写真家 藤林彩名が撮る東北の風景と、旅を続ける理由。
写真家 藤林彩名が撮る、東北の風景。静けさの中に穏やかな空気を感じる一枚一枚、シャッターを切る瞬間に彼女がどんな想いを馳せていたのか。そして日本国内を旅し写真を撮り続ける理由とは──。
私は知らない土地にふらっと旅をするのが好きだ。何の気なしに歩くだけでも、土地柄の違いに心が高鳴る。風土と人柄が結びつき、そこに暮らす人の心根が些細な風景に浮かぶ。それを見つけるのが楽しく慕わしい。各地でどんな風景が見られるのだろう。そんなとりとめのないことにいつも思いを馳せている。
『風景を集める|東北』より
旅を好きになったのは、学生のときに東南アジアを巡った経験からだった。それまでの海外との接点はテレビの中だけで、いつかは私も足を運びたいと画面越しに心躍らせていた。
実際に海外の地を踏み、とにかくさまざまな光景を目にしてきた。それまでの先入観が少しずつ壊れていくのを感じた。特別大きな出来事ではなく、何気ない日常風景、生活、会話など些細なことが積み重なった結果だった。それは確実に現在の自分を形作り、その体験があるからこそ、私はここにいるように思う。それから自分の目で見て感じたことを、大切にしていきたいと強く思うようになった。
旅のおもしろさを知った私は、生まれ育った日本を改めて知りたくなった。日本もまた頭の中にあるぼんやりした月並みなイメージだけだ。全てを目にすることはできないが、少しでも多くの風景をこの目で見るために旅をずっと続けていきたい。
藤林彩名『風景を集める|東北』
2022.1.11(火) – 1.23(日)
11:00 – 19:00 (最終日15:00まで)
月曜日休廊
komagallery
文・藤林彩名/Ayana Fujibayashi
1995年埼玉県生まれ
2017年日本写真芸術専門学校フォトフィールドワークゼミ卒業
2019年 Post Urban@TAP gallery
2021年 Koma gallery Opening Exhibition@Koma gallery
2021年 都市の波形@アメリカ橋ギャラリー
2021年 COLLECT LANDSCAPE #1@Koma gallery