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光と大気の画家・ターナー。200年の時を超えて、私たちに問いかけるもの「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」へ行ってみた

光や霧、荒れ狂う海。光と大気の表現を追求した画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー。約200年前に活躍した彼の作品と、現代アーティストの作品が出会う展覧会が、東京・上野の国立西洋美術館で開催されています。

「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」の大きな特徴は、異なる時代の作品を組み合わせることで、新たな視点や問いを生み出していること。ターナーの絵画を歴史の中に位置づけるだけでなく、現代のアーティストの作品と並べることで、自然や光、そして人間と世界の関係をあらためて見つめ直します。

ケイティ・パターソン《Totality〈皆既食/全体性〉》2016年ミクストメディア 個人蔵 Courtesy of a private collection and Ingleby Gallery @ Katie Paterson

今回は、実際に展覧会を訪れた学生編集部のレポートをお届けします。

 

英国絵画史上、もっとも偉大な画家、J.M.W. ターナー。

「光の画家」とも呼ばれ、英国ロマン主義を代表する芸術家。
10代から画家として頭角を現し、弱冠26歳にして英国美術界の最高権威であったロイヤル・アカデミーの正会員となる。信念を貫く寡黙な人柄だったとされ、終生画業に専心した。自然にたいする鋭敏な感覚と実験的な絵画表現によって風景画のありかたを一変させ、後世のモネら印象派の試みに先行した画家ともいわれている。

学生編集部が行ってきた! ターナー展で出会う、時代を超えたアートの対話

これまでにも何度も美術展に足を運んできましたが、今回の展覧会は特に「ただ作品を順番に並べるだけでなく、空間全体が一つの作品としてつくられている」という強い驚きがありました。時代も技法も異なる西洋画と現代美術をあえて隣同士に並べることで、私たち鑑賞者に「絵画をどう見つめるか」という新しい問いを投げかけているキュレーターの方々の工夫が、会場の至る所に散りばめられています。

J.M.W. ターナー《グリゾン州の雪崩》1810年展示 テート美術館所蔵 Photo: Tate

「19世紀の画家」と「現代のアーティスト」という、本来出会うはずのない作品同士が隣り合うことで、光や自然に対する問いが時代を超えて響き合っているように感じられました。現代美術の視点があるからこそ、ターナーの絵も単なる「昔の古典画」ではなく、今の私たちに語りかけてくるような新鮮さをもって迫ってきます。

オラファ―・エリアソン《溶ける氷河のシリーズ1999/2019》 2019年 Cプリント(30組) テート美術館 @2019 Olafur Eliasson

そして何より、本物のターナーの絵画が持つ圧倒的な迫力です。作品自体がとても大きいものも多く、画面上の画像を見るだけでは伝わりきらないエネルギーに満ちています。

テート美術館ターナー展 展示風景

「風景画」で有名なターナーですが、彼はただ目の前の景色を写実的に描いたのではなく、その時代のドラマや雰囲気を「歴史画」として画面に閉じ込めようとしていました。

テート美術館ターナー展 展示風景

作品に近づいて筆跡を確かめたり、少し離れて遠くから全体を眺めてみたりすることで、その絵がひとつの「空間」のように迫ってきます。絵の中から立ち上ってくるような独特の空気や匂いまで感じられる体験は、現地に足を運び、絵の前に立ってこそ出会えるものです。

テート美術館ターナー展 展示風景

 

会場にある数多くの作品の中で、私が特に引き込まれたのが《ヴェネツィア――サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂》です。

J.M.W. ターナー《ヴェネツィア――サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂》 1844年展示 テート美術館所蔵 Photo: Tate

水の都ヴェネツィアの光と水面、そして空気が画面全体に溶け合うような美しい作品です。建物や船の輪郭は光の中に溶け込み、どこまでが水面でどこからが空なのか分からなくなるほど鮮烈な世界が広がっています。単に綺麗な建物を描くのではなく、ヴェネツィアという街全体を包み込む光の粒子や湿った風の感覚まで画面に定着させようとしたターナーの挑戦を感じました。

