【第23回高校生マンガ・イラストグランプリ】マンガグランプリ受賞!青木和さんインタビュー
「第23回高校生マンガ・イラストグランプリ」にて、数ある作品の中から見事に「マンガグランプリ」を受賞されたのは、埼玉県立坂戸高等学校 3年生の青木和さん。
創作のスタイルは、趣味の延長ではなく、すでに「仕事」に近い実践の積み重ねでした。
今回は、青木さんの普段の制作、インプット方法、漫画の設計、表紙デザインの意図まで、たっぷり伺いました。
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取材協力:埼玉県立坂戸高等学校
高校生マンガ・イラストグランプリとは
過去10年で掲載&受賞、累計 3,750作品以上!
多くのマンガ家のデビュー実績を持つ“専門学校日本デザイナー学院”がマンガ・イラストの作品を募集する“テーマ不問”の全国規模マンガ・イラストコンテストです。
モノクロで「色」を伝える挑戦
──マンガグランプリ受賞おめでとうございます!今回のグランプリ作品で、特にこだわった点を教えてください。
ありがとうございます!
最初に描きたいと決まっていたのは、「希望を与える人」と「受け取る人」の表情。そこを軸に物語全体を構成しました。
モノクロ漫画で「色」をテーマにすることに挑戦し、
・色が見えない世界
・クライマックスで世界が色づく感覚
を、読者にも主人公と同じ視点で体験してもらうことを狙っています。
──確かに、花や花火など、「色を連想させるモチーフ」が出てきて、読者が実際には色を見ていないのに「色を感じる」演出を意識している点も印象的でした。
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👑マンガグランプリ受賞作品「君がくれた彩り」
キャラデザは“作画前”に整理。統一感を作ってから描き始める
──キャラクターデザインはどの段階で固めますか?
ネーム完成後、下書き前にキャラデザインを整理します。
正面・横顔・全身・表情を描き出し、統一感を持たせた状態で作画に入りました。
ヒロインは
・光の象徴
・明るさが一目で伝わる存在
として、白い髪、短い前髪、大きなハイライトのある目でデザインしています。
グランプリ受賞作品「君がくれた彩り」キャラクター設定
──構成や表紙にはどんな工夫がありますか?
クライマックスで見開きを使って、セリフのないコマで“間”や余韻を表現したいと思い、最終的に12ページにしました。
表紙は、物語のテーマを一目で伝える「入口」として考えています。
左側を光、右側を影にして、主人公とヒロインの関係性や物語の核心が直感的に伝わるようにしました。
また、描いている花のモチーフには花言葉で、「優しさ」「深い愛」「あなたの痛みを癒す」という意味を込めています。
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ネームはタブレットでとても小さく描き、画面全体を俯瞰できるように四角をたくさん並べて構成を確認します。
少しでも違和感があれば、別パターンを小さく描き直しながら、全体の流れを何度も調整しています。
──今回の作品では音楽も影響しているそうですね。
先にプロットを決めてから、イメージソングとして緑黄色社会さんの『Mela!』など、複数の曲を聴きながら制作しました。
曲を繰り返し聴くことで、演出やシーン展開、感情の盛り上がりが具体的になっていきました。
作品全体では「希望」や「明るさ」を意識していて、曲から受け取った感動を、自分なりに漫画へ落とし込んでいます。
普段の創作活動について
──普段はどんな環境で、どんな制作をされていますか?
私は高校の「イラストデザイン部」に所属していて、学内外から依頼をいただいて制作することが多いですね。
学校内では、文化祭のポスター、図書館の冊子の挿絵などを描いています。
基本的に立候補によって制作者を決めています。
外部から依頼されたときは、ひとつの依頼に対して部員全員がラフ案を出して、その中から選考して制作する流れができています。
趣味として自由に描くこともありますが、実際は依頼があることで描き始めることのほうが多いです。
テーマや納期が決まっているほうが、やる気が出るタイプだと思います!
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2024年に文化祭で販売した部誌に掲載したオリジナル漫画「ひみつのメイド喫茶」
クライアントワークとして印象に残っている経験
──実際の「仕事」に近い経験もされたそうですね。
特に印象に残っているのは、市役所から依頼をいただいた「子ども110番」のプレート制作です。
部員全員でラフを出して、部内で話し合って3案に絞り、その中から私の案を採用していただきました。
ただ、そこからが本番という感じで、「文字をもう少し太くしてください」とか、「背景に家を入れてみてください」といった修正のご要望をいただきました。
市役所の方とやり取りを重ねながら完成させる中で、一発でOKが出るほうが珍しいということを実感しました。
修正を前向きに受け止めて、きちんと反映することが大切なんだと学びました。
市役所から依頼をいただいた「子ども110番」のプレート制作
表現の切り替えについて
──依頼制作と個人表現は、どう描き分けていますか?
