
恋愛から死生観までを哲学的かつ情緒的に描き続けた野田洋次郎が紡いだ20年分の音楽が東京・原宿で堪能できる「20th Anniversary 特別展 私たちはまだRADWIMPSを知らない」に行ってきた。
RADWIMPSのメジャーデビュー20周年と10月8日(水)に発売するニューアルバム「あにゅー」のリリースを記念して、東京・原宿竹下通りにある「UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKU」にて、POP UP STORE「20th Anniversary 特別展 私たちはまだRADWIMPSを知らない」を10月1日(水)~10月12日(日)の期間限定で開催しています。
『20th Anniversary 特別展 私たちはまだRADWIMPSを知らない』展レポート—あの名曲が完成されるまでの裏側、MVで使用された小道具、ここでしか見ることのできない展示。
2001年結成、2005年メジャーデビューしたRADWIMPS
高校2年生の時に、好きな人が聴いていたから聴き始めた。『RADWIMPS 3〜無人島に持っていき忘れた一枚〜』『RADWIMPS 4 〜おかずのごはん〜』は何度聞いたか覚えていない。TSUTAYAで買ったCDをMDにダビングして、MDプレーヤーで聴きながら自転車を漕いだ。携帯のアラームを「「05410-(ん)」の着うたに設定して(起きれなかったけど)、恋人と別れた時に聴いた「me me she」本展をプレスリリースで知った時、この記憶が頭の中にぶわっと広がった。
出産を機に行けなくなったライブ。なかなか追えていない自分が行っても良いのだろうかと思いつつも、運良く2次申し込みで、新アルバム「あにゅー」の発売日である10月8日に予約を取ることができた。
当初、一部期間を事前予約(先着)とし、それ以外は、フリー入場というアナウンスだった為、Xには、フリー入場で入れるであろう。と考えたファンが会場を訪れているポストが多く見受けられた。しかし、連日多くの来場者がいた為、運営の都合上、フリー入場の実施が不可という判断になり、入口付近を撮影して泣く泣く帰ったというポストには胸を痛めた。どうか会期延長や前回2018年に開催されたRADWIMPS初の写真展「RADWIMPS PHOTO EXHIBITION 雨と路と光」の時のように、東京、大阪、名古屋と、日本各地での開催が実現できますように。渋谷MODIで開催された写真展にも訪れていて、カメラマンのヤオタケシ氏による”Road to Catharsis Tour 2018″と、”RADWIMPS Asia Live Tour 2018″を撮影したものが展示されており、ライブステージフォトの圧倒的な迫力に胸を熱くした。今回の展示には、写真を用いた作品の展示はない。〝RADWIMPSが生み出してきた20年分の楽曲〟がそこにはいた。残念ながら本展に入場が叶わなかったwimperにも届きますように。
賜物が徐々にRADの世界へと
サブスクで解禁になったNEWアルバム「あにゅー」を聴きながら、電車に揺られ、会場へ向かう。竹下通りに設置されているスピーカーからは、「あにゅー」に収録されているNHK連続テレビ小説「あんぱん」の主題歌「賜物」が流れていて、RADWIMPSの世界に誘われる。

