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温泉・銭湯の定番『びん商品』その文化を守り、未来へつなぐ——雪印メグミルクの挑戦

温泉や銭湯で親しまれてきた“びん商品”。
環境配慮の流れの中で姿を消す企業もある一方、雪印メグミルクはその価値を未来へつなげています。

温泉や銭湯の定番といえば、湯上がりに飲む、コーヒー牛乳やフルーツ牛乳などが入っている”びん商品”。
きっと多くの人が一度は手に取った経験があるのではないでしょうか。

しかし近年では、びん商品から撤退する企業が増えています。
空き瓶の回収や洗浄といった運用コストを理由に、
次々と生産・販売を終了するケースが相次いでいるのです。

もうあの懐かしい風景は見られなくなってしまうのでしょうか。

しかし一方で、びん商品の生産・販売を拡大している企業があります。

それが、今年で創立100周年を迎えた「雪印メグミルク」です。

 

びん商品の魅力や雪印メグミルクのサステナブルな取り組み、そして宅配サービスまで。
懐かしくて新しい“びん文化”の今を探るため、
今回は雪印メグミルク株式会社 市乳事業部の山森さんにお話を伺いました。

 

目次
北海道の酪農とともに歩んだ歴史
びんを続ける理由 雪印メグミルクのこだわり
懐かしくて新しい“レトロかわいい”びんデザイン
びんがつなぐ循環とキャップ再資源化の取組み
家でも楽しめる特別な1本 宅配で広がるびん文化
びんを未来へ、次の100年に向けて
最後に——読者へのメッセージ

 

北海道の酪農とともに歩んだ歴史

――雪印メグミルクのびん商品は、いつ頃から販売されていたのでしょうか?

山森:
「当社の歴史は、1925年(大正14年)の北海道製酪販売組合の設立が始まりです。
最初はバター事業が中心でしたが、1934年(昭和9年)に函館ミルクプラント工場を開設したことで、初の牛乳事業を開始しました。
その後、1953年に東京工場の立ち上げを機に、当社として“びん牛乳”を全国に拡大していきました。
現在は、温泉や銭湯など温浴施設での販売と、ご自宅へ直接お届けする宅配を中心に、多くのお客様にご愛顧いただいています」

びん牛乳は、北海道の酪農とともに育まれた文化。
銭湯や温泉での「湯上がりの1本」は、長い歴史の中で定着していきました。

 

びんを続ける理由 雪印メグミルクのこだわり

――多くの企業が撤退する中で、びんを続けている理由は?

山森:
「びん容器の商品をご愛飲のお客様には、『びんだから継続して飲んでいる!』というお客様がたくさんおられます。『スーパーやコンビニにはない特別感』『瓶を回収してくれるのでサステナブルに貢献している』など様々なお声をいただき、瓶容器の商品へ多くの価値を感じているお客様がいらっしゃることは間違いありません。

そして、びんにはびん容器ならではの“良さ”があることも大きな要素だと思っています。
『匂い移りがしずらい瓶の特性』『口当たりにこだわった飲み口の設計』『ふたを開けたときの香り立ち』『ビンならではのひんやりとした飲み口や手触り』など、五感で味わい楽しんでもらうことができるのがびん容器の大きな特徴です。

そして、びんは地球にやさしい容器でもあります。
空になったびんは回収後、工場で丁寧に洗浄・殺菌され、再び商品として生まれ変わります。
1本のびんが約20〜30回再利用されるという、持続可能な仕組みです。

ご購入いただいたお客様自身が環境に対して貢献している実感が持てる、そんな魅力もあります。
手間はかかりますが、びんには“人の温もり”があるんです」

びん商品は、単なる懐かしさではなく、味・体験・環境のすべてを大切にする文化なのです。

 

懐かしくて新しい“レトロかわいい”びんデザイン

――びんのデザインにもこだわりがあるそうですね。

山森:
「はい、昔ながらの雰囲気を残しつつ、清潔感と現代らしさを意識しています。
例えば、歴史の長い商品でもシュリンク(包装フィルム)のデザインを変更するなどして、ブランドイメージはそのままに、お客様に受け入れられやすいデザインに定期的に変更することもあります。

また、びんの形状は雪印メグミルク独自の形状で設計しています。飲み口のカーブや経口の大きさにもこだわり、口当たりと香りの良さを最大限活かす造りになっています」

ここで注目されているのが、びん商品専用の自動販売機です。

レトロかわいいびんデザインがまるまる自販機のラッピングになっています。
2023年から開始したこのラッピング自販機は、現在全国で約120台が展開され、
銭湯や観光地で“写真を撮りたくなる自販機”として人気を集めています。

山森:
「自販機という無機質な売り場でただ喉が渇いたから購入するという環境から、
ちょっとおもしろい、かわいいといった感情を少しでも動かしながら購入いただくことで、お客様にもお風呂上りの楽しみにしてもらえたらと考えました。

施設側からは『販売数量が増加した』『施設のSNSにアップしたことで話題性が高まった』など好意的なフィードバックをいただいています。
お客様からも『かわいいね』という声が寄せられており、
デザインから“飲んでみたい”と思ってもらえることが嬉しいです」

 

