印刷会社が手がけるコミュニケーションスペース「ふげん社」で辿るクリエイティブの足跡
心躍るような写真集や新しい本と出会うこと、展示で作家たちの表現する世界にゆっくり浸ること、日曜午後の浪曲会が織りなす優しさに触れること、カフェでひとり静かにコーヒーを飲む時間。ここ、コミュニケーションギャラリー「ふげん社」は、訪れる人が自分だけの特別な時間を過ごすことのできる空間です。
ふげん社は、1950年渡辺美術印刷株式会社の創業以来、印刷・本づくりを行ってきました。2014年に「作家や編集者などの作り手と、読者や鑑賞者が、有機的につながる場所を作りたい」という思いでできたのが「ふげん社」です。
ふげん社はコミュニケーションスペースとして、ブックカフェ・ギャラリー・出版社の運営、イベント企画などを行っています。
ここに集う人びとの間に会話が生まれ、ゆるやかに広がり、新しい何かが生まれていくことを願ってやみません。みなさまにとりまして、止まり木のような心地よい空間となりますように。
2022年1月11日~2月6日までの期間、日本写真芸術専門学校の卒業生 横田大輔さんの展示「Room / Untitled」が開催中です。ラブホテルを舞台にした作品「Room」シリーズと、新作「Room / Untitled」を織り交ぜながら展示を行っています。
本展示は雑誌『写真』創刊記念となり、期間中に横田大輔 × 飯沢耕太郎(写真評論家)のギャラリートーク、村上仁一(「写真」編集人)× 打林俊(写真評論家)× 町口覚(造本家)のスタッフトークを開催。
コミュニケーションギャラリーという名前のとおり、「ふげん社で出会ったアーティストたち」と本作りをしているのがとても面白いところ。作家やアーティストとの出会い、打ち合わせ、写真集や美術本の製作、販売、そして展示やイベントに至るまでそのすべてがふげん社を舞台におこなわれてます。
ふげん社の本棚は「時代の潮流にとらわれず普遍的に求められる本」をテーマに選書されているそう。不朽の小説や、美術専門書、写真集…。気になるタイトルの本が多数。自家焙煎&丁寧なネルドリップの深入りコーヒーを楽しみながら、購入前の本も自由に読むことができます。
一人の時間を過ごしたり、新しい書籍との出会いを探したり、友人と語らいあったり、焙煎したてのコーヒー豆を買いに来たり。ふげん社のブックカフェはその日によっていろんな楽しみ方があり、またいつどんな時も柔らかく迎え入れてくれるような優しい居心地があります。
新しいコミュニティーの場としてたくさんの顔を持つ、ふげん社。クリエイターたちとの出会いによってはじまる創造・制作・発表の機会がすべてこの空間から生まれていく、という軌跡にロマンの香りを感じます。
そこにある小さなストーリーやドラマを、そっと辿ってみてはいかがでしょうか。目黒駅または恵比寿駅よりバスで約15分です。ぜひ学校帰りや休日に訪れてみてくださいね。