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最新記事一覧吉本芸人のステッカーを描く人「ちたまロケッツ」 魅力的な似顔絵の描き方とは?
年の瀬、盛り上がってくるのがM-1グランプリ。 今年も出場組が過去最多を更新し、YouTubeやTverなど様々な媒体で盛り上がりをみせていますね。 かくいう筆者も実はお笑い好きでして、仕事終わりや休みの日に劇場へ足を運んでいます。 特に吉本お笑い劇場に行けば誰もが一度見たことあるのがこのステッカー。 その特徴を捉えた可愛らしいイラストは一体どんな人が描いているのか、、いちお笑いファンとしてずっと気になっていたんです。 調べたところ、ちたまロケッツさんというイラストレーターの方が描かれているんだとか。 なんと今回はご縁があって、ちたまさんにお話しを聞くことが出来ました。 快く引き受けていただきましたちたまさん、ありがとうございます!! ちたまロケッツさんの描く絵が好きな方はもちろん、イラストレーターになりたい方にとってもぜひ「魅力的な似顔絵の描き方」について知っていただける内容となっています! ◆ちたまロケッツさん プロフィール 西原キヨシ 1977年生まれ 東京都在住 武蔵野美術短期大学部 デザイン科卒 吉本興業のグッズ制作・販売会社を経て、2007年よりフリーで活動。 似顔絵・キャラクター制作を中心とし、グラフィックデザイン全般の業務を行う。 吉本芸人のイラストは、オフィシャルグッズとして採用され、のべ1000人以上を制作。 HP:https://chitamar.com/ Instagram:@chitama_rockets X:@CHITAMA_ROCKETS ――ちたまさんの自己紹介と改めてお仕事の内容を教えていただけますか? 武蔵野美術短期大学卒業後は吉本興業の子会社でグラフィックデザイナーとして、商品企画などに携わっていました。現在はフリーのイラストレーターとして似顔絵を描いています。メインの仕事は吉本興業の似顔絵ステッカーの制作です。その他にもテレビ番組のタイトルロゴの制作などといったデザイン関係の仕事も行なっています。 ――吉本芸人さんのイラストを描くきっかけはなんでしょうか? 吉本の子会社で働いていた時に吉本芸人のイラストを使ったグッズを制作したいという話になり「やってみない?」と声をかけていただきました。大学でデザインを学んでいましたが、子供の頃から絵を描くことも好きだったので、得意なことが仕事に繋がったという感じです。当時は「はねるのトビラ」というバラエティ番組が人気だったので、キングコングさんやロバートさんなどのイラストを描いていました。 ――吉本芸人さんのイラストを描く際に意識しているポイントはありますか? シンプルに描くことを意識しています。なので、極力描く線を少なくして、どこまでシンプルにしても似せられるように工夫しています。あとは描く前にその人の資料や動画を集めてそれらを観ながら、こう描いたら似てる、似てないというような判断基準を自分の中で作るようにしています。 私の場合、こう描きたいというイメージが頭の中で出来上がっていて、それを描き出していきます。最終的に頭の中と目の前の絵に違和感がないかどうかチェックしています。 あとは資料集めの延長線ではないですが、吉本芸人さんを描く仕事をしているので常に日頃の活躍は観るようにしています。今だとM-1の時期なので決勝だけではなく、予選から色んな芸人の方を観てますね。この人次来そうだなとか、そうすると自分の中である程度イメージのベースが出来上がるので。 ――似せるためにどんな描き方をしていますか? 描くときには全体的なシルエットとパーツの位置が重要だと思っています。 両目と口を線で結んで3角形にしたらどんな形になるのかなど考えながら描いたりしています。例えば、目が離れている方だと線で結ぶと、潰れた逆三角形になりますよね。そんな風にパーツの位置が少し違うだけで、雰囲気も変わってくるので、パーツの位置は常に微調整しながら描いています。割と福笑いみたいな感覚で描いてるかもしれません(笑) 私の場合、シンプルに描くからこそ、パーツの位置が重要だったりしますね。 こういう仕事をしていると描けば描くほど、似ているのか分からなくなってしまうこともあるので、そういう時は時間を置いて違うことをして、冷静になるようにしています。そうするとイラストを見る目がフラットになり、客観的に描けるようになるんです。 ――ちなみに描きやすい人の特徴ってありますか? メガネがあると描きやすかったりしますね。でも私の場合、特徴のない人を描く方が得意かもしれません。特徴がありすぎる人だと似顔絵だとそれを超えられないといいますか、8割くらいは描けるんですけど、「なんか足りないなあ」っていうもどかしさを感じたりもします(笑) ちなみに描きやすい人はすぐ描けちゃうんですけど、人によっては1週間くらいかけて描く場合もあります。基本的には1週間を目処に制作するといった感じです。 ――イラストレーターとしてのやりがいってなんでしょうか? 自分が描いたイラストに対して、お客さんから良い反応がもらえた時は嬉しいですね。描き始めた当初は実際に店舗に行ってお客さんの反応を見たり、感想を盗み聞きしたりしていました。覆面調査です(笑) でもやっぱり、初めてこの仕事をした時が1番やりがいを感じた瞬間だったかもしれません。初めて描いたのはキングコングさんなんですけど、やっと自分の居場所を作れたような感覚にはなりました。 あと似顔絵って普通の人が見ても、専門知識や感性など関係なく楽しめるものですよね。誰でも似てないって判断できるので、ごまかしがききません。 逆に言えば、似てればより多くの人に共感してもらえたり喜んでもらえる。