びんがつなぐ循環とキャップ再資源化の取り組み

雪印メグミルクでは、びんの再利用に加えて、キャップのリサイクルにも取り組んでいます。

山森:
「2026年の商品化を目標にライオン株式会社と連携し、
回収した「びん商品のキャップを再生プラスチックとして日用品容器に活用するプロジェクトを始めています。
“自分が飲んで返却したびん容器の一部が次の製品につながる”という循環をつくりたいと考えています」

環境に優しく、無駄のない仕組みを整えながら、びん文化を次の時代へと受け継いでいます。

雪印メグミルクとライオン、2社連携で新たな資源循環モデルを創出へ容器から容器へのプラスチック再利用プロジェクトで連携|お知らせ|雪印メグミルク株式会社 (meg-snow.com)

 

家でも楽しめる特別な1本 宅配で広がるびん文化


びん商品といえば、温泉や銭湯で飲む“湯上がりの1本”を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし実は、家庭で楽しむびん商品の宅配サービスこそが、びん商品の長い歴史を支えてきたのです。

――雪印メグミルクの宅配事業について教えてください。

山森:
「はい、びん商品は温泉・銭湯など温浴施設でも多くご利用いただいていますが、一番多いご利用方法は宅配です
地域の雪印メグミルク販売店がご家庭まで直接商品をお届けする「雪印メグミルクの宅配」をご利用いただくお客様を中心にご愛顧いただいております。
中に入っている成分もびんオリジナルの商品がほとんどで、スーパーやコンビニでは販売していない宅配専用のびん商品が多数あります」

びん商品はお店で販売している一般的な商品よりも価格は少し高めですが、
「それ以上の機能的価値がある」と感じるお客様が多いといいます。

山森:
「宅配専用商品は、多くのラインナップの中から自分のお悩みにあったものを選択していただけることや、
商品に関する詳細な説明もお届けする牛乳販売店が丁寧に行ってくれるため、
自分のための健康的な習慣作りができることが大きなポイントです。
“ちょっと特別な1本”として多くのお客様にご利用いただいています」

また、自宅以外に宅配を行う場面もあります。

山森:
「カルパワーという商品を、部活動やスポーツチームにお届けしている事例があります。
特に、運動で失われた栄養素を素早く補給するのに最適なのが牛乳や乳製品です。
そのため、学校へお届けし、部活動後に飲んでもらうなどもオススメの一つです。
“プロテインを入れてシェイクして飲んでます”という声もいただきます。」

――なるほど、昔ながらのびん牛乳が“今っぽい飲み方”で楽しまれているんですね。

山森:
「そうなんです。びんは丈夫で、手に持ったときの安定感もありますし、キャップもついていて振っても中身がこぼれにくい。
プロテインやココア、抹茶など自分に合った味付けをして続けていただいているという声もいただきます」

このように、びん文化は“外で飲む特別な体験”だけでなく、“日常に寄り添った良質な体験”が多くの方に親しまれている理由になっています。

 

びんを未来へ、次の100年に向けて

――これからの展望を教えてください。

山森:
「びん商品を知らない若い世代の方々にも、その魅力を伝えていきたいと考えています。
現在、びん商品は“雪印メグミルクの宅配”を通じた家庭宅配が中心で、ご利用いただいているお客様の多くはシニア世代の方々です。
一方で、あまりびん容器に馴染みのない若い世代にも、“新しい” “面白い”と感じてもらえるような取り組みを強化しています。

たとえば、温浴施設などに設置しているびん商品専用の自動販売機や、SNSを活用した情報発信などを通じて、
手に取ってもらうきっかけを広げていきたいと考えています。
また、学生やファミリー層の方々にも親しんでもらえるよう、新しい商品やデザインの開発にも積極的に取り組んでいます。

びんの魅力を次の世代に伝えながら、未来へ向けて“びん文化”を育てていく。
そのためのさまざまな試みを、これからも続けていきます。」

このように、“懐かしさ”を超えて“新しさ”としてびんを受け取る人が増えています。
びん商品は、時代を越えて愛され続ける、これからも人々の暮らしに寄り添う存在になっています。

 

最後に——読者へのメッセージ

山森:
「PicoN!読者のみなさんたちに、びん商品の魅力についてたくさん知っていただきたいと思っています。
温泉や銭湯でびん商品を見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。
冷たくて、どこか懐かしくて、飲み終わったあとにちょっと幸せになれる。
びんには、そんな力があります。
びん商品を毎日でも飲みたい!という方は、地域の販売店からご自宅へ定期配達することもできますので、
是非みなさんの気になる商品を探してみてください」

雪印メグミルク宅配サービス|雪印メグミルク株式会社 (meg-snow.com)

 

100年の歴史を誇る雪印メグミルクが守り続ける“びん文化”。

「Love Earth. Love Life.」
コーポレートスローガンに掲げられた文字通り、びん商品は地球環境と人々の暮らしに寄り添った商品でした。

雪印メグミルクは毎日SNSで新たな情報を発信しています。
商品情報やイベントなどぜひチェックしてみてください。

雪印メグミルク
ホームページ:https://www.meg-snow.com/
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Instagram:@megmilk.snowbrand

 

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