フォトグラファーのためのカラーマネージメント実践〈第2回〉

カメラプロファイルをつくる

写真の色は誰が決める?

忠実色、記憶色、期待色。一言に商業写真と言っても求められる色は異なります。そのとき必要なのはどんな色なのかを考えて写真を仕上げていくわけですが、ここにもカラーマネージメントの考え方が関わってきます。

カメラでもRAW現像ソフトでも、それを作ったメーカーによる色調表現のチューニングがされています。「○○社の色は○○だ」といった話題がよく上がりますが、まさにこの話です。
「忠実」という色調設定もありますが、それでもいくらかのチューニングは入っています。図録用の複写撮影や通販サンプル用の物撮りなど、本当の忠実色が必要であれば、そういったチューニングのないカメラプロファイルを作成した方が、素直に忠実色が出せます。

今回のテスト撮影も、お花の色味を忠実に出そうとしています。そんなとき、無料でダウンロードできる「ColorChecker カメラキャリブレーション」でDNGプロファイルを作成するのがお手軽です。本来カメラプロファイルを作成する場合は、ColorCheckerよりももっと色数の多いチャートを使い、もっと高価なソフトで行うのですが、フォトグラファーにできる範囲として、こちらをご紹介します。

現物通りの色が欲しい場合に限らず、メーカーのチューニングをリセットすることにもなるので、イチから自分で色を作り上げたい場合にも有効です。さらに、イベント撮影などで複数のカメラで同じものを撮ったとき、カメラの違いを感じさせたくない、統一感を出したいといったときにも役立ちます。

DNGカメラプロファイルを作成、RAW現像してみる

先ほど撮影した中から、ColorCheckerを写し込んだRAWデータを選び、DNG形式に変換。ColorChecker カメラキャリブレーションで開きます。
データを読み込むと、画面内のColorCheckerを認識し、カラーパッチを自動検出してくれ、そのままプロファイルの作成・保存と進みます。簡単です。保存すると、Camera RAWやLightroomのプロファイルとして選べるようになります。

続いて黒田さんに、このプロファイルを使って、今度はColorEdgeを見ながら改めてRAW現像をしてもらいました。

黒田さん「ああ、オレンジの不自然な感じがなくなりましたね。さっきは色味をかなり調整したけど、これならほぼそのままで行けそう」
メーカーのチューニングが外れたことで、忠実色の再現がしやすくなった、というわけです。

そうして仕上がったのがこちらです。

イメージ通りの仕上がりに、よりスムーズに持って行けたようです。

メーカーの考えた画づくりをそのまま自分の写真に取り入れるのか、それをベースに自分なりのカスタマイズを加えるのか、イチから自分の色を作り上げていくのか、それはフォトグラファーの判断です。
撮影時のカラーマネージメントの考え方も、上手に取り入れてみてください。

[まとめ]
 カラーマネージメントは撮影時から始まっています。
 プロファイルはモニターやプリンターだけでなく、カメラにもあります。
 カメラプロファイルをどう考えるかは、写真をどう仕上げるかということと直結しています。

 

文・芳田 賢明
イメージングディレクター/フォトグラファー
株式会社DNPメディア・アート所属、DNPグループ認定マイスター。
写真制作ディレクターとして、写真集やアート分野で活動。フォトグラファーとしては、ポートレートや都市のスナップ、舞台裏のオフショットを中心に撮影。
https://www.instagram.com/takaaki_yoshida_/

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機材協力:銀一株式会社

 

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