だから手を抜けないし、やりがいを感じる瞬間も多いのかもしれません。 ――イラストレーターに求められるスキルって何だと思いますか? 相手を理解することは大切だと感じますね。イラストレーターも相手がいる仕事なので、この仕事も吉本興業側がどういう絵を求めているのか、自分の中で噛み砕いて理解した上で提案しています。相手との認識がずれているとどんなに良い絵を描いてもO Kが出ないのでそこは難しいですね。 ――最後にイラストレーターを目指している方々に向けてメッセージをお願いします! もう既にこの分野のことを学んでいる方々は、今の同世代の人が集まってそれぞれが作品を作っていく環境を大切にして欲しいです。身近な人から受ける様々な刺激はむしろ今しか体験出来ないことだと思うので、色んなエネルギーを吸収してたくさん好きな絵を描いてください! なんと今回は実際に作業風景も見させていただきました。 こんな機会滅多にないので筆者感動しております。 イラスト制作の様子がわかる動画はコチラ!↓ https://youtu.be/50oyuWVw7t8 ちたまロケッツさんありがとうございました! シンプルに描くという要素が少ない状態で、あそこまで愛着の湧く似顔絵が描けるのはちたまさんの日頃の観察力と、芸人さんへの愛があるからこそだと思いました。 似顔絵のコツはイラストレーターを目指す方だけではなく、どなたでも参考になるポイントでしたね。描き方を知った後だと、ステッカーを見る視点も変わりそうな気がします。 皆さんもぜひ劇場へ足を運んだ際にはステッカーをチェックしてみてください! PicoN!編集部:河野 ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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クリエイティブ圏外漢のクリエイティビティを感じる何か…〈vol.34〉―「Phaseの変化を感じた○○」
おはようございます。こんにちは。こんばんは。 時事芸人プチ鹿島さんが「9月になったら大晦日」と 毎年警告しているにも関わらず、気が付けば師走。 Pitchfork「2024年の年間ベスト・アルバム TOP50」 (プレイリストはこちら) Rolling Stone「2024年年間ベスト・アルバムTOP100」 など各種年間ベスト○○が発表されている 只中かと思いますが皆様如何お過ごしでしょうか? 年間ベストが発表される時期ですので 一昨年、昨年に引き続き わたくし北米のエボ・テイラーの2024年の音楽以外の 「2024年クリエイティビティを感じた音楽以外のアレコレ」 を列挙しようかと惰性の限り思いつきました。 [clink url="https://picon.fun/art/20221220/"] [clink url="https://picon.fun/art/20231220/"] 今年のアレコレを思い出す中で 一番聴いていたPodcastである奇奇怪怪 (パーソナリティはラッパーTai-Tan氏/mononoaware 玉置周啓) のことが頭をよぎりました。 本番組は世情、カルチャー、ビジネス、テクノロジー… 様々な角度から話されているのですが、 今年話されたエピソードを聴いていて 私が通底して感じたのは 「あらゆるモノゴトのPhaseが変わった」 ということです。 例えばマクロな政治の話でも 都知事選の石丸現象、神戸知事の辞職~再選、 カマラのbrat現象を経てのトランプの再当選、 韓国の戒厳令からルーマニアの問題… など枚挙にいとまがございません。 そこで今年はクリエイティビティを感じた 音楽以外のアレコレを列挙する上で 「Phaseの変化を感じた○○」を 順不同で挙げたいと思います。 Phaseの変化を感じた展示 昨年に引き続き取り上げ&最早推しである アーティストAICONの個展「DESTROY+REBUILD」 自身のつっかえ感を打破するために 破壊により再構造した作品群は個展の説明文にもある通り、 一旦ぶち壊して突破口を作った痛快さも感じるし、 ぶち壊す過程での陶酔感を経た爽快感も感じる。 そしてnext phase感も。 コンセプトに基づく作品、 空間選びと設計、造作、光、空気の統一感が素晴らしかったです。 Phaseの変化を感じた文学 私、働いて10年以上経ちますが 本は相変わらず読んでいる方なのですが それでも小説を読む量はかなり減少しております。 そんな中でも読んだ小説で印象深かったのが 世界的ベストセラーであり20世紀の金字塔的文学 ガブリエル・ガルシア・マルケス著『百年の孤独』 [caption id="attachment_22291" align="aligncenter" width="421"] 画像引用:新潮社HP[/caption] 世界的名著として名高く、 マジック・リアリズムの代表作であり 高尚なテーマが隠れているのでは?と思って 触手が伸びなかったのですが、 今年まさかの文庫化! 文庫化に際して情報が出るたびにSNSが騒然! そしてNetflixでの映像化! 読んでみたら内容はギャグのつるべ打ち… 自身だけでなく あらゆる人が『百年の孤独』を受容 もしくは世界が『百年の孤独』化しているのでは? 本作を読む人々の感受性が変化したのか? 世界の変化により本作が受け入れられやすくなったのか? 今年発売後10月時点で発行部数33万部以上という 奇妙なPhaseの変化に歓喜しております。 いきなり小説から読むのに躊躇している方は 是非Netflixのドラマをお正月にでも! https://youtu.be/jbNmvLQOtZM?si=feSRm_6L0ewAOHnZ Phaseの変化を感じたビジネス本 ビジネス本にPhase云々もないかもしれませんが リクルート江副氏の『起業の天才!』