1100体超のワニがまわる!タムラサトル
6/15(水)よりタムラサトルの個展『ワニがまわる タムラサトル』が国立新美術館で開幕した。展覧会では現代美術家タムラサトルの代表作の一つであるシリーズ作品「まわるワニ」を展示している。広い展示空間にあわせて、新作の約12メートルの巨大ワニ1体と大小さまざまなサイズのワニ約1,100体を組み合わせて配置し、それらが一斉に回転する壮大なインスタレーション《スピンクロコダイル・ガーデン》を展示。
今回はそんなまわるワニたちの様子と展示のみどころについてお届けしようと思う。
1100体以上の大小のカラフルなワニたちがゆっくりと回転する空間
まず初めに目に飛び込んでくるのは超巨大なワニ!実に約12メートルにも及ぶ作品になっている。それがくるくるとゆっくりまわっている様子は圧倒的な存在感だった。他にも串刺しになっているワニ、横に連なっているワニとユニークなワニたちがくるくると回転している。大きさや色、そして回るスピードまでさまざまで本当に不思議な感覚に陥った。
特に展示で目を引いたのが国立新美術館にて行われたワークショップの参加者によって制作されたワニたち。角ばっているワニ、直立しているワニなど個性豊かなワニたちが楽しく泳いでいるような様子だった。
ワニがまわる理由は、聞かないでほしい。
筆者はなぜワニなのだろう?なぜ回っているのだろう?と疑問に感じつつもその不思議な空間を満喫した。そのことについてタムラは以下のように語っている。
なぜ「ワニがまわる」のか、意味を考えながら、作り続けた。その結果「ワニがまわる」ことに意味があるのではなく、「よくわからないが、なぜワニがまわっている」という不思議なこの状況こそが、作品の面白さの本質であることに気づいたのです。(パンフレット文章 引用)
まさに言葉の通りに筆者だけでなく、来場していた他の人もその感覚に陥っていたことだろう。
なぜまわるワニがうまれたのか?
その理由についてはタムラが以下のように語っている。
大学3年の秋に「電気を使った芸術装置」を作るという課題が出た。しかし電気に関する知識がなかったため困惑し、プラン発表の前夜、朝起きて最初に思い描いたものを作ると決めて就寝。翌朝、なぜか「ワニがまわる」という絵が浮かび、それを作ることにした。結果的に完成したのが、ウレタン製のワニの彫刻がモーターを動力源に毎分30回転する作品、名付けて《スピンクロコダイル・ガーデン》。長さは4.5メートルのものが誕生した。そこから何か得体の知れないものに出くわしたような強烈な興奮を覚えたタムラはまわるワニの作品を作り続けている。
他にもどうして作家を目指したのか?影響を受けた作家についてなどのインタビュー動画を展示室内で観ることができる。
なぜワニがまわるのかという問いに答えはなく、疑問をそのまま持ち帰ってほしいとタムラは語っている。筆者が感じたもやもやとした感情、不思議で謎めいた空間を是非みなさんにも感じてもらいたい。
タムラサトル(現代美術家)
1972年 栃木県生まれ。1995年 筑波大学 芸術専門学群 総合造形卒業。「まわるワニ」、「後退するクマ」、「登山する山」、「バタバタ音を立てる布」、「端数がない重量の彫刻」、「大袈裟で開放的なスイッチ」、「動き続ける図形もしくは文字」、「10回たたく装置」、「空間を最大限に使用しただけインスタレーション」などを制作・発表している。
『ワニがまわる タムラサトル』 国立新美術館 企画展示室1E
開催期間:2022年6月15日(水)~7月18日(月・祝)
所在地:東京都港区六本木7-22-2
アクセス:東京メトロ千代田線乃木坂駅6出口より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅4a出口から徒歩約5分。都営大江戸線六本木駅7出口から徒歩約4分
開館時間:10:00~18:00
※金曜・土曜は20時まで開館
※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
料金:無料
公式サイト
https://www.nact.jp/exhibition_special/2022/spinningcrocodiles/