世界観作りの小道具カタログ:マレーシアクラフト編

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Hello and Welcome! ピコン編集部のKBだよ♪

まだどこにも存在しない、全く新しいものを作ってみたことはあるか?難しいよね。今日日、「オリジナル」とか「ユニーク」とかいう用語があっちこっちで使われている。でも極論を言えば、創作というのはそもそも既に存在するものの組み合わせ、転用、改変でしかない。まあ、原型をとどめないほどに ”創造的” な場合もあるけれど。(おっかしいなぁ…トマトイカピラフとミルクチョコレートは絶対に合うと思ったのに!)

ともかくこの理屈に従えば、多くのものに触れるほどクリエイターの冷蔵庫には作品に使える食材が溜まっていくわけ!とりわけ古くから受け継がれてきたものは、視覚芸術の創作者にとって高級食材になりやすい。(※冷蔵庫のたとえで言うと、腐った牛乳ではなく年代物のワインをイメージしてほしい。)

この「世界観作りの小道具カタログ」のシリーズでは、KBが世界中の色々な小物やクラフト文化を紹介するよ。誰もが魅了されるような、ありえなくてぶっとんだ世界をつくりたい漫画家たち! イラストレーターたち! 映像作家たち! さぁ、歴史にアイデアを借りようではないか!

一番バッターはマレーシアの伝統的工芸品!

コンプレックス・クラフ・クアラルンプール内の建物の入口

最近KBはマレーシアのクアラルンプールにある、「Kompleks Kraf Kuala Lumpur(コンプレックス・クラフ・クアラルンプール)」に訪れる機会があって、マレーシアの伝統的な布、陶器、金属製品、草木細工など、美しい小物をたくさん拝見した。館内の所々に設置された案内板には、その品々の歴史や文化についての説明が記されていた。

コンプレックス・クラフ・クアラルンプールお土産屋

Fabrics 布

バティックサロンは服、頭の被り物(ヒジャブ)、スカーフなどとして着られます。

花や植物、幾何学的模様はバティックデザインによく現れます。

バティックの語源はジャワ語で「書く」と「点」の言葉からできたと言われています。

「Batik(バティック)」とは、マレーシアに伝わる布染める伝統技法。いわゆる蝋染め・蝋結染めの一種だ。今もマレーシア人の普段着として愛用されている「sarong(サロン)」という伝統衣装も、一般的にはバティックで作られる。デザインを施すために使われる蝋は、バティックに特徴的な丸くて自然な線や形を生み出す。これがデザインのモチーフによく現れる葉っぱや花など、自然のモチーフを上手く引き立たせるのだ。それ以外には、幾何学的模様もデザインによく使われる。

見るからに高級なソンケットは、家宝として大事に保管されます。

金と銀の糸が、箱の模様を引き立たせています!

バティック以外に、マレーシアで珍重されている布「Songket(ソンケット)」は、手織りの絹または木綿に金属の糸を織り込んだもの。ソンケットの表面は、この金や銀の糸でつやつやと陽炎のように輝く。ソンケットひとつを仕上げるには、1~3か月もの時間がかかるという。そのため、高級なソンケット布は晴れの日の衣装に使われたり、家宝として大事にされたりする。

バティックデザインの主な3つの要素

現代はその限りではないが、マレーシアの伝統的な布デザインにはいくつかの決まった特徴的な要素が含まれる。布の頭、「kepala kain(クパル・カイン)」は布を横切る幅のあるパネル。布の足、「kaki kain(カキ・カイン)」は両側の端を走るボーダー。布の胴体「badan kain(バダン・カイン)」がクパル・カイン以外の、布の中のボディー部分。

Ceramics 陶器

コンプレックス・クラフ・クアラルンプールの外を飾っている焼き物の壺

マレーシア陶器のどのスタイルにも、自然な線と形がデザインに含まれています。

マレーシアの焼き物の歴史は長い。陶器は実用的な物としても、美術品としても同等に扱われる文化がある。「Tembikar Mambong(テンビカル・マンボン式)」、「Labu Sayong(ラブー・サヨン)」、「Tembikar Terenang(テンビカル・テレナン式)」や「Tembikar Sarawak(テンビカル・サラワク式)」など、マレーシアの各所で原住民が生み出した陶器のスタイルが数多く存在する。

KBスケッチ。様々な陶器とデザインモチーフ

ある陶器スタイルの歴史をたどれば、移民、特に中国やインド、イスラムの文化が持ち込んだ美術や技術が、既存のマレーシアのデザインと混ざり合い、まったく独立した新しいスタイルに進化した。

少なくとも、水入れじゃなさそうです!