の著者による 『最後の海賊 楽天 三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』は 巷間ささやかれている著名な起業家の実態と功績、 そのイノベ-ションの真価を顕わにする筆致は見事! [caption id="attachment_22296" align="aligncenter" width="518"] 画像引用:小学館HP[/caption] 楽天が取り組んでいる世界初の通信の仮想化や 最先端のがん治療などのチャレンジは 企業体を常に変化させ挑戦を続けており Phaseの変化による期待を感じさせます。 昨年に引き続き、 気が付けばかなりの紙幅を割いてしまったので ほかにも列挙したい 「Phaseの変化を感じた○○」は来月で。 文・写真 北米のエボ・テイラー ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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「アート思考」で先の見えないVUCAの時代を生き抜く(前編)
こんにちは。アートとカルチャーをこよなく愛するキャリアコンサルタント・竹島弘幸です。 前回は企業なるものの不思議さについて、企業=残留思念であると仮説を提示しました。今回はもうちょっと現実的な話に戻しましょう。 企業とアートの関係についていくつかの軸で考えてパッと思いつくのは、企業が本社の受付などに設置するためにアートを購入したり、文化貢献のためのスポンサーなどでしょうか。この企業とアートの関係を考えたとき、欧米に比べて日本のマーケットはまだまだ小さいと言われています。 世界最大級のアート・フェア「アート・バーゼル」(※1)と、スイスに拠点を置く金融機関のUBS(※2)が、世界のアートマーケットの動向を調査、分析した報告書「The Art Basel and UBS Global Art Market Report 2024」によると、2023年のアートマーケットの総売上は推定650億ドル(前年度比4%減)です。そのうちアメリカが42%、中国が19%、UKが17%、に対し日本はたったの1%に過ぎません。GDPの規模に対して小さすぎるシェアですね。 文:竹島弘幸(国家資格キャリアコンサルタント) イラスト:EMI. AD / HD @ SIROCCO コーディネート: 竹内基貴 [caption id="attachment_22234" align="alignnone" width="1600"] EMI. AD / HD @ SIROCCO[/caption] 欧米の会社が、アートを事業の重要な一部として位置づけており積極的に購入、活用しているのに対し、日本では企業の中でのアートの市場がとても小さいのです。 あるキュレーターさんに話を聞くと、欧米のアートマーケットの会合などに出てリレーションをつくる日本人は本当に少ないそうです。キュレーターいわく、日本人は英語が下手でもいいからもっと世界に出ていくべきだと話していました。 余談ですが、私は以前ニューヨークやロンドンの金融機関の本社を何度か訪問したことがあるのですが、受付やミーティングルームには現代アート作品がいくつも美しく飾られていて驚きました。 [caption id="attachment_22235" align="alignnone" width="2048"] EMI. AD / HD @ SIROCCO[/caption] 現代アート作品なので抽象的であったりコンセプチュアルであったりいささかショッキングなものであったりしますが、センスのいいオフィスの中にカッコよく現代アート作品が設置されていて思わず見惚れてしまったと同時に、うわ!……これは敵わないなという感覚も覚えました。 アート作品の展示だけではありません。会社のレターヘッドの高級そうなエンボス加工、書類を入れる企業名が刻印された革製のバインダーなどトータルでアーティスティックなセンスに溢れていました。 敵わないなというのも変ですが、正直そう思いました。振り返ると圧倒的なリベラルアーツの教養の差を感じたのですね。欧米のトップ企業は、教養こそがパワーなのです。 アートを楽しみ、文学を読み、オペラやジャズを聴く、サヴィル・ロウ(※3)のスーツを着こなす……。もちろんみんながみんなそうではないと思いますが、欧米のエグゼクティブを見ていると教養こそがパワーという気がしました。事実、私は打ち合わせする前の時点で圧倒されたのでした。 日本の企業の場合はもちろん応接室に絵があったりしますが、あまり統一的なコンセプトを感じるものではなく、特に現代アートはほとんど見かけません。リベラルアーツの教養の厚みを、上手に活用できている感じが見えづらいかもしれませんね。 ということで、まだまだ日本ではアートを含めた教養がパワーになるという考えは少ないように思います。 山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(※4)によると、英国の美術系大学院大学ロイヤルカレッジオブアート(※5)は、一般企業向けに幹部トレーニングコースを拡大しているようです。世界の大手企業は幹部候補をここに送り込んでいる。さらに同著によると伝統的なMBAなどのビジネススクールへの出願数が減少し、アートスクールや美術系大学へのエグゼクティブトレーニングが増えてきているようです。 なぜ欧米ではこのようなトレンドになるのでしょうか。現在はあちこちで言われる通りVUCAの時代です。