古代文字フォント「春秋-tsu」 – クセすごフォントvol.1

グラフィックデザインに欠かせない「フォント(書体)」。じつは世の中には、ちょっと変わったコンセプトの “クセ” 強めなフォントもたくさん存在するんです。

本シリーズでは、そんな「クセすごフォント」をピックアップし、使用例とともにお届けします。今回取り上げるフォントは……古代文字フォント「春秋-tsu」です!

古代文字フォント「春秋-tsu」

古代文字フォント「春秋-tsu」は、実際に存在した古代文字(甲骨文字・金文・篆文)をフォント化したもの。漢文学者の白川静さんが編纂した『新訂 字統』という辞書の中に収録されている古代文字を参考に、画工の金子都美絵さんがフォント化したものだそうです。出版社「太郎次郎社エディタス」から無料配布されています。

いまはもう使われていない古代文字をフォント化してしまおう、という発想が面白いですし、現代の文字にはないユニークな魅力があるフォントですよね。漢字マニアや、古代の文化に興味がある人も心をくすぐられるでしょう。

古代文字であるがゆえ「何が書いてあるのか読めない」という弱点があるものの、ミステリアスな雰囲気のデザインをつくりたいときなどには、ちょっとしたアクセントとして大活躍するはず。イラストやマンガでも、謎の古代文書とか、古代文字が刻まれた遺跡なんかを登場させたいときには使えるかもしれません。

ちなみに冒頭に挙げた画像は、古代文字で「花火大会」と書かれています。それぞれの文字は、「花」「火」「大」「会」の元になった文字(甲骨文字など)に対応しているんです。

ちなみに「春秋-tsu」にカバーされている文字数は、小学校学習漢字のうち991字(古代文字の判明しているもの)とちょっと少なめで、漢字以外の文字には対応していません。とはいえ、デザインの装飾などに使うには十分なボリュームと言えそうです。

「春秋-tsu」で名刺をつくってみた

使用例のひとつとして、日本史でおなじみの飛鳥時代の偉人、「小野妹子」の名刺をつくってみました。

読める人はまずいないと思いますが、真ん中に大きく描かれているのが「小野妹子」の古代文字ver.。遣隋使として海を渡った小野妹子は、ひょっとしてこんな名刺を隋の王様に渡していたのかも?

一味違ったフォントを使ってみたくなったときは、ぜひインストールみてくださいね!

古代文字フォント「春秋-tsu」

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