PicoN! club -大判カメラのススメ③-

この「PicoN! club」では自分の作品をワンランクアップさせるポイントを紹介。写真学校でよく聞く悩みをもとに、撮影に役立つ情報をお届けしていく。

 

そもそも、この大判カメラとの出会いは何だったのかを思い返してみた。

学生の頃、授業の中で様々な写真集を見ていく内容があった。アジェやキャパ、ブレッソンなど、毎回、時代やジャンルで分かれた写真集をひたすらに見ていった。その中に「ニュー・カラー」と「ニュー・トポグラフィクス」という回があり、そこで取り上げられたジョエル・スタンフェルドの作品が妙に気に入った。思えばあれが大判カメラ(というよりかは大判カメラで撮られた写真)との出会いだった。

▶https://www.joelsternfeld.net/

鮮明な描写によってディテールまで読み取れ、世界と対峙しながら撮られた写真は、どれも静かだが存在感のあるものばかりだった。その時、いつかはこのような写真を撮りたいと思った(しかし、その前に高梨豊の「地名論」を見て中判カメラに手を出してしまうのだが、、)。

そこから、様々な大判カメラを使ってみた。HORSEMANの木製カメラ「WOODMAN」、WISTAの「ウイスタ45SP」等々。半年間のアジアをめぐる旅にも大判カメラを持って行った。今もLinhofの「マスターテヒニカ3000」というカメラを使って撮影している。参考までに、「マスターテヒニカ3000」で撮った写真を少し見ていただこう。

カメラを変えることで出来上がる写真は大きく変わってくる。例えば、大判カメラでは動きの速い被写体の撮影や、瞬間を切り撮ることはできない。その代わり、客観的に世界をとらえることができる。この違いは出来上がるイメージを大きく左右する。

つまり、一番大事なことは作者がどのようなイメージを求めているかだ。写真を学んでいる学生たちには、その部分を大事にしてほしい。そして、新しいイメージに挑戦してもらいたいと思う。

文・写真 : PicoN!編集部 奥

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