo-ū -ê sió-tsiá》では、日本文化の影響を受けた台湾語の歌詞を刺繍として表現し、言語の背景にある歴史や社会の記憶を浮かび上がらせる内容になっています。 [caption id="attachment_28106" align="aligncenter" width="750"] 撮影:新井孝明[/caption]   チョン・ソジョン氏の《シンコペ》は、音の新たな可能性を求めて長年活動してきたアジアの女性たちが国境を越えて移動する姿を追った作品。 本作に登場するデジタル植物をARで楽しめるアプリも、ステートメントに記載されているQRコードからダウンロードできるようになっています。 新しい才能と出会う「コミッション・プロジェクト」(会場:東京都写真美術館 3F展示室) 東京都写真美術館の継続事業として、2023年に始動した「コミッション・プロジェクト」。日本を拠点に活動するアーティストを選出し、制作委嘱した映像作品を“新たな恵比寿映像祭”の成果として発表します。 恵比寿映像祭2026では、第2回コミッション・プロジェクト特別賞受賞作家である小森はるかによる新作展示を、総合テーマと呼応させながら具現化。ドキュメンタリーの歴史を受け継ぎながら、見過ごされてしまう風景や人の営みに丁寧に目を向ける小森の、新作2作品を展示します。会期中には第3回コミッション・プロジェクトのファイナリスト4名を発表します。 東京都のコレクションを特別公開(会場:東京都写真美術館 3F展示室) 東京都コレクションから、総合テーマ「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」を紐解く視点として、「現代と歴史」を切り口に作品をセレクト。東京都写真美術館をはじめ、東京都現代美術館、東京都庭園美術館、東京都江戸東京博物館が管理する収蔵品の中から、映像・写真・資料を展示し、漣(さざなみ)のように立ち上がる違和感をリレー形式であぶり出します。 東京都庭園美術館で撮影された、さわひらきによる映像作品《pilgrim》(2022)を、1933年竣工時の《朝香宮邸竣工写真》とともに展示。建築に重なる時間の層を浮かび上がらせます。 千房けん輔と赤岩やえによるアーティスト・デュオエキソニモの《Joiner》は、画面を指でなぞるだけで風景を切り取り、絵を描くような感覚でリアルタイムにコラージュ写真を生成できるカメラアプリとして制作された作品。角度や時間をずらしながら撮影したり、離れた場所を同一画面上に組み合わせたりすることで、工夫次第で多様な表情をもつコラージュ写真を制作・共有することができます。2012年に東京都写真美術館へiPhone 3GSの実機とともに収蔵されましたが、バッテリーの劣化により起動が困難な状態にありました。今回、エキソニモがプログラムと実機の再検証を行い、マイグレーションを実現しました。 街にひらかれるアート——オフサイト展示(会場:恵比寿ガーデンプレイス センター広場、恵比寿スカイウォーク) デジタルとアナログの境界を横断する実験的プロジェクトを展開。インターネット・アートの先駆者 エキソニモ、個人と集団のアイデンティティに着目したFAMEMEが、都市空間に新しい映像表現をインストールします。屋外でしか体験できない“偶発的な出会い”を生み出す作品群が、訪れる人すべてに開かれた鑑賞体験を提示します。 FAMEMEによるドリアンと香水の融合した新感覚の新作《Duri-grance by FAMEME》が、恵比寿スカイウォークをジャック!実は、東京都写真美術館に向かう途中にも、作品を楽しむ事ができます。手元の画面から目を離し、FAMEMEのハッピーな世界観を見つけてください。 [caption id="attachment_28100" align="alignnone" width="750"] 東京都写真美術館内:1F ロビー 撮影:新井孝明[/caption] 恵比寿ガーデンプレイス センター広場では、目を閉じた人々の顔が映る二つのモニターが重なり合い、キスを交わしているかのように見えるエキソニモ《Kiss, or Dual Monitors》が登場。 2026年の新ヴァージョンでは、約4mに及ぶ巨大LEDウォールとして進化。東京都写真美術館2Fには、来場者が参加できる撮影ブースも設置されます。筆者も挑戦してみました!会期中にも使用する旨が記載された同意書にサインし、撮影ブースへ。 ブースには、イスとカメラが設置してあり、頭をヘッドレストにつけるよう指示があり、カメラマンの指示で撮影していきます。勝手にスチール撮影だと思ってしまったのですが、実際は、10秒程度の動画撮影です。 撮影後、QR画面を撮影しておくよう指示があります。 万が一、撮影した動画の削除を依頼する際に、このQR情報で問い合わせることによって削除の依頼が可能になるとのこと。