クリエイティブ圏外漢のクリエイティビティを感じる何か…〈vol.35〉―「Phaseの変化を感じた○○」後編
おはようございます。こんにちは。こんばんは。
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
皆様新年の始まりをいかがお過ごしでしょうか?
私は実家に帰ったり、家で静かに過ごしておりましたが
その中で日本テレビで放映され
現在Netflixで観れる「マツコ、リアルする」に
新年早々びっくりしておりました。
自宅とテレビ局の往復しかしていない
マツコ・デラックスが色んな場所で
リアルを体験する番組なのですが、
なんとこの中でマツコが北区を訪問!
訪問相手は『チーム友達』で有名な千葉雄喜!
マツコはKohh(千葉の旧アーティスト名)時代から
彼を追っているというHIPHOP HEDZぶりが発覚!
地上波で千葉雄喜を観るとは思わなかったので
TVの過渡期や変化を感じつつ、
そろそろ令和なんだからこういう
意外性こそやるべきかと思いました。
駄話が過ぎましたが早速、前回に引き続き、
「Phaseの変化を感じた○○」の後編にまいります。
Phaseの変化を感じたドキュメンタリー
私、フジテレビ系の「ザ・ノンフィクション」なり
映画・配信などでもドキュメンタリー作品を観るのが好きなのですが
このジャンルはなかなか人気になりにくいのが常。
そんな中で昨年Netflix内で日本のランキング10位に
ランクインしたのが『今すぐ購入:購買意欲はこうして操られる』
高度資本主義の極点的現実を
世界的なメーカー/ECプラットフォーマーなどの
役員・担当者に取材することで構築した
とてつもないドキュメンタリー。
5部構成の本作の1部は
「もっと売れ(SELL MORE)」と
デジタルマーケティングの行き過ぎた最適化の話かな?
と思いきや2部、3部と進めるとそんな生易しい者ではなく
我々の資本主義のディストピアな現実を目の当たりにする。
そして、それは確実に消費者も幸せにしないだけでなく
環境破壊を秘密裏にも積極的に推進している始末。
某国の大統領だけでなく、世界各国で
DEI(多様性、公平性、包摂性)の取組を
後退させようという風潮が巻き起こっているが
高度資本主義を見直すポスト資本主義的なPhaseの変化も
後退させてはいけないなと感じさせる作品です。
Phaseの変化を感じた映画たち
忘年会や新年会で友人たちと集まると
「今年(去年)観た映画ベスト10は?」みたいな話は
鉄板ネタかと思います。
個人的には2024年は『関心領域』がベストかな~
という印象なのですが、
「Phaseの変化を感じた映画」という観点ですと
邦画/洋画でいうと以下が記憶に残りました。
Phaseの変化を感じた邦画
まず一つ目は『ドライブ・マイ・カー』で
アカデミー長編国際映画賞を受賞した
濱口竜介監督の『悪は存在しない』
かねてより「濱口監督の映画は構造的だ。」という印象だったが
本作を経て「濱口監督の映画は建造物的だ」にPhaseが変わった。
抽象的にはなるが、監督はテーマやコンセプトを
明確に提示したいというよりも、
テーマやコンセプトを元に様々な要素を組み上げた立ち上がった
建築物自体を観客に見せたいのかもしれない。
と感じさせられる作品だった。
解釈が分かれ「???」な本作の場面や
過去作とのPhaseの変化の違いも是非堪能してほしい。
つづいてのPhaseの変化を感じた邦画は
昨年大活躍の河合優実を主人公に撮った
「河合優実のアイドル映画」であり
Z世代以下がかなりの共感を呼び、
山中瑶子監督が最年少で
カンヌ国際映画祭
国際映画批評家連盟賞を受賞した
『ナミビアの砂漠』
若手の監督・演者・スタッフ含めて
若きクリエイターで作り上げた
Phaseが変化とフレッシュさを感じつつ、
ちゃんとしていない、不謹慎で、不埒で、
むき出しな人間の普遍的な魅力を
瞬間的に切り取り、肯定したような映画。
Phaseの変化を感じた洋画
2024年の洋画では
ギリシャの鬼才、ヨルゴス・ランティモスが
公開した(ほぼ同時期に撮影)
『哀れなるものたち』『憐みの3章』の2作品
『哀れなるものたち』は
「ベラ(主人公)、世界を知る」映画であり、
ベラを通して鑑賞者が解剖学者のような客観的視点で
人類や社会の歴史的変遷を知るとともに
それらのアップデートへの微かな希望を
ベラとも夢想できるかもしれない作品。
『憐れみ3章』は
独立した3章物語であるものの
信心をもつ人間という存在への憐れみ、
またはそれに伴う支配構造が通底されたテーマとなっている。
1章.権威者
2章.伴侶
3章.教祖もしくは信仰
に対しての信心と支配構造が描かれ、
一見「コレをどう感じろと?」
という感覚もあるが(特に2章)、
監督過去作にも通底する広義の父権性やヒトを拘束する紐帯
についての批評性が意外にもストレートに描かれている。
2作品ともヨルゴス・ランティモスという
ギリシャの鬼才がネクストPhaseに移行したことを
充分に感じさせるとともに次作も楽しみである。
Phaseの変化を感じた建築
最後はPhaseが変化した建築です。
Phaseが変化したというか、工程が進み、
2024年10月に竣工した建築物なのです。
その名は『蟻鱒鳶ル(ありますとんびる』
三田のガウディの異名を持つ
建築家 岡啓輔氏がセルフビルドしたのが『蟻鱒鳶ル』
20年かけてようやくPhaseを変化させつづけ
竣工にこぎ着いた和製サグラダ・ファミリアを是非体験してほしい。
なお、『蟻鱒鳶ル』と岡啓介氏に興味を持った方は
新井英樹の漫画『セカイ、WORLD、世界』がオススメです。
今年もPhaseの変化を感じることが多々あると思いますが
変化自体を楽しみましょう。では!
文・写真 北米のエボ・テイラー
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