明治時代の西洋建築と、日本各地の姿。卒業生 張鈺さん写真集『中国当代摄影图录』インタビュー

日本写真芸術専門学校卒業生の張鈺さんの写真集『中国当代摄影图录 ZHANG YU 張鈺』に込められた想いと、学生時代を振り返った撮影当時のエピソードをお伺いしました。

中文:我们采访了摄影师张鈺,了解他的摄影书《中国当代摄影图录》背后的想法,以及他作为学生摄影师时的一些情节。

今回出版した写真集『中国当代摄影图录 ZHANG YU 張鈺』は、日本で過ごした写真学生時代の作品の集大成。

日本写真芸術専門学校で3年間、そして卒業後さらに2年間、武蔵野美術大学院で写真を学びました。当時、日本各地へ撮影の旅に何度も出かけ、撮り続けた写真作品をシリーズにまとめ一冊の写真集にしました。

中国の著名なアーティスト刘铮氏の編集による『中国当代摄影图录』は、これまで70人の写真家をキュレーションしている写真集です。嬉しいご縁をいただいて今回写真集出版をすることができました。

我在日本摄影艺术学院学习了三年的摄影,并在武藏野艺术大学学习了两年。 当时,我把在日本各地多次摄影旅行中拍摄的一系列摄影作品汇编成一本书。《中国当代摄影图录》由中国著名艺术家刘铮主编,是一本至今已策划了70位摄影师的摄影书。 我们非常高兴这次能有一个很好的机会与他们合作。

明治時代から100年以上。現代も残る、当時の西洋建築

京都に旅行で訪れたとき、偶然、狭い路地に中国の民国時代の建築にとてもよく似ている建物を見つけました。それが日本に残る古い建築に興味を持ちはじめたきっかけです。日本で撮影場所を調べると、歴史的に有名な建築物も多くありました。取材の際に現地で偶然知り合った人が教えてくれた場所や、中には地図に載っていないスポットもありました。明治時代から残る「歯医者」の建物などもあり、とても興味深かったです。

いつも人がいない時間帯やタイミング、そして曇りの日に撮影を行っていました。都心部など人通りの多い場所では、人がいなくなるタイミングを長時間待って撮影することもありましたね。撮影は大判フィルムカメラ4×5(シノゴ)です。

在一次京都之行中,我偶然在一条狭窄的巷子里发现了一座类似于中国民国时期建筑的建筑。 就在那时,我开始对日本残存的古老建筑感兴趣。当我研究日本的拍摄地点时,我发现许多历史上著名的建筑。 其中一些地方是我在采访中偶然遇到的当地人告诉我的,还有一些是地图上没有的景点。 一些建筑,例如从明治时代遗留下来的 “牙医 “建筑,非常有趣。拍摄是在周围没有人的时候和阴天进行的。 在市中心等繁忙的地方,我有时要等很久,等人们都走了,才可以拍摄。 我用大画幅胶片相机4×5(Sinogo)拍摄。

故郷を思い出させる建築物。静寂の美しさと独特な廃墟空間、新潟ロシア村

バブル時代を微かに感じさせる屋内の装飾や家具、静寂だけど何か気配を感じるような独特の空気。新潟にあるロシア村は、1993年にロシアとの友好や文化交流を目的として開園したテーマパークです。現在はすでに閉園し、廃墟となっています。私の故郷である中国・哈爾浜(ハルビン)はロシアとの国境に近く、人や道、建物など幼い頃から西洋風の雰囲気に馴染みがあり、とても興味深い場所でした。何度か足を運び、撮影を続けました。

新泻的俄罗斯村是一个主题公园,于1993年开放,以促进与俄罗斯的友谊和文化交流。 室内的装饰和家具给人一种淡淡的泡沫时代的感觉,独特的氛围很安静,但你能感觉到空气中的东西。 该公园现在已经关闭,成为一片废墟。 我的家乡中国哈尔滨靠近俄罗斯边境,我从小就熟悉这里的人、街道和建筑的西方氛围,所以这是一个非常有趣的访问地点。 我多次访问这座城市并继续拍摄它。

外国人墓地や、港町の一般民家。自分の「直感」を辿って歩き撮り続けた学生時代。

日本写真芸術専門学校の学生時代、横浜の山手公園を歩いていたときに辿り着いた場所がありました。「横浜外国人墓地」です。普段は非公開なのですが、私が訪れた日曜日は偶然入ることができました。外国人墓地に入ったのは初めての経験でしたが、墓地がある丘からは海が見え、その美しさに驚きました。日本にこんな場所があったのか、と。

このことをきっかけに、函館や神戸、長崎など、日本各地にある外国人墓地を訪れ撮影取材を続けました。そこにもやはり西洋と日本の関係性や、歴史を感じる機会が多くありました。学校でも歴史や写真テーマの作り方を学ぶ授業があり、とても興味深かったです。

