お店をデザインするというお仕事 インテリアデザイナーへの道 ①
はじめに
私は、専門学校日本デザイナー学院でインテリアを学び30年前に卒業しました。
インテリアデザイナーとして30年のキャリアのなかで、1300件以上のお店づくりに関わることができました。それはとても幸せなことだと思っています。やりたいことがあることに、見つけられたことに、それができる環境があったことに感謝しています。ものを作ることが好きで16歳の時デザインという仕事に興味を持ち18歳で決意し、大学ではなく専門学校に進みました。
きっかけは、ある日曜日の朝テレビ番組で偶々観たインテリアデザイナーの仕事を紹介する番組でした。そして少しでも早くデザイナーとして仕事をして経験値で同世代との差をつけたいという気持ちに変わり、あらゆるデザインの本を読み勉強を始めました。専門学校に入る頃には、基礎的なデザインの勉強を一通りしていたおかげで専門学校の2年間は、友人の課題を手伝ったりして過ごしていました。
当時、インテリアデザイナーは人気の職業で生徒数も多く同じ思いを持った友人、理解のある先生など、その後の人生に大きな影響を与えることになる出会がたくさんありました。今でも20人程のライングループで情報交換したり一緒に仕事したりする関係が続いています。
専門学校を卒業して5年間は設計事務所を転々として実務経験を積み、とは言っても知らない事だらけだという事にさえ気づいていないまま、26歳で独立インテリアデザイン事務所を開業しました。正直なところ今でもちゃんと出来ているかどうかいつも自分を疑ってもいます。(笑)
ただ、16歳からやりたいことが振れていないのは確かです。
専門学校に進んで良かったことといえば、目標が明確だったので、私にとって最短ルートだったということです。もちろん大学へ進み建築の幅広い知識を得たり、建築士の資格を取得したりすることも大切だということはよく理解しています。
建築とインテリアとは
ここで建築とインテリアを明確に分ける必要は無いと思いますが、建築は40代でも若手建築家と言われる程、独立するのに時間が必要な業界です、理由は明確で一つの仕事にかかる期間が早くて半年、ながいものでは10年近くかかる場合があるからです。それに比べるとインテリアデザインの仕事は、相談から引渡まで2ヶ月なんていうのも当たり前だったりします。すべてに当てはまる訳ではありませんが、10件の経験を積むのに10年かかる建築業界に対して、2年もかからないインテリア業界という違いがあります。
デザイナーに限らずですが、目標が明確とは「東京から関西方面に行く」と「夏休みにユニバーサルスタジオの人気アトラクションに一番に乗る」くらいの違いがあると思っています。どういうことかというと、「何となくそっち方面にいく」のではなく「何時何分の電車に乗り、前日の夜一番近いホテルに泊まり何時に起きて部屋を出る」という行動につながるということです。
皆さんの中でやりたいことがあってそれが明確であるならば、専門学校で学ぶことを私はお勧めします。負い目を感じるとか、世間の目を気にしてまで大学に行く必要なんて全くありません。出来ない事や苦手なことがあってもいいんです、やりたいことをやればいいと私は自信を持って思っています。
特にプロフェッショナルなクリエイターであるならば、覚悟を決めて続けることを選んで自分の道を進んでみてほしいと思います。少しずつ目標に近づく毎日は楽しく幸せな人生だと思います。
次回②に続く
文・角 範昭
専門学校日本デザイナー学院90年卒。97年有限会社空デザイン開業。
小さな街の飲食店から大型フィットネスクラブまで現在までに1300店舗以上を手掛ける。