【京都の街を写真が彩る】KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2024

PicoN!をご覧のみなさんは、毎年この時期に京都の街が写真で埋め尽くされているのをご存じでしょうか?
今年の春で12回目となる『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭』
そこで開催されている写真展の数々を実際に見てきたので、(私見を交えた)見どころや楽しみ方をご紹介します!

様々な表現を用いた作品展が一度に見られるチャンスです。
これから見に行こうと思っている方はぜひ参考にしてみてください!

 

1ヶ月の間、京都で開催される写真のお祭り

4/13(土)~5/12(日)の間、京都市内の様々な会場で国内外、多種多様な写真展が開催されます。
今年のメインプログラムの展示は12か所もあり、どれも凝った写真展が見られる大ボリュームの写真祭となっています。
メインの展示以外にも”KG+”として新進作家や様々なアーティストによる展示等が、これまた京都市のあちこちで同時期に開催されています。
写真・アート好きの方にとって、まさにお祭りと言えるイベントですね。

そして”国際写真祭”ということで、写真を通じて世界の文化を感じることができる場でもあります。
日常生活ではあまり触れることの無いであろう文化や価値観を、こうした機会に知ることができるのもまた意義のある事ではないでしょうか。

ティエリー・アルドゥアン『種子は語る』@二条城 二の丸御殿 台所・御清所

ティエリー・アルドゥアン『種子は語る』@二条城 二の丸御殿 台所・御清所

 

写真展やアートの展示を見ることが好きな人はもちろんですが、普段写真等をあまり見ないといった方にもKYOTOGRAPHIEはおすすめです。
KYOTOGRAPHIEでは写真展の会場として京都市に残る歴史的建築物を活用しています。
ギャラリーや美術館で行われる展示に行くのとはまた違った雰囲気で作品を見ることができますので、「珍しい建物の中で写真を見る」というユニークな体験が、初心者にとって鑑賞のハードルを下げてくれるのではと思います。

クラウディア・アンドゥハル『ヤノマミダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティスト』@京都文化博物館 別館

京都文化博物館 別館で展示されているクラウディア・アンドゥハルの作品とアマゾンの先住民族ヤノマミのアーティストによるドローイングと映像作品。
こうした歴史のある建築物の中で写真や映像を鑑賞することができます。

クラウディア・アンドゥハル『ヤノマミダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティスト』@京都文化博物館 別館

館内に設置された大迫力の映像スクリーン。
2階から見てみると、、、

クラウディア・アンドゥハル『ヤノマミダビ・コぺナワとヤノマミ族のアーティスト』@京都文化博物館 別館

このような造りになっています。
こうした環境で作品を鑑賞するのはなかなかに非日常的で、不思議な体験です。

よく「写真やアートの展示は興味があるけど難しそう」という声を聞きます。
KYOTOGRAPHIEでは、京都の歴史を感じながら写真に触れることによって、そうした方も写真に触れられる良い機会になるのではと思います。

Birdhead(鳥頭)『Welcome to Birdhead World Again, Kyoto 2024』@誉田屋源兵衛 竹院の間、黒蔵

Birdhead(鳥頭)『Welcome to Birdhead World Again, Kyoto 2024』@誉田屋源兵衛 竹院の間、黒蔵

中国の2人組アートユニットBirdhead(鳥頭)による展示では、現代を写したスナップ的な写真のすぐ隣に坪庭がある空間があり、とても印象的です。
伝統的な日本の空間とコンテンポラリーな作品の共存を体感することができます。

 

ヴィヴィアン・サッセン『PHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990–2023』@京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)

ヴィヴィアン・サッセン『PHOSPHOR|発光体:アート&ファッション 1990–2023』@京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)

日本での大規模個展は実は初だというというヴィヴィアン・サッセンの展示は京都新聞の印刷工場跡が展示の会場です。
カラフルな写真の数々が展示されていますが、こうした特殊な環境での展示は写真の周囲にも注目すると面白いです。
写真に当たっている光が反射し、天井のダクトや床のレール・鉄板を照らしていて、空間と作品、どちらも合わさって展示が成り立っていることが実感できます。

 

