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コロコロコミックの編集者に聞いた「子ども向けマンガ」を作る面白さとは?

子ども達にずっと愛され続けているマンガ雑誌といえば「月刊コロコロコミック(以下:コロコロ)」
PicoN!をご覧のみなさんの中にも、子どもの頃コロコロを読んでいたという方は多いのではないでしょうか。
筆者も子どもの頃は毎月コロコロを買って、巻頭のホビー情報やマンガが読めるのを楽しみにしていました。

大人になった今、ふと「子どもの頃に読んでいたあのコロコロは、どういった方々が作っていたのだろう?」と興味が湧き、話を聞いてみたくなりました。
今回は縁あってコロコロの発行元である小学館のコロコロコミック編集部 副編集長の柴田亮さんにお話を聞くことができたので、そのお話の内容をお伝えします。
昔コロコロを読んでいたという方はもちろん、これから漫画家を目指しているという方たちにも、ぜひ「子ども向けマンガ」を作ることの面白さを感じてもらえたら嬉しいです!

コロコロといえばこの分厚い見た目の存在感、、、! 積み重なったコロコロの姿は、子どもの好きなものがぎゅっと詰まっている感じがして好きです。

 


ー 「マンガの編集」という仕事につきまして、改めてお仕事の内容を教えていただけますか。

すごくざっくり言いますと、漫画家さんとマンガの打合せをして漫画家さんと共にマンガを作る仕事です。

連載いただいている漫画家さんとの仕事では、月刊コロコロコミック本誌に連載中の担当作品を締め切りまでに入稿すること、連載をまとめたコミックスを作ることが主です。連載を目指す漫画家さんとの仕事では、「合体コロコロコミック」という読み切りマンガをたくさん掲載する増刊を今年は年間6回刊行予定で、その増刊に掲載するべく打合せをすること、が主です。

月刊の雑誌本誌がメインの媒体としてあり、こちらは完全に小学生男子向けの媒体です。この本誌以外にも「週刊コロコロコミック」というウェブのマンガ媒体を同じ編集部で作っています。こちらは現役の小学生男子だけが対象ではなく、かつてコロコロを好きでいてくれた、いまでもコロコロを好きでいてくれている大人の読者の方にも読んでいただいている媒体です。

『月刊コロコロコミック』と『ミラコロコミック』が合体した『合体コロコロコミック』。分厚くてとにかくたくさんマンガが読めます!

 

また、「マンガの編集」とは少しズレますが、コロコロ編集部は、マンガ編集以外の仕事が多数あります。ゲームメーカーさんや玩具メーカーさん等他社と共同でIPを育成する取り組み、小学生向けイベントの開催、YouTubeチャンネルの運営なども編集部の仕事としてあり、結果としてマンガ以外のページ(付録や記事)の編集も多くあります。この点でもコロコロのマンガ編集の仕事は、純粋なオリジナルマンガだけでなく小学生が興味のある題材としてのゲームやおもちゃをテーマにしたマンガも多いので、漫画家さんとの関わり方も含め、他のマンガ媒体と違ったマンガ編集の仕事があるかと思います。

今回お話を伺った柴田さんが担当されてきたマンガ作品の数々。

 

ー 子どもが笑えるギャグや子どもが夢中になれる話の内容は、大人目線からどのように考えられているのでしょうか。

まず前提としまして、作品は漫画家の先生の創作ですので、あくまで編集者はお力添えさせていただくという立場だと考えています。編集者によっても作品への関わり方にはかなり違いがあります。あくまでわたし柴田の場合は、、、ということでお話させてください。

わたしは今42歳なのですが、わたしのような大人の感覚、というかおっさんの感覚は、コロコロの対象読者である小学生男子の感覚とは間違いなくズレている。なので、いかにして子どもの感覚に寄り添えるか、ということを常に考えています。

具体的には、毎月いろいろなアンケートを取って読者の様子を知る、定期的に開催しているイベントで実際に子どもたちと接して話を聞いて様子を知る、ということを通して、できるだけ子どもの感覚をつかみたい、と思っています。

そうしたことをふまえて、こういうキャラクターが好かれるんじゃないか、こういうギャグがウケるんじゃないか、と仮説を立てて試してみて、、、ということを繰り返して知見を上げていきたいという感じです。

誌面に掲載されているコロコロのアンケート。筆者も昔書いた記憶があります。。。ちゃんと子どもたちの声が制作側に届いているんですね!

