個展ができるまでー写真展開催までの道のりー

みなさんは個展に行ったことがありますか?

目の前で自分の作品を見てもらえる機会。いつか個展を開いてみたいと思っている方はたくさんいると思います。

今年の1月に個展を開催したNPI卒業生の伊藤純一さんに、今回の個展のことや開催までについてお話を聞いてみました!

個展を開催するためにまずは何から?

まずは、コンセプトやテーマを決め撮影していきます。回数や期間が増えると方向が決まってくるので、撮影した中から粗選りをし、展示する点数を揃えていきます。展示内容が決まったら、次は会場選びです。

メーカーギャラリーは公募形式で行われていて、年1〜2回のところや2ヶ月に1回審査があり、それを通過すると展示をすることができます。今回展示したギャラリーはレンタルギャラリーなので、空いている期間があれば規定のレンタル料金でギャラリーを借りて展示をすることが可能です。

会場は、壁面の長さや壁面の色、立地や料金で決めていく事になると思います。今回展示したSpace Jingは渋谷区神宮前という立地の良さもありますが、壁面の高さで決めました。このギャラリーの壁面は他のギャラリーより高い箇所があり、さまざまな利用方法が考えられます。今回は特別に大きな作品を1点展示し、他に通常サイズの作品を展示する事にしました。

展示準備から撤収までの流れ

おおよそ半年前に会場・展示期間を決めます。次に展示レイアウトを決めるのですが、入口から入り、どのように見せたら良いのかを考えて、作品のサイズや配置を決めていきます。配置は、会場を選んだときにすでに決めている人もいれば、現場で決める方もいます。テーマが決まっている場合は、事前に配置を決めている方が多いと思います。

レイアウトでは、展示方法も決めていきます。額装・木製パネル・マットパネル・フォトアクリル・ピンナップ留め等の作品加工、プロジェクションやディスプレイ展示等、いろいろな展示方法があります。どれが良いかは、会場や作品の内容で判断します。

レイアウトが決まると、作品点数が決まるのでプリントの作成をします。デジタルプリントが現在の主流ですが、A3位まででしたら自宅のインクジェットプリンターで作成する方もいます。大きいサイズの場合は展示用加工も含め、専門業者に依頼するのが一般的です。プリントはおよそ1ヶ月前位、加工は2~3週間前位に依頼するのが多いようです。

搬入設営、プリント・加工の手配を決めるのと同時に告知・宣伝の手筈を整えます。現在は、SNSやネットで告知・宣伝を行う事もできますが、告知DMを作成することも多いです。写真展をやっている他のギャラリーにDMを置いてもらうことで、来場のきっかけを作れますし、直接手渡しすれば認知度が上がると思います。また、展示に関連する施設や場所にも告知するのも一つです。今回のレンタルギャラリーでは、20箇所以上のギャラリーや写真関連の企業・部署に送ってもらっていて、個人では知人・友人、関係者に送っています。また、個人で来てくれそうな方が立ち寄る場所にお願いして、DMを置いて配布して頂きました。

搬入は、ギャラリーに指定された時間に行います。メーカーギャラリーは、前会期の作品が搬出されてから行います。だいたい2時間程度で行う事が多く、展示設営は指定の業者が行う場合が多いです。レンタルギャラリーの場合は、ギャラリーによって異なります。展示設営を専門業者に依頼するか、展示する個人が自分で行うことが多いようです。今回は展示に長けている知人を呼んで、設営を行いました。

会期中は在廊が不要のギャラリーもありますが、在廊して観に来られた方と会話するのも展示の醍醐味の一つです。来て頂いた方々と対話して、感想や意見・知見を直接受けとることができます。また、次へのヒントや捉え方を気付かせて貰える機会だと思っています。ギャラリーによっては、ギャラリートークやトークショーを実施するところもあるようです。

会期が終了すると、撤収になります。ギャラリーにもよりますが、次の搬入がすぐ始まる会場では終了後30分で会場を元に戻し、引き継ぐところもあります。レンタルギャラリーだと、撤収に2~3時間取っているところが多いようです。専門業者に依頼すると搬入同様、早く終わらせることが出来ます。

展示作品の決め方

過去に開催した個展は、すでに撮影が終了していたものでしたので、今までの作品からセレクトして展示していましたが、今回のテーマ「SL大樹」は現在も撮影しているので、展示の大勢を決めつつ追加の撮影をし、展示作品も当初の予定から変更をしています。

設営方法について

作品を配置するにあたり基準となる中心線を決めます。また、配置する高さをあらかじめ決めておき、それに沿って水糸をひいたり、レーザー水準器を使ったりして、釘を打ち、作品を展示していきます。ギャラリーによっては釘打ちができないところもあります。その場合は、吊り上げのワイヤーを使用する指定の展示方法で行う必要があるので、借りる前に確認が必要です。

今回は、額装とピンナップ(ピン・アップ)式の直貼りで行いました。額装は過去の個展と合わせたものです。ピンナップ式直貼りは個人的には好みではありません。しかし今回は2枚を貼り合わせた2mx3mの大きな作品があったので、ピンナップでの展示しました。

個展でのこだわり

現在も走っている列車なので、写真展を見て頂いた方々に、SL大樹がいいな、乗ってみたいなと思ってもらいたいのと、鉄道ファンなら撮ってもみたいでしょ?と感じてもらえればと思い、セレクトしてみました。

また、自分の写真展では今までやっていなかったのですが、会場にプラレールのSL大樹を置いてみました。

本当は、緻密な大きな模型でもあれば展示してもいいのですが持っていません。またNゲージという1/150スケールの小型の模型はありますが、小さな子供の出入りがあるかもしれない会場で触れる場所にあると危険な事もあるかもしれません。なので子供でも大人でも馴染みのあるプラレールを置きました。

プラレールであれば、万一壊しても大した損害になりませんし、子供が多少乱暴に扱っても怪我する事はあまりないでしょう。大人でしたら懐かしいとか、子供が持っていたりするので、そこから会話が弾む事もあります。会場の床面を壁面に沿って長く走らせる事もできますが、今回は机の上で走らせました。

開催予定の個展

1月に渋谷神宮前のSpase Jingで開催した展示の巡回展になります。壁面長が長いのと展示壁面の高さが低く、展示レイアウトが変わり、同じ展示でも見せ方が変わるので、その違いも見ていただければと思います。なお、前述の通り展示壁面の高さが低いので、Space Jingで展示した2x3mの作品はありませんので、ご了承ください。

「懐走! SL大樹」
会 期:2023年 3月19日(日)~3月22日 (水)
会 場:日光市 杉並木公園ギャラリー https://www.city.nikko.lg.jp/shougaigakushuu/gallery.html
住 所:〒321-1261 栃木県日光市今市533-5 (東武上今市駅隣接)
時 間:10:00~18:00 (最終日は14時まで)
料 金:入場無料

 

お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください!

伊藤純一
1970年 神奈川県平塚市生まれ。
1992年 日本写真芸術専門学校 肖像写真科卒業。
作品展歴
1997年5月 「去り行く古豪~クモハ12~」ドイフォトプラザ渋谷
2013年3月 「郷愁電車-クモハ42-」宇部市文化会館 11月 渋谷区 ギャラリー大和田
2016年3月 「去り行く古豪~クモハ12~」横浜市サルビアホール ギャラリー 翌年5月 渋谷区 ギャラリー大和田

 

伊藤純一さんの他の記事はこちら▼

 

関連記事