香港の絵本『如果你心累了――聽動物說故事』イラスト担当アンドリュー・ヨンさんにインタビュー
グラフィックデザイン科2年生アンドリュー・ヨンさんの香港での絵本出版にあわせて、8F WALL GALLERYにて絵本出版記念個展『動物たちの心の声』を開催しました。個展では、実際に絵本になった作品の原画を展示しました。
9月30日まで行われていたアンドリュー・ヨンさん展示会『動物たちの心の声』の様子
タイトル:『如果你心累了―――聽動物說故事』
(訳:あなたの心が疲れているなら―――動物たちの話す物語を聞きましょう)
出版社:突破出版社
今回の絵本出版について、アンドリュー・ヨンさんにお話を伺いました。
絵本出版、個展開催をして今のお気持ちを教えてください。
信じられないくらい嬉しいです。絵本のイラストを描いている時には、まさかここまでできるとは思わなかったので本当に嬉しい。実感はあまりないですね。やっぱり嬉しすぎて。
絵本ではイラストを描かれていますが、グラフィックデザインを日本で勉強しようと思ったきっかけはありますか?
きっかけは15歳くらいですね。日本のデザインや文化に影響されていて、ずっと独学で日本語を勉強していました。ロサンゼルスの美大ではイラストを中心に勉強して、その後また香港に戻って仕事をはじめました。そのときから「自分が影響されている場所に恩返しをしたい、いつか日本でデザインを学ぼう」と思っていました。香港で仕事をしているなかでグラフィックの知識が足りないと感じていたこともあり、2年前に来日したときに日本デザイナー学院のグラフィックデザイン科を選びました。
イラストを描き始めたのはいつ頃からですか?
ちょっと恥ずかしいのですが、3歳から「セーラームーン」が大好きでずっと描いていました。あとは、日本のRPGゲームを見ながら画面をポーズ(一時停止)して描いていた記憶があります。中学校くらいから、パロディではなくオリジナルの絵を描くこともスタートしましたね。
どのような経緯で絵本を出版することになったのですか?
はじめは信じられないと思ったのですが、InstagramでDMがきました。作者が出版社の方と「こういう本を作りたい」と話をしていて、絵本の世界観に合うイラストレーターを探していたそうです。今はSNSの時代ですよね。私も日々Instagramに自分の作品を載せていて、それが結構こういう仕事につながることがあります。今回、自分にチャンスがきてとても嬉しいです。まさか自分のイラストが本の世界観に合うなんて、とも思いましたが、作者さんに信じてもらってありがたいです。
5つの物語を集めた絵本ということですが、お気に入りの1つを教えてください。
どれがっていうのは選択しづらいのですが、、、でも自分はやっぱり猫が大好きなので、猫と金魚が競争するエピソードがお気に入りです。2人ともすごくお腹が減っているのに飼い主がずっと帰らない。最初はライバルだけど物語が進むにつれて、友達、戦友のようになり最後には一緒のゴールを目指して食べ物を探している。面白いというか、ちょっと悲しいというか。切ない部分を含みつつ、今の香港の人たちの精神を例えている物語ですね。このエピソードを日本の皆さんにも知ってもらいたいなと思います。
これからの目標を教えてください。
本当に不思議な感じです。学校に通いながら仕事をしていて、たまに徹夜していました。忙しかったですが充実していて、在学中にここまで経験できるとは入学してから1ミリも思わなかったです。これからは絵本だけではなく、雑誌の挿絵とかイベントのビジュアル、あとはグラフィックにも興味があります。もちろん展示会やアートフェアも、このようなご時世ですけどやりたいなという気持ちがあります。
最後にこれからデザインを学ぼうと思っている方へメッセージお願いします。
この記事を読んでいる方は、デザインやアート、絵描きもやりたい、そういうものが好きな方が多いと思います。はじめはみんな自分の未来が不安ですよね。でも、やっぱり信じる。自分の目指している場所を信じて一生懸命やっていれば、必ず何か返ってくるというか、努力は報われる。少しずつ頑張れば、将来が見えてくるのではないかなと思います。
香港の人々に癒しを与えたいという作者の想いから始まった今回のプロジェクト。作者は元セラピストで、自分が体験したエピソードを基にアートセラピーの絵本を作りました。元々カラフルなイラストを描くことが多かったアンドリューさん。絵本のイラストは、作者の想いに合わせて柔らかく優しいイラストにしたそうです。制作期間は約3ヶ月半。授業が終わったあと、近くのカフェへ行きZOOMで打ち合わせを重ねながら完成させたといいます。明るくエネルギッシュなアンドリューさんの姿が印象的でした。SNSで自分の活動を発信し続けることで、チャンスをつかむことができるのは今の時代ならではだと思います。少しずつでも続けることで、それが夢の実現につながると感じました。
アンドリュー・ヨンさんありがとうございました。
これからもアンドリュー・ヨンさんのご活躍を応援しています!