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平成から少女マンガは変わりつつある?!令和の「ちゃお娘」がときめく作品について中の人に聞いてみた。
皆さんは小さい頃によく読んでいたマンガはありますか?
筆者は『ちゃお』というマンガ雑誌を愛読していました!今でもこの名前を聞くと『きらりん☆レボリューション』や『極上!めちゃモテ委員長』、『オレ様キングダム』、、、などなど、筆者が小さい頃に連載されていた少女マンガを思い出し、とても懐かしい気持ちになります。
そんな時代から社会情勢や流行が目まぐるしく変わってしまった令和。その時代の変化はちゃおをはじめとする少女マンガにも何か影響をもたらしたのではないでしょうか?
ということで、今回はちゃおの発行元である小学館のちゃお編集部の中谷 好彰さん「平成と令和の少女マンガの変化」について色々とお話を聞かせていただきました。編集者のお仕事のことについても伺いましたよ!
かつてちゃおを読んでいたという方はもちろん、これから漫画家を目指しているという方たちにも、今の少女マンガのことについて知っていただける内容となっております。
―まず中谷さんのお仕事について教えてください!ー
主にちゃおの中に掲載されている連載マンガやインタビュー記事、CM制作やちゃおチャンネルの撮影、付録などページづくり全般に携わっています。特に連載マンガだと、常に次の雑誌に向けて、新連載の企画を考えてたりなどもしています。作家さんと一緒にどんな作品が読者に好まれそうか作品案を考えたり、作家さんの発案だけでなく、ゲームやホビーメーカーにお声がけをし、そのコンテンツとコラボしたマンガを作ってみるなど、どんな作品に需要があるのか推測しながら企画していきます。
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↑今は小学生に人気の『たまごっち』を連載中!
また2023年に『ちゃおプラス』という、ちゃおのマンガが無料で読めるW E Bサイトを開設したんです。紙面だと掲載できる作品に限りがありますがW E Bだと無制限なので、ちゃおプラスでしか読めないオリジナルの作品を作家さんと一緒に考えたりもしていますね。
―「作家さんと作品を作る」とは具体的に何をしているのでしょうか?―
基本的には作家さんが作りたい作品を描いていただいています。ですが、実はちゃおには作品を描く上でルールがあって、例えば「過激なものはダメ」など描けない描写が決まっているんです。なので、みなさんには決まったルールの中で作品を描いていただいています。その中で私は作家さんが描きたいイメージを形に出来るように一緒にストーリーの展開を考えたり、読者が本当に求めている作品なのかといった部分を俯瞰的に確認し、作品の方向性について作家さんと相談しています。例えば、作家さんの中には読者に伝えたいシーンは決まっているけど、どうやってストーリーを作っていいか分からないという方もいらっしゃいます。そういう場合にはそのシーンを盛り上がらせるためにどんな状況にするか、どんなアクシデントを組み込むかなど話し合いながら、そこに持っていくまでの展開を一緒に考えたりしています。作家さんによって悩んでいることが違っているので、その部分を解消できるようなサポートが出来ればと思っています。
―編集者として読者が求めているマンガを作るために意識していることは何ですか?ー
読者がきちんと読みやすいかという部分を大切にしています。読んだ方が全員理解できるような作品を目指していきたいです。あとはその作品で何を見せたいか・伝えたいかをまず見ています。ストーリーがフワッとしていると読者の印象に残らないので、そこはしっかり見てどのような展開にしていくのか話し合うようにはしています。キャラクターが果たして読者が求めている人物像なのか、ビジュアルなども見ていますね。
―さて本題ですが、少女マンガは平成から令和でどのように変化したと思いますか?―
平成と令和では生まれた時に起こるニュースや人々の価値観、習い事などが変わってきているので、それが少なからず少女マンガにも変化をもたらしているのではないかなと思います。
ストーリーの変化だと、例えば恋愛マンガは「付き合うに至るまでいかに長くドキドキさせるか」に重きをおいている作品が多かったイメージですが、時代が変わったからこそ、今の読者はそういった作品に果たして本当にドキドキするのか?疑問に思うこともあります。なので、今の小学生はこの時期から恋愛を楽しんでいる子も増えてきているので、「1・2話で付き合ってしまって、付き合う中でのドキドキを描く」作品を考えたりもしていますね。
