「WHAT MUSEUM」訪問【インテリア科在校生 校外学習】
「WHAT MUSEUM」にNDSインテリアデザイン科在校生と校外学習に行ってきました。インテリアデザイン科では、授業で知識を身につけ作品制作を進めていくことはもちろん、実際にさまざまなスポットや展示に足を運んでデザインの感性を磨いていきます。
品川・天王洲エリアにある「WHAT MUSEUM」。在校生たちも初めての訪問です。建築にまつわる展覧会・模型保管庫見学などを実施しており、シーズンによってさまざまなコレクション見学やイベントに参加することができます。
また、ここ天王洲は、寺田倉庫を中心にアートギャラリー、カフェ、レストラン、フラワーショップ、雑貨店、イベント会場などが並び、程よく配置された植栽と共におしゃれな街並みが楽しめる穴場スポット(通称:ボンドストリート)になっています。
まずは、受付で入館証を受け取り、担当スタッフの方の案内で模型保管庫へ。デコラティブな内装のエレベーターが、異空間へのわくわく感を盛り上げてくれます。室温20℃(±3℃)に保たれた倉庫内には、30社600点に及ぶ建築模型が保管されています。箱から出された模型は、建築家ごとに4~10数点展示されていました。
木屋旅館、早稲田大学 国際文学館(村上春樹ライブラリー)、山本理顕のザ・サークル – チューリッヒ国際空港、隈研吾のクライン・ダイサム・アーキテクツの代官山 T-SITE、名和晃平の神勝寺『洸庭』などなど、美しい建築やパビリオンの模型は、一つ一つがアート作品のように見えてとても新鮮でした。
学生にとっては、模型素材の使い方、模型全体の色彩調整など参考になることが多々あったと思います。スタッフの方の説明では、日本ではスチレンボード、海外ではハードボードが使われることが多く、最近はレーザーカッターや3Dプリンターを活用した模型も多くなっているとのことでした。また、「この倉庫から国内外の展示会に模型を送り出し、無事帰ってきた模型を確認し、必要に応じて修復保管します。出入りが激しくて売れっ子の模型も多いですよ。」とのお話しに、模型作品への愛を感じました。(返却された模型の状態確認、必要に応じて修復は、基本的には契約者様で行います。)
サテライト展「謳う建築」も大変興味深かったです。建築家の作品(住宅建築)を、文芸家が訪ね作った詩と建築模型、撮り下ろし映像の展示。家を創り、人が住み、空気が生まれ、詩が紡がれる。永田昌民の「東久留米の家」を、シンガーの中村月子が訪ねて作った歌「ひとり」。篠原一男の「谷川さんの住宅」で暮らした谷川俊太郎の「無言の言葉」など、建築の文化性、芸術性を強く感じる展示でした。
模型保管庫を後に、WHAT MUSEUMで開催中の大林コレクション展「Self-History」を見学しました。国際芸術祭「あいち2022」組織委員会会長の大林剛郎氏の個人コレクション展。「安藤忠雄描く」のコーナーは、模型になる前の建築家の発想を表現しているドローイングが大変興味深く、安藤忠雄のエネルギーが伝わってくる作品でした。その後、現代アートに移行してゆくコレクションは、「これ欲しい!家に飾りたい。」と思うものが多く、叶わぬことなので、写真と目に焼き付けてきました。
今回の校外授業では建築模型の技術的な側面だけなく、建築の持つ文化や芸術性にも触れることができたと思います。学生たちが好奇心を持って熱心に見学している様子がとても印象的でした。
文・池谷光江
NDSインテリアデザイン科講師。商品装飾展示技能検定1級、日本VMD協会理事マネキンディスプレイ会社のデザイン室を経て、フリーランスのディスプレイデザイナーとして、百貨店、専門店、メーカーのVMD企画デザイン、社員教育に携わる。現在、ディスプレイの国家試験「商品装飾展示技能検定」中央検定委員として問題作成に携わっている。