[前編]いとうみちろう先生が教える「キャラクターデザインで大切な2つのこと」

こんにちは。専門学校日本デザイナー学院講師のいとうみちろうです。

皆さんは普段どのような絵を描いているでしょうか?風景を描くのが好きな人、静物を描くのが好きな人、メカ、生き物・・・いろいろあると思います。ですがやはり自分のオリジナル作品やアニメ・漫画の二次創作など、キャラクターを描くのが好きだという人が多いはずです。実際、ゲームなどのキャラクターデザインをする仕事はとても人気のあるいわば花形的分野です。

絵を描いたり、マンガを描くのが好きな人の多くが、大事にしている持ちキャラや、小さい頃から慣れ親しんでいるキャラクターがいて、それを描いているものです。その場合、その人はキャラクターデザインをしてきたことになるし、日常的にしていることになります。だからそんなに難しく考えないでほしいのですが、もしあなたが生み出すキャラクターをより魅力的にして、あるいは世間に発表されて多くの人が目にするようなものを作り出していきたと考えているとしたら、一般論として知られているキャラクターデザインの知識や方法がきっとあなたの役に立つことでしょう。

キャラクターデザインの流れ

まず、「キャラクターデザインの工程」とはどのようなものなのでしょうか。

依頼

要望・仕様を確認

ラフを描く

確認してもらう

必要に応じて修正

本制作

必要に応じて修正

納品

媒体によってさまざまですがこのようなパターン(もしくはこの変型が)多いです。

例えば、ゲームのモンスターデザインをするなら作品の世界観に合わせるとか、火・水などの属性を表すシンボルを適宜入れたり、複数のキャラのシルエットの印象が似てしまわないようにといったことを意識します。あるいは「木をあしらったキャラ」という既に決まった条件があれば、その中でどれだけデザイン的な魅力を引き出せるかということに留意します。

ほとんどの場合、修正というのは制作者にとって負担に感じる作業ですが、それを乗り越え、デザインしたキャラが、依頼者や見てくれた人に喜んでもらったときは大きなやりがいを感じます。

 

キャラクターデザインで大切なこと①

キャラクターデザインで大切とされることというのはいろいろあって、例えば代表的なものをあげると「シルエットが大事」とか「クライアントの要望」「媒体に合わせる」「世間のニーズ」、あるいは「赤ちゃんの身体比率がカワイイ」「新しさ、今までになかった感」とかさまざまです。基本としてデッサンのスキルや解剖学の知識、衣装や構図のデザインスキルなども大いに役立つでしょう。ここではキャラクターデザインの話題でよく出てくるシルエットについてお話します。

皆さんは普段絵を描くときシルエットをどれくらい意識しているでしょうか?かく言う私は本格的にデッサンを習うまではあまり意識したことがなく、こんなに大事なことによくもまあ長い間無自覚であったものだと今にして思います。

私達は普段どうしても手グセで絵を描いてしまいがちなので、作業が進めば進むほどシルエットの印象が似てしまうということがよくあります。ですから描く対象の印象が太いのか、細いのか、三角なのか、逆三角なのか、四角なのか丸なのか・・・その描き分けを意識的にできることが重要です。

こちらは、最初にシルエットを四角と決めってしまって、それからデザインしていくやり方の一例です。これを三角にしたり丸にするだけで、全体のプロポーションという、より大きな視野からキャラを描き分けることができます。

 

次は、三角形のシルエットに当てはめたキャラクターのポーズです。あくまで基本ですが、三角形や底辺の長い台形は重心が定まり、安定感を生み出す構図と言われています。

続いて、適当にFのアルファベットのシルエットに当てはめて描いたポーズですが、最初に形を決めてしまうことによりいつもだったら描かないようなポーズが出てきたりするので楽しいです。ちなみにこういった逆三角形の構図は一般的には、重心が定まらず、それによって動きが出るポーズと言われています。

 

 

絵には伝統的に「シェイプ」という見方・考え方があるのですが、全体や部分をひとまとまりの「形・シルエット」と認識して、よりよい構図やデザインを編み出していくアプローチのことです。そこには視覚的な面白さだけではなく、緊張感or安定感といった感情をも呼び起させます。どうぞ皆さんもシルエットを意識してデザインに潜むシェイプをコントロールする考え方を普段の創作に活かしてみてください。

 

キャラクターデザインに大切なポイント[ 後編 ]に続きます

 

NDS講師 いとうみちろう
イラストレーター。児童書や絵本、教科書や雑誌、アプリ、カード、舞台美術などさまざまな分野を手掛ける。教育関係の仕事の傍らフリーランスとして活動をはじめ、これまでカルチャーセンターや美術学校などで、小学生から高齢者まで幅広い年代を対象に講師として指導。

関連記事