おそらく平成と令和で恋愛のやり方も変わっていて、クラスの人と話していくうち距離を近づけていくような恋愛から、今はS N Sのメッセージを通して、恋愛に発展していく時代になってきたのかなと思うので、そもそもの恋愛のありようも変化していると思います。恋愛マンガにおいては、その社会の変化からストーリーの展開も変わってきたのかなと思いますね。
―最近は小学生でもS N Sを使う時代になったので、流行に敏感な子が多いのかなと思います。そういったことも作品に影響しているのでしょうか?―
影響していると思います。例えば、平成の時はテレビ、雑誌、ラジオみたいなものしかなくて、共通の話題が多かったですよね。朝学校に行くと「昨日のあれ観た?」なんて話すことも多かったと思います。でも最近はそれが崩れてきている印象があって、S N Sを始め、触れるコンテンツが増えてきたからこそ、それぞれが違うものに触れているから共通の話題が減ってしまっているんですよね。でも、そういう現状がある中で「YouTuberは知ってる」という共通認識はあるので、キャラクター設定でも「芸術家の男の子」だとイメージが分散されてしまいますが、「YouTuberの男の子」だとイメージがしやすいという意味で設定として組み込んでいる方もいます。
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↑連載中の『シャイニング!』では主人公がスマートフォンを使って記事を読む描写があったり
あとは、今小学生に流行っているものを作品として連載しています。
最近だと、原宿にある『ベビタピトーキョー』というタピオカのお店の店長として働いている『しなこちゃん』というインフルエンサーが小学生にとても人気なので、ベビタピで働く女の子を主人公にしたまんがを連載しています。他にも2.5次元アイドルグループ『すとぷり』の作品も絶賛連載中で、この方々も小学生女児の中で今とても人気のアイドルです。
―キャラクターの顔の描き方なども変化を感じますか?―
昔より色々な顔の描き方の作家さんが増えてきたとは思います。というのは当時読者だった方が作家さんになられているので、かつて好きだった作品が自分の作品にも影響している方が多いのではないでしょうか。なので、令和だからこういう顔の描き方になったよねというのは無いかもしれません。特にキャラクターの第一印象は目にいくので、黒い瞳の部分やまつ毛、虹彩など目の描き方は色々と分析をされている方は多いと思います。
―今、読者に求められているマンガってなんでしょう?―
これはですね、僕も勉強しているんですよ(笑)
求められているマンガというのは現時点で正解はなくて、推測するしかないなと思っています。ですので、読者に送っていただいたアンケートを読んだり、毎年開催するちゃおのイベントの反応を見たりして、どういうものが読みたいのか考えていくという感じです。
例えば、アンケートの回答だと最近流行っているものを記入する項目があるので、多かった回答を作品の1つのシーンとして盛り込んだり、何か企画を考えたりなどしています。最近だとキッズコスメが発売されるほど小学生でもメイクをする子が増えてきたので、その流れで『メイクのお姫様』という連載をしたりといった、時代の流れを見て次にこれが読みたいであろうものを作っています。
―漫画家を目指している方へメッセージをお願いします!ー
ちゃおとしてはぜひ皆さんとお仕事したいです!という気持ちが強いですね。
ちゃおで人気になると、作品が表紙に大きく掲載されたり、作品に関連するグッズが付録になったりなど自分の作品を大きく展開できるチャンスがあります。また、初めて読んだマンガ雑誌がちゃおなんて方も多くて、その当時読んだ作品を鮮明に覚えている方もいらっしゃいます。そんな記憶に残る作品を自分で考えて描くというお仕事はとても面白い仕事なので、ぜひそういった方々と一緒にお仕事したいなと思います!
中谷さんありがとうございました!
やはり時代の変化に伴って、少女マンガも読者に求められているものに変化していたことがよく分かりました。だからこそ、私たちが小さい頃に読んだあの作品たちは鮮明に残っていくのですね。
また中谷さん自身が編集者というお仕事について終始楽しそうに話されていたのも印象的でした。「好き」があるからこそ良い作品が作り出せる、そんな魅力的なお仕事だということも伝わってまいりました。
この記事を読みながら懐かしさを感じた方、またちゃおを読みたくなった方はぜひちゃおを手に取ってみてください。最初に紹介したちゃおプラスでは過去の作品も見ることができますので、ぜひご覧ください!!
取材協力:株式会社 小学館
PicoN!編集部:河野
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