依頼制作と、自分の表現では、考え方を意識的に切り替えています。
依頼の場合は、自分の個性を強く出すよりも、誰にでも伝わりやすい表現を大事にしています。
記号的に分かりやすくしたり、ぱっと見て内容が伝わることを意識しています。
一方で、読書案内の挿絵などでは、小さい頃から持っている「本の世界が広がっていくイメージ」を大切にして、自分の表現を反映させています。
作品ごとに「何を求められているのか」を考えて、表現を選ぶようにしています。
図書館から発行される冊子の挿絵を担当
校内に向けて発行される学校紹介冊子の挿絵を担当
2024年に文化祭で販売した部誌の表紙イラストを担当
──なかでも文化祭ポスターは、特別な存在だそうですね。
文化祭ポスターは、入学する前からずっと目標にしていました。
中学3年生のときに文化祭を見学して、イラストデザイン部がポスターや展示で活躍しているのを見て、とても感動したんです。
それが、この高校に進学してこの部活に入りたいと思ったきっかけでした。
なので、ポスター制作の依頼が来たときは、迷わず立候補しました。
「このポスターを描くために上達したい」という気持ちで、取り組んできました。
文化祭のポスターイラストを担当
インスピレーションの集め方
──普段、どんなふうにインプットしていますか?
SNSで見つけた「いいな」と思った作品を、写真フォルダやアルバムにまとめて、行き詰まったときに見返しています。
「なぜこの作品に惹かれたんだろう」
「どこが目を引くんだろう」
と考えていくうちに、後から言語化できるようになることが多いです。
理由がはっきりしないものも含めて保存していて、気づいた要素は自分の絵に取り入れるようにしています。
憧れている漫画家は、『地縛少年花子くん』作者のあいだいろ先生。
特にコマ割りが印象的で、ページの開き方や文字のないコマなど、表情だけで感情が伝わってくる表現に惹かれています。
漫画制作への意識が変わったきっかけ
──オリジナル漫画に本格的に向き合ったのはいつ頃ですか?
中学3年生の文化祭で、先輩の部誌を購入したことが大きなきっかけです。
それを読んで、「オリジナルの漫画を描けるようになりたい」と強く思いました。
それまでは、長編や読み切り漫画をあまり描いていなかったのですが、そこからキャラクターデザインやストーリーづくりに本格的に挑戦するようになりました。
ネタ帳にプロットを書き溜めていて、それが3年間の部誌作品として形になっていきました。
今回のグランプリ作品も、その中から「色」をテーマに選んだものです。
朝が苦手な私の創作ルーティン
──普段の創作スケジュールについて教えてください。
平日は21:30〜24:00くらいに作品制作していることが多いです。
毎週、高校のいろいろな小テスト勉強に追われながら趣味のイラストを描いているので、寝る前の作品制作の時間を楽しみに一日を過ごしています。課題が何もない日はそれはそれで捗るんですが、描きたいイラストとは別に何か課題があるときのほうが、結果的に両方熱意を持って進められるということに最近気づきました。
最近の休日は、午後を中心に作品制作していることが多いです。
「今晩には完成させるぞ!」と思っている日は死に物狂いで昼〜夕方に描いていることもありました(笑)。まさに今回の作品を描いているときは夕方に頑張っていたのが結構記憶に残っています。朝が苦手なので、なるべく早い時間帯から集中して制作できるようにするのが今の課題ですね。
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未来に向けて
──これからについて教えてください。
漫画を描くことは本当に好きなので、これからも趣味として楽しく続けていきたいし、なにより物語を考えるのが好きなので、それは自分の中で大事にしていきたいです。
ただ、仕事としては、与えられたテーマをどう表現するか、イラストの部分でしっかり頑張りたいと思っています。
専門学校に進学したら、漫画とは違って、一枚のイラストの中で世界観や物語を伝える力を身につけたいです。キャラクターだけじゃなくて、構成やデザインも考えた、人の目に留まるイラストが描けるようなイラストレーターを目指しています。
※写真に写っている上段中央の2点の部誌表紙は、過去に先輩が制作したものです。
(いずれも、青木さんがこれまでの制作環境を示す資料として持参したものです)
読者の方へのメッセージ
今回賞をいただいた「君がくれた彩り」は、自分が今まで持っていなかった新しい視点を教えてもらうことで未来に希望を見い出す物語です。
私自身も脚に病気を持っていて、それがきっかけで不安になることや自分が嫌になることがよくありました。
でも、物の見方・考え方を少し変えるだけで、自分の世界はもっと明るくすることができるのだと気が付きました。
「こういうこともたまにはいいかも」、「これはこれで素敵だな」と考えてみるのもとても大切だと思います。
こんなことが伝わったらいいなという思いを込めて完成させたのが今回の作品でした。
伝えたいことがあるということは、漫画を描く上でとても良い原動力になる気がします。
これから漫画を描こうと思っている方も、ぜひ自分の伝えたいことをたくさん漫画に詰め込んでみてほしいです!
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──ありがとうございました。これからのご活躍を楽しみにしています!
取材:濱田、松浦
【2026年大会 開催決定!】
第24回 高校生マンガ・イラストグランプリ
次回の応募締切は2026年9月9日。
マンガを通じてあなたの可能性を広げてみませんか?
詳細は4月以降、専門学校日本デザイナー学院のHPよりご確認ください。
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