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東京・八重洲、日本橋・京橋エリアの都市が写真で彩られる3週間がいよいよ明日10/4から始まる「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2025」内覧会レポート

東京・八重洲エリアが国際色豊かな写真・アート作品で彩られる「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2025」が10/4(金)からスタート!今年は、エリアが銀座まで拡充し、より見どころが増えた写真祭。メディア向け内覧会にお邪魔し、その見どころをいち早くご紹介します。

取材協力:株式会社シー・エム・エス

『T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO』展レポート—〜東京を、写真の都に。〜

2020年より、東京駅・東側エリア(八重洲、日本橋、京橋)にて地域と連携を図りながら実施されたT3は、「フェスティバル」「フェア」「育成事業」を行う包括的な写真プロジェクトです。“東京”という都市を舞台に、アーティストに国際的な作品発表と制作の場を提供する「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」が今回レポートさせていただいたフェアです。

エリア内にある「東京ミッドタウン八重洲」や「東京スクエアガーデン」などの商業施設や、「東京八重洲ビル」などの企業所有のビルのエントランス、屋外の壁面など、ありとあらゆる場所が展示会場になっています。

東京ミッドタウン八重洲1F屋外エリアに展示される〈Uncommon Places〉

 

ディレクターの速水惟広さんの解説を聞きながら、会場を巡っていきます。

今年のテーマは「庭 / GARDEN」-庭師が種を蒔くように、キュレーターが作品を植える空間。

フランスの庭師・思想家ジル・クレマンは『動いている庭』において「できるだけあわせて、なるべく逆らわない」と語り、外来種や偶発的な変化を排除せず、むしろ受け入れながら共存していく“生きた庭”の可能性を説きました。そこにあるのは、完璧な管理や静的な秩序ではなく、混ざり合い、動き続ける生命の力です。

本年、T3はそうした「庭」を写真表現によって都市空間に持ち込みます。

人間によって設計された、最も象徴的な人工の秩序である「都市」に、異物のように差し込まれる写真作品や展示の数々。それらは、外来種のように空間と混ざり、拡張し、新たな「庭」をかたちづくっていきます。

銀座から京橋、八重洲、日本橋に点在する「庭」が、訪れる人々との偶発的な出会いや交わりを生み出す事で、新たな都市の可能性を見出すことができるとしたら。東京という都市が、内に秘めるまだ見ぬ風景を写真によって生み出していきます。(公式ホームページより抜粋)

「City as Garden」

「都市」を固定されたインフラとしてだけでなく、人の行為や視線によって柔らかく耕される「創作の庭」と捉えて作家たちが個展という形で展開。スティーブン・ショアやメリッサ・シュリークなどが参加します。(場所:東京ミッドタウン八重洲、東京建物八重洲ビル、東京建物日本橋ビル)

内覧会で最初に訪れたのは、「東京ミッドタウン八重洲」1Fと2Fには、現代アメリカ写真を代表する写真家スティーブン・ショアの作品が展示されています。

1Fアトリウムには、スティーブン・ショアの代表作〈American Surfaces〉と、手作り茶筒の老舗「開花堂」とのコラボとしてスティーブン・ショアがキャリアの初期に制作したポストカードシリーズ〈Greeting from Amarillo,❝Tall in Texas❞〉が展示されています。T3では、ポストカードの裏面まで展示されています。

 

アトリウムを抜けて右側に進んだところにあるエスカレーターで2Fに上がって直進すると、〈Details〉シリーズが展示してあります。こちらはゆくゆく通用口になる予定の場所で、背景には、今まさに重機が動いている様子が見えます。そこには、Hasselbla X1Dを駆使し、街角に落ちた紙片、窓辺の小物、壁のひび割れやテーブル上の影など肉眼では見過ごされてしまう対象を、宝石を扱うように切り取った作品が展示されています。

 

続いて訪れたのは、「東京建物八重洲ビル」こちらには、オランダを拠点に活躍する写真家メリッサ・シュリークの〈Ode〉〈The City is a Choreography〉シリーズが展示されています。T3のメインビジュアルにも使用されている作品を見る事ができます。

