本つくりにこだわるブックデザインの世界 ~世界のブックデザインに触れる~
みなさんが何気なく手にとっている本。
その本の世界観を崩さず、魅力的な一冊を作り上げる人々の世界を全3回にわたってご紹介します。
第1回は、東京都文京区にある印刷博物館にて実施している『世界のブックデザイン 2020-21』の展示をレポートします。
印刷博物館では、印刷に関わる様々なテーマの企画が催されています。
日本と世界の印刷の歴史を学べるだけでなく、印刷工房での活版印刷の体験などもできるなど、印刷に関するあらゆることを体系的に学ぶことのできる施設になっています。
第14回目となる今回の展示では、「世界で最も美しい本2021コンクール」受賞図書をはじめ、ドイツや中国のほか、各国で開催された第54回造本装幀コンクールでの受賞図書約130点が展示されています。
ここからは、会場で気になった本の一部をご紹介します。
こちらはドイツの1990年を巡る一冊。
中身はドイツ語で書かれているものの、激動のドイツを感じさせる一冊です。
新聞記事のように様々な情報で構成され、本というよりかは分厚い新聞を読んでいるような印象を受けました。
文字は読めなくても、写真だけでも当時の出来事が伝わってくるような一冊となっています。
続いては中国で出版されている漢字の解説書。
表紙は紙が発明される以前に、古代中国で使われていた竹簡を表現しているそうです。
独特なデザインに興味がそそられる一冊です。
1ページにつき、1つの漢字に注目し、字形から語源を研究する内容の本となっています。
中国語で書かれていますが、漢字がベースとなっているのでなんとなく意味が伝わってきます。
本のデザインも相まって、100に及ぶ漢字の解説を楽しんで見ることができる一冊になっています。
漫画連載から50周年を迎える、ドラえもんも受賞をしていました。
ドラえもんが誕生する22世紀まで残したいという思いを込めて、経年劣化を防ぐことを意識しているそうです。
なので、ハードカバー・布クロス装になっており、水をきれいに弾くための防汚加工が施されています。
全45巻を綺麗に並べることのできる専用ボックスや、配送時のタイムふろしきも展示されていました。
本そのものだけでなく、届いた時や並べた時にも手にした人が楽しめるデザインが散りばめられていて、こだわりが感じられます。
この他にも、思わず手に取りたくなる本が数多く展示されています。
『世界のブックデザイン2020-21』は2022年4月10日まで開催中なので、ぜひ足をお運び下さい。
次回は、デザイナーによるブックデザインの知識をお届けします。