 

ー ギャグマンガを通して子どもたちに伝えたいことはありますか?

「伝えたい」といった仰々しいことはあまり意識はしていません。ただただ純粋に笑ってくれたらそれで充分だなと思っています。

これは若手の編集者や漫画家さんによくお伝えしていることですが、小学生って本当に忙しいと思うのです。いま自分の息子が小学3年生なのですが、本当に忙しそうだなと。大人のほうが忙しいと思っている人もいるかと思いますが本当にそれは間違いで。小学生は、自分で自分の行動を決められる時間ってほとんどない。学校に行って、習い事に行って、習い事から帰ったら宿題をしてお風呂に入ってご飯を食べたらもう寝ないといけない。大人って深夜まで自分の意志で起きていられたりするからむしろ大人のほうが全然ヒマだと思うのです。そんなめちゃくちゃ忙しい小学生は本当にいろいろ大変だと思います。そんな小学生にとってコロコロはどういう存在なのか、コロコロのマンガってどういう存在なのか、と考えると「一瞬の息抜き」くらいのものなんじゃないかと。

だから仰々しく「伝えたい」というほどのものはなくて、大変な日常の一瞬の息抜きとしてちょっと笑ってもらえたらいいな、と。それで充分価値のある仕事をさせてもらっているんじゃないかなという感じです。

もちろん作家さんは何かを伝えたいという想いが創作の原動力になっていることも多いと思うのでそれは素晴らしいことだと思っています。それがまず前提としてありつつ、あくまで編集者の立場からのコメントとしてとらえてほしいです。

『オレだけはマトモくん』(中村夏寿紀先生)の最初の1ページは、なんと「学校が遅刻する」ところから始まります。ついクスっと、笑ってしまいますが、柴田さんのお話を聞いていてこうした笑いがとても素敵なものに感じられました。

 

ー 子ども向けマンガを作るやりがいってなんでしょうか?

まず1つは、読者にとっての「はじめてのマンガ」になれる可能性があること、ということかなと思います。日本はとてもマンガ文化が成熟していて、たくさんのマンガが過去にあり現在もあり、そして未来にもたくさんマンガが作られていくと思うのですが、その素晴らしいマンガ文化に触れるいちばん最初のきっかけになれる、というところが大きなやりがいかと思っています。

また、もう1つは、本気の読者を相手に出来ること、かなと思います。本気でガハハッと笑ったり、本気でカッコいいと思ったりして読んでくれる小学生の読者を相手に出来ることも大きなやりがいではないかなと思っています。

世界中の子ども達を熱狂させているバトルホビー『ベイブレード』。こうしたホビーマンガの登場人物や“愛機”たちに、子ども達は心が躍るわけです。写真は『ベイブレードバースト』(森多ヒロ先生)と『ビクトリーヴァルキリー.B.V』。このベイブレードは使い込むと性能が変化していくという凄いベイで、浪漫が詰まりまくってます。

 

ちょっと手前味噌な感じもありとても恐縮ではあるのですが、、、子ども向けのエンタメを作ることは、大人向けのものを作るよりも、よりプロフェッショナルな仕事なんじゃないか、と思っています。
コロコロコミックで長く活躍される漫画家さんは、10代20代でいきなりヒット作を描いて~という方は少なくて、10代20代はいろいろなご経験をされて30代で初めてヒット作を描かれて、そこから長く連載が続き~という方が多いんです。それは自分の感覚のまま描くのではなくて、たくさん試行錯誤される中で子どもの感覚にアジャストして、子ども向けのマンガに向き合って一生懸命描いてこられたから、だと思います。そんな漫画家さんの仕事こそプロフェッショナルで、かっこいいなとわたしは思っています。

