インスタで人気沸騰の「ヨヨギノイエ / 30代建築家の一人暮らし」建築家 日高海渡さんインタビュー〈後編〉
築50年のお部屋をフルリノベーションした
建築家、日高海渡さんの”ご自宅兼仕事場”「ヨヨギノイエ」。
〈前編〉につづき、今回の〈後編〉でも様々な質問にお答えいただきました。
〈前編〉はこちらからご覧いただけます。
スペースを分ける演出方法について、
一般の人でも参考にできる演出方法はありますか?
編集部|
ヨヨギノイエのリビングなどのオープンスペースから寝室などのプライベートスペースに繋がる空間の分け方の演出がすごくカッコイイと感じたのですが、
空間の分け方の演出方法でお手軽な方法ってありますか?
ヨヨギノイエYouTube「【リノベトーク】家のお気に入りポイント BEST 3」
(プライベート空間への「入り口」/開始00:55秒~03:58)
日高さん|
そもそもなんですけど
「家は他人が入ってくるところ」くらいの感覚を持つことからかなと思うんですよね。
普通「家」って自分の物で、お客さんが来るときだけはキレイに掃除するみたいな感じが一般的だと思うんです。
僕なんかはここで仕事をしているからという理由もあるんですけど、誰も家に来ない日のほうが少ないくらいなんですよね。
そのマインドを持つことで普段の生活が変わって、同時に空間のしつらえ方も変わってくると思うんです。
普通は家自体がプライベートスペースだから、そもそもオープンスペース、プライベートスペースを作ろうと考えられる人はマインドが変わっている人だと思うので、そういう人は上手くやれると思います。
比較的簡単な方法で、僕がやって良かったなと思うところは「寝室にカギを付ける」というところですね。
普通自宅の寝室ってカギ付いてないじゃないですか、
カギを閉めるとその瞬間プライベートスペースができあがるので、寝室とか自分がプライベートで大事にしたい空間にはカギをつけると、逆に他の空間の許容度が高まるんですよね。
編集部|
なるほど「家は他人が入ってくるところ」というマインドを持つことと、本当のプライベート空間にはカギを付けることでオープンな空間とプライベートな空間が心理的にも区分けされるんですね。
開放的なカーテンをつけない
リビング空間。不便はありませんか?
編集部|
窓にカーテンがついていないことが、よりオープンな印象で気持ちよさそうなのですが、カーテンが無くて不便だったりはしないんですか?
日高さん|
カーテンの役割って2つあって、
プライバシーと光の調整だと思うんです。
さっきの話しにもつながるんですけどプライベートな空間は遮光カーテンをつけてますけど、オープンなスペースはプライベートな”家”という感覚を持っていないのでカーテンが無くても気にならないんですよね。
会社やお店でカーテンが無くても気にならないのと同じような感覚ですね。
ファブリックは好きなのでカーテンも好きなアイテムではあるんですけど、付けない生活に慣れちゃったのでこの家では付けていないです。
編集部|
夜など暗くなると外から丸見えになっちゃうとかはないですか?
日高さん|
そのためでもないんですけど部屋の照明は暗めですね。
空間全体を明るくするような照明計画はしてなくて、テーブルとか部分的にスポットで光を当てるような照明にしています。
だからあんまり煌々としているわけではないですね。
それでも外からはそれでも目立つらしいですけどね(笑)
友達が夜遊びにくるときとかは目立ってるっていわれます。初めて来た人も一発でわかるって。(笑)
部屋を分ける壁の厚み部分に設置された
「鏡」のアイディア
編集部|
壁の厚みの部分に設置された「鏡」、すごく素敵ですけど、どこから発想されたんですか?
