乗り物撮影の5つのポイントー鉄道編ー

鉄道を上手に撮る5つのポイントを、普段から鉄道を撮影している伊藤純一さんに教えていただきました。おすすめスポットや撮影時のマナーについても、鉄道写真と一緒にご紹介していきます!鉄道撮影に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

2020年11月に走ったJR九州の無限列車。撮影場所は姉妹校 専門学校日本デザイナー学院九州校の近くの公園で撮影しました。

鉄道撮影をはじめたきっかけはありますか?

「好きな物を撮った」というのがきっかけです。幼少時代から鉄道好きで、実家近くにあった引き込み線に出入りする貨車を見に行くのが楽しみでした。その後、小学5年生くらいに、旅行先等で親からカメラを借りて1~2枚撮ったのが始まりです。中学1年生の頃に、親からもらった一眼レフで撮影を始め、高校生のときにはお金を貯めて自分でも一眼レフを買い、鉄道を撮影していました。鉄道撮影歴は、40年位になります。

鉄道を撮る5つのポイントを教えてください。

①事前に下調べをしたり、現場でもどう撮りたいのかを考える。
自分が思っていたような撮影ができないと思った時は、アングルを変えたり、場所を変えたりしてより良く撮ろうとします。
②太陽(光)の向きや影の入り方を見て、場所(アングル・ディスタンス)撮る高さ(ポジション)を決める。
列車が目の前を走るのは限られた時間です。ここから撮ると光や影がどう写るのか、などを想定して、カメラの位置を決めるのが重要です。
③ピントを置きピンにするか、追従撮影かを決める。
置きピン…あらかじめピントを決めておき、その場所に列車が来たら撮影すること
(オートフォーカスでフォーカスロックをするとAF-S(シングルAF/ワンショットAF)で同じことができます)
追従撮影(AF-C(コンティニュアスAF/サーボAF))…被写体に合わせ、ピントをカメラに追従(動態予測)させること
撮影をするときにどちらも良く使います。使い分けの基準は、列車が奥から手前に向かってくるような場所で、列車を追いながら撮影する場合は追従撮影。撮影する列車が、カメラに並行方向で距離が変わらない場合や、撮影ポイントがピンポイントの場合は置きピンにすることが多いです。
④露出、バッテリーやカードの残量確認。
撮影の目的で変わってきますが、短時間の時もあれば、半日以上待つ事もあります。なので、事前の残量確認は必須です。
⑤落ち着いて撮影する。
絶好のタイミングを撮るには、ファインダーや液晶画面で、被写体をよく見ておく事が大切です。

日光市内を走る東武鬼怒川線では、あまり雪が降りませんが、SLの運行日にタイミングよく雪が降りました。寒い中ですが、発車前の点検はかかせません。

おすすめスポットを教えてください。

関東地方でしたら、江ノ電や銚子電鉄・小湊鉄道・JR鶴見線・青梅線あたりでしょうか。江ノ電以外は運転本数が少ないのですが、のんびりと様々な撮影ができるのでおすすめです。江ノ電は、沿線を歩きながら撮影するには、ちょうどいいと思います。SLだと1日に数本走っている、大井川鐵道や東武のSL大樹などはいかがでしょう?初めて行っても楽しめると思います。

冬の15時過ぎの撮影。逆光に近い斜光線でSLの正面は日陰になりますが、車体側面は光り質感が出てきます。

鉄道撮影をするときの注意点を教えてください。

最低限のマナー・ルールだと思っていますが、線路内に立ち入らないこと、ホームで安全な場所(白線や黄色い線)から出ないこと。係員の指示に従うのはもちろんのことです。また、沿線から撮影する時には、立ち入り禁止の場所や田畑などの私有地への無断侵入はしないこと、人に迷惑を掛けない、などです。撮影時に夢中になり、先に構えている人の前に割り込んでしまってトラブルになったり、周りが見えておらず危険行為になってしまうこともありますので、気をつけましょう。

コンパクトデジタルカメラでよく起きる事ですが、駅で撮るときにフラッシュが光ってしまう事があります。運転の妨げになり危険ですので、光らないようにしておきましょう。また、地元の方や他の撮影者がいることもあります。人に会ったら挨拶をしましょう。

山口線徳佐駅付近の有名撮影地での撮影。通過がお昼過ぎなので、太陽はほぼ真上でいい条件ではない場所、煙の量で良くも悪くもなる場所です。400mmの望遠で狙い通りの煙が出て上の方を空けておいて正解でした。

どんなカメラを使っていますか?

現在は主にデジタル一眼レフと、ミラーレスカメラ(レンズ交換式デジタルカメラ)です。どっちのカメラでも撮影をしますが、ミラーレスカメラ(レンズ交換式デジタルカメラ)は、動体が弱い気がするので、オートフォーカス(AF)でピントを追いながら撮影する時は、デジタル一眼レフを選ぶことが多いです。また、メモの様な撮影をするために、コンパクトデジタルカメラも持っていきます。いつも何らかのカメラを持っていることが多く、スマートフォンで撮影することは少ないです。

左:Nikon Z7+ AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II
右:Nikon D850+AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VR

博多駅で撮った一コマ。新幹線を降りて、発車案内を見たら入線に間に合うかなと思って、ホームの先端で撮れたカット。

これから鉄道撮影を始めてみたい方にアドバイスをお願いします。

鉄道を撮ることは、車両だけを撮ることではありません。四季折々の風景と絡めたり、その地方の人々の風土や民俗的な事柄も入れていくと作品になっていくと思います。マナーやルールを守って、楽しく撮影する事が大事です。

様々な分野の写真展や写真集を見て、吸収して、撮影していってください。

2003年3月に営業運転を退いたクモハ42。最後に運行されていた小野田線本山支線の沿線は水田が多いが、農作業を終えた方と列車を絡めて撮れたのは、数回だった。

 

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伊藤純一
1970年 神奈川県平塚市生まれ。
1992年 日本写真芸術専門学校 肖像写真家卒業。
作品展歴
1997年5月 「去り行く古豪~クモハ12~」ドイフォトプラザ渋谷
2013年3月 「郷愁電車-クモハ42-」宇部市文化会館 11月 渋谷区 ギャラリー大和田
2016年3月 「去り行く古豪~クモハ12~」横浜市サルビアホール ギャラリー 翌年5月 渋谷区 ギャラリー大和田

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