【検証企画】ナマハゲで学ぶ「可愛い」学。3つのポイントで愛されキャラを描こう！
プロのイラストレーターの腕にかかれば、どんな「怖いもの」も可愛く描けちゃうのか！？ そんな好奇心から始まったこの企画。
ご協力いただいたのは、キュートな作風が人気のイラストレーター・トシダナルホ先生。「ナマハゲ」と「サメ」というTHE・怖いものの写真をお題としてお渡しし、「これ可愛く描いてください！」と丸投げしてみました。
果たしてトシダ先生は、この “無茶振り” にどう応えるのか？ そして検証の結果学べた「可愛いイラスト」の条件とは？ さっそく作品を見ていきましょう。
イラスト提供／トシダナルホ（イラストレーター）
文／編集部 佐藤
お題1. ナマハゲ
まず1枚目の「お題」はこちら。
お題1. ナマハゲ
はい。「怖いもの日本代表」でおなじみのナマハゲです。怒り狂ったまなざし、鋭い牙とツノ、浮世離れした衣装……。秋田県民たちにトラウマを刻みつけてきたこのご当地キャラ（？）を、トシダ先生はどう「可愛く」料理するのでしょうか？
出来上がった作品が、こちらです！
トシダ先生の作品 ⓒトシダナルホ
トシダ先生のポップな作風が存分に発揮された、とてもステキな作品に仕上げていただきました。 この作品について、トシダ先生のコメントを踏まえながら3つのポイントに絞って解説しましょう。
ポイント1. ベビーシェマ（赤ちゃんの外見）
「ベビーシェマ」は、キャラクターを可愛く魅せるテクニックのひとつ。日本語に訳すと「赤ちゃんの外見」という感じの意味。要するに、顔のフォルムやパーツの配置などを「赤ちゃん」に似せて描く手法のことです。参考までに、発達心理学者・福田佳織教授の解説を引いてみましょう。
赤ちゃんの持つ見た目や動きの特徴=「ベビーシェマ」は、大人に「可愛い」と思わせる刺激になります。赤ちゃんは、自分を育ててくれる大人を惹きつけるために、「可愛さ」という武器を身につけて生まれてくるのです。「ベビーシェマ」は、鳥や犬、猫などの赤ちゃんにも備わっているほか、人形やキャラクターなどにも応用されています。
東洋学園大学｜赤ちゃんの “秘密の武器” !? ベビーシェマ（福田 佳織 教授）
同教授がベビーシェマの要素として挙げているのは、
・下方に位置する大きい目
・ふっくらとした頬
・丸みを帯びた体型
など。元のナマハゲの写真と並べてみると、トシダ先生の作品にもこのベビーシェマの要素が効果的に散りばめられていることがよくわかります。
ポイント2. 色使いは淡く・やわらかく
色の使い方も、イラストを可愛くするうえでは大事な要素。今回の作品でトシダ先生が使ったのは「夢カワカラー」。淡い（彩度・明度低めの）ピンクとパープルの2色による、女性人気の高い配色パターンです。
ちなみにトシダ先生にはもう1パターンのナマハゲも描いていただきましたが、こちらも配色のトーンは淡め。かつ輪郭線は鉛筆タッチでやわらかく、また違ったアプローチの「可愛さ」に仕上がっています。
その他の配色パターンについては、PicoN!の過去記事「エモい配色レシピ集。」などもご参照ください。
「省略」もテクニック！
イラストは、必ずしも写実的に描けばよいとは限りません。むしろある要素を省略、または強調して表現できるのも、イラストという表現方法ならではの良さです。
今回トシダ先生も、ナマハゲがもつ怖い要素を大胆に省略。たとえば「顔の陰影」「衣装の汚れ」「ゴツゴツとした歯並び」などを “あえて描かない” 選択をすることで、シンプルかつチャーミングな、子どもにも親しみやすいタッチになりました。
お題2. サメ
2つめのお題は、ホラー映画界のトップスター（？）でもある「サメ」。
お題2. サメ
この身の毛もよだつような海の暴れん坊を、トシダ先生はどう可愛く変身させたのでしょうか？
さっそく作品を見ていただきましょう！
トシダ先生の作品1 ⓒトシダナルホ
こちらの作品でも、先ほど解説した「ベビーシェマ」を意識。全体的に丸っこいフォルムにし、顔も赤ちゃんに似せることで可愛さの演出に成功しました。色彩も「夢カワ」カラーになり、輪郭線はクレヨンタッチにやわらかく。リボンやお花といった装飾も添えて、可愛い要素がプラスされています。
詳しい解説は前章に任せて省略しますが、こちらもほのぼのとしてキュートなイラストに仕上げていただきました。
＊＊＊
今回の検証はこれにて終了。トシダ先生の作品を楽しみながら、「可愛さ」をイラストで表現するテクニックも学べる企画となりました。可愛いキャラやイラストを描くときはぜひ今回の内容を思い出してみてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました！
トシダナルホ（イラスト提供）
NDS講師。イラストレーター。日本デザイナー学院Ⅱ部グラフィックデザイン科卒業。在学中からフリーランスとして活動を始め、現在は『an・an』などの女性ファッション誌や情報誌、書籍、広告、Webなど多方面で活躍中。
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