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やさしく解説!写真をプリントする意味ってなに? ~番外編~ 写真家にプリントに対するこだわりを聞いてみた


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みなさんこんにちは!PicoN!編集部の濱田です。
前回はイメージングディレクター/フォトグラファーで日本写真芸術専門学校講師の芳田賢明さんによる、”写真をプリントする”という事について理解が深まる話をお届けしました。

↓第1回目はこちら

今回は実際に写真展に足を運んで、写真家の土性愛美さんと、土性さんの作品制作を技術面で支えた芳田賢明さんにお話を伺います。
写真家とイメージングディレクター、それぞれの立場から写真プリントを通して表現したいことをカタチにしていくことについて、深いお話をお聞きすることができました。
この連載の鍵となる「皆がスマホで写真を見ている時代なのに、どうして写真集や写真展がなくならないのか?」という疑問について、その答えに繋がるヒントが見つかるでしょうか・・・?

今回取材させていただいた写真展
『表現工房vol.6「∞(Infinity)2023」』
https://dnp-plaza.jp/CGI/event/reservation/detail.cgi?seq=0001248


濱田)
土性さん、芳田さんよろしくお願いします!

土性)
まず今回ここに展示している私の作品のテーマをお伝えすると、女性の心と体の繋がりという、見えない部分に焦点を当てています。
私は写真のプリントも通して、より作品のテーマを表現したかったので、学生の頃から色々な紙を購入してプリントしてきました。
洋服や下着など、体に触れるものから連想できる用紙を選びたかったのですが、写真用紙ではない用紙でプリントすると、理想の表現にはならず、日々奮闘していました。
今回写真学校を卒業してから初の個展をDNPプラザで開催させていただくことになり、そのDNP(大日本印刷株式会社)の技術を駆使して理想を実現してもらいました。

濱田)
用紙にこだわりたいというお話を芳田さんにたくさんされたんですよね。それでは実際に展示されている作品を見ながらお話を伺っていきましょうか!

土性)
これとか最初ザラザラボコボコしたものにプリントしたいと思っていました。 被写体の内容的な部分を話すと記事にしづらいと思うんですけど、女性の体の一部を私なりに表現しています。
人の肌感だったり、少しかぶれちゃってる部分だったり、そういう部分をプリント用紙を選んで表現して、一枚の作品に仕上げるということをしたかったんです。

濱田)
普通の用紙に映像が載るだけだと、こんなにシャープな印象にはならないですよね。

土性)
普通だったらこんな風に出来ないです!

濱田)
油絵みたいですね。こんな質感のプリントは初めて見ました!

土性)
学生時代から、「写真=写真用紙でプリントする」という固定観念に疑問を抱いていました。 写真用紙じゃないものに印刷することにずっと興味があったんです。
今回はDNPと連携させていただくプロジェクトだったので、自分だけでは出来ないことを叶えていただきましたね。 

濱田)
これを印刷するには、なにか特別な技術や機械が必要なんですか?

芳田)
技術ももちろんですが、こういう紙に印刷できる機械をもっているってことが大きいです。通常のインクジェットプリンターは、インクジェット用紙以外ではうまく印刷できません。インクがうまく紙に載らないと、絵が流れてしまったり、濃度や彩度が出ないんです。
このプリントはインクジェット方式のプリンターではなく印刷機でプリントしているので、インクがしっかり定着されて、色がちゃんと出る上に、元の紙の質感もちゃんと残してくれます。

土性)
こちらは 原料がコットン100%の用紙です。触れた感覚を大事にしていたので、これは実際に触ってみてほんとにびっくり仰天でした。
普段身に着けているものをなにか用紙で表現したかったんですけど、 私の中でこれが1番イメージが強くて。布っぽい素材にプリントしたいとお願いしたのですが、まさかこんなに立体感が出て綺麗にプリントできるとは驚きでした。こういう額装に入れていない剥き出しの作品にとっては、立体感が生まれたりとか素材が違うことで見え方が変わるから、プリント楽しい!とみなさんに思ってもらいたいですね。 