この手の体験型のものは撮影して完結なので、その後考えが変わった際のケアまで、とても考えられています。QRを読み込むと、LEDウォールに自分の映像が流れるまでのカウントダウンが表示されます。この表示時間から約5分間、重なり合うモニターに交互に表示され、その後、会期中は、ランダムに表示されるとの事。 表示されるまで、10分程度だった為、エキソニモ《Kiss, or Dual Monitors》が展示されている場所へ行くことに。ブースを出てから、1Fへ戻り、正面玄関を出たらすぐに右に曲がり、通路を直進します。センター広場へ続く階段を降りて行きます。 時間になり、投影されたので、ワクワクしながら、向かいのモニターを見ると、真っ黒でした。 一人でキスしていたようです。きっと、期間中にたくさんの方が参加していただく事で、色々な方が画面に出てくるようになるはずです。ぜひ皆さんも参加してみてくださいね。   映像を“視る&聴く”——上映プログラム(会場:東京都写真美術館 1Fホール) 恵比寿映像祭のために編まれた特別上映プログラムを連日開催。劇映画から、実験映画をはじめ、日本初公開作品を含め多彩な作品が集まります。 [caption id="attachment_28120" align="aligncenter" width="750"] 河合健《みんな、おしゃべり!》[/caption] 重なり合う声と身体——ライヴ・イヴェント(会場:東京都写真美術館 1Fホール、1Fスタジオ、展示室) すべての来場者にひらかれたフェスティヴァルを目指し、映像文化の理解を深めるとともに、来場者が自ら考え、対話するきっかけをつくります。展示プログラムの各作品を起点にしつつ、様々な表現方法のプログラムが重なり合い、総合テーマのさらなる拡張を試みます。出品作家であるキュンチョメ、鶴巻育子、アンジェリカ・メシティによるアーティスト・トークをはじめ、日本大学名誉教授の原直久による写真技術に関する講義を行います。また、原住民文化を深く知ることができる関連ワークショップや、視覚障害のある方と作家による「見え方」についての作品鑑賞ツアーを実施します。さらに、形のないパフォーマンスや、美術館での音楽作品の特別演奏も開催。加えて劇団ゴツプロ!による演劇プログラムを取り入れ、映像の領域の拡張に挑みます。 [caption id="attachment_28121" align="aligncenter" width="750"] ゴツプロ!×峸劇場 共同制作《敬啓者》(拝啓)[/caption]   文化が響き合う都市ネットワーク——地域連携プログラム(会場:地域連携各所) 恵比寿映像祭2026では、地域連携の範囲をこれまで以上に拡大し、恵比寿近隣の文化施設が多数新たに参加します。日仏会館、CCBTをはじめとする18施設が、それぞれ独自の展覧会やイベントを開催し、街全体でフェスティヴァルを盛り上げます。さらに今年は、恵比寿屈指のディープスポット「恵比寿 地下 味の飲食街」や、恵比寿エリアの複数のバーとも連携し、昼から夜まで恵比寿の街全体を巡りながら、多様な作品と出会うことができます。日本写真芸術専門学校の卒業生達の自主ギャラリー「Koma gallery」も連動プログラムの展示を開催中! 恵比寿映像祭2026 地域プログラム Koma gallery Photo Exhibition [前期]2026.2.6 (fri) - 2.14 (sat) フジヤマヨシヒサ×山中南実×ハギワラヒカル 「the sameday,elsewhere」 @miku.0x0  @minamiyamanaka  @jr0330h [後期]2026.2.15 (sun) - 2.23(mon) フジモリメグミ×鈴木隼斗×張鈺 「aroundscape ×material object×復照青苔上」 @fujimorimegumi  @suzuki_hayato_  @the_zy Koma gallery Instagram 〒153-0062 東京都目黒区三田1丁目12 金子ビル 201 OPEN 12:00-19:00 ※会期中無休     また、シールラリーも実施し、シールを集めると映写機から生まれたキャラクター 「ye(b)izoちゃん」オリジナルグッズを先着でプレゼント。取材の日も、春分を過ぎたからか、心地よい春の訪れを感じる気候でした。アートを通して街を歩き、地域文化を再発見する体験をしてみてはいかがでしょうか。 少し難しそうで行くのを迷っている方は、この左のフリーペーパーを片手にぜひ展示を見ていただきたいです。 「東京都写真美術館ニュース 別冊ニャイズ」 かなりゆるめの猫ちゃんたちが、恵比寿映像祭2026をとても分かりやすく解説している1冊。 様々な表現方法を、目で、音で、感じてみませんか?   