VUCA:Volatility=不安定、Uncertanity=不確実、Complexity=複雑、Ambiguity=曖昧の頭文字を取った造語で、元々は米国陸軍が現在の世界情勢を表現するために作った言葉です。 [caption id="attachment_22236" align="alignnone" width="1600"] EMI. AD / HD @ SIROCCO[/caption] 要するに企業は一寸先は闇、未来が見えにくい時代に生きているということですね。 最近ではトランプ大統領が選挙で勝利しました。アメリカの大統領の政策により世界は大きな影響を受けます。地球環境的にも人類の活動が環境へ大きな影響を与え、自然のシステムを変えてしまったと言われています。 このような時代に、論理的思考だけでは企業は勝ち抜けないのです。MBAに代表されるビジネススクール的なフレームワーク(※6)はとても優れた方法なのですが、致命的な問題として競争相手の会社も同じ結論に辿り着く、という点が挙げられます。ロジカルな分析や整理はロジカルゆえに汎用的で誰でもが使えますので、最終的には同じ結論になりがちです。したがって、イノベーションや世の中をあっと驚かせるようなプロダクト、サービスを考え出すことができなくなるのです。 そこでアート思考の重要性が言われてきているのです。 VUCA時代に企業は「カッコいい!美しい!面白い!これ自分が欲しい!」などのエモい感情に訴えかける製品、サービスを生み出す必要があるのです。 長くなりましたので、続きは次回に……。連載第3回では、国内外のいくつかのユニークな取り組みをご紹介していきましょう! 注釈 (※1) アート・バーゼル 世界最大級の現代アートフェアで、スイスのバーゼル、アメリカフロリダ州のマイアミ、香港、パリの4都市で開催される。世界中のアーティスト、ギャラリスト、バイヤーが集まり、写真を含む、幅広いジャンルの作品が展示され、売買もされる。 >本文に戻る (※2)UBS スイスに設立された多国籍投資銀行および金融サービス企業。 >本文に戻る (※3)サヴィル・ロウ ロンドンのストリート。ピカデリーサーカスの北西に位置し、 ビスポーク(顧客と仕立て屋が話し合いながら作る”been spoken for…”が語源。俗に言うオーダーメイド)のスーツを扱うテイラーが並ぶ。ちなみに、日本語の「背広」はサヴィル・ロウがなまったもの。近年では映画「キングスマン」の本拠地の舞台にもなっている。 >本文に戻る (※4)ロイヤル・カレッジ・オブ・アート (Royal College of Art: 通称RCA) QS世界大学ランキングで、2024年の時点で10年連続でアート・デザイン分野の世界1位となり、世界一の美術系大学として認知されている。英国ロンドンに所在。卒業制作展も有名で、革新的で多彩な作品が一般に公開され、各国からバイヤーやギャラリスト、企業なども訪れる。2024年の展示では、アートやデザインの最新のトレンドや技術が紹介され、持続可能性やAI、アイデンティティ、革新的な技術、包括性など、現代社会の重要なテーマが探求された。 >本文に戻る (※5)山口周 山口 周(やまぐち しゅう、1970年- )は、日本の著作家・経営コンサルタント。 (Wikipediaより) >本文に戻る (※6) フレームワーク ここでいうフレームワークとは目標達成や経営戦略、課題解決に役立つ思考の枠組み、手法のこと。SWOT / 3C /4P分析などが有名。 >本文に戻る 文/竹島弘幸 (HIROYUKI TAKESHIMA) 国家資格キャリアコンサルタント 外国人雇用労務士 大手通信会社勤務中。 新規事業開発・金融系企業複数社の立ち上げやTOBを実施、執行役員を歴任。近年ではアジア諸国へ出向など。 同時に映画や音楽、アート等の視聴覚芸術、ファッション、現代思想などへの造詣を活用した共生社会の実現のたに、「人的資本経営」をサポートする会社を起業。 コーディネート/竹内基貴 (MOTOKI TAKEUCHI) プロデューサー/コンサルタント 日本写真専門学校卒業後、フォトグラファーになる。その後ロンドン芸術大学(LCC)留学。帰国後はIT企業各社にてWEBマーケティングや新規事業棟に従事。2015年に起業、アーティスト/文化人のマネジメントやデザイン会社の広報業務、企業のM&Aなどを行う。現在は地方でギャラリーを経営しつつ、初心に返りちょっとだけ映像制作も行っている。 ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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年の瀬、盛り上がってくるのがM-1グランプリ。 今年も出場組が過去最多を更新し、YouTubeやTverなど様々な媒体で盛り上がりをみせていますね。 かくいう筆者も実はお笑い好きでして、仕事終わりや休みの日に劇場へ足を運んでいます。 特に吉本お笑い劇場に行けば誰もが一度見たことあるのがこのステッカー。 その特徴を捉えた可愛らしいイラストは一体どんな人が描いているのか、、いちお笑いファンとしてずっと気になっていたんです。 調べたところ、ちたまロケッツさんというイラストレーターの方が描かれているんだとか。 なんと今回はご縁があって、ちたまさんにお話しを聞くことが出来ました。 快く引き受けていただきましたちたまさん、ありがとうございます!! ちたまロケッツさんの描く絵が好きな方はもちろん、イラストレーターになりたい方にとってもぜひ「魅力的な似顔絵の描き方」について知っていただける内容となっています! ◆ちたまロケッツさん プロフィール 西原キヨシ 1977年生まれ 東京都在住 武蔵野美術短期大学部 デザイン科卒 吉本興業のグッズ制作・販売会社を経て、2007年よりフリーで活動。 