クリエイターになりたいけど将来が不安?―イラスト・マンガを学ぶ、ほんとうの意味

クリエイティブの道へ進むことへの不安

ゲームのキャラクターデザインをするイラストレーターになりたい、連載マンガやアニメを描くマンガ家になりたい、そんな夢を持ってイラストレーションやマンガを本格的に学びたいと思っている方は多いと思います。

厳しいことを言えば、誰でも夢を叶えられるわけではありません。競争の激しい業界でイラストレーターやマンガ家として成功する人はほんの一握りです。それに何か確実な資格があるわけでもないし、他に何の役にも立たない、頑張って勉強しても無駄になってしまうだけかも・・・そんな不安を感じるのは当然かもしれません。

でも、無駄になることなんてありません。イラストレーション科やマンガ科で学んだ卒業生たちは、社会の様々な分野でいろいろな形で、「描く力、作る力」を使って活躍しています。

世の中やインターネット上にあふれるたくさんのコンテンツ、商品、パッケージ、広告・・・目に見えるものはすべて誰かがデザインし、描き、作り上げた作品です。そうした作品を作ることができる人、描ける人は常に求められています。

クリエイターとして必要なスキルと業界で求められていること

学校で学ぶのは画力だけではありません。デザイン、アイデア、企画、技術、パソコンスキル・・・クリエイターとして必要な様々な力を身につけていきます。
今自分に何が求められているのか、どうやってクライアントや世の中の人々の要求に答えていくのか、コミュニケーション力、時代を読むセンス、いいものを見分ける力・・・学ぶことはたくさんあります。

イラストレーターの仕事は様々です。ゲーム一つとってもキャラクターデザイン以外に、背景、コンセプトアート、アイテム、エフェクト、色彩構成、3Dなど、それぞれの分野で専門化されています。雑誌や本の表紙や挿絵、いろいろな商品のデザイン、パッケージ、広告、パンフレット、カタログなどにもイラストはたくさん使われています。電気製品の取扱説明書に載っている図や観光案内のマップなどもイラストレーターの仕事です。

マンガも雑誌での連載だけが仕事ではありません。webやSNSなど発表の場はどんどん拡大しています。歴史や伝記、経済などの難しい話を漫画で読ませる出版物も多く出ています。YouTubeのマンガ動画は膨大な数が作られ、常に描き手不足の状況です。

イラストレーションやマンガを学んだ上で、デザイナーとして就職し、グラフィックデザイン、広告、webなどの分野で活躍する卒業生もたくさんいます。そうした会社では後輩の新卒生を採用するケースも多くあります。

学ぶことのほんとうの意味

「イラストやマンガを描くこと」を、自分の人生の中でどう位置づけていくのか。プロのイラストレーターやマンガ家として第一線で活躍したい、兼業や副業としてコツコツやっていくのが性に合っている、バイト感覚で時々仕事を受けて描くぐらいがいい、趣味として楽しんで描いていきたい・・・いろいろな位置づけがあっていいし、それは年齢や環境、その時の状況によっても変化していきます。

「描く力、作る力」を鍛えることは選択肢を増やすことです。好きなことをずっと続けていきたい、自分にできることをもっと伸ばしてみたい。それが学ぶことのほんとうの意味だと思います。

文・鈴木真紀夫

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