奥深い「筆」の世界。老舗・名村大成堂が教える‟日本画筆”のこと。
みなさんは「筆」という言葉からどのような筆を思い浮かべるでしょうか?
画筆、書筆、化粧筆、刷毛類など筆にも多くの種類があります。一口に画筆といっても、その用途によって、形、大きさ、毛質などが異なり、実に多様な商品が存在します。画筆の種類では油彩筆、 水彩筆、日本画筆、デザイン筆、などがあり、使っている毛先の材料も厳選された材料を使用し、穂先の形も多種多様あります。
今回は、その中で“日本画筆”についてお話をしていきます。
用途によって使い分けされる日本画筆
日本画筆には様々な種類があり、用途によって使い分けがされています。ご紹介していきますね。
面相筆
人物や仏像の面相(顔)を書く為の筆ですが、日本画・デザイン・アニメ等多方面に使われます。線描きには、穂先が長い為 特に向いています。
彩色筆
日本画の着色用に造られた筆。水彩・デザインの塗り込み多く使われています。
隈取筆
どんぐりの実の様な穂先の膨らんだ筆。墨絵のボカシ、水彩画・勘亭流文字書き等用途も広い。
線描筆
日本画の一番基礎となる筆。線描きは特に良くデザイン、レタリング、漫画等幅広く愛用されている筆です。
付立筆
日本画の代表的な筆で、1本で大体のものが書けるとまで言われています。
平筆
白毛のものは主に羊毛、茶毛のものはイタチ・馬を製品に合わせた材料で加工してあります。
刷毛
良質な羊毛を使った絵刷毛は、含み具合が極めて良く、水張り・ドーサ引・描画用にと用途に合わせて選び、使用して下さい。
名村大成堂の代表的な「日本画筆」とそれぞれの特徴
名村大成堂の代表的な日本画筆は下記の通りです。
面相筆・・・特選 貂毫テンモウ面相
コリンスキーセーブルを当社の技術を駆使して造りあげた面相筆で、本格的な味付けはプロ向きの製品です。穂先は用途に応じて長さを自由に調節出来ます。
彩色筆・・・特製 彩色筆
特選羊毛、鹿毛を主材とした専門家向けの本格的な彩色筆です。墨、絵具の含みがよく、デザイン、パース、日本画向けと広範囲に使える、便利な筆です。
隈取筆・・・特製 隈取
選別された羊毛、馬毛、鹿毛の混毛からなる、上級者向け隈取筆です。墨絵、パース等ボカシ筆としても需要が増えています。
線描筆・・・特選 東紅
上質な羊毛材、芯にはイタチ毛を使用。穂先の良く利く線描筆に仕立てられています。本来は日本画用ですが、デザインの分野でも多用されています。
付立筆・・・茶軸 名成
特選羊毛、鹿毛、天尾毛等純良な材料10数種を丹念に混ぜ合わせて造られています。墨の含みが良く、先の使える運筆として、大変便利で、幅広い没骨表現が可能です。
平筆・・・TBP(平筆)
高級良質の羊毛材を使用した平筆で、絵具、墨の含み、おり共にすばらしい最高級平筆で、日本画用としても多く愛用されています。
刷毛・・・A印 絵刷毛
上質の光羊毛で、薄めに出来ている為、ドーサ引、絵刷毛用にボテつかず、墨、絵具の含みが良く、おりの良い刷毛です。
筆に使われている「毛」の材料のこと。
筆に使われる毛も様々な材料が使用され、伝統的な「動物の毛(獣毛)」と化学繊維である「ナイロン」が使われます。獣毛も様々な動物の毛をその用途によって使い分けています。重く粘りのある油絵には、毛が太くコシが強いものが適しますし、日本画には絵具の含みが良く、しなやかなものが好まれます
描き終わった後の、使用後の筆の大切なお手入れ。
筆を長く使って頂くためには、使用後のお手入れは欠かせません。特に毛の根元に絵具がたまってしまうと、使用感が悪くなるだけでなく、毛が切れてしまうなど、筆として使えなくなってしまいます。
「筆は自分の指先」だと思って、描き終った後は、自分の手といっしょに筆も洗ってあげてくださいね。
文・名村大成堂
「いいアイディアは、いい道具から。」東京 雑司が谷にある老舗の筆メーカー。公式Twitterでは水彩・油彩・アクリル・日本画など筆にまつわる様々な情報をお届けしています。
@namurataiseido