
写真学校に通う学生に聞いてみた〜わたしを変えてくれた写真集〜
みなさんこんにちは!いかがお過ごしでしょうか?
PicoN!読者の中には「写真」に興味のある方も多いはず。そんなみなさんにとって「特別な写真集」はありますか?
今回は日本写真芸術専門学校に通っている学生に聞いてみたシリーズ。彼らを変えてくれた写真集を紹介します。
ここに出てくる写真集たちは、彼らに一体どんな影響を与えてくれたのでしょうか?
2年制写真科 野口 瑛人さん
【 影響を受けた写真集 】『THE SIGN OF LIFE』/ 清野賀子
ーこの写真を選んだ理由・エピソードー
初めて彼女の写真を見たのは、東京都写真美術館「風景論以後」の展示でした。「写真」を見たはずなのに、この風景を知っている、ただ光景を見ているような感覚になりました。当時1年生だった僕は、写真の良し悪しばかりを考えていましたが、それ以上に写真がコミュニケーションの媒体であることを再考させてくれた写真集でした。
2年制写真科 下川 芽夢さん
【 影響を受けた写真集 】『UNTITLED RECORDS』/ 北島敬三
ーこの写真を選んだ理由・エピソードー
長年訪れてみたいと思っていた福島に足を運ぶきっかけになった写真集です。
東日本大震災の際に日本にいなかったわたしは(自分勝手な)後ろめたさを感じていました。ただ北島敬三さんの無機でありながら変化の可能性を秘めた写真たちがわたしには震災の傷を理解することは出来なくても、知ろうとすることは出来るだろう、したいと感じさせてくれました。
この福島への訪問はわたしが何故写真を撮っているのか、という問いに対する答えを見つけるヒントにもなりました。
本写真集は常にわたしの写真に対するモチベーションに繋がっていて、審査前や作品作りの前に必ず眺めてパワーを貰っています!
2年制写真科 前場 一輝さん
【 影響を受けた写真集 】『枯野』/ 山市直佑
ーこの写真を選んだ理由・エピソードー
元々私は、人が居そうな空間に人が居ないという不思議な写真が自分は好きだったのですが、この写真集を初めて見た時、とても気に入りました。読んで行くに、ただ人が写っていないと言うだけでなく、この作品のコンセプトの意味や、作者の山市さんの見ている視点などがとても魅力的でどんどん好きになっていきました。今では、この作品の作風を参考にしながら、自分の地元を撮影して作品制作に励んでいます。作者の山市さんに作品を見てもらう機会や、ご本人から写真集をプレゼントして頂ける機会などもあり、とても良い経験になりました。この1冊に出会えたからこそ、自分の写真人生の価値観や視点が広がった気がします。
2年制写真科 秋山 夏希さん
【 影響を受けた写真集 】『BETWEEN THE TWO』/ Todd Hido
ーこの写真を選んだ理由・エピソードー
この写真集は、1年生の時に授業で先生が貸してくださいました。初めてこの写真集を見たとき、現実と非現実が入り交じったような独特の緊張感に衝撃を受けました。それまでの私は、ただ自分が撮っていて気持ちのいい写真を撮ることしか知りませんでした。しかし、この写真集との出会いをきっかけに、自分の写真に対する考え方が大きく変わったように感じます。写真はただ撮るだけで終わるものではなく、次の制作へと繋がるものへと少しずつ変化していきました。そして、自分が写しているものや写真そのものについて、初めて深く追求するようになりました。作品を作ることがどれほど難しく、大変なことなのかを身に染みて感じる一方で、知らなかったことを学び、それを活かして作品制作の過程に楽しさや喜びを見つけられるようになりました。
今でも彼の作品は、私に大きな刺激を与え続けています。
【 影響を受けた写真集 】『SLEEPING BY THE MISSISSIPPI』/ Alec Soth(アレック・ソス)
2年制写真科 坂々 ななさん
ーこの写真を選んだ理由・エピソードー
2023年の12月に見た際に次の作品作りのきっかけになったのがこの写真集です。これまではデジタルカメラや35mmフィルムカメラで撮影していましたが、大判カメラで撮っているアレックソスの写真は人物を撮る際の緊張感というものを強く感じました。それから中判フィルムカメラの後ろにphase Oneのデジタルバックをつけて、練習を始めました。丁寧に時間をかけて被写体と向き合いながら撮影をすることは、ポートレート写真やそれ以外の撮影においても、程よい緊張感と一枚の中での完成度の高さに繋がりました。そこからは中判フィルムカメラを何度も学校で借りて使うようになり、今はPENTAX67 IIをメインに作品作りをしています。
写真科 フォトアートゼミ 鄭 恒燊 さん
ーこの写真集を選んだ理由・エピソードー
この写真集は、ミシシッピ川沿いを旅する中で撮影された作品が収められていますが、一枚一枚の写真が繊細で、風景や人々の日常にある「物語」を静かに浮かび上がらせています。作品に込められた繊細さは非常に共感しました。彼の写真は、「つい体験」、つまりその瞬間に立ち会ったかのようなリアリティがあり、写真を通して新しい景色や感情が自分の中に染み渡るような感覚を覚えました。
素敵な写真集とエピソードの数々でしたね!
写真集から受け取った刺激や、自身の感情の変化を大切にしながら、これからもたくさん写真を撮ってほしいなと思います。
写真集を紹介してくださったみなさんありがとうございました!
これを読んでいるみなさんにも、素敵な写真集との出会いがありますように、、、
PicoN!編集部:河野
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