似顔絵・キャラクター制作を中心とし、グラフィックデザイン全般の業務を行う。 吉本芸人のイラストは、オフィシャルグッズとして採用され、のべ1000人以上を制作。 HP:https://chitamar.com/ Instagram:@chitama_rockets X:@CHITAMA_ROCKETS ――ちたまさんの自己紹介と改めてお仕事の内容を教えていただけますか? 武蔵野美術短期大学卒業後は吉本興業の子会社でグラフィックデザイナーとして、商品企画などに携わっていました。現在はフリーのイラストレーターとして似顔絵を描いています。メインの仕事は吉本興業の似顔絵ステッカーの制作です。その他にもテレビ番組のタイトルロゴの制作などといったデザイン関係の仕事も行なっています。 ――吉本芸人さんのイラストを描くきっかけはなんでしょうか? 吉本の子会社で働いていた時に吉本芸人のイラストを使ったグッズを制作したいという話になり「やってみない?」と声をかけていただきました。大学でデザインを学んでいましたが、子供の頃から絵を描くことも好きだったので、得意なことが仕事に繋がったという感じです。当時は「はねるのトビラ」というバラエティ番組が人気だったので、キングコングさんやロバートさんなどのイラストを描いていました。 ――吉本芸人さんのイラストを描く際に意識しているポイントはありますか? シンプルに描くことを意識しています。なので、極力描く線を少なくして、どこまでシンプルにしても似せられるように工夫しています。あとは描く前にその人の資料や動画を集めてそれらを観ながら、こう描いたら似てる、似てないというような判断基準を自分の中で作るようにしています。 私の場合、こう描きたいというイメージが頭の中で出来上がっていて、それを描き出していきます。最終的に頭の中と目の前の絵に違和感がないかどうかチェックしています。 あとは資料集めの延長線ではないですが、吉本芸人さんを描く仕事をしているので常に日頃の活躍は観るようにしています。今だとM-1の時期なので決勝だけではなく、予選から色んな芸人の方を観てますね。この人次来そうだなとか、そうすると自分の中である程度イメージのベースが出来上がるので。 ――似せるためにどんな描き方をしていますか? 描くときには全体的なシルエットとパーツの位置が重要だと思っています。 両目と口を線で結んで3角形にしたらどんな形になるのかなど考えながら描いたりしています。例えば、目が離れている方だと線で結ぶと、潰れた逆三角形になりますよね。そんな風にパーツの位置が少し違うだけで、雰囲気も変わってくるので、パーツの位置は常に微調整しながら描いています。割と福笑いみたいな感覚で描いてるかもしれません(笑) 私の場合、シンプルに描くからこそ、パーツの位置が重要だったりしますね。 こういう仕事をしていると描けば描くほど、似ているのか分からなくなってしまうこともあるので、そういう時は時間を置いて違うことをして、冷静になるようにしています。そうするとイラストを見る目がフラットになり、客観的に描けるようになるんです。 ――ちなみに描きやすい人の特徴ってありますか? メガネがあると描きやすかったりしますね。でも私の場合、特徴のない人を描く方が得意かもしれません。特徴がありすぎる人だと似顔絵だとそれを超えられないといいますか、8割くらいは描けるんですけど、「なんか足りないなあ」っていうもどかしさを感じたりもします(笑) ちなみに描きやすい人はすぐ描けちゃうんですけど、人によっては1週間くらいかけて描く場合もあります。基本的には1週間を目処に制作するといった感じです。 ――イラストレーターとしてのやりがいってなんでしょうか? 自分が描いたイラストに対して、お客さんから良い反応がもらえた時は嬉しいですね。描き始めた当初は実際に店舗に行ってお客さんの反応を見たり、感想を盗み聞きしたりしていました。覆面調査です(笑) でもやっぱり、初めてこの仕事をした時が1番やりがいを感じた瞬間だったかもしれません。初めて描いたのはキングコングさんなんですけど、やっと自分の居場所を作れたような感覚にはなりました。 あと似顔絵って普通の人が見ても、専門知識や感性など関係なく楽しめるものですよね。誰でも似てないって判断できるので、ごまかしがききません。 逆に言えば、似てればより多くの人に共感してもらえたり喜んでもらえる。だから手を抜けないし、やりがいを感じる瞬間も多いのかもしれません。 ――イラストレーターに求められるスキルって何だと思いますか? 相手を理解することは大切だと感じますね。イラストレーターも相手がいる仕事なので、この仕事も吉本興業側がどういう絵を求めているのか、自分の中で噛み砕いて理解した上で提案しています。相手との認識がずれているとどんなに良い絵を描いてもO Kが出ないのでそこは難しいですね。 ――最後にイラストレーターを目指している方々に向けてメッセージをお願いします! もう既にこの分野のことを学んでいる方々は、今の同世代の人が集まってそれぞれが作品を作っていく環境を大切にして欲しいです。身近な人から受ける様々な刺激はむしろ今しか体験出来ないことだと思うので、色んなエネルギーを吸収してたくさん好きな絵を描いてください! なんと今回は実際に作業風景も見させていただきました。 こんな機会滅多にないので筆者感動しております。 イラスト制作の様子がわかる動画はコチラ!↓ https://youtu.be/50oyuWVw7t8 ちたまロケッツさんありがとうございました! シンプルに描くという要素が少ない状態で、あそこまで愛着の湧く似顔絵が描けるのはちたまさんの日頃の観察力と、芸人さんへの愛があるからこそだと思いました。 似顔絵のコツはイラストレーターを目指す方だけではなく、どなたでも参考になるポイントでしたね。描き方を知った後だと、ステッカーを見る視点も変わりそうな気がします。 皆さんもぜひ劇場へ足を運んだ際にはステッカーをチェックしてみてください! PicoN!編集部:河野 ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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「美術のこもれび」Rayons de soleil dans l’art ⑳ ― 『モネ 睡蓮のとき』展 <国立西洋美術館・東京/上野> について
