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災害は突然やってくる。「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」

自然災害大国である日本。
日本で暮らしている限り、まったく意識せずに過ごす日はないと言っても過言ではありません。
近年は、地震だけでなく、雷雨や台風による水害、火山の噴火なども頻繁に発生し、私たちの防災意識も高まりつつあります。

筆者は心配性な性格もあって、引越しの際には地盤の強さを調べてから住む地域を決めたり、防災グッズや非常食1週間分ストックするなど、日頃から備えを心がけています。
それでも、「これで本当に大丈夫だろうか?」と不安に思うことは少なくありません。

そんな中、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTにて7月4日から開催している「そのとき、どうする?展–防災のこれからを見渡す–」を訪れました。
展示の様子を紹介していきます。

10の問いが突き付ける、自分事としての防災

この展示は、来場者に「そのとき、どうする?」という10の問いを投げかけてきます。
「『安全な場所』って、どこ?」「『復興』って、なんだろう?」といった、簡単に答えが出ないような問いばかり。
普段あまり深く考えることのない防災について、立ち止まって考えるきっかけになります。

Q1 「安全な場所」ってどこ?

このセクションでは、衛生データなどをもとに、気象変動や自然災害をビジュアル化しています。
また、洪水浸水想定や震度分布、全壊棟数分布などが確認でき、私たちが住む場所がどのようなリスクを抱えているのかを視覚的に理解できるようになっていました。

過去約100年に起きた地震を3Dの地図に可視化されたものをみてみると、日本列島が4つのプレートの会合域に位置していることが一目でわかり、地震大国としての現実を突きつけられました。

さらに、2011年3月11日 東日本大震災が約100年間の中で最大規模であったことも、データを通して改めて実感することができました。

Q3 「そのとき」は、いつやってくる?

体験型のインスタレーションでは、来場者が積み木を自由に積み上げることができます。
ただし、10分に1度積み上げたものがすべて崩れてしまう「そのとき」が必ず訪れます。

皆さんは知っていましたか?
世界のマグニチュード6以上の地震の約2割以上が日本周辺で発生しています。(展示説明文より引用)
災害はいつ、どこで発生するかわかりません。しかし、日本に暮らす限り「そのとき」は必ず訪れます。

Q4 災害をどのように知る?

災害をきっかけに生まれたツールや知恵なども紹介されています。
特に印象的だったのが、筆者も利用している「特務機関NERV防災アプリ」です。
以前、テレビ番組で拝見したところによると、東日本大震災の際に開発者の一人である石森大貴氏が、SNSを通じて災害情報を発信し続けた経験あり、そこで得た「情報を早く正確に届けることの重要性」という信念が、このアプリ開発の大きな動機となっているそうです。

一方で、現代のテクノロジーとは対照的に、古くから日本に伝わる言い伝えに焦点を当てた展示もありました。
「カラスが騒ぐと地震がくる」「オスの三毛猫が天井にのぼると大水」など、耳に残るメロディーやイラストを使って伝承が紹介されています。

Q6 あなたにとって、その後の生活に必要なものはなに?

命の安全が確保された後、私たちが直面するのは生活をどう維持するかという問題です。

会場では、非常時の暮らしを支えるための備蓄用食品、簡易トイレ、シャワーテントなど、さまざまな生活支援アイテムが紹介されていました。
中でも考えさせられたのが「備えない防災」グッズ!

たとえば、普段は置物としてのコトリさんが

「そのとき」には、防災ホイッスルに

普段はスツール、ミニテーブルが

「そのとき」には保冷バック、水害時の浮き具、防災用品の収納場所に

普段はインテリアや日用品として、「そのとき」は身を守るアイテムに変身!
この視点は、筆者にとって驚きでした。
日常と災害時の状況が変われば、アイテムの機能も変わる。これまでの防災は特別な備えという固定観念を覆す、目から鱗が落ちる発想です。

これらのプロダクトは防災のハードルを下げ、非常時にしか使わないものを押し入れの奥にしまうのではなく、日々の暮らしの中で当たり前に使う。そうすることで、特別な意識を持たなくても自然と防災が生活の一部になるな!と感じました。

あなたなら「そのとき、どうする?」

会場内の各所にQRコードが設置されており、それを読み込むことで、来場者は10の問いに答えていきます。

その問いの答えが会場の映像作品として展示されます。
その人の状況や価値観によって答えもさまざま。

他の人の多様な答えに触れることで、防災への新たな考えや視点を得ることができました。
気に入った誰かの答えをシールにして自宅に持ち帰ることもでき、友人や家族と防災について話すきっかけになりそうです!

***

今回の展示を通して改めて感じたのは、防災は特別なことではなく、日常の延長線上にあるものだということ。
災害はいつ起こるかわからないからこそ、今の生活の中でできる備えを一つずつ見直していくことが大切なのだと思いました。
会期は11月3日まで。
ぜひ、この機会に足を運んで、防災について改めて考える時間を持ってみませんか?

【開催概要】
「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」
会期:2025年7月4日(金) – 11月3日(月・祝)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2
休館日:火曜日(9月23日は開館)
開館時間:10:00 – 19:00(入場は18:30まで)
六本木アートナイト特別開館時間:9月26日(金)、27日(土)10:00 – 22:00(入場は21:30まで)
入場料:一般1,600 円、大学生800 円、高校生 500 円、中学生以下無料

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