『恵比寿映像祭2026 「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」』は2月23日(月・祝)まで 《展覧会情報》 『恵比寿映像祭2026 「あなたの音に|日花聲音|Polyphonic Voices Bathed in Sunlight」』 会期:2026年2月6日(金)〜2月23日(月・祝)[16日間]※2月9日(月)および16日(月)は休館 ※3F展示室のみ3月22 日(日)まで 時間: 10:00–20:00(2月6日〜2月22日)※最終日(2月23日)は18:00まで※2月25日(水)から3月22 日(日)の3F展示室は10:00 から18:00 まで(木曜・金曜は20:00まで) 会場:東京都写真美術館、恵比寿ガーデンプレイス各所、地域連携各所ほか 料金:展示無料(上映と一部イベントのみ有料)主催  東京都/公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館/日本経済新聞社 共催:サッポロ不動産開発株式会社/公益財団法人日仏会館 助成:ブリティッシュ・カウンシル 協力:在日オーストラリア大使館 後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター/J-WAVE 81.3FM 協賛:YEBISU BREWERY TOKYO/東京都写真美術館支援会員/ダイワロイネットホテル西新宿PREMIER HP:https://www.yebizo.com 取材協力:エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社 取材・撮影/PicoN!編集部 市村   ↓PicoN!アプリインストールはこちら

アート

グッズデザインで舞台の世界観を伝える~演劇・ミュージカル業界のクリエイティブ職~

お気に入りの公演グッズを見るたびに、ふと物語のワンシーンやあの日の熱狂が鮮やかに蘇る。 そんな体験をしたことがある人はきっと多いのではないでしょうか。 あの時の記憶と感動を蘇らせるアイテムを生み出すのが、グッズデザイナーという存在です。 今回、株式会社ホリプロ 公演事業本部で物販デザインの担当をされている石居 立宇様にインタビューしました。 制作の裏側やこの仕事のやりがい、そしてファンや観客の方々へ届けたい想いを語っていただきました。 グッズデザイナーに至るまでの経緯を教えてください。 私は、元々役者をしていて、養成所に通っていた時期がありました。 しかし、コロナが流行したことで、改めて自分の人生を見つめ直す機会がありました。 その中で、デザインやイラストを描くことが好きだったため、専門学校へ進むことにしました。 そして卒業時に、先生から現在の会社を紹介していただいたことがきっかけで1年前よりグッズデザイナーとして働いています。 普段、どのような業務を担当されていますか? 主な業務は、舞台・ミュージカル公演のグッズデザインです。 それ以外にも、通販で扱う画像やバナー作成、公演の現場で使われるPOP・ポスターなど宣伝広告の制作も担当しています。さらに公演の初日には、私も売り場に立って販売します。 グッズデザイナーを目指す上で、必要なスキルや経験はどのようなものがあると思いますか? グッズデザイナーの仕事では、IllustratorやPhotoshopを使って作業するため、その2つの基本的な操作スキルは必要だと思います。ですが、最初から高度なテクニックは必要がなくても良いのではと感じています。 実際、入社当初はPhotoshopの機能を十分に使いこなせていたわけではありませんでした。 アクリルスタンドの制作を任されたときも、最初は戸惑いながら先輩に教えてもらい、なんとか8種類を仕上げましたね。 Photoshopには精度の高い自動切り抜き機能もありますが、より綺麗に仕上げるためパスツールを使って丁寧に切り抜くなど、実務を通して学んだことも多いです。 経験について言えば、学生時代に通っていた養成所のつながりで劇団のフライヤー制作を1度だけ手伝ったことがあります。残念ながら、公演はコロナで中止になってしまったのですが、今でも思い出に残っている大切なフライヤーです。 結局のところ、大切なのは「こんなデザインのグッズを作りたい!」というこだわりや理想、具体的なイメージを持つことです。そのこだわりこそが、スキルや経験を積む原動力になると思います。 そのため、たとえ実務経験がなくても、デザインへの熱意を持っていることが1番大切だと感じます。 デザインのアイデアはどのように生まれてくるのでしょうか?また、1つの商品につき、どのくらい案を出されるものですか? 最初のグッズ会議は公演の2~3ヶ月前に行われます。 アイデアの出し方は、制作チームから具体的なデザイン案を提示される場合もあれば、「こんな雰囲気で」といった抽象的な要望の場合もあります。 