【アナログイラスト初心者向け連載】第6回~パンの描き方編~

『自分の大好きなものを描くのが上達の近道!』

なのですが、いきなり想像だけで描くのは難しいので、身近なものをモチーフにして、描くことをおすすめします。
まず、一度は目にしたことのある『パン』から!
水彩のフワッとした透明感のある色で、美味しそうに描けるでしょうか?

自分が食べたくなるように描けたら、ぜひご家族やお友達に見てもらいましょう。感想をもらったりコミュニケーションすることで、さらに作品がブラッシュアップされていきます。パンの形状は自由です。ドーナツやフルーツがのっているデニッシュ、サンドイッチ、ハンバーガー、お惣菜パンなど、何かのっていたり挟まっていたり、複雑な形のパンのほうが、意外と描きやすいんです。

言い換えると、シンプルな食パンやバターロールは難しいんです。今回は「クロワッサン」と「チョココロネ」を描いてみました。

 

それでは描き方の説明に入っていきます。
まずは、パンの色をよく観察しましょう。ただの黄土色(イエローオーカー)ではありません!いつも食べているパンは、赤っぽい茶色や緑っぽい茶色、黄色に近い色味などを含んでいませんか?描き始める前に、ぜひ!実物を目の前に置いて観察してくださいね。
「描き終わったらご褒美に食べよう♪」とワクワクした気持ちを持って制作すると、楽しさも倍増です。

クロワッサンのメイキング

まずはモチーフをじっくりとながめ、鉛筆で下書きします。パイの断面や、三日月型は、クロワッサンを焼く前の形を知っていると描きやすいです。

パンの色彩をパレットで混色してみます。パンの一番薄い色から塗っていきます。一層目は「にじみ」で下地作りです。(にじみ/「第4回基本編」参照)

パイの表面のサクサク感を出すために、筆先を軽やかに動かし「スタンピング」して表現します。(スタンピング/「第5回応用編」参照)

一層目の下地の色と、スタンピングした模様が馴染むように、この中間の色を優しく上から塗り、馴染ませていきます。

パンのさまざまな色を見つけて、加えていきます。タッチや色が強いところは「洗い出し」してもう一度、絵の具を取ります。(洗い出し/「第4回基本編」参照)

 

ここでワンポイントアドバイス

パンの色彩は落ち着いた色味なので、鮮やかさ(発色)を抑えるとリアリティが増します。パンの暖色系の絵の具(オレンジや赤、黄土色や茶色)と真逆の、緑色を筆先にちょんと、ほんの少し、スパイスのように入れると、暖色の色味がくすみます。

チョココロネのメイキング

チョココロネのぐるぐると巻かれた形は、三角錐をイメージしながら膨らみを持たせるように書きます。

パンが白いところは、色を置かないように紙の白を活かしましょう。クロワッサン同様にパンの一番薄い色から塗っていきます。一層目は「にじみ」で下地作りです。(にじみ/第4回基本編参照)

 

二、三層目も「にじみ」でパンの色を重ねて濃くしていきます。ふんわりしたパンにするために、小筆で絵の具を「ぼかし」ます。(ぼかし/「第4回基本編」参照)
パンの下に影を加えると白い生地がハッキリします。影も「ぼかし」ました。

コロネと言えばチョコ。チョコは光沢のあるクリームなので濃く強く色を入れて強調します。コロネの側面や凹凸の隙間に影を加えます。

パンの白い生地から、よく焼けた茶色まで、生地の色に幅をもたせることで、ふんわりとした高さと、らせん状の立体感が出ます。焼けた茶色の絵の具を追加しながら調整して完成です。

 

いかがでしたでしょうか。
パリパリのパイ生地とふっくらしたパン生地は、描き方を変えました。水彩を一度の塗りで仕上げようとは思わずに、少し薄めの生地の色から、だんだんとパンが焼けるように、焼き色を重ねていくことがリアルに描くコツです。
そしてもう一つのコツは、一回塗るごとに乾かして、乾いた状態をしっかり確認してから、パンを焼いて(絵の具の色を濃くして)いきましょう!
上記のクロワッサンとチョココロネは、実際のパンよりも1、2センチ小さく描きました。それでも横幅が12センチあります。あまり小さく描くと色がたくさん使えないので、ぜひ大きく描いてくださいね!

最後に以前描いたバターロールをご覧ください。

バターロールはなんと横幅15センチ近くあります。実際のパンよりもグンと大きく描くと、さらにいろんな表情を追いかけることが出来ますよ~。そして、影の色は、上記のクロワッサンとチョココロネと色が異なります。寒色の青と紫を使用すると晴れた日の爽やかなイメージの影となり、グレーを使用すると部屋の中の落ち着いた照明のイメージになりますね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。
次回は空を描きます!

池田幸穂
絵描き / Gallery MoMo 所属 / 武蔵野美術大学卒業後、個展多数。ワークショップ等。海外のアートフェアに参加。図書館に作品常設。

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