「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」が東京都現代美術館にて10月16日まで開催中。
「ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで」は、20世紀の建築や工業デザインに大きな影響を与えたジャン・プルーヴェ(1901–1984)を紹介する大規模な展覧会です。本展では、プルーヴェが手がけたオリジナルの家具や建築物およそ 120 点を、図面やスケッチなどの資料とともに展示中です。
プルーヴェはアール・ヌーヴォー全盛期のフランスで、ナンシー派の画家の父と音楽家の母に育てられ、金属工芸家としてキャリアをスタートさせました。1930 年代にはスチール等の新たな素材を用いた実験的かつ先進的な仕事へと転換し、家具から建築へと創造の領域を拡げていきます。また、第二次世界大戦中はレジスタンス運動に積極的に参加し、ナンシー市長も務めたプルーヴェは、フランスの戦後復興計画の一環としてプレファブ住宅を複数考案するなど、革新的な仕事を次々に生み出していきます。
1930 年代、プルーヴェは市場の拡大にともなう大量生産の要請に応え、公共機関や大学に向けた家具を数多く手掛けました。家具のなかでも椅子はプルーヴェにとって重要であり、美しく整ったかたちを保ちつつ、剛性と人間工学に基づく合理性が交わるデザインを探求し続けました。「家具の構造を設計することは大きな建築物と同じくらい難しく、高い技術を必要とする」という彼自身の言葉が示すように、椅子はプルーヴェのものづくりの原則を反映しているといえるでしょう。
さらに、本展の後半部分では、みずからを「構築家」(constructeur)と位置づけたプルーヴェの建築物へのアプローチにも焦点をあてます。多数の資料によって主な建築プロジェクトを取り上げるだけでなく、現存する3つの建築作品が展示されます。いずれも解体・移築可能な建築物として、フランスの建築史において重要な位置を占めるとともに、プルーヴェの類まれな創造性を体現しているでしょう。
記事メイン:広報物イメージ Design by Tamotsu Yagi Design、
マクセヴィルのアトリエ・ジャン・プルーヴェにて(1955年頃)© Centre Pompidou-MNAM/CCI-Bibliothèque Kandinsky-Dist. RMN-Grand Palais
合理的なデザインの中に光る、美しく整ったディティールや色合い、どこか懐かしくも先進的なデザインの数々に、目を奪われました。彼が「構築家」と自らを名乗った由縁や目指した建築のあり方、そして激変の社会の中でも揺るがずに自身のデザイン方針を貫いたクリエイターとしての芯の強さに魅了されました。
また東京都現代美術館の館内・建築はエントランスから展示会場内まで天井が高く大きな窓がたくさん配置されている採光豊かでとてもユニークな空間。ぜひ建築やインテリアデザインに興味のある方は、じっくりと美術館、展示を楽しんでみてくださいね。
展覧会概要
会 期:2022年7月16日(土)- 10月16日(日)
時 間:10:00-18:00(展示室入場は閉館30分前まで)
休 館:月曜日(9/19、10/10は開館)、9/20、10/11
会 場: 東京都現代美術館 企画展示室1階、地下2階
観覧料:一般 2,000 円 / 大学生・専門学校生・65 歳以上 1,300 円 / 中高生 800 円 / 小学生以下無料 ※本展チケットで「MOT コレクション」もご覧いただけます。
主 催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館、公益財団法人現代芸術振興財団
後 援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協 賛:ブルームバーグ L.P.
協 力:ヤマト運輸
企 画:パトリック・セガン(Galerie Patrick Seguin)、八木保(Tamotsu Yagi Design)
学術協力:岩岡竜夫(東京理科大学)
※開催内容は都合により変更になる場合がございます。予めご了承ください。