
「お笑い芸人は写真だと魅力が半減する。でも写真はそこが面白い。」 芸人たちを撮り続ける、かが屋 加賀翔さんにインタビュー。
皆さんはお笑い芸人を撮る芸人さんがいるのをご存知でしょうか?
「かが屋」というお笑いコンビで活動されている加賀 翔さんです。
加賀さんはコント師としてご活躍されているほか、最近はお笑い芸人や芸能人の方がテレビや舞台上では見せないオフショットを撮影されており、カメラマンとしての腕前も評価されています。
そんな2つの顔を持つ加賀さんに、写真を撮ることの面白さについてお伺いしました!
カメラマンとしての加賀さんの考え方や、今から写真を始めてみたいと考えている人の背中を押してくれるようなお話も。ぜひ必見です!
◆ かが屋 加賀 翔さん プロフィール
加賀翔(かが屋)1993年5月生まれ。岡山県出身。
2015年に賀屋壮也とコンビ・かが屋を結成。
2019年と2022年に「キングオブコント」(TBS系)決勝進出。
カメラが趣味で「TVガイドPERSON」、「ENCOUNTER MAGAZINE」にてカメラマンとして連載をもつ。
Instagram:@kagaya_kaga
X:@kaga_kagaya
カメラを始めたきっかけは学生時代アルバイトしていた店長の影響だったそうですね。そこからお笑い芸人を撮影するようになったきっかけを教えてください。
マセキ芸能社に入った時に趣味・特技を書かないといけなかったんですよ。その時ちょうどカメラを持っていたので、何に使えるか分からないけどとりあえず書いておこうってことで、そこにカメラと書いたのが始まりです。そしたら入ってそのままマセキの大きなライブのカメラマンをやることになりました。そこから事務所の先輩を撮るようになりましたね。他にもライブのSNSやブログに上げる写真やユニットライブのチラシの写真なども撮影していました。
最近は写真集を出されたり、様々な芸人さんを撮影されていますが、芸人さんのどんな瞬間を写真として発信していきたいですか?
お笑いの現場は笑いが絶えないので、ちゃんとその楽しい場面を写真として残していきたいなと思いますね。めちゃめちゃ気合いの入っている芸人の写真でも実は本人はめっちゃ滑った後だったりするんですよ。でも写真はその前後がないことでなぜかかっこよく見えてしまう。芸人を写すのはそこが不思議だなと思いますね。だからこそ面白い。写真を通して、そういうその人らしさやお笑いの現場ならではの雰囲気が伝わればなと。
加賀さん撮影:トム・ブラウン みちおさん
加賀さん撮影:相席スタート 山添 寛さん
普段はどのように撮影されているのでしょうか?
砕けた写真を撮るときは大きな声を出したりもしますし、赤ん坊を撮るような接し方をしちゃいます。カメラを持つと人格が変わるんですよね。撮る姿勢も気にせずやっているので、気づいたらなんでこんなに体が痛いんだろう、、みたいな日もあります。でも撮るの楽しいので割りと素でやってます。
「芸としての表現」と「写真における表現」の違いってなんでしょう?
ネタづくりは「足し算」でないものに足していって1つのネタが出来上がる、逆に写真は「引き算」であるものの中からどこかを選んで撮影をする、ここが違いかなと。そういう意味で言うと、ゴールの向きが違うなとすごく思いますね。写真をやっているからコントをする際の舞台の見え方も気になるし、コントをやっているから道に落ちているものでもストーリーを全部考えてしまって、面白がれたりします。そういう部分ではきっと他のカメラマンさんと違う見え方をしているのかもしれません。
そこは加賀さんだからこその強みでもありますね
ですね。元々、視覚的な情報が好きなので、舞台や映画や漫画などもそうですけど、1コマ目の情報でだいぶ面白さが変わってくるというか、それがコントでも写真でも表現出来たらなと思いますね。いつか梅佳代さんのような写真で爆笑が出来るような作品を撮ってみたいです。
芸と写真2つの似てるところや好きなところはありますか?
似てるところはその時間を止められるというところですかね。コントだと思いついたこととか、当時の考え方とかがそのままネタとして入るので、1回やったら全然こんなの2度とやらないみたいなこともあるんですけど。写真も昔より簡単に撮ったものを保存できるようになってますし、そういう面では似ているなと感じます。
あと僕は人の顔が見るのがとにかく好きです。コントも写真もそうですけど、表情で考えていることが分かるじゃないですか。そういうことを芸と写真では感じられるので好きだなと思います。
お笑い芸人を撮ることの面白さはなんでしょう?
芸人は動いている方が絶対面白いのに、写真だとその魅力が半減してしまう。写真の好きなところはそこかもしれません。むしろ写真にする必要がない人たちという、、、。でもそこがたまらんのですね。芸人はお客さんを喜ばせてなんぼなのに写真にされてもなんですよ。だから、僕は面白くて大好きな芸人さんのカタログを作っているようなイメージで撮っているというか。僕の写真がきっかけで「この芸人さん見てみよう」ってなってもらえたらいいですね。
加賀さん撮影:ザ・マミィさん
加賀さん撮影:滝沢 秀一さん
今後どのような写真を撮っていきたいですか?
芸人さんの素の部分は撮らせていただいているんですけど、罰ゲームをしている瞬間のような「ザ・お笑い芸人」っていう瞬間も撮ってみたいですね。巨大扇風機とスタジオを借りて、たくさんの芸人さんに来てもらって撮影してみたいです。ジャパニーズコメディーを発信出来ればなと。
では最後に写真に興味のある読者へメッセージをお願いします!
もし、カメラを買いたいとかちょっとでも思うんだったら、100%買った方がいい!っていうのは断言できます。絶対に買った方がいい。どうせ使わなくなってもいいんだから、続く人は続くので。買いましょう。
加賀さんありがとうございました!
お話を聞く中で知れたのは、カメラがあることで築けたお笑い芸人としての独自の在り方。
上には先輩がいて下には後輩がいる。そんな伸び悩む時期でもカメラがあったからこそ、どちらとも距離が近くいられたとのことでした。
お話の節々からは他のお笑い芸人さんをリスペクトしている姿勢が伺えました。その想いがあるからこそ、加賀さんの作品には、芸人さんの新たな表情が写し撮られるのかもしれません。
最後に本校のスタジオで撮影も。
カメラを向けるたびに、様々な表情を見せてくださる魅力的な方でした。
今回の記事を読んで「加賀さんの作品をもっと見たい!」そう思った方もいるのではないでしょうか?
加賀さんは、芸人仲間を彼らの「由縁の場所」で撮影した「芸人地図」という写真集を発売中です!
こちらも合わせてぜひご覧くださいね。
文:PicoN!編集部 河野
写真:PicoN!編集部 黒田
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