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Lines of Sight ーそれぞれのアジアへの視線ー vol.4
学校法人呉学園 日本写真芸術専門学校には、180日間でアジアを巡る海外フィールドワークを実施する、世界で唯一のカリキュラムを持つ「フォトフィールドワークゼミ」があります。
「少数民族」「貧困」「近代都市」「ポートレート」「アジアの子供たち」「壮大な自然」、、
《Lines of Sight ーそれぞれのアジアへの視線ー》では、多様な文化があふれるアジアの国々で、それぞれのテーマを持って旅をしてきた卒業生に、思い出に残るエピソードをお伺いし紹介していきます。
高層ビルの片隅で
PFWゼミ13期生 河原 孝典
FW(フィールドワーク)の旅も半年が経ち、締めくくりのフリー期間に入っていた。
今までの半団体行動と違い、各々がそれぞれのテーマに沿った場所に移動し撮影をするこの3週間ほどの期間は、作品をまとめる上でとても重要な時間だった。
わたしが、このフリー期間でまず初めに選んだ場所はカンボジアのプノンペン。
このFWの期間中、東南アジア最長の”メコン川”を撮影していたので、メコン沿い都市の中で、近年経済発展が著しいこの街をまず撮影しようと思ったのだ。
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トゥクトゥクドライバーのサック親子
前回来た時に仲良くなっていたトゥクトゥクドライバーのサックに空港まで迎えに来てもらい、その足でいろいろな撮影場所に連れて行ってもらった。
プノンペンの中心部は高層ビルの建設ラッシュで、街はかなり賑わっている。
サックが「メコン川を撮っているなら連れて行きたい場所がある」と言って、ある場所に案内してくれた。
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プノンペンの川沿いの風景
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建設途中のビル
そこは川沿いにある建設途中のビルの横にある小さな村だった。
話を聞くと、もともとそのビルの土地にあった村だったが、ビルの建設に伴い強制的に村の場所を移されたということだった。
村に入ると、小さな子供たちが私に向かって手を差し出してきた。
初めは東南アジアでよくある”give me money”という意味かと思って無視していたが、今回は全く違う意味だった。
みんな手に小さな傷があり、それを私に見せていたのだ。
原因はハッキリとわからないが(病院に行くお金がなく、原因がわからないと言っていた)水回りの環境が悪く、特に小さな子供達の手や足などに小さな傷が絶えず出来るということだった。
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差し出された子供達の手
カメラを持っている自分に差し出してくる”手”を必死に撮影したのをよく覚えている。
正直フリー期間が始まるまで、写真が上手く撮れなくて焦る期間も多かったが、このとき自分の中で覚悟が決まったような感覚だった。
それまで思ったような写真が撮れず、あたふたしてシャッターを押せなくなることがよくあった自分だったが、ガムシャラにシャッターを切る勇気を学んだ瞬間だったように感じた。
そして写真を通してもっといろいろな世界を見てみたい、そしてもっと上手く伝えられるようになりたい。
そんなことを考える瞬間でもありました。
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村で撮った子供達の写真
その後メコン沿いにあるサックの地元に移動し、ご飯をご馳走になりのどかなメコンの夕暮れを見てプノンペンの中心部にある宿泊先に戻った。
空港に着いてから12時間ぐらいの間にいろいろなことを経験した1日だった。
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サックの地元でご馳走になったご飯
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夕暮れ時に川で水浴びをする牛
FW半年間の撮影研修でたくさんのことを経験し、たくさんの叱咤激励をうけ、そして写真に没頭することができた6ヶ月間。
旅の途中で誕生日を迎え同期に祝ってもらったり、乗っていたカヤックが転覆してカメラが壊れたり本当にいろいろなことがあった半年間だったので、今回この記事の依頼が来てからどの1日を紹介しようか悩みましたが、このカンボジアでの1日を「FWの旅で思い出に残る1日」にさせていただきます。
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メコン川の夕日
今回いろいろな写真を見返していて、一緒に回った同期、たくさんのアドバイスをくださった講師の方々、引率など大変な役回りの多い教務の方々、そしていつも自分を支えてくれる家族や友達、多くの方々に支えられてこの半年間があったんだと思いました。
改めて感謝したいと思います。
このような機会を作ってくださってありがとうございました。
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村で子供達と撮ってもらった写真