KYOTOGRAPHIE おすすめの楽しみ方

この写真祭は、なにせ大人気観光地・京都が舞台なわけですから、観光として京都市内の名所も周りつつ展示を見て周ることができます。
とくに観光を考えずに展示を巡回しているだけでも、いつの間にか京都観光をしていることになります。ちょっと得した気分です。

柏田テツヲ『空(くう)をたぐる』@両足院

柏田テツヲ『空(くう)をたぐる』@両足院

 

展示を巡回していて感じたことが、「情報過多に気を付けたい」というところです。
人によって受け取り方は全然違うと思いますが、私の場合は連続して展示を見て周っていると、いろんな情報が入ってきて様々な考えで頭がいっぱいになりそうでした。

展示を直感的に楽しみたい!という方はガンガン見て周って、逆にじっくり考えながら展示を見たい、という方はある程度興味のある展示に目星をつけて見にいくのが良いかもしれません。
一つ一つの展示がしっかり密度があるので、時間が許せる範囲であまり欲張らず、余裕を持って鑑賞することをお薦めします!

ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)『カサブランカは映画じゃない』@ASPHODEL

 

展示会場間の移動にはレンタサイクルがおすすめです。
インフォメーションセンターでもレンタサイクルが借りられました。
天気が良い日に京都市内を自転車で駆け巡るのも、また良い気分です。

ルシアン・クレルグ『ジプシー・テンポ』@嶋臺(しまだい)ギャラリー

 

”国際写真祭” であることを体感しよう

今年のKYOTOGRAPHIE全体のテーマは”SOURCE”
様々な「起源」を考えさせられる作品の数々が展開されていますが、そこには世界各国の文化や価値観といった部分も内包されています。

展示を見て周っていると、写真や映像を通して様々なことを考えさせられました。

イランの市民と写真家たち『あなたは死なない──もうひとつのイラン蜂起の物語──』@Sfera

イランの市民と写真家たち『あなたは死なない──もうひとつのイラン蜂起の物語──』@Sfera

イランで起きた抗議デモについて伝えているこの展示では、写真と共にSNS等で発信された映像を見ながら、私は特に宗教観について考えさせられました。
インターネットを通じてどんな情報にもアクセスできる現代ですが、実際は皆、自分が知りたい情報だけにしか興味が無いことがほとんどではないでしょうか。
こうした展示は、自分が知らずにいたことに気付かせてくれる貴重な機会だと思います。

 

ジャイシング・ナゲシュワラン『I Feel Like a Fish』@TIME’S

ジャイシング・ナゲシュワラン『I Feel Like a Fish』@TIME’S

ジェームス・モリソン『子どもたちの眠る場所』@京都芸術センター

 

私は展示を巡回するルートの最後に京都市京セラ美術館の本館、南回廊2Fの展示を見にいきました。
日本人写真家3人による展示が開催されていますが、美術館での展示という事もあり落ち着いて作品を鑑賞できました。
そこで展示されている潮田登久子川内倫子両名の展示は身近なものが作品の題材となっています。
世界の広さを感じられるような様々な展示を見て回った後にこういった写真に触れることで、身近なこともまたこの世界の一部なのだと改めて気付かされました。

川内倫子『Cui Cui + as it is』@京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

川内倫子『Cui Cui + as it is』@京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

潮田登久子『冷蔵庫+マイハズバンド』@京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

潮田登久子『冷蔵庫+マイハズバンド』@京都市京セラ美術館 本館 南回廊 2階

 

 

まとめ -お祭りとして写真を楽しむ-

このKYOTOGRAPHIEというイベントは、なにより写真展を歩いて(もしくは自転車等でも)見て回るという楽しさがあります。
これだけの規模感の写真展が近しい場所に集まることはそうそう無い機会ですので、気になった方はぜひ足を運んでみてください。

ヨリヤス(ヤシン・アラウイ・イスマイリ)『KIF KIF KYOTO』@出町桝形商店街

写真が好きな方も、何か新しい価値観に触れて見たいという方にも、非常におすすめです!
貴重な展示の数々が見られるのは5/12(日)まで、お見逃しなく。

また、後日このKYOTOGRAPHIEの展示をキュレーター視点から解説したレポート記事を掲載予定です。
そちらもぜひお楽しみに!

文・写真:PicoN!編集部 黒田


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