新スポット「渋谷サクラステージ」飲食店エリアに、インテリアデザイナーが潜入!
前回に引き続き、2024年にオープンした「渋谷サクラステージ」にインテリアデザイナーが解説。その空間デザインの魅力や個性を、専門家の視点から解説します。
文・撮影/角範昭(インテリアデザイナー)
渋谷サクラステージ飲食店エリアに潜入レポート
2024年4月から段階的に施設内の店舗がオープンする中、飲食店エリアも次々とオープン。ジャンルは豊富で、カフェ・スイーツ、和食、中華、洋食、バー、アジア・エスニック、など多岐にわたります。細長い複雑な構成の建物のため全体を把握するのは難しいので、公式ページで確認してみると実に38もの店舗が入居していました(2024年10月18日現在)。
建物の外部からも認知しやすく、アクセスもしやすいエリアである1階には、お馴染みの牛丼チェーン店やサラダ専門店、地下や2階にはハンバーガーチェーン店、3階にはカフェチェーン店などが入っています。早朝からやっている店や24時間営業の店舗もあり、幅広いお客様のニーズに対応しています。
FOOD MET
メインのダイニングエリアである4階の「FOOD MET」には、駅から国道246号線道路を渡るデッキを通り、2階からエスカレーターを乗り継ぎます。決して分かりやすいとは言えない複雑な動線です。
内部は東西を結ぶ長い通路を挟んで17の店舗が軒を連ねていて、全体の面積に対する1店舗あたりの占有面積はとても狭いように感じます。
この狭くてわかりにくい動線の建物内でどのようなインテリアの工夫がされているのでしょうか? デザイン的に考察してみようと思います。
「FOOD MET」内は大きく三つのエリアに分かれています、渋谷駅寄りの「渋谷By STREET」、恵比寿寄りの「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL」、そして多目的利用ができる「404KITCHEN」です。
エリア① 渋谷By STREET
1つ目の「渋谷By STREET」は、細長い通路に面した間口が広いので、「ファサード」のデザインは入りやすくかつ見えすぎないように考えられています。店内は「オープンキッチン」スタイルの店舗が特徴で、客席から厨房の中を見せライブ感を演出し、対面式のカウンター席でスタッフとの会話やコミュニケーションも取りやすいレイアウトの工夫を多くの店が採用しています。また線路側に面する6店舗は、ビル内でありながら縁側のような外に向いた席景色を楽しむことができる「インナーテラス」という席を設けて、非日常のロケーションを楽しめる工夫も見受けられます。
さらに通路を進むと奥行きのない店舗の「ロングカウンター」や、「ニッチ壁」のような腰かけ程度のテーブル席もあり、立ち飲みスタイルのような、まさに名前の通りの「STREET」感覚のエリア構成となっています。
エリア② SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL
2つ目の「SHIBUYA SAKURAGAOKA BEER HALL」は、通路の突き当たりにあります。いわゆる「フードホール」スタイルで、中央の客席を取り囲むように屋台のような小さな店舗が配置されています。
このエリアは、細長い三角形の頂点のような場所にあるので、昼間は両サイドの窓から光が入り明るくカジュアルな空間、夜は照明を落とし落ち着いた空間に変化します。
このように店内の雰囲気を変えることは、客層や用途も変わるので「二毛作」と言います。
また小さな店舗をたくさん並べることは一般的に人件費がかさむことに直結するので運営の難しさがありますが、テーブルオーダーの「イートイン」だけではなく、ネットオーダーの「テイクアウト」や「デリバリー」も出来るので花見シーズンなどは賑わうことが想像できます。食事に関しては、ピザ、エスニック、オイスターバー、ポテトフライなどさまざまな専門店の豊富なメニューを自由にオーダーできます、またトレンドであるクラフトビールは、「渋谷ラガー」や「オリジナル山椒ラガー」など料理に合わせてオーダーできます。
エリア③ 404KITCHEN
3つ目の「404KITCHEN」こちらはホームページによると次のように紹介されています。
404 Not Found の一角に設けられた、新しい【食】の可能性を模索するラボキッチンです。どこにもまだ存在しない、あるけれどいつもとは違う、そんな POP UP キッチンや、404 Not Found のコンセプトを体現するチャレンジ企画から生まれた架空のお店の限定リアル店舗、そして新商品のプロモーション展開まで、使い方は自由自在。食を中心に、さまざまなジャンルと共鳴しながら、これまでにない【食】との出会いの場を展開していきます。
(出典:Shibuya Sakura Stage|404 Kitchen)
「POP UP」とは、一時的に現れては消えるという意味です。このようなスペースを設けることで、変化し続けることができます。
このような三つのエリアに分けることで、サクラステージの飲食店街が目的別に利用でき、ひとつの街のような多様性をもってつくり上げられていることがわかりました。皆さんもぜひ行ってみてください、きっと渋谷の旬が感じられると思います。
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