具体的な依頼内容であれば、1~2案、抽象的な要望であれば3~4案を目安に提案します。 ただ、不採用になれば新たな案を出すため、最終的な提出案は基本的には1~2案に収まりますね。 この仕事に就いて、まず驚いたのがスピード感です。 学生時代は時間をかけていくつも案を出すことが多かったのですが、仕事では納期があるため、かなりスピードを求められます。 本当はもっと時間をかけて考えたいのですが、時間との兼ね合いにはジレンマを感じています。 そのため、1つのグッズに費やす時間も限られてくるため、時間配分を意識し効率を考えて作業を進めるよう心掛けています。 グッズデザインを手掛ける際で、意識しているポイントがあれば教えてください。 デザインを進める上で、作品の世界観とお客様がどんなものを求めているのかという点を意識しています。 また、上司からはよく「公演グッズ感がもっとほしいよね」と言われることがありますね。 私なりに解釈すると、 ・舞台・ミュージカルを観に行ったときに記念や思い出に買って帰りたくなるグッズ ・公演に登場する観客の印象に残るような象徴的なモチーフを使用したデザインのグッズ この2つの要素を指すのではないかと考えています。 例えば、彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd Vol.2『マクベス』という舞台のグッズで、私が担当したのが紅茶缶です。 この舞台で、特にインパクトに残るのが、3人の魔女の登場シーンです。 そのシーンをグッズのモチーフにできたらなと思い、吉田鋼太郎さんが率いる3人の魔女をイメージしてデザインを制作しました。 このデザインはTシャツにも転用され、上司にも気に入ってもらえて、非常に嬉しかったですね! 他には、ミュージカル『ジェイミー』のチャームも担当しました。 他の公演では、こういった人物や単体のデザインで商品化されていますが、『ジェイミー』の公演では、「舞台シーンを再現したい」という具体的な要望がありました。 そこで、印象的なシーンの人物だけでなく背景も含めたデザインを手掛けることに。 制作チームと綿密に話し合いながら完成させました。 このチャームはコンプリートセットでも販売され、ファンの方々から好評をいただけました。 販売方法に関しても、公演によってランダム形式や選んで買える形式を使い分けて、バランスをとりながら決定をしています。 このように、“公演グッズ感”をキーワードとして、舞台シーンや象徴的なモチーフをデザインに取り入れ、お客様が思い出として買って帰りたくなるようなアイテムにすることを常に意識しています。 もし、アイデアが浮かばない時は、どのようにして乗り越えていますか? 難しいと感じるのは、ヒューマン系の人間関係を描く物語ですね。 象徴的なモチーフがなかなか見つからず、行き詰まるときがあります。 その時は、提供された台本を熟読しています。単なる読み物としてではなく、何が観客の皆様の記憶に残るのかという視点で読むようにしています。 また、制作チームに積極的に質問をしてデザインのヒントを引き出すようにしていますね。 商品に使われているイラストは、グッズデザイナーの方が描かれているのでしょうか? 外注するのではなく、イラストも含めてデザイナー自身が手掛けています。 例えば、音楽劇『エノケン』の似顔絵イラストも私が担当しました。 「こういうタッチがいい」という参考があれば、できるだけその雰囲気に近づけて描くようにしています。 描いたイラストは、その後、さまざまな関係者の承諾をいただく必要があります。 承諾の連絡を待つ間は、毎回緊張しながら待っています(笑)。 ファンの方々の反応はどのように受け取っていますか?また、その反応がデザインに影響を与えることはありますか? 販売した時の反応は、X(旧Twitter)などでエゴサーチしてチェックするようにしています。 その理由は、先程のお話しした “公演グッズ感”にも繋がってきます。 お客様が何を求めているのか、どんなポイントにときめいてくださったのか。そうした客観的な意見を意識しながら、デザイン案を考えるようにしています。 最近では、グッズが体験の一部として重要な役割を果たしているように感じます。そうした中で、グッズが作品やファンに与える影響についてどのように考えていらっしゃいますか? 私も現代において“体験”は大切だと考えています。 便利な時代になり、スマートフォンがあれば、様々なコンテンツが楽しめるようになりました。 しかし、情報だけを体に取り入れているような感覚に、どこか物足りなさを感じている人も多いのではないでしょうか。 例えば、動画配信サービスならボタンひとつで映画が見られるのに、なぜわざわざ映画館へ足を運ぶのか。 それは大音響の中で、同じ空間にいる人たちと感情を共有したいという思いや、映画館に足を運ぶ過程を楽しみたいという欲求があるからだと感じます。 演劇も同様です。