今回はインスタレーションや映像作品など、その場に身を置くからこそ体感できる展示も多く、まさに「わざわざ足を運んで、体感する価値のある」展覧会でした。知識や技法だけでなく、「世界をどう見つめ、どう捉えるか」という大きなヒントをもらえる展示です。みなさんもぜひ会場で、自分だけの「光の瞬間」を見つけてみてください。

ターナーの世界を堪能した後は、ミュージアムショップへ

鑑賞を終えたあとの楽しみといえば、ミュージアムショップです。
今回はターナーにちなんで、英国の老舗アウトドアブランド「KARRIMOR(カリマー)」や『きかんしゃトーマス』とのコラボグッズなど、ユニークなラインナップが揃っていました!

 

普段、私は気に入った作品をポストカードで持ち帰ることが多いのですが、今回思わず手に取ってしまったのがインデックスチケットファイルです。

選ばれている作品は《新月――あるいは「ボートを失った、きみにフープはやらない」》。縦長にトリミングされた画面の中で、絵画の近景・中景・遠景がレイヤーのように各インデックスへ美しく重ねられています。インデックス部分には絵の中の空を思わせる繊細な配色が施されていて、作品の空気感が見事にデザインへと落とし込まれていました。

 

さらに面白かったのが、この絵の中に描かれている犬たちが、なんとぬいぐるみとしてグッズ化されていたことです!

作品の全体だけでなく、端にいるモチーフにまで光を当てるミュージアムグッズデザイナーの着眼性の高さには、思わず唸ってしまいました。

作品を見るだけでなく、デザインのアイデアや工夫としても楽しめるグッズの数々。鑑賞の記念に、ぜひショップにも立ち寄ってみてください!

※商品は、ご来場のタイミングにより品切れとなる場合がございます。

学生のみなさんは無料で鑑賞できる期間も!

2026年11月4日(水)から11月19日(木)までは、高校生・大学生の無料観覧期間です。学生証を持参し、国立西洋美術館の券売窓口で手続きをすれば、チケットを購入せずに鑑賞できます。作品を知識として学ぶだけでなく、実際に目の前に立ち、自分の目で見て感じること。今回の展覧会は、そんな体験の面白さに出会える機会です。ぜひ会場で、あなただけの発見を見つけてみてください。

テート美術館ターナー展 展示風景

 

『テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話』は2月21日(日)まで

※展示風景画像はすべて「テート美術館 ターナー展——崇高の絵画、現代美術との対話」国立西洋美術館 展示風景 2026年

展覧会情報
テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話
会期:2026年10月24日(土)~2027年2月21日(日)
会場:国立西洋美術館(東京・上野公園)
住所:東京都台東区上野公園7-7
開館時間:9:30~17:30(金曜日・土曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜日、11月24日(火)、12月28日(月)~2027年1月1日(金・祝)、1月12日(火)
※11月23日(月・祝)、2027年1月11日(月・祝)は開館。
※2027年1月12日(火)~2月21日(日)の期間、国立西洋美術館 常設展は閉室
観覧料(税込):
一般:当日2,400円
大学生:当日1,500円
高校生:当日1,100円
中学生以下、障害者手帳をお持ちの方及び付添者1名:無料
高校生・大学生無料観覧期間:2026年11月4日(水)~11月19日(木)※チケットの購入は不要。学生証を持参し、国立西洋美術館の券売窓口で手続きしてください。
アクセス:JR上野駅(公園口)から徒歩1分
京成電鉄・京成上野駅から徒歩7分
東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅から徒歩8分
主催:国立西洋美術館、テート美術館、朝日新聞社、テレビ朝日
公式サイト:https://turner2026-27.exhibit.jp/
[巡回展]大阪中之島美術館:2027年3月13日(土)~6月27日(日)

 

取材協力:国立西洋美術館

取材/PicoN!学生編集部 中澤

撮影/PicoN!編集部 市村

 

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