オフィスや屋外での展示があるからこそ、アートの好きな人だけが訪れるのではなく、仕事の傍らでアートに触れる事ができる。

美術館をなんとなく「敷居が高い」「専門知識がないと楽しめないのでは」と行くのをためらっている人もいるのではないでしょうか。東京エリアを散歩しつつ、国際色豊かな写真・アート作品と触れ合う事のできるきっかけとして訪れてみて欲しい。

「東京建物日本橋ビル」では、スティーブン・ギルの〈Hackney Flowers〉が壁面を彩ります。

写真の上に散りばめられているのは、植物の種や葉、花、実、そして制作当時に作家のスタジオがあったロンドン東部ハックニーで作家が集めたさまざまなもの。それを、再度撮影する。あるいは写真を土に埋め、腐敗の痕跡をそのまま残すというシリーズ。T3では、本作品を、奄美大島の染色家・金井志人による「泥染め」を施した和紙にプリントしています。ほんのりと土のにおいがします。

T3 New Talent「Five Views」展

TOMOHIKO YOSHINO GALLERYで開催されている日本の写真文化の世界進出を支えるプロジェクト「T3 NEW TALENT」の企画展「Five Views」展

キュレーター部門で選ばれた池田 佳穂さんが、同プロジェクトのアワードで選出された 5名のアーティスト(鈴木 麻弓、千賀 健史、南川 恵利、宮地 祥平、THE COPY TRAVELERS)を紹介するグループ展

ギャラリーの特性上、5名をどのように配置するかは悩んだと話された池田さん

選出された千賀武健史さん(左)と、池田佳穂さん(右)

池田さん「宮地祥平さんの作品はセンシティブな表現もありB1Fの閉鎖的な空間が作品とマッチしそう、1FはTHE COPY TRAVELERSのキャッチ―さでアートに詳しくなくても興味を持ってもらえるようなしかけにしました。階段や中2Fは難しいかなとも思いつつ、きっと千賀さんならうまく料理してくれるかなと思い、託しました。」

NPIでも特別講義等でご登壇いただいている千賀健史さんも在廊されておりました。

それぞれの作品はぜひ会場にてお楽しみください。

写真集でたどる日本の女性写真家のまなざし

「東京スクエアガーデン」で開催されているのは、「写真集でたどる日本の女性写真家のまなざし」日本の女性写真家たちの様々な視点や自由な表現を「写真集」というメディアを通して振り返る試みです。

その他、エリア内のギャラリーでは、森山大道「1960-1982東京工芸大学 写大ギャラリーアーカイヴ」展(10/4~12)や、ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山城知佳子×志賀理江子 漂着など、T3に合わせて、写真関連の展示を開催しています。T3の展示を見つつ、ギャラリー巡りをするのもオススメ。

 

今週末の10/4~5は、NPIの学生も出店する「T3 PHOTOBOOK MARCHE 2025」が東京スクエアガーデン 1Fシティラボ東京 6Fにて開催。

 

OPENING SPECIAL TALKをはじめ、会期中には、著名な写真家、キュレーターを招いたトークセッションも多数開催予定。(詳しくはこちら)

未来の写真家を探す学生プロジェクト「T3 STUDENT PROJECT」のディレクションは、NPI卒業生の土性愛美さんが手がけられています。(土性さんのインタビュー記事はこちら

 

「T3 STUDENT PROJECT」のイベントの一つ「T3 Student Gallery」(JR東京駅グランスタ八重洲B1通路)では、16の美術大学・専門学校から選ばれた各校代表の学生たちが、作品を展示。NPIの代表として、Liao Weiyiさんの作品をご覧いただくことができます。

T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO』は10/27まで

 

 

《展覧会情報》
T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO 2025
会期:2025年10月4日(土)‐10月27日(月)
開催エリア:東京・八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアの屋内、屋外会場
入場:無料
HP:https://t3photo.tokyo/festival-2025

 

 

 

取材・撮影/PicoN!編集部 市村・松浦

 

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