映像ではなく、生のキャストの演じる姿を観たいという思いがある。 そうした“体験”への欲求に対して、舞台・ミュージカルなどの演劇、そして公演グッズは応えてくれるのではないかと思います。 さらに、グッズという手元に残る形は、あの時の"感動"を呼び覚ます装置でもあります。 だからこそ、公演グッズは作品やファンの皆様にとって欠かせない役割を担っているのだと考えています。 苦労したことや、やりがいを感じる瞬間はどのような時ですか? この仕事で難しさを感じるのは、チームで仕事を進める上での連携です。誰に何を、いつまでに伝えるべきか、といった事務的なやりとりに混乱してしまうことがあります。 仲介を通して確認をしなければならないこともあり、入稿期日との間で歯がゆさを感じることが少なくありません。 また、パソコンに向かって黙々と作業をしていると、デザインしたものがこの後どうなっていくのか、が意外と見えづらくて苦しいと感じる瞬間もあります。 デザイナーとしては、独創的なものを求められるというより公演での象徴的なモチーフをいか魅力的に落とし込むかが重要です。 そのため、舞台のモチーフや素材がないときにどこからアイデアを引っ張ってくればいいのかと試行錯誤することに苦労を感じます。 しかし、自分では納得のいかなかった商品や、モチーフや素材がなく試行錯誤した商品でもお客様から反響をいただくこともあって「やってみるものだな」と感じています。 公演初日を迎えて、自分がデザインしたものをお客様が手に取ってくださったり、すぐに身につけてくださったりする姿を見ると、本当に嬉しいです! 学生時代とは違い、自分のデザインが世に出ているという怖さや責任を感じる瞬間もありますが、それ以上にお客様の反応を直接目にするとやりがいに繋がります。 グッズを通じて、ファンや観客の方々にどんな想いや体験を届けたいですか? お越しくださった観客の皆様がそれぞれの日常に戻ったときに、作品を見た時の感動や記憶をふと思い出して、勇気や元気が湧いてくるグッズづくりを心掛けていきたいです。 最後に、グッズデザイナーを目指す方々へアドバイスをお願いいたします。 社会に出ると、自分の創りたいものと周りから求められるものとのギャップが生まれるというのは当然のことだと思います。 学生時代、先生から「創りたいものを創れるのは今のうちだけだよ。だから今のうちに好きなものを創って、やりきる体験をしておけ。」と言われたことがありました。 当時はあまりピンときていなかったのですが、今回の取材を受けて、ハッと思い出して。 「今になって先生の言葉が響いているんだな」と感じています(笑)。 先生からは他にも「誰かに求められるものでも、結果的に自分の創りたいものになってくるよ。」とも言われました。 その言葉は100%理解できているわけではありませんが、公演初日にお客様が購入する姿を目にすると分かってくるところもあります。 これから志す方々に伝えたいのは、自分の表現を突き詰めたいなら個人で活動するのも1つの道かもしれません。 一方で、就職してデザインの仕事をしていくようであれば、求められるものを理解し、それに応えるための努力を模索し続ける覚悟が必要だと思います。 学生のうちは創りたいものを自由にできる環境がありますから、悔いは残さないように今のうちにやりきってほしいです。 *** 石居様、ありがとうございました! デザイナーとしての責任やチームで働く難しさ、そして常にスピードを求められる厳しさ。 そうした壁を乗り越えた先に届くファンや観客の方々の反応が、何よりの励みになっているのだと強く感じました。 改めて、舞台・ミュージカル、そして公演グッズが私たちに与えてくれるのは、単なるお土産や観劇ではなく、日常を彩り、心に残る体験そのものだと気づかされました。 デザイナーの熱い想いが詰まった公演グッズと共に、ぜひ皆さんも舞台の世界に触れて、勇気や元気が沸いてくる特別な体験をしてみてください。 #デスノートミュージカル@dnmusical ご来場のお客様へのご案内✉ 『デスノート THE MUSICAL』(東京公演) ▮ 当日券販売(劇場・WEB) ▮ 関係者への手紙のお預かり ▮ 公演グッズ物販 などhttps://t.co/GH5mVdic7v /-/|東京建物 Brillia HALL pic.twitter.com/DwMjGQLZVM — ホリプロステージ|舞台制作&チケット販売 (@horipro_stage) November 17, 2025 2025年11月24日より幕を上げた『デスノート THE MUSICAL』では、石居様が手掛けたグッズも販売されています。 ぜひ劇場で注目してみてください!   ご協力:株式会社ホリプロ 公式X(旧Twitter) 公式Instagram

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