VMD視点で街を楽しむ。第1回 夏の「GINZA」編

VMD (Visual Merchandising)って、聞いたことありますか?誤解を恐れず一言で言うと、「お店の主張を視覚的に表現すること。」

お店は、その時一番大切にしているコトやモノを、適切な場所で、適切な方法で、視覚的に表現しお客様に伝えています。このお店は、何を伝えようとしているのかな?と言う視点で街を楽しんでみませんか。

第1回 夏の「GINZA」を楽しむ

大昔から「銀ブラ」という言葉があるように、銀座は何となくブラブラ歩いているだけでも楽しい街です。でも、銀座に建ち並ぶ商業ビルの外観とそのウィンドウに目を向けて歩くと、美術館のように楽しめるかもしれません。今回は、一足早く夏を感じる銀座のウィンドウを紹介します。

銀座ウィンドウクルーズを始める前に「目の向け方」のご提案です。

通りの向かい側から建物全体とウィンドウの関係性を見る。ウィンドウはそのお店の顔。外壁の素材やデザインの中で、どんなバランスで切りとられ、どんなフレームで縁取られているか。そのお店の主張が見えてきます。

通りを渡って、ウィンドウの前に立ちます。「このディスプレイは何を伝えたいのか?」考えながら観察してみてください。そして、自分はこのディスプレイが好きか嫌いか?何で好きなのか?どこが嫌いなのか?自分の好みを確認し分析してみるのも楽しいです。

ウィンドウにQRコードが貼ったり、HPでディスプレイテーマを紹介しているお店も増えてきました。サッと検索して、自分が感じたことと答え合わせをして、もう一度ウィンドウを見直してみると、「へーそうだったんだ!」「やっぱりね!」など、自分が感じ取れなかったことが見えてきて興味倍増です。

最後に、お気に入りのウィンドウディスプレイが見つかったら、定期的に定点観測定してください。同じお店でも、昼と夜、夏と秋とクリスマスでは、表現が大きく変わります。その中にそのお店ならではの共通する特徴を見出すと、その店の世界観・テイストってこういうことか!と、納得できると思います。

それでは、夏を感じる銀座のウィンドウ、ほんの一部をご紹介します。

GINZA MAISON HERMÈS

「銀座メゾンエルメスのウィンドウディスプレイは、街にひらかれた劇場です。様々なクリエイターの独創的な視点を通して、エルメスの世界観を表現します。」(銀座メゾンエルメスHPより引用)
GINZA MAISON HERMÈS

メゾンエルメスのウィンドウは、およそ3ヵ月毎にその演目を変えて上演されます。2022年の年間テーマは、「もっと軽やかに」 今回5/12~8/9まで上演される、ロンドンのアーティスト ジョナサン・パルドックによる「空想に耽って」Head in the cloudsは、「雲の上に浮かんでいる気球が太陽と月に守られている場面」を様々な「顔」と「仮面」により軽やかにユーモラスに表現しています。

Fan people 「扇子の人間」は日本的でユーモラス。エルメスのスカーフやシューズ、小物達のディスプレイツールとしても活躍

気球の籠に「顔」見る人を引き付ける

建物左側面の9つの小窓には、Fan peopleの小人バージョンが登場する。エルメスの商品とのアーティスティクなコラボが、どこか軽やかでユーモラス。

Louis Vuitton

ルイ・ヴィトンは、『Louis Vuitton Windows』という書籍を発売するぐらい、ウィンドウディスプレイに力を入れているブランド。毎回見ごたえのあるディスプレイを展開しています。テーマやデザインは、全世界共通ですが、各店のウィンドウのサイズや環境によって展開が変わっているのもチェックポイント。

2021年3月に新装オープンした銀座並木通り店 建築家 青木淳氏による外装は「水の柱」を思わせるデザイン。天気や時間、見る角度によって無限のカラーバリエーションが楽しめる

縦長に切り取られたウィンドウからは、ピーターマリノ氏による内装デザインのポイントである吹き抜けの中央階段が望めるオープンウインドウ。 その手前には、ダイナミックな海の生き物達。 マネキンと同色で真っ白に仕上げたエイのオブジェに躍動感を感じる

2013年にリニュアルした松屋銀座店。並木通り店と同じ、青木淳氏とピーターマリノ氏によるデザイン。松屋銀座店8階部分まで覆った白い外壁の表面には、ヴィトンを代表するパターンの一つダミエ(市松模様)がやわらかな印象で立体的に表現されている。夜には、ダミエ模様のスリットから漏れる照明で温かい印象になります。

後ろに壁面のあるクローズドウィンドウ。ブルーのパネルを立てることで、海水の中をより強くイメージさせている。

細かい仕掛けが組み込めるのも、クローズウインドウの利点。実はこのクラゲ、肢が動いています。

ボンポワン銀座店

ボンポワンは、40年以上の歴史を持つフランスの子供服高級ブランド。完璧な裁断、繊細な縫製、緻密な手刺繡、上品なデザインなどに定評がある。

1929年に建てられたアールデコ調の建物は、建築家・森山松之助氏のデザイン。2階コーナーには、ボンポワンのシンボルであるサクランボを配し、ロゴから延びたリボンを模したライン照明で縁取りされたウィンドウがチャーミングなファサード。

ノスタルジックな夏の終わりがテーマ。牧場の枯れ草の中で遊ぶ子供達を連想させる。

 

夏の「GINZA」はいかがでしたか?街を歩くだけでもこれだけのディスプレイデザインに出会える銀座。新しい出会いと発見を見つけに街ブラ楽しんでみてくださいね!

文:池谷光江
NDSインテリアデザイン科講師。商品装飾展示技能検定1級、日本VMD協会理事マネキンディスプレイ会社のデザイン室を経て、フリーランスのディスプレイデザイナーとして、百貨店、専門店、メーカーのVMD企画デザイン、社員教育に携わる。現在、ディスプレイの国家試験「商品装飾展示技能検定」中央検定委員として問題作成に携わっている。

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