ヨヨギノイエYouTube「【リノベトーク】家のお気に入りポイント BEST 3」
(壁の厚みに取り付けた「鏡」/開始03:58秒~05:20ほど)
日高さん|
鏡って住宅だとそんなに空間に現れてこないというか、寝室とか洗面台、玄関とか身だしなみを整える場所にあって、あまりリビングダイニングに鏡を置くってあんまりないかなと思うんです。
私がやったのはやっぱり玄関に姿見があるといいなと思って場所を探したんですけど、あまり空間にベタっと鏡が貼られているというよりは何かに溶けているような状態、何かと組み合わさっている状態が面白いなと思って、コンクリート壁の小口部分に取り付けることにしました。
最初は細すぎるかなと思ったんですけど、でもそんなにジロジロ自分のことを見るわけでもないし、いいかなとおもって(笑)
壁の厚みそのままの鏡にしたんですけど、少し身だしなみを整えるくらいなら全然問題なくて、細い鏡って意外と使いやすいなって思いましたね。
あと、玄関から入ったときにダイニングルームとリビングルームの2部屋を見せるようにしたかったんですけど、このコンクリート壁が邪魔だなと思ってたんです。
その壁の小口部分に鏡を設置することで、映り込みによってちょっと壁の存在感が軽減されるという理由もあって設置しましたね。
ネットで特注のサイズの鏡を作ってくれるところはあるので一般の方でもさきると思います。
編集部|
このさりげない鏡の使い方はすごくいいなと思ったのでぜひ自室を作るときには参考にしたいと思いました。
コンクリートむき出し、
あこがれるけどハードルは高い?
ヨヨギノイエYouTube「【リノベトーク】家の設計で失敗した点を3つ紹介」
(コンクリート壁の解説/開始00:27秒~02:57ほど)
日高さん|
建物って絶対どこかに断熱がされていて、部屋の中のコンクリート壁がむき出しの場合は普通は外壁に断熱が施されているか、両方コンクリートむき出しの場合は高額にはなりますがコンクリートの中に断熱を施すこともできます。
だけどウチの場合はオフィスリビングだし、多少寒かったり暑かったりしても我慢できるだろうと思って半ば実験的に断熱材を外してしまったんですけど想像以上にほぼ外と同じ温度、もしかしたら中の方が寒いんじゃないかっていうくらいでした(笑
厳密にいえば考え方も様々あるんですが、外気に接する壁面やそこから部屋の中に少し入り込むくらいの壁はヒートブリッジといって熱が伝導しちゃうんで、その範囲は断熱はしないといけないですね。そこらへんを考慮すればコンクリートむき出しの内装はできますし、普通の設計士さんならちゃんと考えて設計してくれます(笑
ほんとに後悔しています笑 やっぱり教科書に載っていることって正しいんだなって実感しましたね(笑
インテリアデザイナーに家のデザインを依頼する方法は?
日高さん|
そうですねぇ、いまどうゆうルートが良いんだろうなぁ。。
でもインスタがいいような気がしますけどね(笑
インスタで見つけるのが一番早いんじゃないですかね?
編集部|
インスタからお仕事の依頼ってあるものなんですか!?
日高さん|
ぜんぜんあります。インスタ経由のお仕事すごく多いですよ。
僕の場合は「家開き」から依頼をいただく場合が多くて、その次がインスタからですね。
「ホームページを見て来ました」という依頼のパターンはぜんぜん少ないです。
ホームページってまず「見つける」ことが難しいじゃないですか、だからしょうがないと思います。
インスタだとハッシュタグなどで見つけることができるじゃないですか。
だからどちらかといえばインテリアデザイナーさんが頑張るべきことなのかなって思いますね。
インテリアデザイナーさん直接じゃなくても今”お家アカウント“って多くなっているじゃないですか。「リノベーションしました」とかを発信してくれている方とか、そういう方に「誰にデザインしてもらったか」を聞くとかもいいんじゃないですかね。
インスタだけじゃなくてもSNSで、自分が見て「いいな」って思える空間をだれが作ったのか、っていうのを聞くのはいい手なんじゃないかなって思います。
編集部|
そんなにフランクなアクセス方法でもいいんですね!いきなり直接連絡を取ってしまうのは失礼になってしまうんじゃないかとか思ってました。
日高さん|
その気持ちもわかります。たしかに僕もデザイナーさんにDM送るときは緊張しますもん、「お仕事頼めますか?」って言いずらいですもんね。
僕にインスタでメッセージをくれる方もすごく丁寧な文面で最初は「すいません」ベースでメッセージくれるんですけど、でも僕からしたらすごくうれしいことですけどね。
編集部|
SNSで発信しているデザイナーさんなら直接のメッセージもありだったりするんですね。
日高さん|
「好き」って言われて嫌な思いをする人はいないと思います。笑
「ヨヨギノイエ」日高さん、
貴重なお話し、お聞かせいただきありがとうございました。
ぜひ日高さんの「ヨヨギノイエ」instagramアカウント、フォローしてインテリアデザイナーの考えるライフスタイルと生活空間、参考にしてみてはいかがでしょうか。