【アナログイラスト初心者向け連載】第12回~様々なガラスの描き方~

普段、何気なく使っている透明のグラスをじっくり眺めたことはありますか?
レストランで最初に出てくるお水の入ったグラス、ジュースの入ったグラスやアイスコーヒー、ビールやワインなど。
皆さんの目にはどんな風に見えているでしょうか。
透明のものを描くには何色を使えばいい??どうしたらいいの??という疑問が出てきますが、目の前にあるものをよく観察するしかありません。
今回は、

・白い空間に置いた透明なグラス
・背景の色を決めてカラフルに表現する透明のグラス
・お茶の入ったグラスと、緑色のガラスの花瓶

を描いていきます。

透明には色が「無い」ので、向こうにあるものが透けて見えることで、存在感を感じます。グラスの描き方を知れば、シャボン玉、ビニール袋、水、窓ガラスなど、透明のあらゆるものが描けるようになります。
まずは「透けて見えているものを描く」を意識して、それでは始めていきます!

グラスを描く時のコツ
①グラスは円柱形なので、コップの手前と、側面を意識する。
②ガラスに光が反射して白い所は塗らずに紙のまま残すか、白い絵の具で描く。
③コップのフチはガラスの厚みを伝えるために重要。
④コップのフチと底のガラスの厚いところに、陰影を付ける。
⑤ガラスが1枚の所と、2枚重なって見えるところを、異なる色を使う。
⑥ガラスの厚みの分、水面の楕円が一回り小さくなる。
⑦光の屈折で、ガラスの底部の奥行きや映り込みはゆがむ。

透明グラス

下書き。よく観察してサクッと形をとる。左右対称に書くために紙を回転させて歪みを確認すると形が取りやすい。

広い面積から塗り始める。画面全体を水で濡らして乾かないうちに背景の色をガラスの中にも入れていく。今回は茶色と青を混ぜて作ったブルーグレーを基調とする。
画像をよく見て、グラスの中の背景の色が写っているところにブルーグレーを入れる。グラスの手前、中央部分にうっすらと縦に筆を動かして筋を入れる。立体感を出すために入れた。
コップのフチと底部分は、ガラスの厚みを伝えるために大事な所です。この画像で一番濃い色が集まっている場所でもあります。ガラスが1枚の所と、2枚重なって見える所も色を変えていきましょう。

水面の光の屈折で水面のきらめきの楕円形はコップのフチとずれています。
ガラスの厚みもあるため、水面の大きさは一回り小さくなります。
グラスの側面など「ぼかし」たり「拭き取り」、立体感を出します。
(連載 第4回・水彩基本の技法 参照)
ホワイトでハイライトを入れて完成。

続いて、自由に色を決めて、透けて見えるように描く描き方です。
先ほどのグラスを描くコツを押さえておけば、色を濃くするところ、ガラスの厚み、水面の歪みやきらめきを表現しながら、自由に好きな色を使って、透明を表すことができます。背景に使用した色を積極的にグラスの中に入れていきましょう。

カラフルグラス

よく観察して鉛筆で形をとる。ここは輪郭だけ取れればOK。紙を水で満遍なく濡らしてから、使う色を決めて、全体に薄く塗る。ガラスが反射や歪みがあるので、背景とグラスの中で、同じ色が隣り合わせにならなくていい。
水分をたっぷり含ませた筆で、二層目を塗る。水面の煌めきは塗らないで紙の白を残す。グラスの中央部分にうっすらと縦に筆を動かして筋を入れる。円柱の一番手前の立体感を出すために入れた。コップのフチ、グラス底部に濃い色を入れる、ガラスは重いため、底部にしっかり影を入れるように描くと重さが感じられる。光の白いハイライト、背景にさらに色を加えて完成。

色付きガラス

よく観察して鉛筆で形をとる。ここは輪郭だけ取れればOK。画面全体を水で濡らしてから黄色背景に色をつける。今回は黄色にした。透き通って背景が見えるところに積極的に塗るのがコツ。
色付きガラスは、光を通すため、中に光が透過する部分が暗くなることがある。ガラスが厚い部分には暗い色を使い、薄い部分や反射部分には明るい色を使うとコントラストが出る。
周りの風景や色が反射しているもの、表面に歪んで見える模様も描く。
色付きガラスや、飲み物に色が付いていると、影にもその色が透けて見えることがある。影を茶色と緑を使って表現した。

3枚のメイキングを紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
このグラスの描き方を知れば、シャボン玉、ビニール袋、水、窓ガラスなど、透明のあらゆるものが描けるようになります!

透明なガラスを描くコツ まとめ
・はじめにガラスのベースの色を薄く塗るか、透けて見える背景の色を塗る。
・グラスに水が入っている時は水面の反射や、周りのものが歪んで映る。
・透明なガラスにも影は必ずつく。グレーや青みがかった色で描くと透明感が強調される。

池田幸穂
絵描き / Gallery MoMo 所属 / 武蔵野美術大学卒業後、個展多数。ワークショップ等。海外のアートフェアに参加。図書館に作品常設。

Instagram @sachiho_ikeda




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