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クリエイティブ圏外漢のクリエイティビティを感じる何か…〈vol.13〉―Hi-STANDARDドラマー恒岡章

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
昨年末からChatGPTの超加速度的普及とユーザー数の爆発的増加やMicrosoftによるOPENAIの買収劇を眺めていたら、今度はシリコンバレーバンクが急展開で破綻したり…
変化スピードが上がりっぱなしの昨今ですが皆様いかがお過ごしでしょうか?

今回ご紹介するのは今年の2月14日に永眠された
Hi-STANDARDドラマー恒岡章さん(以下敬称略)と、彼にまつわる曲や動画についてご紹介したいと思います。

これまでミュージシャンの訃報は数多く経験したものの、音楽を加速度的に好きになったきっかけのバンドメンバーの訃報でここまで自分ゴトとして喪失感を感じることはなかったため、個人語りにもなりそうですがご容赦いただきたく。

恒岡章が所属していたHi-STANDARD

Hi-STANDARDは1991年に難波彰浩(Ba/Vo)、横山健(Gt/Vo)、恒岡章(Dr)を中心に結成されたパンクバンド。

全編英語詞のメロディックなハードコアパンク(通称メロコア)スタイルで日本におけるシーンを確立し、フォロワーを数多く輩出した。
(90~00年代びっくりするくらい英語詞のメロコアバンドが多かった…)

90年代にTVでのプロモーションをせずにLIVEと音源で人気を獲得。
所属レコード会社内にレーベルPIZZA OF DEATH RECORDSを設立。
レコード会社から完全に独立して上記レーベルで出した3rdアルバム「MAKING THE ROAD」は100万枚以上を売上げた。

日本で音楽フェスという言葉が流通する前から仲間のバンドと集まって「AIRJAM」という音楽フェスを主催。

11年の活動休止とメンバーのソロ活動を経て、2011年に震災を契機に「AIR JAM2011」で復活。
2016年には16年振りに「Another Starting Line」をゲリラリリース…

バンドとしての来歴を要約するだけでも途轍もない実績。
(より詳細はバンドページへ)

 

遅ればせながらだがHi-STANDARDの音楽的な特徴としては、80年代以降のパンクの王道=速くて、うるさくて、短い!に加え上述した通りの甘酸っぱさ+切なさを加味したメロディー。
そして恒岡章のドラムのリズムはひたすら速く、前ノリ+乱れ打ち!

日本語だとやや青臭さを感じる歌詞も、英語詞のため音楽的な疾走感をドライブさせます。

そんな彼らの特徴をMAXMUMに活かしつつ、
パンクだけでない彼らの音楽的嗜好性の広さも感じる
代表作である「MAKING THE ROAD」を聴いていただきたい。

※写真のレコードはUS盤なので収録曲が若干異なります

Hi-STANDARD以外の恒岡章

とにかく速く、前ノリなリズムで乱れ打つだけでなく
あらゆる音楽ジャンルに対応できる恒岡章はHi-STANDARDだけでなく、様々なバンドからドラマーとしてオファーがあった。

たとえば有名なところだとチャットモンチー。

2000年代だとHi-STANDARDの盟友であるLOW IQ 01は
自身のバンドMASTER LOW、LOW IQ &THE BEAT BREAKERで起用。

上手いドラマーが引っ張りだこというだけでなく
恒岡章はメロコア、パンク、ハードコア出身者が、それ以外の音楽要素を取り入れたい/違うジャンルのバンドを始めたり「変化」を起こしたい時にラブコール送られていた印象がある。

Hi-STANDARDと同時期にシーンをつくっていた
上述のLOW IQ 01、CUBISMO GRAFICO FIVE、磯部正文BAND、そして恒岡が最近合流したYOUR SONG IS GOODもその流れだと思う。

ちなみに私は昨年のFUJIROCKを映像で観ていて
YOUR SONG IS GOODの恒岡章のドラムに感動し、
今年の1月と3月のYOUR SONG IS GOODのライブに参加した。
1月に素晴らしいドラムを叩いていたのを体験していたので
訃報はしばらく信じられなかった…

音楽の間口を広げたかもしれない恒岡章

これはなかば印象論なのだが恒岡章はHi-STANDARDの他のメンバーに比べて好きな音楽の幅が広かった気がする。
(特に広義のブラックミュージックやクラブミュージックで)

そんな彼の音楽の幅の広さとドラムテクニックのおかげで、彼はHi-STANDARD以外のあらゆるバンドで活躍した。

そのおかげで当時のメロコア原理主義気味だった人々に、あらゆるジャンルの音楽への間口を広げてくれた気がする。

少なくとも私は多様なジャンルを好きになるきっかけの一つは、ツネさん(恒岡章)が培ってくれたと感じています。

彼の訃報を後に私が好きな曲を彼がDJでかけていたことを知りましたが、その偶然はツネさんが私をこの音楽までいきつかせてくれたと感じ、あらためて感謝の念をいだきました。

彼の音楽と魂はいつまでも消えません。
是非Hi-STANDARDも含めてあらゆる彼の作品に触れてみてください。

文・写真 北米のエボ・テイラー

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