濱田)
すごく土性さんのこだわりを感じます。

土性)
そうですね、女性の話って距離を持たれやすいかったり、そういうことを話しやすい時代にはなってきましたけど、
やっぱり何か距離があるときに実際紙に触れてもらいたくて。 触れてる感覚って記憶として残るから、こんな展示あったなって思い出してもらいたいなと。
見て終わっちゃうんじゃなくて触れてもらって、知ってもらえる展示にしたかったんですよね。

濱田)
正直な話、ここに来るまで“イメージングディレクター”としての芳田さんの立場が想像つかなかったのですが、こだわったものを作りたいという写真家さんが頼れる存在なんですね。

土性)
ほんとにそうですね。 技術的に自分だけじゃ絶対にできなかったので。

濱田)
これは“わたがみ”ですか。

土性)
そうです。よくぞここまでイメージに合う紙を見つけられたなと。

こういうザラザラした特殊な素材の方が、プリントすると立体感が生まれるなというのは感じました。 物質として浮き上がってくる感じです。
試してみると新しい発見にも繋がりました。

濱田)
このわたがみは普段は何に使われている紙ですか?

土性)
和菓子のパッケージとか、基本的にはグラフィックデザインなどをされてる方が身近に使ってる用紙です。

芳田)
写真の世界の人はなかなかこんな紙に刷ろうと思わないし、デザインの世界の人はこれはデザインの用紙だと思ってるから、ここにこんな堂々と写真を印刷できると思わないですよね。
でも今回は、土性さんの「こういう風にしたいんだ!」という思いと、私たちの「こういうやり方だと出来そうだな」というのが上手く組み合わさりました。やってみたらめちゃめちゃハマるじゃんというものができて、ほんとに表現の可能性を感じます。
写真用紙だと、特に光沢紙などは紙に質感がほとんどないから画像の質感だけで見せるんですけど、これは画像の質感に紙の質感が重なっているので倍になって飛び込んでくる。 本当に紙の質感が花の質感に見えてくる。この花の質感って感じがするじゃないですか。

濱田)
花のしっとりした感じ、パリッとした感じ、ふわっとした感じが伝わってきます。

土性)
こちらは粗いメッシュの布に川の画像をプリントしました。川が揺らいでいる感じを表現したくて。

芳田)
これは角度で全く見え方が変わる作品なんですよ。
正面で見ているときはメッシュ生地で視界が抜けていくので画像が見えづらいんですけど、斜めになればなるほど密度が増すので、しゃがんで見たり、上から見るとハッキリと見えます。

写真をプリントするっていうのは紙にすることだって思われがちですが、それは誰が決めたことでもないはずです。
石とか木にプリントしてる人だっているから、いろいろなことに興味を広げていってほしいですね。プリントを勉強するともっと自分の気持ちを伝えやすくなります。

土性)
ただ写真を撮って終わりじゃない、撮って満足してちゃ勿体ないよってことが伝わってほしいですね。プリントした時の感動をぜひ学んでほしいです。

濱田)
今回の展示を実際に見て触れて、写真をプリントをする面白さを体感しました。
土性さん、芳田さん、ありがとうございました!

 

土性愛美
1997年生まれ。
2023年、日本写真芸術専門学校2年制写真科ドキュメンタリーフォトゼミ卒業
女性のアイデンティティ、心と身体の繋がりを探求する作品を主に制作。これまでの活動
2023年
・表現工房vol.6「∞(Infinity)2023」/個展「BREATHE」
・「東京駅:SOW THE FUTURE(未来に種をまく)」/「つなぐ」
・日本写真芸術専門学校卒業作品展/「BREATHE」2022年
・T3 STUDENT GALLERY 2022/T3 STUDENT PROJECT 2022/「さようならの向こう側」
・東川国際写真フェスティバル2022「GAKKOTEN~大学・専門学校屋外写真展~」/「Control」2021年
・T3 STUDENT PROJECT 2022/「Control」

 

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