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名曲『エイリアンズ』の夏アレンジで涼を得る ― クリエイティブ圏外漢のクリエイティビティを感じる何か…〈vol.42〉

おはようございます。こんにちは。こんばんは。
あらゆる地域で最高気温を更新する毎日ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

日本の最高気温の代名詞であった熊谷在住の友人に、最高気温観測値のおかぶを奪われている現状について聞いてみると悔しがっていたので、酷暑もプライドになるのだなぁと感心しました。

感心はしつつも異常に暑すぎるので、耳だけでも涼しくなるように今回はYASUYUKI HORIGOME & THE NEW SHOESが2017年に発表し、23年には12インチで再発された『ALIENS (Lovers Version/Dub Version)』 をご紹介。

ラヴァーズ・ロックとダブという二つのレゲエルーツのアレンジが、キリンジ時代の名曲『エイリアンズ』を夏の涼歌としてアップデートしてます。

1. 夏を涼しくする音楽ジャンル ~ラヴァーズ・ロックとダブは涼めるか?~

音楽はどんな季節に聴いても良いものは良いのですが、季節にマッチする音楽ジャンルというものも存在します。

マッチの仕方に関しても、

・その季節の季節性を増幅させるもの
・その季節の季節性を抑制させるもの

という2方向があるかと思います。そんな後者の “夏だけど暑さを抑制する” 音楽ジャンルをリスト化してみました。

ジャンル 夏との相性 体感温度のイメージ
ボサノヴァ 日なたのビーチで微風
シティポップ ドライブで感じる潮風
ラヴァーズ・ロック 夕立あとのクールダウン
ダブ 真夜中のベランダで深呼吸
UKガレージ 汗の残るダンスフロア

今回ご紹介する曲に関連するジャンルだけ簡単にご説明すると、ラヴァーズ・ロックは 1970年代ロンドンで生まれた、恋愛をテーマにしたロマンチックなレゲエ。ソウルのメロウさと柔らかなリズムの質感が “夏の黄昏” に最適です。

ダブは音楽ジャンルと呼ぶには若干の語弊がありますが、レゲエのリズムを土台に、エコーやリバーブで音を解体・再構築するスタイルです。低音のベースと空間系エフェクトが、夜気を涼しく拡張してくれます。

ちなみにUKガレージは夏にも聴きたいですが、ガンガン踊りたくなるので涼しくはなりません。

つまり、ラヴァーズ・ロックは夏の黄昏、ダブは真夜中の拡張(いずれも個人の感覚ですが)と “夏の暑さに一服の清涼” として機能するジャンルなのです。

2. キリンジと堀込泰行 ~ “エイリアンズ” を産んだ兄弟デュオ~

今回の曲の原曲を作ったキリンジは1996年、兄の堀込高樹と弟の 堀込泰行により結成されました。

複雑ながらポップな楽曲と都会的な詞世界で注目を集め、デビュー当時からミュージシャン、音楽関係者から高い評価を受け続ける所謂ミュージシャンオブミュージシャンです。

代表曲『エイリアンズ』(2000年)のヒットで一般的にも知名度を決定づけました。

今回ご紹介する曲を作った泰行は2013年にキリンジ脱退後、ソロ名義や “馬の骨” を経てYASUYUKI HORIGOME & THE NEW SHOES を始動。ソングライティングと甘い歌声はそのままに、レゲエ/ソウル的なバンドサウンドへ歩を進めました。

3. 原曲「エイリアンズ」 ~2000年代J-POPを代表する“夜更けのラブソング”

「エイリアンズ」は2000年10月に発売された6枚目のシングル、および3rdアルバム『3』収録曲です。作詞作曲、Vo.を 堀込泰行が担当、共同編曲は冨田恵一。

都会の孤独を宇宙的なメタファーで包み込む歌詞とハイブリッドなコード進行で構成される
非常に密度の高いストレンジなシティポップです。

数え切れないカヴァーとメディア使用で “平成の名曲” として2024年『ミュージック・マガジン』平成ベスト2位にチャートイン。

ちなみに2017年にはのんさん出演のLINEモバイルのCMで本作を知らなかった若者への認知も高まったと思います。

4. 『ALIENS (Lovers Version/Dub Version)』
~二つの“涼しく甘い”セルフカヴァー

『エイリアンズ』のLovers Version。2017年8月に配信+アナログでリリース。

裏打ちギター、きらめくピアノ、肉厚ベースが三位一体となるラヴァーズ・ロック仕立て。オリジナルのメランコリックさを保ちつつ、冷たい情熱を “けだるい日没後の甘さ” に変換したと思います。

4-2. Dub Version

日本が世界に誇るDub職人である内田直之(LITTLE TEMPO他)をフィーチャー! タイムストレッチしたリバーブ、ディレイでボーカルやピアノを飛ばし、太いベースラインと残響として漂う原曲のメロディーで聴き手は夏の夜風の中に放り出されます。

この2つのバージョンが好評につき、2023年6月にはURBAN DISCOSより12インチ盤で再リリースされました。

私も2024年にこのバージョンの存在を知ってからというものの、〝夏を涼み夜風を召喚する音楽〟として夏中の定番曲となっております。もう個人的に原曲よりもこの2つのバージョンがしっくり来ております。

暑さが落ち着かない毎日ですが、ぜひ皆様も日没や夜の散歩道にスイートさや夜風を期待しつつ、脳内で涼やかな夏を感じる本曲を聴いてみては?

 

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