
「見る人の概念を変えていくような写真を撮っていければな、と思いながら撮影をしています」 – 写真科3年・大場寛斗さん
日本写真芸術専門学校の在校生インタビュー企画。
今回は写真科総合写真研究ゼミ3年の大場寛斗さんに、現在の制作やつくっているものについて伺いました。
Q.いまつくっている作品のコンセプトや概要を教えてください
モータースポーツは、時に1/100秒の差で勝敗が決まる世界です。そこで、車と空気の関係は、速く走るために欠かせない要素となります。私は、空気の壁を押しのけながら走るレーシングカーの姿に魅了され、これまで撮影を続けてきました。
当初は流し撮りをしたり早いシャッタースピードで撮影したりすることが多かったのですが、ある時、試しにスローシャッターで撮影してみたところ、肉眼では捉えられない独特の表現が生まれました。その瞬間の面白さに惹かれ、以来、光が蓄積されることで生まれる像を表現することをテーマに、スローシャッターを採用するようになりました。

撮影/大場寛斗
Q. なぜその作品をつくりたいと思ったのですか?きっかけとなった思いや、エピソードなどがあれば教えてください。
当初は、ブレている写真には価値がなく、車だけに綺麗にピントが合い、背景が流れている写真こそが理想的だと思っていました。実際、雑誌やオフィシャルの場で使われるのは、スポンサー名や車体のデザインがはっきりと分かる写真がほとんどであり、自分の中でもそういった写真しか引き出しがない状態でした。
そんな中、ある時、いつも通り早めのシャッターで流し撮りをしていた最中に、特に深い考えもなくスローシャッターで撮影してみました。その時に撮れた写真が自分にとって新鮮で、これまでとは違う面白さを感じたんです。それがきっかけとなり、スローシャッターを取り入れるようになりました。
Q. この作品を見た人に、どんな気持ちになってもらいたいですか?
かっこよさや疾走感を感じてもらいたいです。肉眼で見る景色と、写真として写し出された世界はまったくの別物です。だからこそ、普段あまり意識していなかったものでも、見る人の概念を変えていくような写真を撮っていければな、と思いながら撮影をしています。
もちろん、自分の撮影した写真には自分なりの思いや解釈を込めていますが、第三者が見たときに異なる受け取り方をされることもあります。それ自体を否定するつもりはありませんが、講評を重ねながら作品のクオリティを高めていきたいと考えています。

撮影/大場寛斗
Q. 将来の夢や目標、これからつくりたいものを教えてください。
将来の夢は、写真で食べていくことです。自分の写真を多くの人に見てもらい、レースならレースを支える1人として仕事をしていくことが目標です。
主役ではなくとも、影で支えながら、自分の写真を通じてその存在を示せるような立ち位置になれたらと思っています。そのためにも、仕事を確実にこなしながら、自分の武器となるスキルを磨き続けることが大切だと考えています。
まだ社会に出ていないので憶測の部分もありますが、「この人だから頼みたい」と思ってもらえるかどうかが、プロとしての価値を決めるのではないかと感じています。そうなれるようにこれからも努力を続けていきたいです。

撮影/大場寛斗
↓PicoN!アプリインストールはこちら