クリエイターのための著作権クイズ – 「スカイツリー」を舞台にマンガを描くのは合法?
作品をつくっているとき、「あれっ?これって著作権的にOKなんだっけ?」と不安になることってありますよね。クリエイターにとって、著作権に代表される知的財産権は必須の教養。正しくルールを理解していれば、安心して作品を創作できるようになるばかりか、表現の幅を広げることにもつながるはず。
さぁ、クイズ形式で楽しく、知的財産権について学んでいきましょう!
解説/志田陽子(武蔵野美術大学造形学部教授、憲法・芸術関連法研究者)
編集/編集部 佐藤
「東京スカイツリー」を舞台にマンガのシーンを描きたい。合法?違法?
【答え】
合法(だが注意点あり)
【以下、志田先生の解説】
芸術性・意匠性の高い建造物には、「建築の著作物」としての著作権があります。東京スカイツリーや東京都庁などがこれに当たります。美術館や音楽ホールも、機能性だけでなく著作物性を備えた芸術的な建物が多いですね。
これらの建築著作物は、同じデザインの建物を作ることが、著作権侵害(複製権侵害)となります。また、その設計図を無断で複製することも、著作権侵害となります。
が、こうした屋外の建造物が写真や絵画・マンガの背景に登場することについては、著作権問題とせず、自由利用してよい、というルールがあります。銅像や記念オブジェなど、屋外に恒常的に設置されている著作物も同じで、自由利用できます(著作権法・第46条)。
しかし、それらを写した写真や描画した絵画を、絵葉書やクリアファイルなどの商品として販売するときには、著作権者の許諾が必要です(著作権法第46条4号)。マンガのワンシーンの背景として描く場合には、通常、この問題は生じないでしょう。しかし背景としての描画にとどまらず、その建造物の魅力そのものを描いて、そこに商品価値性があり、マンガのストーリーや登場人物は添え物にすぎない、というような場合には、著作権者の許諾が必要になってくるでしょう。
解説/志田陽子
武蔵野美術大学造形学部教授。憲法・芸術関連法研究者。憲法の分野では、表現の自由、多文化社会、ジェンダーの問題を追求。芸術関連法の分野では、研究者であると同時に教育者としても活動。表現の自由や著作権法に関心のあるアートを学ぶ学生たちのために、法教育の内容や在り方について研究を重ねてきた。著書に『表現者のための憲法入門(武蔵野美術大学出版局,2024年)、『文化戦争と憲法理論--アイデンティティの相剋と模索--』(法律文化社,2006年)など。
※情報は公開時時点のものです。
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