会場入口
入口横には、メジャーデビュー以降にリリースしたオリジナルアルバムのジャケットビジュアルを使用したTシャツや印象的な歌詞をモチーフにした遊び心あふれるグッズなど、本展でしか購入できないオリジナルグッズのラインナップが展示しており、すでに、懐かしのCDジャケットのグッズを見て、さっきまで仕事モードだったのが、徐々に、記憶の奥底に眠っていたはずの高校生だった頃の、あの情景が、とてつもない引力で引っ張り出される。
最近のイベントは厳重だ。本展についても、混雑回避の為、LivePocket-Ticket-を活用した予約で管理されている。整理番号順に整列した。20年活動してきたバンドだ。どの層が来場するんだろうと思っていたが、やはり、10〜20代の若い層が多いように見えた。入場時間。風に靡く暖簾を潜ると、そこには言葉の海が待っていた。
会場に広がるRADワールド
RADWIMPSの美術ー「DADA」MVで実際に使用された立体文字
会場に入って最初に目に飛び込んでくるのは大量の立体文字。これは、、通算12枚目のシングル「DADA」のMVに実際に使用されたもの。MVのように放り投げたくなる気持ちを抑え撮影する。
手に取って撮影ができるのはこちらの「絶体絶命」のみ。ご本人のサインとともに撮影する姿や立体文字の山の横で撮影している方が多かった。筆者も後ろに並んでいた方に撮影してもらった。お1人で来場している方も多く、そこかしこで、撮影をお願いするシーンがあったが、みんな快く撮影に応じていた。優しい世界。
「RADWIMPSの言葉」ー9名の視点でのRADWIMPS
会場壁面にぐるりと展示されているのは、あいみょん、Awich、濱家隆一(かまいたち)、山内健司(かまいたち)、出水ぽすか、広瀬すず、Ayase(yoasobi)、ikura(yoasobi)、リリー・フランキーが選んだ歌詞が切り取られていた。私たちのあの日に光が差したように、彼らのターニングポイントで、RADWIMPSの楽曲がどう影響されたかが記されていた。
RADWIMPSの楽曲はどう作られているのか。ー「賜物」ができるまでの道すじ
NHK連続テレビ小説「あんぱん」の主題歌「賜物」が生み出されるまでのメールのやりとりが記されていた。このやりとりはパネル裏まで続いている。
本展限定で、2024年12月にプロデューサーに送られたデモ音源も視聴する事ができる。作品の完成品が展示される事は多いが、その過程を可視化する展示はなかなかない。ましてや、視覚伝達の領域でなく、目に見えるものでない〈音楽〉というものの過程を見て、聴いて、知る事のができるのは、企画展ならでは。
All songs
RADWIMPSの20年間に発表された曲名が一覧になっていた。
RADWIMPS 20th Anniversary Archives
グッズ販売エリア横には、MVで使用された小道具や、CDの特典、MV撮影時の冊子など、貴重なアイテムが展示されていた。

アルバム『絶体絶命』に収録された「君と羊と青」のMVに登場した古書。この古書を見ただけでアップテンポなイントロが頭の中で流れ出す。

アルバム『アルトコロニーの定理』に収録された「叫べ」のMVに登場した目覚まし時計

『RADWIMPS4~おかずのごはん~』ショップ別特典

『RADWIMPS4~おかずのごはん~』特典のおべんとうばこペーパークラフト

八王子にある東京薬科大学にて撮影された「ふたりごと」MVの企画書

「25コ目の染色体」CDジャケット写真で使用されたヘッドフォン

「はるっTOUR」のファイナル公演で、メジャーデビュー発表した際に関係者に 配布されたデビュー作品資料
袋に押したスタンプは、会社の近所のシャチハタまで作りに行ったもの。会場スタッフの方が量産してくれているものを1ついただく。
突き当りには、過去に発行された会報が閲覧できるスペースがあり、持参したCDと写真を撮ってみた。
新しいと、懐かしいが混ざり合う空間を時間を忘れて堪能した。
30周年、40周年、おめでとう!と祝う機会がある事を願いたい。
『POP UP STORE「20th Anniversary 特別展 私たちはまだRADWIMPSを知らない」』は10/12まで
《展覧会情報》
『POP UP STORE「20th Anniversary 特別展 私たちはまだRADWIMPSを知らない」』
会期:2025年10月1日(水)‐10月12日(日)11:00~20:00
開催エリア:UNIVERSAL MUSIC STORE HARAJUKU 1F・3F
入場:無料
HP:https://sp.universal-music.co.jp/radwimps/20th/popup/
取材・撮影/PicoN!編集部 市村
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