可憐で妖しげで美しい。イラストレーター・宇野亞喜良が描く世界観に魅せられて。/NDS講師トシダナルホ

私の本棚はもうギュウギュウなので、極力、できるだけ、新しい本は買わないようにしています。だけど、宇野亞喜良先生の作品集と絵本は7冊も所有しています。

 

中でも「おばあさんになった女の子は」(講談社2006)という絵本。宝島社のInRedというファッション誌で好きな本を紹介する記事では大きなリボンをつけて登場する女の子のアンニュイな魅力やページ内でのイラストの構成やイラストから醸し出される情緒に感動するあまり、クラクラして気絶しそうになった思い出を話させていただきました。

 

そして、我が家のお部屋の一角には銀座で展示されたときのB2サイズのポスターを張っており、虚ろな目をした美しい少女と猫の絵を見ながら、毎日毎日「宇野先生のような絵が描けますように!」とお祈りしているイラストレーターのトシダナルホです!

宇野先生の作品に、いつどこで最初に触れたのか?デザインを勉強する前から知っていたのか、夜間部のグラフィックデザイン科に通い始めた時に講師の先生に「宇野亞喜良、横尾忠則、山名文夫は知っておくべき」と言われて知ったのだったかな?定かではないぐらい自然とイラストーションの分野に宇野亞喜良先生がいる世界しかわたしは知りません。

もし、宇野先生の存在を知らなかったらわたしは今の絵を描いていなかっただろうし、イラストレーターにもなっていなかったかもしれません。

小さい頃はキティーちゃんやミッフィーちゃんが好きでした。高校を卒業したあたりから姉の影響で単館でしか上映していないような海外のアートスティックで少し不気味だったり毒っけや風刺のある映画を観るようになりました。世の中や人の心の複雑さを知り始めたその頃に、宇野亞喜良先生の作る妖しげで美しいかわいいだけじゃない世界観はピタッとフィットしてわたしを夢中にさせたのだと思います。

専門学校日本デザイナー学院にて開催した宇野亞喜良スペシャルトークショー特別ポスター

 

可憐でアンニュイな美少女に惹かれたのはもちろんですが、イラストレーターになった今、特に感じるのは男性などその他のモチーフの魅力です。独特の個性を保ちつつ描かれたお爺さんはとてつもなくダンディーでオシャレ、猫は本物の猫以上にしなやかで、ドラッグクイーンのような男性はより妖しげな魅力を放っています。また演劇のポスターに添えられたオリジナルの手描きフォントは流石グラフィックデザイナーでもあるバランス感覚で、紙面に絶妙に配置され味わい深さとともに劇の世界観を濃縮して存在していると思うのです!

 

さてここで、誠に誠に僭越ではございますが、わたくしイラストレーターのトシダナルホと宇野先生の共通点を発表します!笑

◎女性を描くのが得意
◎イラストも描くしデザインも承まります
◎主な表現方法はドローイングとコラージュ
◎文章にもちょっと自信あり
◎猫が好き
◎左利き

けっこうあるでしょう!?

そしてそして、わたしは2013年のマガジンハウスananの占い特集号の表紙を作らせてもらったのですが、なんと翌年2014年同特集のご担当は宇野先生だったのですよ。

2014年当時は…「わたしの表紙では売れなかったのでは?だから今年は大御所の宇野先生なのかも!?」などとちょっとクヨクヨしたこともあったのですが、今は同じお仕事を経験したことがあるというその事実がただただ誇りです!

これからも少女画家として、イラストレーターとして、アート全般を牽引する作家として君臨されている宇野亞喜良先生の背中を追い続けたいと思います!

 

文・トシダナルホ

トシダナルホ
専門学校日本デザイナー学院講師。イラストレーター/デザイナー。日本デザイナー学院Ⅱ部グラフィックデザイン科卒業。在学中からフリーランスとして活動を始め、現在は『an・an』などの女性ファッション誌や情報誌、書籍、広告、Webなど多方面で活躍中。
https://www.toshidanaruho.com/


 

専門学校日本デザイナー学院にて宇野亞喜良先生スペシャルトークショー『1934-2024』を開催

2024年12月、イラストレーター・グラフィックデザイナーとしてご活躍中の宇野亞喜良先生によるスペシャルトークショー『1934-2024』を開催しました。

聞き手には日本グラフィックデザイン協会の事務局長である大迫修三先生をお迎えし、時代を切り拓いてきたお二人によるお話を伺いました。多くの世代の人々を魅了し、深い影響を与える貴重な機会となりました。今回の貴重な講演をきっかけに、学生たちが人々の心を動かせるクリエイターを目指し、一層努力を重ねてくれることを願っています。

\ トークショーの様子はこちら /

宇野亞喜良スペシャルトークショー『1934-2024』

 

2025年1月25日より群馬県立館林美術館にて「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」展 開催

宇野亞喜良の初期から最新作までの全仕事を網羅する、過去最大規模の展覧会です。1950年代の企業広告をはじめ、1960年代のアングラ演劇ポスターや絵本・児童書、近年の俳句と少女をテーマとした絵画など、多彩で貴重な原画や資料等を紹介します。“魅惑のサウスポー”から生み出される、時代を超越した宇野亞喜良の華麗で耽美な創作世界に迫ります。ぜひこの機会にご高覧下さい。

群馬県立館林美術館

 


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