また2018年からは「港町の一般民家」をテーマに撮影をスタート。日本各地を歩いていると、伝統的あるいは近代的というよりはどこか時代や経済成長期の社会変化とともに進んでいった生活様式に合わせた建築、一般民家が多いように感じ発見が多かったです。

当我还是个学生的时候,我在横滨的山手公园散步时遇到了一个地方。 这就是横滨外国公墓。 这是我第一次进入外国公墓的经历,我惊讶于从公墓所在的山上看到的大海美景。这促使我访问并拍摄了函馆、神户、长崎和日本其他地方的外国公墓。 在那里,我也有很多机会感受到西方和日本之间的关系以及它的历史。 在日本摄影艺术学院的课堂上,我有机会了解历史和如何创造摄影主题,这非常有趣。2018年,我也开始以 “港口城市的普通房屋 “为主题进行拍摄。 走在日本的大街上,我感到有许多建筑和一般的私人住宅适应了随着时代的社会变化和经济增长期而进步的生活方式,我有了许多发现。

 

数十年後も残っていく写真。日本で写真やフォトアートを学ぶことの面白さ

日本で写真・フォトアートを学ぼうと決めた理由はいくつかあります。幼い頃から絵を描くことやアートに関心を持っていて、中国の美術大学で勉強していたこと。中国・北京で写真家篠山紀信さんの写真展やトークショーに参加したこと。親戚が古いフィルムカメラの使い方を教えてくれたこと。

日本はフィルム写真をはじめ独自の写真文化が進んでいることを興味深く感じました。日本写真芸術専門学校在学中は、撮影したフィルムはいつも自分で暗室現像プリント作業。データで見る写真と、プリントで見る写真は、全く違います。自分に合った表現方法を見つけることができた時間でした。写真作品は10年後、20年後も残っていきます。自分が撮ってきた写真という名の記録も、数年後に作品として価値が見つかる可能性もあると思っています。

我决定在日本学习摄影和摄影艺术,有几个原因。 自幼对绘画和艺术感兴趣,并在中国的一所艺术大学学习。 参加了摄影师筱山纪信在中国北京举办的摄影展和谈话展。 那位亲戚教她如何使用一台老式胶片相机。日本拥有先进的胶片摄影和其他独特的摄影文化。 当我还是日本摄影学院的学生时,我总是自己在暗室里冲洗和打印我拍摄的胶片。 作为数据查看的照片与作为印刷品查看的照片完全不同。 那是一个我能够找到适合自己的表达方式的时代。 摄影作品在10年或20年后仍会保留。 我相信有一种可能性,我所拍摄的被称为照片的记录,在几年后也会发现作为艺术品的价值。

 

自分の世界を広げるために歩き、観察し、撮る。これから写真を学ぶ留学生へメッセージ

日本では当たり前のようにある日常風景や文化も歴史も、外国人目線で観察すると面白いことが沢山あります。これから写真を学ぶ人には、ぜひ“自分が何を撮るのか”を熟考してみてほしいです。自分らしいテーマとは何か。もしテーマが決まっていないなら、自分の世界を広げるために自分の足で歩き、遠くへ行ってみることも必要な機会かもしれません。あるとき、写真の先生が「写真を撮ることで大事なこと、それは“靴”です」と言っていました。自分の足で歩き、観察し、たくさん撮ること。

私自身、それぞれのシリーズがテーマに繋がりを持ちながら作品が生まれてきました。いまは日本の風景と、各地で出会う人々や日本にいる中国人のポートレートを撮り始めています。面白い人に出会ったら撮りたい、という感覚が湧いてきています。また日本・東京と中国・成都で運営している「半山ギャラリー(BANSHAN GALLERY)」での展示キュレーションで日々新しい発見もあります。これからも写真を通じて日本を知るヒントを探せると感じています。

从一个外国人的角度来看,有许多有趣的事情需要观察,比如在日本被认为是理所当然的日常风景、文化和历史。 对于那些要学习摄影的人来说,我希望你们仔细考虑一下你们要拍摄的东西。 你自己的独特主题是什么? 如果你心中没有一个主题,这可能是你需要的一个机会,用自己的脚走路,去更远的地方拓展你的世界。 一位摄影老师曾经告诉我,摄影最重要的事情是鞋子。 重要的是要用自己的脚走路,观察并拍摄大量照片。最近,我开始为日本的风景和我在不同地方遇到的人拍摄肖像画。 我越来越感觉到,当我遇到有趣的人时,我想为他们拍照。 当我在日本东京和中国成都经营的半山画廊策划展览时,我也每天都有新的发现。 我觉得我可以继续通过摄影寻找关于日本的暗示。

 

ZHANGYU

BANSHAN GALLERY

 

関連記事