『モネ 睡蓮のとき』展 <国立西洋美術館・東京/上野> について 専門学校日本デザイナー学院東京校 講師の原 広信(はらひろのぶ)です。 今回は東京都、上野の国立西洋美術館で開催されている(2024年12月現在)『モネ 睡蓮のとき』展についてです。私自身が日本デザイナー学院東京校の「総合イラストレーション科」の3年生とともに見学に出かけましたので、その展覧会の展示作品からいくつかをご紹介します。 印象派の代表格であるクロード・モネ ( Claude Monet 1840~1926 ) についてはこのコラムでも何度も登場しています。第2話でもこの画家の紹介と『印象派』という呼称の由来等にも触れましたが、今回ご紹介するこの展覧会もフランス・パリの「マルモッタン モネ美術館」からの日本初公開となる重要作を多く含むおよそ50点に日本各地に所蔵される作品を加えた展示になります。 ※下線部展覧会リーフレットより引用 では、晩年の作品を中心にモネの描いた風景の世界を一緒に見ていきましょう~。 [caption id="attachment_22107" align="aligncenter" width="700"] 【クロード・モネ Claude Monet 『 睡蓮、夕暮れの効果 / Nymphéas effet du soir 』1897年 73x100cm カンヴァスに油彩 Musée Marmottan Monet マルモッタン モネ美術館蔵 / Paris,フランス】 ※画像引用元:国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』展 HP[/caption] ほの白い可憐な睡蓮の花と葉が池に浮かんでいます。水面は細やかな筆のタッチ(筆致)によって描かれていて、空の色や雲の明るさを反映している色調です。そして青や淡い紫色に織りなされた水面に次第に近づく日没『夕暮れ』の光量の翳りに、花弁の白さが一層明るさを増しているかのようです。こうした時間の経過によるモチーフの変化を画面に表現しようとするのはモネの絵画の特徴の一つだと思います。 続いては、 [caption id="attachment_22108" align="aligncenter" width="643"] 【クロード・モネ Claude Monet 『 睡蓮の池 / Le Bassin aux nénuphars 』1917- 1919年頃 130x120cm カンヴァスに油彩 Musée Marmottan Monet マルモッタン モネ美術館蔵 / Paris,フランス】※画像引用元:国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』展 HP[/caption] 縦長のカンヴァスに池の奥行きを感じます。池に落ちる木陰の濃い緑と空が映り込む水面に睡蓮の葉の明るい黄緑系と花の鮮やかな赤が印象的です。比較して近景(画面の下の方)には力強いタッチ(筆跡)に色彩にコントラストをもたせ、画面中央から上の遠景には柔らかく淡い色使いで描くことで、視覚的な遠近感をもたらしています。四角いカンヴァスに切り取られた光景ですが、池の広がりを感じる作品です。 [caption id="attachment_22109" align="aligncenter" width="696"] 【クロード・モネ Claude Monet 『 睡蓮、柳の反映 / Nymphéas, reflets de saule 』1916- 1919年頃 200x200cm カンヴァスに油彩 Musée Marmottan Monet マルモッタン モネ美術館蔵 / Paris,フランス】※画像引用元:国立西洋美術館『モネ 睡蓮のとき』展 HP[/caption] 「 睡蓮、柳の反映 / Nymphéas, reflets de saule 」という画題の作品をモネは複数描いていて、今回の展覧会でも同名のタイトルの他の作品も鑑賞することができます。この作品は2メートル四方の正方形をしたカンヴァスに、睡蓮の浮かぶ池の水面に映り込んだ柳の枝葉が画面の上から下に大きくカーブをしている様子を主に青系の色調で描いています。それは睡蓮の葉と重なり合うことで、かろうじて水面であることと、柳の枝葉が風に揺れそよいでいることを表現しています。その荒々しいほどのタッチ(筆跡)は刻々と移り行くこの水面の表情を一刻も早く描き止めようとしているかのようです。この一瞬の光景ですがこれをほど3年かけてモネは描くのです。 そしてここには具体的な描写から離れた抽象性を感じます。「美術のこもれび」第5話でご紹介した現代アート作家「ゲルハルト・リヒター」の描く抽象作品の表現にも通じると感じています。 [caption id="attachment_22110" align="aligncenter" width="640"] 【クロード・モネ Claude Monet 『 睡蓮、柳の反映 / Nymphéas, reflets de saule 』1916-1919年頃 130x157cm カンヴァスに油彩 Musée Marmottan Monet マルモッタン モネ美術館蔵 / Paris,フランス】※筆者自身が撮影[/caption] こちらは展示室の中で撮影が認められている一室があり、そこで展示されていた作品を筆者が撮った作品です。 モネは1916年~1919年頃の時期に同名の作品を複数制作しました。深い緑系の色で描かれている水面には柳の枝葉がもはや判別が難しいほどに同系色で描かれています。こうした区別がしにくいほどに刻々と夕暮れが深まる池に二つの睡蓮の花が鮮やかさ放っていて印象的です。時間の経過を惜しむように画面の端は描こうとせず、モネはこうした時のうつろいをカンヴァスに刻もうとするかのように繰り返し描いていきます。 [caption id="attachment_22111" align="aligncenter" width="640"] 【クロード・モネ Claude Monet 『 睡蓮 / Nymphéas 』1914-1917年頃 130x150cm カンヴァスに油彩 Musée Marmottan Monet マルモッタン モネ美術館蔵 / Paris,フランス】※筆者自身が撮影[/caption] 睡蓮の白い花と点々と浮かぶ丸い葉に、水面に逆さに映り込んだ水生植物と青空、そして白い雲が明るい色調で描かれています。池を吹き渡たり水面を揺らすような風もない静寂さに、明るい雲だけがゆっくりと移動しているかのようです。晩年のモネがこの作品の画面に一つだけの白い花とこの静寂さを描く1914年から1917年頃とは、フランスはまさに大きな戦争(第一次世界大戦)に参戦の最中だったのです。 色々な思いを持ちながら、ゆっくりと鑑賞することができた展覧会でした。 最後に東京、上野公園内「国立西洋美術館」での『モネ 睡蓮のとき』展のエントランスの画像です。【筆者撮影】 この展覧会はJR上野駅【公園口改札】から出て徒歩1分。駅から最も近い美術館での開催です。銀杏も紅葉しています。 開館時間は17:30まで、基本的に月曜日が休館日(※日程はサイトで確認しましょう)。 日本デザイナー学院は国立美術館キャンパスメンバーズ加盟校ですから、学生証の提示で学生1,200円で観覧できます。 さあ芸術の秋にモネの描く『睡蓮のとき』を満喫しに出かけましょう! 展覧会情報 『モネ 睡蓮のとき』展 会 期:2024年10月5日(土)~2025年2月11日(火・祝) 場 所:国立西洋美術館(東京都・台東区上野公園内) 公式HP:https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2024monet.html [clink url="https://picon.fun/art/20241008/"] ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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鉄道撮影紀Ⅱ ~ 鶴見線大川支線~ 去り行く古豪 クモハ12
横浜市の鶴見駅を起点とする鶴見線の大川支線には、1996年(平成8年)3月まで、戦前に製造された電車が走っていた。蒸気機関車のD51よりも古く、昭和4年と6年に作られた「クモハ12」だ。 運転されていた鶴見線大川支線は、武蔵白石駅から大川駅の約1kmの短い路線だが、武蔵白石駅に急カーブのホームがあり、現在走っている通常の20m級の車両が入線できず、短い17m級の車両でなければ走ることが出来ない路線であった。 そんな特殊な路線だったので、昭和から平成に変わっても旧形車両が2両で日々交代しながら運転されていた。 [caption id="attachment_21953" align="aligncenter" width="750"] 高校生の頃に撮影したカット。大川支線ではなく海芝浦支線ですが、昔から行っていたという証拠でもあります。[/caption] しかし、路線の特殊さ故に奇跡的に残った鶴見線のクモハ12が老朽化面で限界となり、1996年(平成8年)3月15日をもって営業運転から退くこととなってしまう。 写真学校入学する前から、時間があれば鶴見線に行き撮影をする日々だったが、運転終了が公式発表されたのを機会に、仕事を一時辞め、鶴見線に通い撮影することを決意。最後の活躍を記録し写真展をする事を目標とした。 [caption id="attachment_21948" align="aligncenter" width="750"] 大川駅へ進入するクモハ12[/caption] 写真展を目標にするからには、30~50枚の作品を見せられる事を想定しながら撮影していくが、列車の運転は朝夕のみの線区なので闇雲に撮っても纏まらない。決まりを作り撮影する事にした。 鶴見線の撮影は、始発から終電まで、運良く自宅から通うことができる場所だった。鶴見線の定期券を購入し、週1日の休みを設け、それ以外はなるべく撮影に行く日常がはじまった。 [caption id="attachment_21947" align="aligncenter" width="750"] 大川支線の始発電車の送り込みを横から撮影[/caption] 朝一番の列車が鶴見線の車庫から出てくるところを撮影するため、5時前に最寄り駅から列車に乗って現地に向かい、朝の運転が終わると入庫の撮影。昼間はフイルムの現像を出しに行ったり、ロケハンしたりして、夕方の出庫に合わせ再度移動。運転が終了し車庫に入るところまで撮影し、自宅に23時前に帰宅する毎日。 [caption id="attachment_21944" align="aligncenter" width="750"] 白熱灯の車内。運転終了する2日前の撮影。外で談笑していたら偶然車内に人が居なかったので、撮ったカット。現場にいたファンは数人いて、お互いに話し合いながら、画角に入らない様にして撮っていました[/caption] 撮影時期は1月~3月。日の出時刻が遅く、電車が走行する時間帯は陽がまだ低くて撮影条件は厳しかった。今とは違い、感度の低いフイルムでの撮影だったが、当時は明るい単焦点レンズをメインで撮影していた。 [caption id="attachment_21945" align="aligncenter" width="750"] 朝日が差し込み、木の床を照らしています[/caption] [caption id="attachment_21949" align="aligncenter" width="500"] 朝の運転台[/caption] 路線の大半は道路と並行しているが、線路側は歩道がなく大型トラックの通行も多いので、道路からの撮影は極力避け、安全を最大限に優先して撮影に挑んだ。 武蔵白石駅は急カーブ上にあり、少し走ると大川駅まで長い直線になるので、安全に撮影でき、沿線の工場への踏切、鉄橋、終端となる大川駅、その奥にある工場と短い線区の割に様々な撮影ポイントがあったので、始発から終電まで様々なカットを撮ることができた。 [caption id="attachment_21955" align="aligncenter" width="750"] 武蔵白石を出てすぐのカーブから大川への直線[/caption] しかし、写真展を目標と思い立ち撮り続けてきたが、最終的に季節感が足りないことに気が付いた。撮影できる期間が短く、いわゆる冬らしい写真が撮れていなかったのだ。 横浜や川崎は冬でもなかなか雪が降らない。このまま撮影期間が終わってしまうか、と思っていたその矢先、最終運転終了の直前に降雪があった。それはまさに奇跡的なタイミングであった。雪の中を「クモハ12」が走り抜けるカットを撮る事が出来、冬を強調する写真を撮ることができた。 [caption id="attachment_21946" align="aligncenter" width="750"] 雪の日、ある意味奇跡のカット[/caption] その後、最終運転まで、撮ったカットの見直しや再撮影をしたり、新たに撮影ポイントを探したり、大判カメラで撮影したりと試行錯誤しながら様々なことに取り組んだ。そしてついに迎えた最終日。雨が降る中、営業運転の最後を見送った。 [caption id="attachment_21956" align="aligncenter" width="750"] 武蔵白石で小雨降る中の発車待ち[/caption] [caption id="attachment_21954" align="aligncenter" width="750"] 大川支線での本当に最後の発車シーン、この回送が出て、武蔵白石の大川支線のホームが解体されました。[/caption] 定期運転が終わり、お別れ運転が行われるまで少し期間があり、貸し切りでの運転が行われ、定期運転されていた区間以外にも走ったので、追加の撮影をすることが出来た。 [caption id="attachment_21957" align="aligncenter" width="750"] 定期運行が終了し、貸切で運転された時のカット。マンションの階段から撮影。[/caption] 「クモハ12」のお別れ運転が行われた日、鶴見駅には人が溢れるほど集まった。くす玉割が行われ、イベントが盛大に開始された。お別れ運転を記録し、これで本当に最後の撮影が終了した。 [caption id="attachment_21958" align="aligncenter" width="750"] お別れ運転当日のカット、報道や多数のファンが訪れ溢れかえるホームで、手を伸ばして撮影したカット。 デジカメでは無いので当たりをつけてノーファインダーで撮りました。[/caption] すべての撮影を終え、写真をセレクトして展示点数を揃えた。2か所のメーカー系ギャラリーの公募に応募してみたが、落選。当時は今ほど鉄道写真への評価はされておらず、著名な鉄道写真家でもメーカーギャラリーでは、なかなか展示がおこなわれていなかった。 結局、当時渋谷にあったカメラ量販店のラボが運営しているギャラリーに応募し、無事に採用。念願の写真展を1997年5月に開催した。 写真・文 伊藤純一 ▽使用機材 〈カメラ〉 35mmカメラ Nikon F3P Nikon F4 〈レンズ(全てニコン)〉 28mmF2,8 50mmF1,4 85mmF1,4 85mmF2 105mmF2,5 180mmF2,8 300mmF4,5 20-35mmF2,8 80-200mmF2,8 〈フィルム〉 ・カラー Kodak E100 EPP EPZ Konica 森羅100 (SRS) ・モノクロ 富士写真フイルム NEOPAN 400 PRESTO ▽関連記事 [clink url="https://picon.fun/photo/20220204/"] [clink url="https://picon.fun/photo/20220311/"] [clink url="https://picon.fun/photo/20230316/"] [clink url="https://picon.fun/design/20240802/"] ↓PicoN!アプリインストールはこちら
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