「鳴きマネ」が大事?ペット撮影のコツ

ペットのかわいい仕草や楽しそうな表情を写真に残したいという方は多いはず。でも、イメージ通りの写真を撮ることってなかなか難しいですよね。

10年以上ペット撮影をされているNPI(日本写真芸術専門学校)卒業生の齊藤小弥太さんに、撮影の流れやコツを聞いてみました!

まずペット撮影のお仕事について教えてください

カレンダーで使う写真を撮影したりもしますが、家族写真の一環としてペット撮影をすることが多いです。昔に比べてカメラマンにマッチングするようなサイトが充実しているので、そういうところから依頼がくることもあります。

ーお客さん個人から直接依頼がくるのですね

そうですね。ペットは愛玩動物ではなく、家族の一員として受け入れられるようになったなかで、ペットに特化した会社も増えています。例えば、ペットと一緒に旅行に行くプランを提供している会社もあったりして、その旅行に同行することもあります。

今まで撮影したことがあるペットを教えてください

犬、猫、ウサギ、あとはインコなどの鳥類です。イモリや蛇も撮影をしたことがあります。海岸の砂浜で蛇が這っているところを撮ってほしいというお客さんがいて、蛇はコントロールができないので、慌てて追いかけながら撮影をしました。

ー猫も自由でコントロールができないイメージがありますが、どうですか?

猫の中でもスコティッシュ・フォールドは動きが少ないですが、ベンガルだとすごくよく動くので撮りにくかったりします。慣れてくると、この子は撮りやすい、撮りにくいが分かってきます。

わんちゃんも、撮影中に逃げちゃう子がいるんですよ。楽しくなって逃げて飼い主さんが追いかけると、それを追いかけっこしてると思ってもっと楽しくなって、どこまでも走っていきます(笑)。海岸線の向こうまで2人で行って戻ってこないこともありました。その子の性格とかに合わせて撮影プランを組み立てる必要があります。

ペット撮影にかける時間はどのくらいですか?

ウサギだとあまり動きがない子が多いので、すんなり終わります。猫だと逃げちゃう子がいるので、時間がかかってしまいますが、基本的に30分程度で撮るような感じです。ペット撮影だと、時間をかけようと思えばいくらでもかけれるのですが、30分くらいの撮影時間だと良い写真が撮れやすいかなと思います。

撮影場所はどう決めているのですか?

桜やひまわりがきれいな公園とか、冬は雪山とか、季節ごとに映える場所があるので、そういうところにお客さんに来てもらって撮影をします。季節にあわせて映える場所をある程度把握しておくと良いと思います。

いまだと昭和記念公園がおすすめです。わんちゃんOKで敷地面積が広くて撮影に向いているし、散歩にも楽しい場所です。秋になるとイチョウ並木がきれいで有名です。

ー雪山にも行くんですね!

雪山が吹雪いたときは、前が見えなくて大変でした。みんなで軍隊のように無言で歩きながら移動をしました(笑)。こういう撮影は、お客さんも覚えていてくれます。

あと大変だった撮影でいうと、水中写真です。透明度が高いところじゃないと、水中の泳いでいる写真は撮れないんですよ。透明度が高いのは川の上流ですが、上流は夏でも震えるほど冷たいんです。水の中に入りながらの撮影だと大変ですね。

ペット撮影のコツを教えてください

細かいコツは、ほんとにたくさんあります。ペット撮影で難しいのは、こっちに目線を向かせること。その方法としては、まず単純に「おもちゃ」「おやつ」。おやつが好きでも、緊張していると食べない子がいます。そういう子は大体飼い主さんを見るので、飼い主さんに私の後ろに立ってもらったり。わんちゃんをおさえるときは「カラビナ」や「ペグ」を使います。

あと重要なのが「鳴きマネ」。例えば、うなるような声や高い鳴き声を出すと、こっちを向きますし耳が立ちやすいです。ヨークシャーテリアとかチワワは耳が立っているほうがかわいいので、鳴きマネをして立たせます。

走っているところを撮る場合は、ピントが合いやすい機材を使うと良いです。ただ、鼻じゃなくて目にピントを合わせないといけませんが、わんちゃんは鼻が前にあるので、正面から走ってくる子を撮るのは結構難しいんです。そういうときは、横から撮ると「点」じゃなくて「面」になるのでピントが合いやすいです。

場所によってはロングリードがあると、望遠で走っているところを撮れます。また、連写で撮るので、なるべく書き込み速度がはやいメモリーカードを使った方が良いと思います。

飼い主さんと一緒に撮るときに気を付けるポイントはありますか?

撮影時に抱っこをしてもらうと、わんちゃんの顔が前にきてしまうことがあります。そうすると手前のわんちゃんの顔と、奥の飼い主さんの顔のピントが合わなくなってしまうんです。なので顔の横にわんちゃんの顔がくる抱き方とか、そういうのを覚えておく必要があります。

カメラ目線だけではなく、飼い主さんとの関係性が見えるような自然な写真を撮ると喜ばれます。前足をひざにつけて見つめ合ってもらったり、いろいろなバリエーションがあります。

あとはノリです。わんちゃんって空気が分かるので、ノリは結構大事です。こっちが緊張したり硬くなるとよくないので、抱っこが苦手な場合どうやって撮るかとか、撮る前の段階でいろんなシチュエーションを考えておく必要があります。

ー事前情報をもらうのですか?

もらうことはほぼないです。なので撮影をしながら、会話をしながら情報を集めていきます。人が苦手と言われたら近づき過ぎずに気を付けたり、コミュニケーションを取りながら組み立てていきます。

わんちゃんによってこの角度が良いとか、この犬種を飼っている方はこういう角度が好きとかもあります。

例えば、ゴールデンレトリバーだと上目遣いをしたときに白目が見えるのですが、そこが好きな方は多いです。コーギーだと走っているかわいい姿をおさえたうえで、お尻の写真を撮ったり。マズルが短いパグは、正面を広角で撮るとより丸く撮れて喜ばれます。こういった犬種によってもポイントがありますが、慣れてくると掴めるようになってきます。

ペット撮影で大切にしていることを教えてください

ペットは人よりも表情が豊かなので周りの状況に合わせて、次々と表情が変わっていきます。そういった瞬間瞬間の表情を記録することは写真にしか出来ないことだと思うので、意識して撮影をしています。やはりペットは人間と比べて寿命が短く、わんちゃんは15歳ぐらいで亡くなってしまうことが多いです。ペット撮影をはじめてから10年以上経っているので、最初の頃に撮ったお客さんが二代目を連れてきてくれることがあります。「齊藤さんに撮ってもらって嬉しかったです」と過去に撮った写真を持ってきてくれるんです。

ペット写真はかわいく撮ることも大事ですが、人と同じように今この瞬間を残していくような感覚で撮っていてよかったなと思っています。

齊藤 小弥太
1986年 神奈川県横須賀市生まれ
2007年3月 日本写真芸術専門学校卒業
マガジンハウス専属スタジオ勤務後、フリーランスに転身。以降、多岐にわたり活動中。
HP:https://www.global-image.photography/
Instagram:@saitokoyata

ペットの写真は撮っていても、ペットと一緒に写る機会は少ないですよね。大切なペットとの写真撮影を、プロのカメラマンにお任せしてみてはいかがでしょうか?きっと素敵な思い出になると思います。

齊藤さんありがとうございました!

PicoN!編集部 木下

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