江口寿史イラストレーション展「東京彼女」レポート
東京ミッドタウン日比谷の5周年を記念して開催されている展示会、江口寿史(えぐちひさし)さんのイラストレーション展『東京彼女』を観覧してきました。
会場はとても広く、数多くの作品が並んでいます。
江口寿史(えぐちひさし)氏
プロフィール
1956年熊本県水俣市生まれ。1977年(当時21歳)「週刊少年ジャンプ」にて『恐るべきこどもたち』で漫画家デビュー。代表作に『すすめ!!パイレーツ』(77年)、『ストップ!!ひばりくん!』(81年)、『「エイジ」』(84年)など。斬新なポップセンスと独自の絵柄で漫画界に多大な影響を与える。
80年代中盤からはイラストレーターとしても多方面で活躍。漫画連載当時のファンから、イラスト作品やCDジャケット画で知った若い世代まで、幅広い支持を集めている。(以下省略/会場キャプションより)
会場に入ると、まずは2000年代以前の手描き時代の作品が並びます。
複製もありますが、貴重な当時の原画も間近に見ることができ、修正作業の跡など江口さんの手仕事を感じることができます。
可愛くて活き活きとした表情の彼女たち。
ビビッドな色彩と太いライン。
アメリカンポップアートに感化された江口氏のイラストは、少年漫画に「ファッション」の要素を持ち込んだとされているそうです。
美しいカラー原画を見て気になったことは「彩色」についてです。
見てのとおり、カラードットや、塗りムラのない均一な色面で彩色されています。しかしデジタル作画ではなくアナログの原画。
理由は、当時江口さんが使っていたレトラッセ社のカラートーン「パントーン・オーバーレイ」という色のついたフィルムを絵に合わせて切り貼りして彩色されているからだそうです。
それを考えてみると輪郭線の無い、カラートーンだけで表現されている色面のクオリティの高さにも驚かされます。
カラートーンならではの均一でパキッとした色面が当時の時代を醸し出します。
ジーンズの質感を表現するために色鉛筆が使われている作品もあり、対比がとても面白いです。
江口さんの描く女の子は、表情だけでなく仕草やファッションから本当にいろんな情景をイメージさせてくれます。
今では「ニューレトロ」という言葉で若い世代に流行している、昭和や平成初期をイメージさせる色彩やファッションですが、江口さんの当時の作品は今の若い世代のクリエイターにとって良いお手本になることでしょう。
現在の若い世代でも、ロック系の音楽が好きな方には有名な銀杏BOYZ、楠見清さんのアートワークはキャンバスに印刷されて迫力の大きさで見ることができます。
人物だけでなく、背景の細部へのこだわりには本当に圧倒されます。
(自然に見えすぎて気付きづらいですが、影や光の反射の表現が個人的に驚愕でした。)
線の太さはしっかりあるし複雑に入り組んでいるわけではないのに、実写を写し取ったかのような現実味を感じさせてくれます。
そして、機械系もここまで精密に描かれています。
これは男子心を鷲掴みにするわけです。
Youtubeの「アイエム[インターネットミュージアム]Internet Museum」チャンネル内で展示会について江口さんが話されている動画も公開されているのでぜひご覧ください。
展覧会の残り開催日は少ないですが、当時江口さんのイラストに感化されていた世代の方はもちろん、今の若い世代の方もぜひ観覧していただきたい展示会です。
江口寿史イラストレーション展
「東京彼女」
場 所:東京ミッドタウン日比谷 BASE Q HALL(東京ミッドタウン日比谷6F)
期 日:2023年3月14日(火)~4月23日(日)11:00~19:00
入場料:一般1,000円、高校,大学生800円、中学生以下無料
PicoN!編集部:横山