こちらの天目陶器作品のように、マレーシアでは色々な陶芸があり、とても人気です。

Metalware 金属製品

真鍮製の製品は耐久性が高く、重宝されてきました。多くの真鍮製の品物は家宝として、家族内で引き継がれてきています。

真鍮製法は訳300年前にマレーシアに持ち込まれました。

真鍮製の品物は、昔からマレーシアのあらゆる階級の人々に、耐久性・経済性の面から愛用されてきた。実用的にも装飾的にも使われ、デザインには花形のモチーフや宗教的なモチーフがよく見られる。

こちらのラブー・サヨンの壺は白鑞製の装飾が施されています。

銀細工もマレーシアの文化ではとても貴重とされていて、貴族の富と力を象徴する。マレーシア銀細工は精細に細工されており、蔓や浮いている雲のような、絡み合うモチーフがよく採用される。

白鑞製の器

白鑞製法は真鍮製法より後に普及したが、マレーシアの白鑞職人は複雑な装飾品や食器を作る技術が高いことで知られている。

Woodcarving 木彫り

サイチョウ(犀鳥)はマレーシア文化では特別な意味を持ち、彫刻に頻繁に現れます。

木製楽器とチョンカボード

あふれんばかりの木材は古来よりマレーシア木彫り文化の背中を押し、豊かで長い歴史のある工芸を生み出した。マレーシアの木彫りによく現れるモチーフは自然界を抽象化、様式化したもの。象徴的な意味を持つモチーフや作品はマレーシアの木彫り文化に多く存在していて、お化け、精霊、動物などのテーマは一般的だ。建築物、船、彫像や、儀式に使われる木像、食器や道具、武器、楽器、玩具など、木彫りはマレーシアのいたるところに使われている。

マレーシア原住民のMah Meri(マメリ族)は精霊の彫刻を彫り、古くから儀式で使われています。

Congkak(チョンカ)とは、二人で遊ぶボードゲームです。普段は果物のタマリンドの種がピースとして使われます。

この模型から、彫刻が建物に組み込まれていることがわかります。

コンプレックス・クラフ・クアラルンプールの建物を繋ぐ外通路

Basket Weaving 草木細工

マレーシア草木細工は色とお茶目なデザインセンスで見る者の関心を掴みます。

コンプレックス・クラフ・クアラルンプール様々な草木細工

クラフト館で特におしゃれだったのは草木細工だった。マレーシアの草木細工はシダの「Ribu-Ribu(リブリブ)」と蔓性のある「Rattan(ラタン)」を使っている。古くはハーブやナッツ収納用の籠や箱などを織っていた。

シダ類カニクサ属のリブリブは、蔓になる植物です。ラタンはヤシ科トウ属で蔓性の茎を伸ばします。

近代では様々な小物も織っている。例えば、フルーツボウル、帽子、コースター、かばん、マット、小物入れ、装飾品など。マレーシア草木細工の色鮮やかなデザインと技量高い幾何学模様には本当に目を奪われる。

伝統こそは古いが、マレーシアの草木細工は技術もデザインも現代に適応され続けています。

最後まで読んで偉い!お疲れ様でした。むろん、今回取り上げたのはマレーシア工芸のほんの一部でしかない。願わくば、あなたの興味と想像力を少しでもそそるものがあったら嬉しい!

KBスケッチ。マレーシアでは、Gasing(ガシン):コマ回しとWau(ワウ):凧揚げは娯楽として人々に愛されています。

コンプレックス・クラフ・クアラルンプール前にあった屋根付き荷車

では、そろそろ…

マレーシアの文化は自然界と切り離せないもので、動植物や地形、天候などが工芸の象徴としてたくさん取り入れられているのが分かる。また移民文化からの影響も加わって、マレーシアのデザインと芸術スタイルは多文化の共生によって成り立っていると言えるでしょう。

もっと詳しく知りたいやつは、グーグル画像検索でも使って調べてね!^^ではこれにて、KBは皆さんの作る素敵でファンタスティックな世界、楽しみにしているよ!

次の記事を、どうかお楽しみに!

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