【アナログイラスト初心者向け連載】第9回~秋のくだもの編~

今回はモチーフ1つを描くのではなくて、机の上全体を演出します。
テーブルに素材を置いて、スケッチして配置や構図を決めて絵を描くという一連の流れで、1枚の絵を作り上げてみます!
イチジクは6月~10月頃と収穫出来る時期が長いのですが、秋果の一つとして周りにイメージの「秋」も重ね合わせてみましょう。
まず、実物があるときは手に持って様々な角度で形を確認します。そして観察してスケッチします。


柔らかく繊細なイチジク。スケッチして写真に納めて、ペロリと食べてしまいました。

どのような静物画にするか、イメージを固めていきます。
お皿の上にのせただけだとシンプルなので、外にもイチジクが転がっているように描こうとここで決めます。
テーブルクロスを敷くのか秋草にするかなど、完成のイメージをいくつかラフスケッチします。
今回はF6号サイズの水彩紙で、イチジクを実物と同じ大きさで描きます。

コピー用紙などに下書きします。下書きしたものを、水彩紙に転写します。裏に2Bの鉛筆を塗り、カーボン化してトレースします。

全体をまんべんなく進めていきたいので、周りの紅葉の葉をイメージする緑とオレンジをざっくりと描きます。このとき、にじみの技法で画面に色をつけます。(第4回基本編参照)

【アナログイラスト初心者向け連載】第4回~水彩基本編~

主役のイチジクの色を入れていきます。

イチジクだけ完成させるのではなく、全体的に徐々に出来上がるように満遍なく二層目を塗ります。お皿の色はシルバーの絵の具を使用しました。

繰り返し色を重ねていきます。

完成

水彩で全部塗り終わったら、仕上げにイチジクのつぶつぶとお皿のハイライトをアクリルガッシュのホワイトで描き込みます。これで完成です。

今回は絵のリズムと、見せたい順番を考えました。中央にある主役のイチジクから時計まわりになっています。どんな絵でも言えることなのですが、見てもらいたい箇所の順位をつけると、強弱が付けやすいです。

いかがでしたでしょうか。
シルエットだけの所や影をつけた所、重なりが透けるように輪郭線を強調したところがあります。

秋らしさを出しつつ葉っぱは全て描き込まずに、見せたいところを強調しながら流動的に絵の中で目が動くように描きました。
秋の実りをどう演出するのかお皿やテーブルのデザイン、果物の配置も一緒に考えてみてください。
ぜひ、りんごや柿、ぶどう、梨など好きなものを食べて描いてみてくださいね!

池田幸穂
絵描き / Gallery MoMo 所属 / 武蔵野美術大学卒業後、個展多数。ワークショップ等。海外のアートフェアに参加。図書館に作品常設。

Instagram @sachiho_ikeda


↓PicoN!アプリインストールはこちら

関連記事