いとうみちろう先生が教える!「美術解剖学入門」ー骨盤は人体のベース!?ー

骨盤は人体のベース!?腰・肩・頭の関係を押さえて自然なポーズを描こう

今回は人体の中でもベースと言える重要部位、「骨盤」を扱います。

もし人物の描き方をどこかで教わるとすると一番最初に説明される内容の定番です。それくらい重要でありよく知られた知識ですが、一方で知らないでただ描いているだけではなかなか気づけない点でもあります。

人を描く場合、基本単位ともいえるような要素がいくつかあります。

・顔
・シルエット
・骨盤、肩、頭の関係

これらの中で「顔」には自然に注意が向きますが、シルエットと人体の骨盤・肩・頭の関係については意識的にならないとなかなか見えてこない部分です。

ということで今回の主な内容は、

になります。順番に見ていきましょう。

骨盤の構造

骨盤をラフでザックリ描くとこのような感じです。

私は以前から骨盤の形が難しいと思っていて、いろんなところに穴あいているし、ぐにゃぐにゃゴツゴツ湾曲してるし、まるでクラインの壺みたい?でまるで構造が頭に入ってきませんでした。なのでここまで簡略化してしまいます。

実にシンプル!今回は、骨盤それ自体の細かな構造はテーマでないため以後ここまで省略して表現します。ただし、奇妙複雑な骨盤の構造をどうしても感覚的に理解しておきたいという方のために一応簡略化した図を載せておきます。

骨盤の男女差

骨盤のおおよその構造がわかったら次は人体の男女差についてみていきましょう。男女の身体の一般的な構造差は、すごくシンプル化すると以下のようになります↓

え?なにこれ!?という感じなのでもう少し見ていきましょう。

はーはー、なるほど。そういうことか。それではここに骨盤を加えてみます。

これも一般的に、骨盤は女性の方が広い感じです。

ここに足の骨を接続してみましょう。

男性がいわゆる逆三角形的であるのに対し、女性は骨盤が台形的になり、男女の平均的なシルエット差が見えてきます。また腰の括れの位置を女性は男性より少し高めに設定してあげることが多いです。ちなみに大腿骨の骨がけっこう横に飛び出してつながっているのも、人体を描く際にぜひ知っておきたいポイントです。

それでは男女の身体的特徴と骨盤の構造の関係を押さえたところで次はメインテーマに入っていきましょう。

「骨盤・肩・頭」の関係で人体をとらえる

人体を描く際、まず意識する点として定番中の定番。それはの関係です。例えば↓のようにクロッキーをする際にこういった点を意識します。

これに加えて、頭の向きとか、首とかいろんな言い方をしますが(私の場合は「視線」と習ったのですが)ともかく首から上の第3の要素を加えます。

これによって、ただ棒立ちにしか見えていなかった人物の姿勢の中にも、じつにさまざまな動きが含まれていることが感じられるようになります。この腰・肩・頭の3要素はオリジナルの作品を描く際にも大きな助けとなるでしょう。

ちなみに、肩・腰の関係は寝かした「ハ」の字のような形になり、下の図の左のようになることは基本的にはありません。

人物を描く際、その都度この関係性を意識してみてください。表現がより自然になるはずです。

まとめ

さて、今回は骨盤の構造男女差、そしてメインテーマの「腰・肩・頭の関係」について扱いました。私もこういったことを意識するようになってからより自然にイキイキとした人物表現ができるようになったと感じています。これらの内容が皆様の創作の参考になれば幸いです。

NDS講師 いとうみちろう
イラストレーター。児童書や絵本、教科書や雑誌、アプリ、カード、舞台美術などさまざまな分野を手掛ける。教育関係の仕事の傍らフリーランスとして活動をはじめ、これまでカルチャーセンターや美術学校などで、小学生から高齢者まで幅広い年代を対象に講師として指導。

 

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