ホビーマンガは、まさに子ども向けのコロコロならではだと思います。自分が描いたものが実際の立体物であるホビーになる、それが子どもたちの手に届く。これも子ども向けマンガの大きなやりがいの1つかと思います。
また、子ども向けのイベントもコロコロでは定期的に開催していますので、読者である子ども達と実際に接することができるのも良いところかと思います。

 

どんどん繋げていくことで道が連鎖して出来上がっていく『チェインレンサー』(水野輝昭先生)。こちらのホビーもしっかりマンガとしての物語があります。おもちゃと物語を混ぜ合わせて新しい楽しみを生み出していくことができるのは、こうしたホビーマンガの醍醐味とも言えますよね。

 

漫画家を目指される方は、やっぱり最初は「週刊少年ジャンプ」を目指される方がとても多いかなと思います。コロコロコミックで活躍していただいている漫画家さんの中にも、ジャンプを始めとした他媒体を目指して活動していく中で、コロコロにも興味を持っていただいて…という方がたくさんいらっしゃいます。最初からコロコロが大好きでコロコロで描くことを目指してコロコロに来てくれた方と、いろいろな経験をされてからコロコロに来てくれた方が、半々くらいな感じです。

どこかで漫画家になることをあきらめかけた方でも、一度コロコロに来てくれたら、可能性があるんじゃないか、といつも思っています。

 

ー 最後に、コロコロコミックの編集として、こだわっていることや目標は何ですか?

こだわりというよりは「心がけていること」になりますが、読者である子どもの感覚にできるだけ寄り添いたいなと思っています。
具体的には、まず1つ目として、「自分の好き嫌いでなるべく判断しない」ということを心がけています。40代の自分の感覚での好き嫌いは、読者の子どもにとっては何の意味も価値もない、間違った判断になりやすい、と思っているからです。

また、「面白いか、面白くないか」で判断しない、面白いか面白くないかの前に、「わかりやすいか、わかりにくいか」で判断するように心がけています。なぜなら、「わかるか、わからないか」の方が「面白いか、面白くないか」よりも再現性が高いと思っているからです。だから、とにかく読みやすくする、わかりやすく作ることは意識して、そのための方法をよく考えるようにしています。

3つめが、「絶対的に判断しない、できるだけ相対的に判断する」ということを心がけています。自分の感覚は読者とズレている、ということが前提にありますので、絶対的な判断はなるべく避けて、できるかぎり2つ以上の選択肢を持ち比較して相対的により良いものを選んでいく、ということを意識しています。

目標は、世界的な大ヒットキャラクターIPを育成すること、編集・プロデュースすることです。
コロコロコミックにはそれが出来る媒体力と漫画家の先生方の力があるとずっと信じています。

柴田さんが携わってきたマンガやホビーに関連するキャラクターやおもちゃたち。こうした立体物が手元に残る、もしくは誰かの手に渡るということは、とても大きなやりがいに繋がるのではないかと思います。

 


柴田さん、ありがとうございました!
子ども向けマンガを作ることに対して、とても強い信念を持って取り組まれていることが伝わってきて、いちファンとしてとても嬉しくなりました。
それと自分が子どもの頃にマンガの中の世界やホビーに熱中していたあの感覚を、いつまでも忘れないで持っておきたいなと強く思いました。

この話を聞いて久しぶりにコロコロを読んでみたくなった方には、コロコロオンラインで見られる『週刊コロコロコミック』を覗いてみることを個人的におススメします!

 

ネットで見ることができて、最近の新しいマンガから昔懐かしのマンガなんかも配信されていて面白いので、ぜひ、、、!

取材協力:株式会社 小学館
文・写真:PicoN!編集部 黒田


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